これならわかる復文の要領 ――漢文学習の裏技――

古田島洋介 著 / 新典社選書83
Ⅲ 修練篇 解説&解答 pp. 172–215

修練問題しゅうれんもんだい1 《Q11》~《Q20》 解説かいせつ解答かいとうpp. 172–178

すでに《Q1》~《Q10》で基本的きほんてき考え方かんがえかた習得しゅうとくできていると思いおもいますので、以下いか詳しいくわしい説明せつめい省きはぶき簡略かんりゃくむねとして解説かいせつします。

《Q11》ひとし求めもとめひとし得たえたり。(全五字ぜんごじ第三だいさん置き字おきじ「而」)

「求めて」の接続助詞せつぞくじょし「て」の直前ちょくぜんが「而」の位置いち二つふたつの「仁を」から「仁」がかく動詞どうし目的語もくてきごとわかる。

【A11】
きゅう ひとし   ひとし
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんきゅうメテひとしいちタリひとしいち(『論語ろんご述而じゅつじ

《Q12》述べのべ作らつくらず、信じしんじ好むこのむ。(全八字ぜんはちじ第二だいに六字ろくじ置き字おきじ「而」)

「ず」→「不」で二字にじ補うおぎなう二つふたつの「て」がそれぞれ「而」直前ちょくぜん読みよみになるよう配置はいちする。

【A12】
じゅつ   さく 、 しん  こう 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんじゅつベテさくラズ、しんジテこうヲ(『論語ろんご述而じゅつじ

《Q13》君子くんし和しわし同ぜおなぜず、小人こども同じおなじ和せわせず。(全十二字ぜんじゅうにじ第四だいよん十字じゅうじ置き字おきじ「而」)

「同ぜず」→「不同」、「和せず」→「不和」。かく「て」の直後ちょくごに「而」が位置いちする。

【A13】
くん     どう 、 しょう にん どう   
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん君子くんしシテどうゼ、小人こどもどうジテセ(『論語ろんご子路しろ

《Q14》千里せんり遠しとおしとせずして来るくる。(全六字ぜんろくじ第五字だいごじ置き字おきじ「而」)

「遠」を動詞どうしとして「千里を遠しとす」」「遠千里」。「ず」→「不」、「して」直後ちょくごが「而」。

【A14】
 えん せん さと  らい
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんシテえんシト千里せんりいちらいタル(『孟子もうしはり恵王けいおううえ

《Q15》うえ犯すおかすことを好まこのまずしてらんさくすことを好むこのむ。(全八字ぜんはちじ第五字だいごじ置き字おきじ「而」)

「犯上」「作乱」各々かくかく「好」の目的語もくてきご。「好まずして」→「不好…而」。

【A15】
 こう はん うえ  こう さく らん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんシテこうはんスコトヲうえいちこうさくスコトヲらんいち(『論語ろんご学而がくじ

《Q16》こととしにしてげん慎むつつしむ。(全七字ぜんしちじ第二だいに六字ろくじ置き字おきじ「於」/第四字だいよじ置き字おきじ「而」)

前置詞ぜんちし「於」が「事」「言」を後位副詞句こういふくしくに。「敏にして」直後ちょくごに「而」。

【A16】
とし  こと  しん  げん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんとしニシテこといちしんげんいち(『論語ろんご学而がくじ

《Q17》君子くんしきょうにしてそうはず、ぐんしてとうせず。(全十字ぜんじゅうじ第四だいよん八字はちじ置き字おきじ「而」)

「争はず」→「不争」、「党せず」→「不党」。かく「して」直後ちょくごが「而」の位置いち

【A17】
くん  きょう   そう 、 ぐん   とう
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん君子くんしきょうニシテそうハ、ぐんシテとうセ(『論語ろんご衛霊公えいれいこう

《Q18》視れみれども見えみえず、聴けきけども聞こきこえず。(全八字ぜんはちじ第二だいに六字ろくじ置き字おきじ「而」)

「見えず」→「不見」、「聞こえず」→「不聞」。「ども」が「而」直前ちょくぜん読みよみ

【A18】
   けん 、 ちょう   ぶん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんレドモけんエ、ちょうケドモぶんコエ(『大学だいがく』)

《Q19》いち聞ききき以てもてじゅう知るしる。(全五字ぜんごじ置き字おきじナシ)

「聞一」「知十」。「聞きて」の「て」が「以て」直前ちょくぜん読みよみになるよう調整ちょうせい(「而」とどう要領ようりょう)。

【A19】
ぶん いち   じゅう
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんぶんキテいちじゅうヲ(『論語ろんご公冶長こうやちょう

《Q20》おのれ修めおさめ以てもて百姓ひゃくしょうあんんず。(全六字ぜんろくじ置き字おきじナシ)

「安んず」の「ず」は動詞どうし語尾ごび打消うちけしの「不」ではない)。「修己」「安百姓」と復元ふくげんし、「修めて」直後ちょくごを「以」にする。

【A20】
おさむ おのれ  あん ひゃく せい
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんおさむメテおのれあんンズ百姓ひゃくしょうヲ(『論語ろんご憲問けんもん

中文翻譯

由於在《Q1》~《Q10》中已習得基本作業過程與思路,以下從簡解說,不再附〔構文分析〕。

【要點整理】Q11–Q18 均含置字「而」,重點是確認「而」所在位置:接續助詞「て(して)」或逆接助詞「ども」讀完之後,即為「而」飛越之處。Q19–Q20 使用「以て」(以),要領與「而」相同——「聞きて」「修めて」等助詞「て」讀完之後,緊接「以」字。注意「安んず」的「ず」是動詞字尾,而非否定助動詞,切勿誤寫成「不」。

修練問題しゅうれんもんだい2 《Q21》~《Q28》 解説かいせつ解答かいとうpp. 178–184

《Q21》とくならず、必ずかならずとなり有りあり。(全六字ぜんろくじ置き字おきじナシ)

「孤ならず」→「不孤」。副詞ふくし「必」は「有」に直結ちょっけつ(《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》)。存在そんざいするもの「隣」を「有」の下にしたに

【A21】
とく   、 ひつ あり となり
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんとくナラ、ひつありとなり(『論語ろんご里仁りじん

《Q22》無くなく不可ふか無しなし。(全五字ぜんごじ置き字おきじナシ)

「無」を連用れんようする問題もんだい存在そんざいしないもの「可」「不可ふか」をかく「無」の下にしたに記すしるすだけ。

【A22】
    
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんモ(『論語ろんご

《Q23》にんにして遠きとおき慮りおもんばかり無けなければ、必ずかならず近きちかきゆう有りあり。(全九字ぜんくじ第二だいに置き字おきじ「而」)

「人にして」→第二だいに「而」確定かくてい。「遠慮えんりょ」「近憂」は《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》。「無」の下にしたに遠慮えんりょ」、「有」の下にしたに「近憂」。

【A23】
にん   えん りょ 、 ひつ あり きん ゆう
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんにんニシテケレバえんりょリ、ひつありきんゆうヘ(『論語ろんご衛霊公えいれいこう

《Q24》天下てんか道有どうゆうれば、則ちすなわちまつりごと大夫たいふ在らあらず。(全十字ぜんじゅうじ置き字おきじナシ)

「有」:存在そんざい範囲はんいL「天下てんか」がうえ存在そんざいするもの「道」がした。「在」:存在そんざいするもの「政」が主語しゅご範囲はんい「大夫」がした。「在らず」→「不在」。

【A24】
てん した あり みち 、 のり まつりごと  ざい だい おっと
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん天下てんかありみちのりまつりごとざい大夫たいふいち(『論語ろんご季氏きし
補説ほせつ〕「則」はうえぶん条件じょうけん下文かぶん結果けっか結ぶむすぶ接続詞せつぞくし英語えいごの〈then〉)。

《Q25》死生しせいいのち有りあり富貴ふうきてん在りあり。(全八字ぜんはちじ置き字おきじナシ)

書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう原文げんぶん字数じすう一致いっち前半ぜんはん「有」:範囲はんい「死生」うえ・もの「命」した後半こうはん「在」:もの「富貴ふうき主語しゅご範囲はんい「天」した

【A25】
 なま あり いのち 、 とみ たかし ざい てん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん死生しせいありいのち富貴ふうきざいてんニ(『論語ろんご顔淵がんえん

《Q26》此にこににん有りあり。(全四字ぜんよじ第三だいさん置き字おきじ「於」)

「於此」で後位副詞句こういふくしく。「有N於L」は例外れいがい的にてきに「LにN有り」と訓読くんどくする(「有ル二N一於L」形式けいしき)。

【A26】
あり にん  これ
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんありにんこれいち(『荘子そうじ人間にんげん

《Q27》美玉みたま有りあり。(全五字ぜんごじ第四字だいよじ置き字おきじ「於」)

「於斯」で後位副詞句こういふくしく。Nが二字にじ「美玉」のためれんどく符号ふごう付くつく訓読くんどく上のうえの措置そち)。

【A27】
あり  たま  
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんあり美玉みたまいち(『論語ろんご子罕しかん

《Q28》こう天下てんか二つふたつ無しなし。(全六字ぜんろくじ第四字だいよじ置き字おきじ「於」)

「功は」→主題提示語句しゅだいていじごく文頭ぶんとう置くおく。「天下てんかに」→前置詞ぜんちし「於」で「天下てんか」。「二無し」→「無二」。

【A28】
こう    てん した
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんこう天下てんかいち(『史記しき韓信かんしんでん

中文翻譯

本節練習「有」「無」「在」的存在構文。核心規則:「有」→ 存在範圍L置於上方、存在之物N置於下方;「在」→ 存在之物N作主語置於上方、存在範圍L置於下方;「無」→ 不存在之物N直接置於「無」下方。

Q23 同時含置字「而」(第二字)與「有」「無」雙用,需綜合應對。Q24 的「則」相當於英語〈then〉,連接條件與結果。Q26–Q28 的「有N於L」形式,例外地訓讀為「LにN有り」(以避免與「在」構文混淆)。

修練問題しゅうれんもんだい3 《Q29》~《Q49》 解説かいせつ解答かいとうpp. 184–200

《Q29》ただ仁者じんしゃのみのうにん好みこのみのうにんあくむ。(全九字ぜんくじ置き字おきじナシ)

書き下し文かきくだしぶん漢字かんじ並べ換えならべかえるだけ。「好人」「悪人」各々かくかく助動詞じょどうし「能」をかぶせる。

【A29】
ただ ひとし もの のう こう にん のう あく にん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんただ仁者じんしゃノミのうこうにんのうあくにんヲ(『論語ろんご里仁りじん

《Q30》父母ふぼいのち雖もいえどもせいすることのうはざるなり。(全九字ぜんくじ置き字おきじナシ)

「の」→「之」、「ざる」→「不」、「なり」→「也」で三字さんじ補うおぎなう。「と雖も」の「雖」は文頭ぶんとう英語えいご〈even if〉)。

【A30】
いえども ちち はは ゆき いのち 、  のう せい 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんいえども父母ふぼ之命しめいいちのうせいスルコト(〔唐〕しろぎょうかん李娃りあでん』)

《Q31》こと従ふしたがふ好みこのみきょくときしつふ、知としとふべきか。(全十一字ぜんじゅういちじ第四字だいよじ「而」/第十一字だいじゅういちじ「乎」)

「好従事」→「て」直後ちょくご「而」。「亟」は「失」に直結ちょっけつ。「謂知」に「可」。末尾まつび「乎」は疑問ぎもん助詞じょし

【A31】
こう じゅう こと  きょく しつ とき 、    
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんこうミテじゅうこといちきょくしつときヲ、いち(『論語ろんご陽貨ようか

《Q32》こころざしだつふべからざるなり。(全五字ぜんごじ置き字おきじナシ)

「奪志」に「可」をかぶせ「不」で否定ひてい末尾まつび「也」。

【A32】
  だつ こころざし 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんカラだつこころざしいち(『論語ろんご子罕しかん

《Q33》朽木とちぎ彫るほるべからざるなり。(全五字ぜんごじ置き字おきじナシ)

「朽木は」→助詞じょし「は」ゆえ主題提示語句しゅだいていじごくとして文頭ぶんとう置くおく(「彫」の目的語もくてきごでも文法ぶんぽううえ主題しゅだい)。残りのこりは《Q32》と同じおなじ

【A33】
きゅう    ちょう 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん朽木とちぎカラちょう(『論語ろんご公冶長こうやちょう

《Q34》後生こうせい畏るおそるべし。(全四字ぜんよじ置き字おきじナシ)

「後生」は助詞じょしなし・主語しゅごまたは主題しゅだい→《順行配置則じゅんこうはいちそく》で文頭ぶんとう。「べし」→「可」を「畏」に載せのせる。

【A34】
のち なま  
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん後生こうせいル(『論語ろんご子罕しかん

《Q35》げん慎まつつしまざるべからざるなり。(全六字ぜんろくじ置き字おきじナシ)

二重にじゅう否定ひてい不可ふかV」。「慎まざる」→「不慎」、その上にうえに不可ふか」。一般いっぱんかたちカラVいち

【A35】
げん    しん 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんげんカラしんいち(『論語ろんご子張しちょう

《Q36》山中さんちゅうざい以てもて其のその天年てんねんおわりふるを得たえたり。(全十二字ぜんじゅうにじ置き字おきじナシ/第八字だいはちじ「得」)

「の」→「之」で一字いちじ補うおぎなう。「以不材」で前位副詞句ぜんいふくしく原因げんいん)。「終其天年」に「得」をかぶせる。

【A36】
やま なか ゆき    ざい  おわり その てん ねん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん山中さんちゅうゆきざいいちタリおわりフルヲその天年てんねんいち(『荘子そうじ山木やまき

《Q37》ゆきげんふことを得ずえず。(全五字ぜんごじ置き字おきじナシ)

「と」→「与」(前置詞ぜんちし)で「与之」(前位副詞句ぜんいふくしく)、それが動詞どうし「言」に掛かかかる。「得」をかぶせ「不」で否定ひてい

【A37】
   ゆき げん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんゆきげんフコトヲ(『論語ろんご

《Q38》けいにんようしてゆき国命こくめい寄せよせざるを得ずえず。(全十一字ぜんじゅういちじ置き字おきじナシ/第二だいに「得」)

二重にじゅう否定ひてい「不得不V」。「委用刑人」「寄之国命」に「不得不」をかぶせる。「得」が第二だいに条件じょうけんから「不得不」は文頭ぶんとう

【A38】
    よう けい にん より ゆき くに いのち
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんルヲしたようけいにんいちよりセルゆき国命こくめいいちうえ(『後漢書ごかんしょかんもの列伝れつでんじょ

《Q39》仁者じんしゃ以てもて久しくひさしくやくところるべからず、以てもて長くながく楽しきたのしきところるべからず。(全十五字ぜんじゅうごじ置き字おきじナシ)

両方りょうほうとも「不可ふかV」。「以て~べからず」→「不可ふか」を動詞どうしにかぶせる。「処約」「処楽」。「仁者じんしゃは」→文頭ぶんとう

【A39】
 ひとし もの    きゅう ところ やく 、    ちょう ところ らく
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん仁者じんしゃカラきゅうシクところやくニ、カラちょうところらくシキニ(『論語ろんご里仁りじん

《Q40》以てもて其のその身をみを養ひやしなひ其のその天年てんねんおわりふるに足るたる。(全九字ぜんくじ置き字おきじナシ)

「足以」が骨格こっかく。「養其身」「終其天年」を《順行配置則じゅんこうはいちそく》に従いしたがい「足以」の下にしたに並べならべる。

【A40】
あし  よう その  おわり その てん ねん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんあししたようヒテそのいちおわりフルニその天年てんねんいちうえ(『荘子そうじ人間にんげん

《Q41》聖人せいじんわれ得てえてゆき見ずみず。(全九字ぜんくじ第六字だいろくじ「而」/第九字だいくじ「矣」)

聖人せいじんは」→主題しゅだい提示ていじ、「吾」が主語しゅご。「之を見る」→「見之」。「得て」直後ちょくごが「而」。末尾まつび「矣」は詠嘆えいたん語気ごき助詞じょし

【A41】
ひじり にん われ    けん ゆき 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん聖人せいじんわれけんゆき(『論語ろんご述而じゅつじ

《Q42》未だいまだしつ入らいらざるなり。(全五字ぜんごじ第三だいさん置き字おきじ「於」)

「ざる」は再読文字さいどくもじ「未」の再読さいどくかたち(→「不」に書き換えかきかえない)。「入於室」に「未」をかぶせ、末尾まつび「也」。

【A42】
ひつじ にゅう  しつ 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんひつじにゅうしついち(『論語ろんご先進せんしん

《Q43》さけ引きひきかつゆき飲まのまんとす。(全五字ぜんごじ置き字おきじナシ)

「引酒」の後にのちに「且」、その下にしたに「飲之」。《順行配置則じゅんこうはいちそく厳守げんしゅ——「引酒」を「且」の下にしたに入れいれない。

【A43】
ひき さけ かつ いん ゆき
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんひきキテさけかついんマントゆきヲ(『戦国せんごくさくせい

《Q44》ただ仁者じんしゃのみ宜しくよろしく高位こうい在るあるべし。(全七字ぜんしちじ置き字おきじナシ)

再読文字さいどくもじ「宜」。「高位に在る」→「在高位」に「宜」をかぶせる。末尾まつび「べし」は再読さいどくひだり読みよみ)なので「可」に書き換えかきかえない。

【A44】
ただ ひとし もの  ざい たか くらい
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんただ仁者じんしゃノミシクざい高位こういいち(『孟子もうし離婁りろううえ

《Q45》若しもし殿下でんかいのち同じおなじうせば、死すしす雖もいえどもゆう生くいくるがごとし。(全十字ぜんじゅうじ置き字おきじナシ)

「と」→「与」で「与殿下」(前位副詞句ぜんいふくしく)。「死すと雖も」→「雖死」。再読文字さいどくもじ「猶」は「猶ほ…ごとし」用法ようほう、「如」「若」に書き換えかきかえない。

【A45】
じゃく  殿どの した どう いのち 、 いえども  ゆう なま
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんじゃく殿下でんかどうジウセバいのちヲ、いえどもストゆうなまクルガごとし(『魏書ぎしょ咸陽かんようおうでん

《Q46》こうせいことへんことを求めもとめ以てもてたみ臨まのぞまざる。(全九字ぜんくじ第五字だいごじ置き字おきじ「於」)

「斉に事ふ」→「事於斉」(「於」で対象たいしょう表示ひょうじ)。「求事於斉」の後にのちに「以」(接続せつぞく)、「臨民」。「ざる」は再読文字さいどくもじ「盍」の再読さいどくかたち

【A46】
 こう きゅう こと  せい  りん たみ
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんこうきゅうメテことヘンコトヲせいりんたみニ(『左伝さでん定公ていこう十年じゅうねん

《Q47》荘王そうおうすすむばつたんと欲すほっす。(全六字ぜんろくじ置き字おきじナシ)

「伐晋」に「欲」をかぶせるだけ。基本きほんかたち確認問題かくにんもんだい

【A47】
 そう おう よく ばつ すすむ
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん荘王そうおうよくばつタントすすむヲ(『説苑ぜいえん奉使ほうし

《Q48》われことくに挙げあげんと欲すほっす。(全六字ぜんろくじ第五字だいごじ置き字おきじ「於」)

〔V/(OQ)〕変換へんかん——「事を国に」の語順ごじゅん保ちたもち動詞どうし「挙」の下にしたに並べならべ「挙事於国」。「欲」を載せのせる。

【A48】
われ よく きょ こと  くに
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんわれよくきょゲントことくにニ(『説苑ぜいえんまつりごと

《Q49》日暮れひぐれんと欲すほっするに、年少ねんしょう女子じょし見るみる。(全八字ぜんはちじ置き字おきじナシ)

「欲暮」で近未来きんみらい無生物むせいぶつ主語しゅご「日」のため「思う」ではなく「まもなく〜しようとする」の)。後半こうはんは「見年少女子」。

【A49】
にち よく くれ 、 けん ねん しょう おんな 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんにちよくスルニくれレント、けん年少ねんしょう女子じょしいち(『太平たいへい広記こうき』)

中文翻譯

本節(Q29–Q49)練習助動詞「能・可・得・可以・足以・不得不・再讀文字(未・且・宜・猶・将・盍・欲)」。核心要領如下:

① 「能・可・不可・可以・不可以」等助動詞直接套在動詞之上(《修被直結原則》)。② 「不得不V」=雙重否定,意為「不得不V」,一般形為「不得不V」。③ 再讀文字(未・且・宜・猶等):注意其左側訓讀(即書き下し文末尾的「ざるなり」「べし」「がごとし」等)是再讀形,不可誤換為「不・可・如」等。④ Q49 的「欲」修飾無生物主語「日」,表「即將」而非「想要」。⑤ Q41 的「矣」為嘆氣助詞置末尾。

修練問題しゅうれんもんだい4 《Q50》~《Q53》 解説かいせつ解答かいとうpp. 200–208

《Q50》せい宣王せんおうにんをして吹かふかしむ。(全七字ぜんしちじ置き字おきじナシ/使役動詞しえきどうし「使」)

使役構文しえきこうぶん基本きほんかたち主語しゅご「斉宣王」+「使」+使役しえき対象たいしょう「人」+動作どうさ「吹竽。

【A50】
せい せん おう 使 にん すい 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんせい宣王せんおう使にんヲシテすいいち

《Q51》子路しろ門人もんじんをしてしんたらしむ。(全七字ぜんしちじ置き字おきじナシ/使役動詞しえきどうし「使」)

「たり」(断定だんてい助動詞じょどうし)→「為」(動詞どうし)に復元ふくげんするてん盲点もうてん。「門人もんじん」に「為臣」させる使役構文しえきこうぶん

【A51】
 みち 使 もん にん ため しん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん子路しろ使門人もんじんヲシテためしんいち(『論語ろんご子罕しかん

《Q52》かんえいをして五千ごせんゐてゆき追はおはしむ。(全九字ぜんくじ置き字おきじナシ/使役動詞しえきどうし「令」)

使役動詞しえきどうしは「令」。「灌嬰」に「以五千騎・追之」の動作どうさをさせる(〈and〉に当たあたる「而」省略しょうりゃく)。

【A52】
れい かん えい   せん  つい ゆき
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんれいしたかんえいヲシテツテ五千ごせんいちついゆきうえ(『史記しき項羽本紀こううほんき改変かいへん

《Q53》吾子わがこをして孟子もうし問はとはしめ然るしかる後にのちにこと行はぎょうんと欲すほっす。(全十二字ぜんじゅうにじ第六字だいろくじ置き字おきじ「於」/使役動詞しえきどうし「使」)

「欲」が使役構文しえきこうぶん全体ぜんたい掛かかかるかどうかは置き字おきじ「於」の位置いち決まきまる。「とん孟子もうし」の「於」が第六字だいろくじ→「よく使とん孟子もうしぜん後行こうこうこと」。

【A53】
われ よく 使  とん  もう  ぜん のち ぎょう こと
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんわれよくした使ヲシテいちとん孟子もうしぜんのちぎょうハントことうえ(『孟子もうしとう文公ぶんこううえ

中文翻譯

本節練習使役構文。一般形:主語+使役動詞(使/令)+使役対象+動作動詞。關鍵提醒:① Q51 日語助動詞「たり」(斷定)在漢文中還原為動詞「為」,品詞類別不同需特別注意。② Q52 使役動詞為「令」(而非「使」),一個使役對象可接多個動作,省略「而」連接。③ Q53 的「欲」置於使役構文前方,「於」的位置(第六字)決定其語法位置——需根據指定字位逆向驗證答案。

修練問題しゅうれんもんだい5 《Q54》~《Q68》 解説かいせつ解答かいとうpp. 208–215

《Q54》君子くんしそうところ無しなし。(全五字ぜんごじ置き字おきじナシ)

「争ふ所」→「所争」(名詞めいし相当そうとう語句ごく)を「無」の下にしたに入れいれる。「所レVスル」の構成こうせい確認かくにん

【A54】
くん   ところ そう
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん君子くんしところそうフ(『論語ろんご八佾やつら

《Q55》時のときの重んおもんずるところぼく軽んかろんずるところなり。(全八字ぜんはちじ第二だいに六字ろくじ「之」)

二つふたつの「の」→「之」。「時之所重」「僕之所軽」の対句ついく全体ぜんたい第二文型だいにぶんけい変形へんけい〕。

【A55】
とき ゆき ところ じゅう 、 ぼく ゆき ところ けい
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんときゆきところじゅうンズル、ぼくゆきところけいンズル(〔唐〕しろ居易きょい「与元九書」)

《Q56》とみ貴きとーときとはこれにん欲すほっすところなり。(全九字ぜんくじ置き字おきじナシ)

「富と貴きと」→接続詞せつぞくし「与」で「富与貴」(主題しゅだい提示ていじ文頭ぶんとう)。「是れ」→繋辞けいじ。「人の欲する所」→「人之所欲」(「之」補充ほじゅう字数じすう調整ちょうせい)。末尾まつび「也」。

【A56】
とみ  たかし これ にん ゆき ところ よく 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんとみたかしこれにんゆきところよくスル(『論語ろんご里仁りじん

《Q57》漢軍かんぐん項王こうおう在るあるところ知らずしらず。(全八字ぜんはちじ置き字おきじナシ)

「項王所在」が「不知」の目的語もくてきご。「ず」→「不」で字数じすう充足じゅうそく(「之」は不要ふよう)。「所レ在ル」」「所在」は現代げんだい日本語にほんごでも常用じょうよう

【A57】
かん ぐん   こう おう ところ ざい
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん漢軍かんぐん項王こうおう所在しょざいルヲ(『史記しき項羽本紀こううほんき

《Q58》われ共にともに食らくらところなり。(全七字ぜんしちじ第四字だいよじ「之」)

「吾と子と」→「吾与子」。副詞ふくし「共」は動詞どうし「食」に直結ちょっけつ(《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》)→「所共食」(「所」と「食」の間にまに「共」を挟まはさまない)。「之」が第四字だいよじ→「なり」は送り仮名おくりがなのまま。

【A58】
われ   ゆき ところ とも しょく
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんわれゆきところナリともしょくラフ(〔宋〕蘇軾そしょく「前赤壁賦」)

《Q59》おのれ欲せほっせざるところは、にん施すほどこすこともちろんかれ。(全八字ぜんはちじ第七字だいしちじ置き字おきじ「於」)

「ざる」→「不」。《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》により「不欲」二字にじ切り離せきりはなせない→「己所不欲」。後半こうはん禁止きんし「勿」を動詞どうし「施」直前ちょくぜんに→「勿施於人」。

【A59】
おのれ ところ  よく 、 もちろん   にん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんおのれところよくセ、もちろんカレスコトにんニ(『論語ろんご顔淵がんえん

《Q60》范増はんぞうはいぶるところたま挙ぐあぐ。(全七字ぜんしちじ置き字おきじナシ)

「佩ぶる所」」「所佩」が修飾語しゅうしょくごとなって「たま直結ちょっけつ→「所佩玉玦(切り離さない)。これが「挙」の目的語もくてきご

【A60】
はん ぞう きょ ところ はい たま 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん范増はんぞうきょところはいブルたまいち(『史記しき項羽本紀こううほんき改変かいへん

《Q61》独りひとり項王こうおうのみの殺すころすところ漢軍かんぐん数百人すうひゃくにんなり。(全十字ぜんじゅうじ置き字おきじナシ)

「N1ノ所レVスルN2」形式けいしき。「項王所殺漢軍」が主語しゅご、「数百人」が補語ほご。「独」は文頭ぶんとうから「項王」にかぶせる。字数じすう足りたりるため「の」→「之」・「なり」→「也」の変換へんかん不要ふよう

【A61】
どく こう おう ところ さつ かん ぐん かず ひゃく にん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんどく項王こうおうノミノところさつ漢軍かんぐん数百人すうひゃくにんナリ(『史記しき項羽本紀こううほんき

《Q62》大丈夫だいじょうぶ守るまもるところものみちにして、待つまつところもの時なときなり。(全十一字ぜんじゅういちじ置き字おきじナシ)

「N1ノ所レVスルN2」のN2が「者」のれい。「の」「なり」を漢字かんじ変換へんかんする必要ひつようなし(字数じすう充足じゅうそく)。

【A62】
だい たけ おっと ところ しゅ もの みち 、 ところ たい もの とき
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん大丈夫だいじょうぶところしゅものみちニシテ、ところたいものときナリ(〔唐〕しろ居易きょい「与元九書」)

《Q63》太祖たいそ流矢ながれや中たあたたところ為るする。(全七字ぜんしちじ置き字おきじナシ)

受身形うけみけい「為レNノ所レVスル」。「流れながれ中たあたた対象たいしょうとなった」」「流れ矢に中たられた」。

【A63】
  ため りゅう  ところ なか
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん太祖たいそため流矢ながれやところなかタルいち(『魏志ぎし武帝ぶてい

《Q64》張儀ちょうぎ嘗てかつて遊びあそびそうじょくむるところ為るする。(全十字ぜんじゅうじ置き字おきじナシ)

前半ぜんはん:「嘗遊楚」。後半こうはん受身形うけみけい「為楚相所辱」。「楚の相」→修飾しゅうしょく関係かんけい「楚相」一語いちごとしてNに当てあてはめる。

【A64】
ちょう  しょう ゆう  、 ため  そう ところ じょく
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん張儀ちょうぎしょうゆうニ、ためそうところじょくムルいち(『十八じゅうはち史略しりゃく』)

《Q65》くらい無きなきことをかんへず、立つたつ所以ゆえんかんふ。(全八字ぜんはちじ置き字おきじナシ)

前半ぜんはん「不患無位」。後半こうはん所以ゆえんりつ」が「患」の目的語もくてきご名詞めいし相当そうとう語句ごく)。「ず」→「不」で一字いちじ補うおぎなう

【A65】
 かん  くらい 、 かん ところ  りつ
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんかんキコトヲくらいかんところりつツ(『論語ろんご里仁りじん

《Q66》彼はかれはなるを知れしれども、なる所以ゆえん知らずしらず。(全十二字ぜんじゅうにじ第五字だいごじ置き字おきじ「而」)

後半こうはんの「の」→「之」(前半ぜんはんにすると「而」が第六字だいろくじになり条件じょうけん違反いはん)。「所以ゆえん」が「不知」の目的語もくてきご。「ず」→「不」。

【A66】
かれ   、     ところ  
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんかれレドモナルヲ、ナル(『荘子そうじ天運てんうん

《Q67》賢臣けんじん親しみしたしみ小人こども遠ざとおざくるは、これさきかん興隆こうりゅうせし所以ゆえんなり。(全十四字ぜんじゅうよじ置き字おきじナシ/だいじゅう四字よじ「也」)

所以ゆえん」の後置こうちれい前半ぜんはん「親賢臣遠小人」。後半こうはん「此」が主語しゅご、「さきかん所以ゆえん興隆こうりゅう」が補語ほご。「なり」→「也」(条件じょうけん指定してい)。

【A67】
おや さとし しん えん しょう にん 、 これ さき かん ところ  きょう たかし 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんおやシミ賢臣けんじんいちえんザクルハ小人こどもいちこれさきかんところ興隆こうりゅうセシ(〔三国・蜀〕諸葛亮しょかつりょう「前出師表」)

《Q68》此のこのおんな嫁がとつがざりし所以ゆえんものは、しょう君子くんし求めもとめ以てもてわれ身をみを託せたくせんとすればなり。(全十五字ぜんじゅうごじ置き字おきじナシ)

所以ゆえん前置ぜんち+「者」のれい。「ざり」→「不」。《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》で「不嫁」は切り離せきりはなせない→「これおんな所以ゆえんよめもの」。後半こうはん:「将」に「きゅう君子くんしたくわれ」。「なり」は字数じすう足りたりるため「也」不要ふよう

【A68】
これ おんな ところ   よめ もの 、 しょう きゅう くん   たく われ 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんこれおんなところヨメよめものハ、しょうきゅうメテ君子くんしいちたくセントわれヲ(〔唐〕もうこと』)

中文翻譯

本節(Q54–Q68)練習「所・所以」。核心用法整理:① 「所レVスル」→ 名詞相当語句(「所争」「所守」等)。② 「N1ノ所レVスルN2」→ 形容詞的修飾語句。③ 「為Nノ所レVスル」→ 被動形式(「為流矢所中」)。④ 「所以Vスル」→ 名詞相当語句(理由・手段)。⑤ 「N1ノ所以Vスル者」=「N1ノ所以Vスル」加「者」,使名詞性更強。

特別注意:Q58 的《修被直結原則》——副詞「共」直接附在「食」上,「所」之後不可插入「共」(正確:所共食;錯誤:所食)。Q59 的「不」是副詞(修飾「欲」),也不可被「所」隔開,故為「己所不欲」而非「己不所欲」。

至此,修練篇全六十八題練習完畢。

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