これならわかる復文の要領 ―― 漢文学習の裏技 ――

古田島洋介著 / 新典社選書83 / 新典社
p.02 凡例・入門篇(pp. 13–40)

凡例pp. 13–15

  • 本書の対象は、狭義きょうぎ漢文かんぶんに関する復文ふくぶんに限定し、漢詩かんし復文ふくぶんは扱わない。
  • 復文ふくぶんという一種の技術ぎじゅつ習得しゅうとくに内容を限定し、特に必要ひつようがないかぎり、各文の解釈かいしゃくにはみ込まない。また、歴史れきし思想しそう宗教しゅうきょうなど、漢文かんぶん文化ぶんか背景はいけいにも言及しない。
  • 文法ぶんぽう用語ようごは、できるかぎり英文法えいぶんぽうおよび文語ぶんご文法ぶんぽう用語ようごに限定し、漢文法かんぶんぽう独特どくとく用語ようごはなるべく使わないようにした。たとえば、「補語ほご」は、標準的ひょうじゅんてき英文法えいぶんぽうにいう「補語ほご」complement であり、一般いっぱん漢文法かんぶんぽうにいう「補語ほご」(実はフランス語文法ぶんぽうにいう「補語ほご」complément の借用)とは異なる。また、現代げんだい中国語ちゅうごくご文法ぶんぽう用語ようご(たとえば「程度ていど補語ほご」「兼語式けんごしき」など)を援用えんようすることも避けた。そのため、文法ぶんぽうについては、あくまで英文法えいぶんぽうに基づく便宜べんぎ上の説明せつめい分析ぶんせきにとどまる場合もある。
  • 句形くけい復文ふくぶんについては、使役形しえきけい受身形うけみけいなど、最小限さいしょうげん代表的だいひょうてき句形くけいを扱うにとどめた。その他の句形くけい復文ふくぶんに関しては、いずれ読者どくしゃ各位かくいしかるべき他書を用いて学習がくしゅうせんことを期待する。
  • 漢文かんぶん訓読くんどく不慣ふなれな読者どくしゃをも想定そうていし、訓読くんどく文の置き字おきじには「而」のごとく「∅」(数学すうがく空集合くうしゅうごうを表す記号きごう)を右傍みぎかたわらに付け、訓読くんどくにさいして発音はつおんしないことを示す。
  • 漢字かんじ字体じたいは、常用じょうよう字体じたい原則げんそくとする。
  • 訓読くんどく」と「訓読くんよみ」については、送り仮名おくりがな「み」の有無を以て表記ひょうき区別くべつする。

文法ぶんぽう用語ようご 略号りゃくごう

略号りゃくごう品詞ひんし英語えいご
名詞めいしnoun
動詞どうしverb
形容詞けいようしadjective
adv副詞ふくしadverb
aux助動詞じょどうしauxiliary verb
conj接続詞せつぞくしconjunction
part文末ぶんまつ助詞じょしparticle
便宜べんぎ上の呼称こしょうで、文末ぶんまつのみならず、ひろ句末くまつに位置する助詞じょしをも含む。「也・耳・矣・焉」など。
prep前置詞ぜんちしpreposition

構文こうぶん要素ようそ

略号りゃくごう構文こうぶん要素ようそ英語えいご
主語しゅご主部しゅぶsubject
主語しゅご広義こうぎに用い、中核ちゅうかくとなる名詞めいし修飾しゅうしょく語句ごくをも含めて主語しゅごと呼ぶ。主部しゅぶは、主題しゅだい提示ていじ語句ごく主語しゅごとのみ合わせについてのみ用いる。
述語じゅつご述部じゅつぶpredicate
述語じゅつご集合しゅうごう述部じゅつぶと呼ぶ。述部じゅつぶが一つの述語じゅつごだけから成る場合もある。
動詞どうしverb
目的語もくてきごobject
DO直接ちょくせつ目的語もくてきごdirect object
IO間接かんせつ目的語もくてきごindirect object
補語ほごcomplement
AJG形容詞けいようしadjective group
前位ぜんい副詞句ふくしくmodifier
後位こうい副詞句ふくしくqualifier
AC副詞節ふくしせつadverbial clause

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〔凡例〕

 本書討論的對象限於狹義漢文的復文,不涉及漢詩的復文。

 內容限於復文這一技術的習得,原則上不深入探討各句的解釋,也不涉及漢文的文化背景(歷史、思想、宗教等)。

 文法術語盡量限於英文法及文語文法的術語,漢文法特有術語盡量不使用。例如,「補語」指標準英文法的「complement」,與一般漢文法所謂「補語」(實為法語文法「complément」的借用)含義不同。也避免援引現代中文文法術語(如「程度補語」「兼語式」等)。因此,文法說明上,有時僅止於以英文法為依據的便宜性說明與分析。

 句形的復文,只涉及使役形、受身形等最具代表性的句形。其他句形的復文,期待讀者各自借助其他適當書籍加以學習。

 為顧及對漢文訓讀不熟悉的讀者,置字的訓讀文附有「而∅」等形式,即在右側標注「∅」(數學中表示空集合的符號),表示訓讀時不發音。

 漢字字體原則上採用常用字體。

 「訓読」(訓讀)與「訓読み」(訓讀音),以送假名「み」的有無加以區別。

文法用語略號(品詞):N名詞、V動詞、A形容詞、adv副詞、aux助動詞、conj接続詞、part文末助詞(廣義含句末助詞,如「也・耳・矣・焉」等)、prep前置詞。

構文要素:S主語・主部、P述語・述部、V動詞、O目的語、DO直接目的語、IO間接目的語、C補語、AJG形容詞句、M前位副詞句、Q後位副詞句、AC副詞節。

復文ふくぶんとは何か?pp. 19–20

復文ふくぶんとは、与えられた書き下し文かきくだしぶんから、原文げんぶん漢文かんぶん復元ふくげんする作業さぎょうのことです。返り点かえりてんのように語順ごじゅん変換へんかん指示しじする符号ふごうでもなければ、送り仮名おくりがなのごとく漢字かんじみ方や語句ごくどうしのつながり方を明示めいじする文字もじでもありません。あくまで作業さぎょう名称めいしょうであり、漢文かんぶん学習がくしゅうするための一つの方法ほうほうなのです。

復文ふくぶん」二字の訓読くんどくは、「書き下し文かきくだしぶんから原文げんぶん復元ふくげんする」と考えれば「復文ヲ」(文を復す)、「書き下し文かきくだしぶん原文げんぶん復元ふくげんする」と解すれば「復文ニ」(文に復す)となるでしょう。どちらでも差し支えありませんが、後者「書き下し文かきくだしぶん原文げんぶん復元ふくげんする」の「を」にも義理立ぎりだてするなら、前者「復文ヲ」のほうが無難ぶなんかもしれません。

つまらぬことながら、この「復文ふくぶん」という語は、うっかり「複文」と誤記ごきしやすいので注意ちゅういしてください。「復」と「複」は、発音はつおんが同じ、字形じけいも似ているため、つい混同こんどうしがちです。漢文かんぶん学習がくしゅうにいう「復文ふくぶん」は「復元ふくげん」の「復」で、「もどす」意。それに対して、英文法えいぶんぽうなどで単文たんぶん重文じゅうぶんと対比して用いる「複文ふくぶん」は「複雑ふくざつ」の「複」で、「んだ」意です。

作業さぎょうとしての位置付いちづけは、次のようななが脳裡のうりえがいておけばよいでしょう。わかりやすく「我読書」を具体例ぐたいれいとします。

  原文     =我読書          ↑
   ↓                   |
  訓読文    =我読ム書ヲ        |
   ↓                   |
  書き下し文  =我書を読む ―――――――┘

                   復文

せっかく原文げんぶん「我読書」に返り点かえりてん送り仮名おくりがなを付けて訓読くんどく文「我読ム書ヲ」を作り、さらに日本語にほんご語順ごじゅんに改めて書き下し文かきくだしぶん「我書を読む」を記しておきながら、それをわざわざ原文げんぶん「我読書」に復元ふくげんするのですから、何やら無駄骨むだぼねっているようにも見えるでしょう。たしかに、復文ふくぶんは、これ見よがしに他人たにん面前めんぜん実践じっせんするような作業さぎょうではありません。しかし、それだけに、かげながら漢文かんぶん実力じつりょくやしなうための重要じゅうよう練習れんしゅうなのです。復文ふくぶん技術ぎじゅつ習得しゅうとくしているか否かによって、訓読くんどく正確せいかくさが大きく左右さゆうされる。復文ふくぶん要領ようりょう理解りかいしていないと、みずからの訓読くんどく正誤せいご判別はんべつできず、あやまりにづかぬまま珍妙ちんみょう訓読くんどく連発れんぱつしてしまうおそれがあるのです。

中文翻譯

所謂「復文」,就是從給定的書き下し文(訓讀文)還原出原文漢文的一種作業。它既非像返り點那樣指示語序轉換的符號,也非像送假名那樣明示漢字讀音及詞句關係的文字,純粹是一種作業的名稱,也是學習漢文的方法之一。

「復文」二字的訓讀,若理解為「從書き下し文還原原文」,則為「復レ文ヲ」(復其文);若解為「將書き下し文還原為原文」,則為「復ニ文ニ」(復於文)。兩者均可,但若對後者也要有所交代,前者「復レ文ヲ」或許更為穩妥。

閒話少提,「復文」這個詞很容易誤寫為「複文」,請務必注意。「復」與「複」發音相同、字形相似,容易混淆。漢文學習所謂「復文」的「復」,取「復元」之義,意為「還原」;相對地,英文法等與單文、重文相對應的「複文」,「複」取「複雑」之義,意為「錯綜複雜」。

作為一種作業,可在腦海中描繪出如下的流程圖(以「我読書」為具體例):

〔流程圖〕原文「我読書」→(加返り點・送假名)→訓讀文→(改為日語語序)→書き下し文「我書を読む」→(復文作業)→還原原文

縱然費心將原文「我読書」加上返り點和送假名成為訓讀文,再依日語語序改為書き下し文「我書を読む」,又將其費力還原為原文「我読書」,看似費了一番無謂的功夫。誠然,復文不是那種刻意在他人面前展示的作業。但正因如此,它是默默磨練漢文實力的重要練習。是否掌握了復文技術,對訓讀的準確性影響甚大。若不理解復文要領,便無法判斷自身訓讀的正誤,可能在渾然不覺中連連錯讀。

無意識の復文ふくぶん作業さぎょうpp. 21–22

漢文かんぶんくだけでもおもいのに、さらに復文ふくぶんなぞという耳遠みみどおい語をち出されると、いっそう滅入めいるというきがあるかもしれません。しかし、それは、ことさら意識いしきするからそうかんじるだけのことで、私たち日本人にほんじんは、じつのところ日常にちじょう生活せいかつのなかで無意識むいしきのうちに復文ふくぶん作業さぎょう実践じっせんしているのです。本書ほんしょ復文ふくぶんは、その作業さぎょう明確めいかく自覚じかくし、漢文かんぶん学習がくしゅう法の一環いっかんとして理論的りろんてきかつ系統的けいとうてきおこなおうとしているにすぎません。

たとえば、履歴書りれきしょに「趣味しゅみ」のらんがあったとします。もし「山登やまのぼり」としるしてはみたものの、何となく「ハイキング程度ていどか」とあなどられるようながしたら、「登山とざん」となおすのではないでしょうか。日本語にほんごでは「山登やまのぼり」、漢語かんごでは「登山とざん」。我々われわれはこうした語順ごじゅん変換へんかんれているのです。「さけむ」のだから「飲酒いんしゅ」、「きょくつくる」のだから「作曲さっきょく」、「つみおかす」から「犯罪はんざい」、「どくあたたる」から「中毒ちゅうどく」という具合ぐあい地図ちずいたとき、鉄道てつどう路線ろせんをそのまますすむと「東京とうきょういたる」となれば、路線ろせんれめに「東京とうきょう」としるしますし、何かの料金りょうきん大人おとなどもとにけてさだめてみたものの、大学生だいがくせいだけは大人おとなに含めて扱おうとおもなおせば、「大学生だいがくせいを含む」という意味で「大人おとな(含大学生だいがくせい)」といたりする。我々われわれは、日本語にほんごの〈目的語もくてきご動詞どうし〉の語順ごじゅんが、漢語かんごでは〈動詞どうし目的語もくてきご〉の語順ごじゅんになることを十分じゅうぶん理解りかいしているのです。

また、「きめが有る」となれば「有効ゆうこう」ですし、「かぜが無い」ときは「無風むふう」でしょう。「りない」から「不足ふそく」、「完全かんぜんでない」から「不完全ふかんぜん」としるすのも、たような話ではありませんか。東京とうきょう上野うえの公園こうえんにあるいけは、くちでは「忍ばずの池しのばずのいけ」とびながら、いざくとなれば「不忍池しのばずのいけ」。の「親知おやしらず」は「親不知おやしらず」ともしるします。いとらしい紫色むらさきいろはなをつける「ワスレナグサ」(わすれなくさ)も、平気へいきで「勿忘草わすれなぐさ」とくでしょう。漢語かんごでは、存在そんざいかかわる「有」や「無」を上方うえかたき、否定ひていを表す「不」や「勿」は否定ひていすべき語にかんするのだと、私たちが無意識むいしきのうちに承知しょうちしているからなのです。

書き下し文かきくだしぶん「我書を読む」から原文げんぶん「我読書」を復元ふくげんする復文ふくぶんも、本質的ほんしつてきにはまったく同じ作業さぎょうにすぎません。もし「我書を読まず」ならば、たぶん「我不読書」(我不)になるだろうと見当けんとうがつくくらいの復文ふくぶん力は、誰もがらずらずにつけているわけです。

中文翻譯

一聽到「漢文」便覺沉重,何況還要引出「復文」這等陌生的詞彙,或許令人更加沮喪。然而,那不過是特別意識到才有此感受。實際上,我們日本人在日常生活中,早已在無意識中實踐著復文作業。本書所闡述的復文,不過是明確地自覺此一作業,並試圖作為漢文學習法的一環,以理論化、系統化的方式加以實施而已。

例如,履歷書上有「興趣」一欄,若填了「山登り」(登山),總覺得會被人輕視為「不過是爬山遊玩而已」,這時或許會改寫為「登山」吧。日語是「山登り」,漢語是「登山」。我們對這樣的語序轉換早已習以為常。「酒を飲む」→「飲酒」,「曲を作る」→「作曲」,「罪を犯す」→「犯罪」,「毒に中たる」→「中毒」,如此類推。地圖上若一條鐵路路線直走到底是「東京に至る」,就會在路線末端寫「至東京」;若某項費用分成大人和兒童,後來想把大學生也算進大人,就會寫「大人(含大学生)」。我們對日語〈目的語+動詞〉語序在漢語中變為〈動詞+目的語〉的規律,其實早已心領神會。

再如,「效きめが有る」(有效)→「有効」,「風が無い」(無風)→「無風」;「足りない」→「不足」,「完全でない」→「不完全」,也是同理。東京上野公園的池,口頭上叫「忍ばずの池」,下筆卻寫「不忍池」;「親知らず」(智齒)也寫作「親不知」;那可愛的紫色小花「ワスレナグサ」(勿忘草),也毫不猶豫地寫成「勿忘草」。這是因為我們在無意識中都知道:在漢語裡,與存在相關的「有」「無」置於前方,否定用的「不」「勿」冠於被否定的詞語之前。

從書き下し文「我書を読む」還原出原文「我読書」的復文,本質上也是完全相同的作業。若「我書を読まず」,大概會推算出「我不読書」——這種程度的復文能力,每個人其實都在不知不覺間已然具備。

何のために復文ふくぶんを学ぶのか?pp. 22–25

復文ふくぶん最大さいだい効果こうかは、漢文かんぶん語順ごじゅんに対して敏感びんかんになることです。日本語にほんご語順ごじゅんに改められた書き下し文かきくだしぶん「我書を読む」を、再び漢文かんぶんすなわち古典中国語こてんちゅうごくご原文げんぶん「我読書」にもどすのですから、当然とうぜん日本語にほんご語順ごじゅん「書を読む」を漢文かんぶん語順ごじゅん「読書」にえる語順ごじゅん変換へんかん作業さぎょう必要ひつようになります。それは、返り点かえりてん逆方向ぎゃくほうこう作業さぎょうだと言ってよいでしょう。「読書」の返り点かえりてん「レ」は、漢文かんぶん語順ごじゅん「読書」を日本語にほんご語順ごじゅん「書を読む」にえるための符号ふごうなのですから。

もっとも、ここで「なぁんだい、返り点かえりてんと逆の作業さぎょうをやるだけか。語順ごじゅん変換へんかん練習れんしゅうにすぎないわけだ」というこえがるかもしれません。たしかに、語順ごじゅん変換へんかん作業さぎょうそれ自体には、あまり新鮮味しんせんみかんじられないことでしょう。けれども、すでに誰か他の訓読者くんどくしゃが付けてくれた返り点かえりてんに従って漢文かんぶんを読むのと、その返り点かえりてんに従って日本語にほんご語順ごじゅんに改められた書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅんを自ら変換へんかんしつつ原文げんぶん復元ふくげんするのとでは、まさに雲泥うんでいの差と称しても過言かごんではありません。なぜなら、その語順ごじゅん変換へんかん作業さぎょうすなわち復文ふくぶんは、漢文かんぶんが持つ文法ぶんぽう核心かくしんせま行為こういだからです。

どぎつく言えば、漢文かんぶん語順ごじゅん文法ぶんぽうそのものであり、漢文かんぶん文法ぶんぽう語順ごじゅんしかありません。「一に語順ごじゅん、二に語順ごじゅん三四さんしがなくて、五も語順ごじゅん」こそ漢文かんぶんのぞむさいの心得こころえなのです。もちろん、「そんなこと、日本語にほんごでも英語えいごでも同じではないか」とのこえがるでしょう。けれども、何かと助詞じょし助動詞じょどうしがまとわりついてくる「膠着語こうちゃくご」の日本語にほんごや、動詞どうし時制じせい人称にんしょう変化へんかする「屈折語くっせつご」の英語えいごとは異なり、単語たんごが一切の語形変化ごけいへんかを起こさず、常に一定の形を保って配置はいちされる「孤立語こりつご」の漢文かんぶんすなわち古典中国語こてんちゅうごくごは、それだけ語順ごじゅんめる比重ひじゅうが大きいのです。一つだけ例をげてみましょう。

〔日〕私は彼女を愛する。

〔英〕I love her.

〔漢〕我愛彼女(我愛彼女=我 彼の女を愛す)

それぞれ主語しゅご目的語もくてきごえるには、どうすればよいでしょうか。日本語にほんごで言えば、主体しゅたいであるあいする人=「わたし」と、客体きゃくたいであるあいされる人=「彼女かのじょ」とを交換こうかんする、つまり「彼女かのじょ」が「わたし」を「あいする」意味に変えるわけです。

日本語にほんご助詞じょしによって各語の文法ぶんぽう上の役割やくわり明示めいじされますので、単に助詞じょしの「は」と「を」をえて「わたし彼女かのじょあいする」とすればよい。何となく不自然ふしぜんこえるようでしたら、「彼女かのじょわたしあいする」と語順ごじゅん変更へんこうしても、意味に変わりは生じません。

英語えいごでは〈I〉は主格しゅかく、〈her〉は目的格もくてきかくですから、単に両者を交換こうかんして〈Her love I.〉とすると、まともな英文えいぶんとしてり立たなくなってしまいます。両者をえるには、〈her〉を主格しゅかく〈she〉、〈I〉を目的格もくてきかく〈me〉とし、さらには動詞どうし〈love〉に三人称さんにんしょう単数たんすう現在げんざいを表す〈s〉まで添えて、〈She loves me.〉としなければならない。

では、漢文かんぶんはどうでしょうか。じつのところ、作業さぎょう単純たんじゅんそのもので、ただ「我」と「彼女かのじょ」を交換こうかんし、「彼女かのじょ愛我」(彼女かのじょ我=彼の女 我を愛す)とすればよいのです。「我」や「彼女かのじょ」に何か添えたり変形へんけいを加えたりする必要ひつようはなく、主語しゅごが「我」から「彼女かのじょ」に変わったからといって「愛」が姿すがたを変えるわけでもありません。一切の変化へんかしょうじることなく、ただ語順ごじゅんだけがわるのです。

一見、漢文かんぶんは最もくみしやすいように見えますが、よくよく考えてみれば、これはおそろしいことです。「我」と「彼女かのじょ」が主格しゅかく目的格もくてきかくかを判断はんだんするがかりは、つまり文意ぶんいを正しく理解りかいするための指標しひょうは、まさしく語順ごじゅんしかない。日本語にほんごと違って何の助詞じょしもなく、英語えいごとは異なり何らの語形変化ごけいへんかも起こさないのですから。「我愛彼女かのじょ」が「わたし彼女かのじょあいする」意になるのは、ひとえに「我愛彼女かのじょ」という語順ごじゅんゆえであり、「彼女かのじょ愛我」が「彼女かのじょわたしあいする」意になるのも、もっぱら「彼女かのじょ愛我」という語順ごじゅんであるからにほかなりません。

漢文かんぶんにとって語順ごじゅん重要じゅうようだと言うのは、このような意味合いみあいにおいてです。漢文かんぶん語順ごじゅん日本語にほんご英語えいごに比べて極度きょくど複雑ふくざつだという話ではありません。意味を正しく理解りかいするためのがかりが語順ごじゅんしかないということなのです。逆に言えば、語順ごじゅんに対する注意ちゅういおこたったが最後さいご漢文かんぶん総崩そうくずれ。どうせ見慣みなれた漢字かんじなのだからと、あれこれ適当てきとうまぜぜて文意ぶんいげたりすると、訓読くんどくはでたらめをきわめ、とにかく漢字かんじならべさえすればよいのだろうという態度たいどのぞんだりすれば、復文ふくぶんもめちゃくちゃになってしまいます。

漢文かんぶん語順ごじゅんに対する感覚かんかくませること――これが復文ふくぶんという学習がくしゅう作業さぎょう出発点しゅっぱつてんであり、同時に到達とうたつ目標もくひょうなのです。

中文翻譯

復文最大的效果,是對漢文的語序變得敏感。既然要將已轉為日語語序的書き下し文「我書を読む」再度還原為漢文即古典中文的原文「我読書」,自然需要將日語語序「書を読む」轉換為漢文語序「読書」的語序轉換作業。可以說,這與返り點是逆方向的作業。「読書」的返り點「レ」,正是將漢文語序「読書」轉換為日語語序「書を読む」的符號。

不過,也許有人會說:「不就是做和返り點相反的作業嗎,不過是語序轉換練習而已嘛。」誠然,語序轉換作業本身並無太多新鮮感。然而,跟著別人加好的返り點讀漢文,與自行將那已依返り點轉換為日語語序的書き下し文一邊轉換語序一邊還原原文——兩者之間,說是有雲泥之別也毫不誇張。因為這一語序轉換作業即「復文」,是逼近漢文文法核心的行為。

直白地說,漢文的語序就是文法本身,漢文的文法只有語序。「語序第一,語序第二,三四皆無,五亦語序」——這才是面對漢文的心得。當然也會有人說:「這不是日語和英語也一樣嗎?」然而,附綴著各種助詞助動詞的「黏著語」日語,或動詞因時態和人稱而變化的「屈折語」英語,與之不同,漢文即古典中文作為「孤立語」,單詞一切不發生語形變化、始終保持固定形態排列,因此語序所佔的比重更大。

〔日〕我愛她。

〔英〕I love her.

〔漢〕我愛彼女(我愛她)

若要分別將主語和目的語互換,日語只需交換助詞「は」和「を」,語序再行調整即可;英語則需將〈her〉改為主格〈she〉,〈I〉改為目的格〈me〉,並為動詞加上第三人稱單數現在式詞尾〈s〉,成為〈She loves me.〉;而漢文只需將「我」與「彼女」互換位置,成為「彼女愛我」即可,無需任何語形變化。

表面上漢文似乎最容易,但細想起來,這正是可怕之處。「我」與「彼女」是主格還是賓格,正確理解文意的標尺,正是語序,別無其他。一旦對語序疏忽大意,漢文就會全盤崩潰。

磨礪對漢文語序的感覺——這是復文學習作業的出發點,同時也是到達目標。

復文ふくぶんの効用pp. 26–28

では、復文ふくぶんには、どのような効用こうようがあるのか。復文ふくぶんという作業さぎょうを通じて漢文かんぶん語順ごじゅんに対して鋭敏えいびんになると、いかなる効果こうかがもたらされるのでしょうか。たり、次の三つの点で有益ゆうえきかと考えます。

第一だいいちに、復文ふくぶん作業さぎょうそれ自体がなかなか面白おもしろく、漢文かんぶん学習がくしゅうたのしめるようになるでしょう。「Ⅱ 基礎篇きそへん」以下で問題もんだいんでみれば実感じっかんできると思いますが、復文ふくぶんはほとんどパズル感覚かんかくたのしめる作業さぎょうです。どのをどこにけば辻褄つじつまうのか――そうした試行錯誤しこうさくごこころみながら、しだいに原文げんぶんげてゆくたのしさこそが、復文ふくぶん醍醐味だいごみにほかなりません。漢文かんぶん学習がくしゅうは、とかく消極的しょうきょくてき態度たいどおちいりやすい。返り点かえりてんに従って語句ごく上下じょうげい、送り仮名おくりがなに合わせて漢字かんじみつつ文意ぶんいかんがえるだけでは、自らうごかす場面ばめんがほとんどありませんし、漢和辞典かんわじてんなぞ面倒臭めんどうくさくて調しらべる気もこらないでしょう。けれども、復文ふくぶん練習れんしゅうは、取り敢えず自分のうごかしていてみなければ始まりませんので、どうしてもそれなりの積極性せっきょくせい要求ようきゅうされ、能動的のうどうてきまざるを得ないのです。誤解ごかいおそれずに言えば、いったん復文ふくぶん技術ぎじゅつにつけておくと、単なる知的ちてき遊戯ゆうぎとしても、なかなかたのしめるものと思います。

第二だいには、返り点かえりてんの意味が十全じゅうぜん理解りかいできるようになることです。なぜ語順ごじゅんかえさなければいけないのか、返り点かえりてんを見ているだけでは容易ようい納得なっとくできないことも多いでしょう。なかには、返り点かえりてんを、原文げんぶんいた目障めざわりなむしケラとしかかんじられないきすらあるようです。しかし、復文ふくぶん実践じっせんしてみれば、前述ぜんじゅつのとおり返り点かえりてんとは逆方向ぎゃくほうこう語順ごじゅん変換へんかんを行うのですから、なぜここに返り点かえりてんが付き、どうしてそこに返り点かえりてんを打たないのか、うらから十分じゅうぶん理解りかいとどくようになり、返り点かえりてんそのものがくっきり目にうつってくるに違いありません。こうなればしめたもの、漢文かんぶん実力じつりょく倍増ばいぞうしたことはけ合いです。いわば返り点かえりてんという存在そんざい裏打うらう作業さぎょうとして、復文ふくぶん練習れんしゅうは大いに役立つことでしょう。

第三だいさんは、みずからの訓読くんどくについて、文法ぶんぽう上の正誤せいご判定はんていできるようになることです。返り点かえりてん付きの漢文かんぶんんでいると、「そこではなく、ここに返り点かえりてんを打って訓読くんどくしてもよいのではないか」とかんじることがあるでしょう。もちろん、たまたま白文はくぶんむとなれば、どこに返り点かえりてんを加えればよいのか、すべて自分のあたまかんがえねばなりません。そのようなとき、最も不安ふあんなのは「このみ方でただしいのだろうか?」という疑問ぎもんのはずです。こうした事態じたい対処たいしょすべく、絶大ぜつだい威力いりょく発揮はっきするのが復文ふくぶんにほかなりません。復文ふくぶん技術ぎじゅつ習得しゅうとくしておけば、文法ぶんぽう違反いはん訓読くんどく確実かくじつふせぐことができるのです。これについては、一定量の知識ちしき必要ひつようですから、復文ふくぶん作業さぎょうしたしんだ段階だんかい説明せつめいすることにしましょう。本書ほんしょ「Ⅴ 応用篇おうようへん」の「訓読くんどく検証法けんしょうほうとして」がそれに当たります。

みぎの三つは、復文ふくぶんが持つ当面とうめん効用こうよう、すなわち短期的たんきてき有用性ゆうようせいにすぎません。中期的ちゅうきてきには、訓読くんどくという方法ほうほうそのものに習熟しゅうじゅくしてゆく効用こうようがある。長期的ちょうきてきには、往時おうじと同じく、漢文かんぶんを自らつづることにするだけの有効性ゆうこうせいそなえている。ただし、もはや漢文かんぶんを書く必要ひつようがなくなった現在げんざい、取り敢えずはみぎの三項がたされれば十分じゅうぶんだと言えるでしょう。この三つだけでも、いことづくめではないでしょうか。

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那麼,復文究竟有何效用?通過復文作業,對漢文語序變得敏感,能帶來什麼效果?大體而言,以下三點值得重視。

第一,復文作業本身頗為有趣,使漢文學習變得令人樂在其中。在「Ⅱ基礎篇」以下嘗試解題,便能切身體會:復文幾乎如同解謎,是一種令人愉快的作業。哪個字放在哪裡才合乎文理——邊反覆試錯,邊逐漸組建出原文,這份樂趣正是復文的醍醐味。漢文學習往往容易陷入消極態度。而復文練習,若不先自行動筆,根本無從開始,因此自然要求相當的積極性,不得不主動投入。冒著被誤解的風險說一句:一旦掌握了復文技術,即便作為單純的智識遊戲,也是相當值得享受的。

第二,能充分理解返り點的意義。為何非得顛倒語序不可,光看返り點有時難以信服,有些人甚至覺得返り點是原文上惹眼的害蟲。然而,實踐復文後,正如前述,復文是與返り點逆方向的語序轉換,因此何處加返り點、何處不打返り點,就能從反面充分理解,返り點本身也會清晰地映入眼簾。可以說,作為返り點這一存在的「底層驗證作業」,復文練習大有裨益。

第三,能對自身的訓讀作出文法上的正誤判定。閱讀帶有返り點的漢文,有時會感覺「不如在這裡而非那裡打返り點讀會不會更好」。若碰上白文,所有返り點都得自己動腦考慮。此時最大的不安,必是「這樣讀法對嗎?」應對此類情況,能發揮絕大威力的正是復文。掌握復文技術,便能確實防止違反文法的訓讀。本書「Ⅴ応用篇」的「訓読の検証法として」便是針對此點而設。

以上三點是近期效用。中期而言,有助於對訓讀方法本身日益熟練;長期而言,具備如往時一般自行撰寫漢文的充分有效性。在已無需書寫漢文的今日,只需達成上述三項即已足夠。光是這三點,難道不是好處多多嗎?

漢文の語順 — A 基本文型pp. 28–30

ここで、復文ふくぶん作業さぎょう前提ぜんていとして、我々われわれ書き下し文かきくだしぶんから復元ふくげんすべき漢文かんぶん原文げんぶんがどのような語順ごじゅんになるのか、その基本きほん構造こうぞう調しらべておきましょう。いざ復文ふくぶんのぞんでも、復元ふくげんする漢文かんぶん語順ごじゅんらなければ、そもそも作業さぎょうすすめようがないからです。ただし、漢文かんぶん基本きほん構造こうぞうならべ立てるだけでは、単なる漢文法かんぶんぽう学習がくしゅうおちいりかねません。我々われわれ目的もくてき復文ふくぶんにある以上、漢文かんぶん語順ごじゅん書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅんとの相違そうい着目ちゃくもくしつつ、あくまで復文ふくぶん作業さぎょう視点してんから実践的じっせんてき説明せつめい注意ちゅういを加えてゆきましょう。訓読くんどく文に付いている返り点かえりてん横目よこめでながめつつ、原文げんぶん復元ふくげんするのに必要ひつよう書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかん返り点かえりてんによる語順ごじゅん変換へんかん逆方向ぎゃくほうこう作業さぎょうであることを確認かくにんしてください。

以下、基本きほん文型ぶんけい語間ごかん連結れんけつ構造こうぞうとにけて説明せつめいします。

A 基本きほん文型ぶんけい

漢文かんぶん基本きほん文型ぶんけいは、おおむね英語えいごの五文型ぶんけいに同じと考えて差し支えありません。こまかくれば、英語えいごには見当たらない漢文かんぶん特有とくゆう構文こうぶんもあり、例外れいがいと呼べる構文こうぶんもさまざまに存在そんざいします。けれども、差し当たり定型ていけい外の構文こうぶんを気に必要ひつようはない。原則げんそくらなければ、例外れいがいだということすらわからないのですから。

以下、英語えいごの五文型ぶんけいのっとして説明せつめいを加えてゆきましょう。略号りゃくごうは、英語えいごの場合とほぼ同じです。不安ふあんかんじるときは「文法ぶんぽう用語ようご 略号りゃくごう」(→p.14)を参照さんしょうしてください。漢文かんぶん文型ぶんけい説明せつめいするとき、往々おうおうにして補語ほごCを英語えいご補語ほごCとは異なる意味合いみあいで使うことがありますが、らざる混乱こんらんまねきかねませんので、本書ほんしょでは英語えいご補語ほごCとまったく同じ意味で補語ほごCを用います。

文型ぶんけいそれぞれの主語しゅごSを括弧かっこれて「(S)」としるしてあるのは、しばしば主語しゅご省略しょうりゃくされることを示します。「英語えいごと大ちがいではないか!」と言うなかれ。「文脈ぶんみゃくから自明じめい主語しゅごはぶく点は、日本語にほんごと同じである」と考えれば、かえって気楽きらくなものでしょう。主語しゅごSに下接かせつする語句ごくは、全体ぜんたいとして述部じゅつぶPを形成けいせいしますが、これは常識じょうしき範囲内はんいないでしょうから、取り立てて述部じゅつぶPは示しません。

便宜上べんぎじょう例文れいぶん通し番号とおしばんごうを付けてゆきます。例文れいぶん後方こうほうにある記号きごうは、「*」が語法ごほうその他についての解説かいせつ、「◎」が復文ふくぶんに関する説明せつめい注意ちゅういなどを示します。

中文翻譯

在此,作為復文作業的前提,讓我們先來考察一下,從書き下し文所要還原的漢文原文具有怎樣的語序,以及其基本結構。若對要還原的漢文語序一無所知,復文作業根本無從著手。不過,若僅是列舉漢文的基本結構,恐怕會淪為單純的漢文法學習。既然我們的目的在於復文,就必須著眼於漢文語序與書き下し文語序的差異,始終從復文作業的視角進行實踐性說明與注意。請一邊橫眼瞄著訓讀文上的返り點,一邊確認:還原原文所需的書き下し文語序轉換,與返り點所作的語序轉換是逆方向的作業。

以下分為「基本文型」與「語間連結構造」兩部分加以說明。

A 基本文型

漢文的基本文型,大致與英語的五種文型相同,可以如此認識。細究起來,也有漢文特有的構文在英語中找不到,以及各種可稱為例外的構文,但暫時無需為定型外的構文煩惱。不知原則,便不知何為例外。

以下依英語五種文型逐一說明。略號與英語幾乎相同。若感不安,請參閱「文法用語略号」(→p.14)。說明漢文文型時,有時「補語C」的用法與英語的補語C意義有異,為避免造成不必要的混亂,本書中補語C與英語的補語C完全同義。

五種文型中,主語S加括號標注「(S)」,表示主語常被省略。請勿感嘆「這和英語差好多!」——若想成「與日語相同,文脈上自明的主語可省略」,反而輕鬆。主語S之後接的語句整體構成述部P,在常識範圍內即可理解,無需特別標出述部P。

為便於識別,對例文附上流水號。例文後的符號,「*」表示語法等方面的解說,「◎」表示與復文相關的說明・注意。

1 第一文型=(S)Vpp. 30–31

 S  V

01 孔子病 (孔子病ム)孔子こうし人名じんめい

孔子こうし む。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようはありません。

 S adv V part

02 舟已行矣 (舟已ニ行ケリ矣

ふね すでけり。

*「已~矣」は、動作どうさ完了かんりょうを表します。

副詞ふくし「已」をも含め、書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようはありません。置き字おきじ「矣」については、「Ⅱ 基礎篇きそへん」で不安ふあん解消かいしょうしますので、御心配ごしんぱいなく。以下、置き字おきじに関しては、すべて同様です。

第一文型だいいちぶんけい=(S)Vにおいて、復文ふくぶんのさいに主語しゅご動詞どうしえる必要ひつようはありません。

中文翻譯

01孔子病む。→ 孔子病(孔子生病)
◎書き下し文の語序無需轉換。
02舟 已に行けり。→ 舟已行矣(船已然離去)
*「已~矣」表示動作完成。
◎包含副詞「已」在內,書き下し文語序無需轉換。置字「矣」詳見「Ⅱ基礎篇」。

第一文型=(S)V中,復文時主語與動詞無需互換。

2 第二文型=(S)V Cpp. 31–34

 S  V     C

03 子游為武城宰 (子游為武城ノ宰ト)子游しゆう人名じんめい。 〇武城ぶじょう地名ちめい

子游しゆう 武城ぶじょうさいる。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようがあるのは、動詞どうし補語ほご、すなわち「武城ぶじょうさいる」→「為武城ぶじょうさい」の部分です。

 adv V  C

04 常為名大夫 (常ニ為名大夫ト)

つね名大夫めいたいふたり。

*この「為」は繋辞けいじ copula ですが、本書ほんしょでは連結動詞れんけつどうし linking verb つまり動詞どうしの一種として扱います。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようがあるのは、動詞どうし補語ほご、すなわち「名大夫めいたいふたり」→「為名大夫めいたいふ」の部分です。仮名かなきの「たり」を漢字かんじ「為」に改める作業さぎょうについては、「Ⅱ 基礎篇きそへん」で説明せつめいします。以下、仮名かなきの語を漢字かんじ復元ふくげんする作業さぎょうに関しては、すべて同じです。

 S V C           part

05 余是所嫁婦人之父也 (余ハ是レ所嫁ガレシ[要確認]婦人之父也)

われこれとつがしめし所の婦人ふじんちちなり。

*「是」も繋辞けいじ copula ですが、04に同じく、本書ほんしょでは連結動詞れんけつどうし linking verb として扱います。

構文こうぶん要素ようそ文末ぶんまつ助詞じょしについて、書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようはありません。補語ほご「所嫁婦人之父」の内部ないぶ構造こうぞうに関しては、「Ⅲ 修練篇しゅうれんへん」で練習れんしゅうします。

訓読くんどく文「嫁ガレシ」(受身うけみ)と書き下し文かきくだしぶん「嫁がしめし」(使役しえき)の不一致ふいっち原書げんしょ p.31 要目視もくし確認かくにん

みぎでわかるように、連結動詞れんけつどうし「是」を用いる場合をのぞけば、一般いっぱん第二文型だいにぶんけい=(S)V Cでは、復文ふくぶんにさいして動詞どうし補語ほご語順ごじゅんえる必要ひつようしょうじます。これを〔V/C〕変換へんかんづけておきましょう。

第二文型だいにぶんけいについて注意ちゅういすべきは、漢文かんぶんでは第二文型だいにぶんけい=(S)V CのVを省略しょうりゃくした(S)Cも多用たようされるということです。英語えいごではVの省略しょうりゃくゆるされず、少なくとも〈be〉動詞どうしを用いてSとCをつなぐ必要ひつようがありますが、漢文かんぶんではVをはぶくことが可能かのうで、実際じっさい、(S)V Cよりも、むしろ(S)Cのほうが出現しゅつげん頻度ひんどは高いと考えてよいでしょう。

2′ 第二文型だいにぶんけい変形へんけい〕=(S)C

 S   C

06 此人力士 (此ノ人力士ナリ)

ひと 力士りきしなり。

補語ほご力士りきし」は名詞めいしです。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようはありません。

 S   C  part

07 此君之妻也 (此ハ君之妻也)

これきみつまなり。

補語ほごくんさい」は名詞めいしです。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようはありません。みぎの06も本例ほんれい書き下し文かきくだしぶんに「なり」が見えながら、原文げんぶんでは「也」字の有無うむ相違そういがありますが、これに関する不安ふあんは「Ⅱ 基礎篇きそへん」で解消かいしょうしますので、心配しんぱい無用むようです。

 S  C

08 月明星稀 (月明ラカニ星稀ナリ)

つき あきらかに ほし まれなり。

補語ほごめい」は、漢文かんぶんとしては形容詞けいようしです。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようはありません。

 C part C part

09 奇也、命也 (奇也、命也)

なり、めいなり。

補語ほご」は漢文かんぶんとしては形容詞けいようし、「めい」は名詞めいしです。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようはありません。

第二文型だいにぶんけい変形へんけい〕=(S)Cにおいて、復文ふくぶんのさいに主語しゅご補語ほごえる必要ひつようはありません。

中文翻譯

03子游 武城の宰と為る。→ 子游為武城宰(子游擔任武城宰邑長官)
◎動詞與補語的語序須轉換:「武城の宰と為る」→「為武城宰」。此為〔V/C〕變換。
04常に名大夫たり。→ 常為名大夫(常為名望大夫)
*「為」在此為繋辞(連結動詞)。◎「名大夫たり」→「為名大夫」。
05余は是れ嫁がしめし所の婦人の父なり。→ 余是所嫁婦人之父也
(我正是那位(被)嫁出的婦人之父)
◎構文要素與文末助詞語序無需轉換。

一般而言,第二文型中,復文時須將動詞與補語的語序互換,稱為〔V/C〕變換。漢文中,(S)C(省略V)比(S)V C更常見。

06此の人 力士なり。→ 此人力士(此人是力士) ◎語序無需轉換。
07此れ君の妻なり。→ 此君之妻也(此為君侯之妻) ◎語序無需轉換。
08月 明らかに 星 稀なり。→ 月明星稀(月明星稀) ◎語序無需轉換。
09奇なり、命なり。→ 奇也、命也(真奇,真是命數) ◎語序無需轉換。

第二文型〔変形〕=(S)C中,復文時主語與補語無需互換。

3 第三文型=(S)V Opp. 34–36

 S V O

10 斉攻魯 (斉攻ム魯ヲ)せい国名くにな

せい む。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようがあるのは、動詞どうし目的語もくてきご、すなわち「む」→「攻」の部分です。

 S V O S V O

11 知者楽水、仁者楽山 (知者ハ楽シミ水ヲ、仁者ハ楽シム山ヲ)

知者ちしゃみずたのしむ、仁者じんしゃやまたのしむ。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようがあるのは、それぞれの動詞どうし目的語もくてきご、すなわち「みずたのしみ」→「楽すい」、「やまたのしむ」→「楽さん」の部分です。

 V O conj V O

12 温故而知新 (温メテ故ヲ而知ル新シキヲ)

ふるきをあたためてあたらしきをる。

置き字おきじ「而」は、英語えいご〈and〉に相当そうとうする接続詞せつぞくしです。置き字おきじとしてまずにすませる代わりに、直前ちょくぜん接続せつぞく助詞じょし「て」を補って訓読くんどくし、その「て」に「而」の接続せつぞく機能きのう反映はんえいさせる習慣しゅうかんですので、「あたためて」の「て」ははぶけません。この「而」については「Ⅲ 修練篇しゅうれんへん」で練習れんしゅうします。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようがあるのは、それぞれの動詞どうし目的語もくてきご、すなわち「ふるきをあたため」→「温故おんこ」、「あたらしきをる」→「知新ちしん」の部分です。

13 (二通りの文型)

 V  Q

学於文 (学ブ文) =ぶんまなぶ。  →第一文型だいいちぶんけい=(S)V

置き字おきじ「於」は、動作どうさ直接的ちょくせつてき対象たいしょうを表す前置詞ぜんちしです。間接的かんせつてき対象たいしょうを表す前置詞ぜんちしと解して「学ブ於文」(文にまなぶ)と訓読くんどくすることもあります。

 V O

学文 (学ブ文ヲ) =ぶんまなぶ。  →第三文型だいさんぶんけい=(S)V O

みぎからあきらかなように、第三文型だいさんぶんけい=(S)V Oでは、復文ふくぶんにさいして動詞どうし目的語もくてきご語順ごじゅんえる必要ひつようがあります。これを〔V/O〕変換へんかんんでおきましょう。

なお、漢文かんぶんでは一般いっぱん自動詞じどうし他動詞たどうし区別くべつ明確めいかくでないため、同一どういつ動詞どうしがまったく同じ意味でありながら、異なる文型ぶんけい構成こうせいする場合もあります(例13参照)。

中文翻譯

10斉 魯を攻む。→ 斉攻魯(齊國攻打魯國)
◎「魯を攻む」→「攻魯」,動詞與目的語語序須轉換。此為〔V/O〕變換。
11知者は水を楽しむ、仁者は山を楽しむ。→ 知者楽水、仁者楽山
(智者喜水,仁者樂山)
◎「水を楽しみ」→「楽水」,「山を楽しむ」→「楽山」,分別轉換。
12故きを温めて新しきを知る。→ 温故而知新(溫故知新)
*置字「而」相當於英語and,訓讀時以「て」體現其連接功能,不可省略。
◎「故きを温め」→「温故」,「新しきを知る」→「知新」。
13文を学ぶ。→(兩種文型)
「学於文」(置字「於」作前置詞)→第一文型;「学文」→第三文型。

第三文型=(S)V O中,復文時須將動詞與目的語語序互換,稱為〔V/O〕變換。

4 第四文型=(S)V IO DOpp. 36–38

 S V IO  DO

14 漢遺単于書 (漢遺ル単于書ヲ)*〈IO DO〉は二重目的語にじゅうもくてきご。 〇かん国名くにな。 〇単于ぜんう騎馬民族きばみんぞく匈奴きょうどおう

かん 単于ぜんうふみおくる。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようがあるのは、動詞どうし二重目的語にじゅうもくてきご、すなわち「単于ぜんうふみおくる」→「単于ぜんうしょ」の部分です。注意ちゅういすべきは、二重目的語にじゅうもくてきごつまり〈間接目的語かんせつもくてきご直接目的語ちょくせつもくてきご〉の順序じゅんじょえる必要ひつようがないという点です。二重目的語にじゅうもくてきごは、書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅんのままにならべておけばよいのです。

 S adv adv adv V IO DO

15 趙亦終不予秦璧 (趙モ亦タ終ニ不予ヘ秦ニ璧ヲ)ちょうしん国名くにな

ちょうまたついしんたまあたへず。

*「不」は、否定ひていを表す副詞ふくしです。日本語にほんごとしては打消うちけし助動詞じょどうし「ず」を当てて訓読くんどくしますが、漢文かんぶんとしてはあくまで副詞ふくしであり、助動詞じょどうしではありません。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようがあるのは、動詞どうし二重目的語にじゅうもくてきごしんたまあたへ」→「予しんへき」の部分ですが、動詞どうし否定ひていについても「あたへず」→「不予」の語順ごじゅん変換へんかん必要ひつようになります。注意ちゅういすべきは、二重目的語にじゅうもくてきごつまり〈間接目的語かんせつもくてきご直接目的語ちょくせつもくてきご〉の順序じゅんじょえる必要ひつようがないという点です。その他の副詞ふくしは、書き下し文かきくだしぶんまたついに」の語順ごじゅんどおり「亦終」としるすだけです。

 V IO DO

16 賜汝万銭 (賜フ汝万銭ヲ)

なんじ万銭まんせんたまはん。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようがあるのは、動詞どうし二重目的語にじゅうもくてきご、すなわち一文の全体ぜんたいなんじ万銭まんせんたまはん」→「じょ万銭まんせん」です。やはり注意ちゅういしたいのは、二重目的語にじゅうもくてきごつまり〈間接目的語かんせつもくてきご直接目的語ちょくせつもくてきご〉の順序じゅんじょえる必要ひつようがないという点です。二重目的語にじゅうもくてきごは、あくまで書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅんどおりにならべておけばよいのです。

みぎでわかるように、第四文型だいよんぶんけい=(S)V IO DOでは、復文ふくぶんにさいして動詞どうし二重目的語にじゅうもくてきご語順ごじゅんえる必要ひつようがあります。これを簡略かんりゃくに〔V/(OO)〕変換へんかんづけておきましょう。二重目的語にじゅうもくてきごに付けた括弧かっこ「( )」は、二つの目的語もくてきごを一くくりとして扱い、間接目的語かんせつもくてきご直接目的語ちょくせつもくてきご語順ごじゅんえる必要ひつようがないことを示します。

なお、二重目的語にじゅうもくてきご順序じゅんじょえると、第三文型だいさんぶんけい=(S)V Oに変化へんかし、もとIOであった名詞めいしに多くは前置詞ぜんちし「於」が付いて後位副詞句こういふくしく(後述)をす点でも、英語えいご授与動詞じゅよどうし〈give〉などを用いた第四文型だいよんぶんけい第三文型だいさんぶんけい変化へんかと同様の現象げんしょうが起こります。

  • おく単于ぜんうふみヲ   →おくふみヲ於単于ぜんうニ(ふみ単于ぜんうおくる)
  • ・不あたしんたまヲ →不あたたまヲ於しんニ(たましんあたへず)
  • たまハンなんじ万銭まんせんヲ →たまハン万銭まんせんヲ於なんじニ(万銭まんせんなんじたまはん)
  • cf. John gave her the bag. → John gave the bag to her.  〇 to ≒於

中文翻譯

14漢 単于に書を遺る。→ 漢遺単于書(漢朝遣書予單于)
◎「単于に書を遺る」→「遺単于書」。〈間接目的語+直接目的語〉的順序無需互換,整體視為一括。此為〔V/(OO)〕變換。
15趙も亦た終に秦に璧を予へず。→ 趙亦終不予秦璧
(趙始終未將璧給予秦國)
*「不」為表否定的副詞。◎「予へず」→「不予」亦需轉換;其他副詞照書き下し文順序排列。
16汝に万銭を賜はん。→ 賜汝万銭(賜汝萬錢)
◎整句「汝に万銭を賜はん」→「賜汝万銭」。二重目的語順序不變。

第四文型中,復文時須將動詞與二重目的語的語序互換,稱為〔V/(OO)〕變換。括號表示兩個目的語作為整體,間接目的語與直接目的語的順序無需互換。

若將二重目的語的順序互換,則變為第三文型,原間接目的語多附前置詞「於」構成後位副詞句,與英語授與動詞的第四→第三文型轉換同理(to ≒ 於)。

5 第五文型=(S)V O Cpp. 38–40

 S V O C  V O C

17 楚人謂乳穀、謂虎於菟 (楚人謂ヒ乳ヲ穀ト、謂フ虎ヲ於菟ト)国名くにな。 〇穀=彀。

楚人そじん ちちこくひ、とらを於菟とふ。

*この「」は、英語えいご〈call〉が第五文型だいごぶんけい〈We call him Bill.〉を作るのと同じ用法ようほうです。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようがあるのは、それぞれの動詞どうしと〈目的語もくてきご補語ほご〉、すなわち「ちちこくひ」→「にゅうこく」、「とらを於菟とふ」→「於菟」の部分です。注意ちゅういすべきは、第四文型だいよんぶんけいにおける二重目的語にじゅうもくてきごと同じように、〈目的語もくてきご補語ほご〉の順序じゅんじょそれ自体はえる必要ひつようがないという点です。〈目的語もくてきご補語ほご〉は、書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅんどおりにならべておけばよいのです。

 S V O C

18 宋使人往之 (宋使シム人ヲシテ往カ之ニ)そう国名くにな

そう ひとをしてこれかしむ。

使役動詞しえきどうし「使」を用いた使役構文しえきこうぶんですが、英語えいご使役構文しえきこうぶん〈I made him go there.〉と同一どういつ構造こうぞうですから、特にむずかしい点はありません。補語ほご内部ないぶは「往之」という構造こうぞうで、動詞どうし「往」の主語しゅごは一文全体ぜんたい目的語もくてきご「人」、つまり〈目的語もくてきご補語ほご〉の部分は「人往之」と分析ぶんせきできます。これも、みぎ英文えいぶん動詞どうし〈go〉の動作主どうさしゅが〈him〉であるのと同様です。

書き下し文かきくだしぶん語順ごじゅん変換へんかんする必要ひつようがあるのは、動詞どうしと〈目的語もくてきご補語ほご〉、すなわち「ひとをしてこれかしむ」→「使じん往之」の部分です。やはり〈目的語もくてきご補語ほご〉そのものの語順ごじゅん変更へんこうする必要ひつようはありません。ただし、補語ほご内部ないぶについても、動詞どうし目的語もくてきご、つまり「これ(く)」→「往之」の語順ごじゅん変換へんかん必要ひつようになります。

 V O

19 見二蛟浮於水上 (見ル二蛟ノ浮カブヲ於水上ニ)みずちりゅうの一種。

二蛟にこう水上すいじょうかぶをる。

みぎでわかるように、第五文型だいごぶんけい=(S)V O Cでは、復文ふくぶんにさいして動詞どうしと〈目的語もくてきご補語ほご〉の語順ごじゅんえる必要ひつようがあります。これを〔V/(O C)〕変換へんかんんでおきましょう。〈目的語もくてきご補語ほご〉に付けた括弧かっこ「( )」は、二つの要素ようそを一くくりに扱い、目的語もくてきご補語ほご語順ごじゅんえる必要ひつようがないことを示します。

漢文かんぶん第五文型だいごぶんけいは、みぎの二種すなわち17「」を用いた構文こうぶんおよび18使役構文しえきこうぶんに限られるものと考えて間違まちがいありません。使役構文しえきこうぶんについては、改めて「Ⅲ 修練篇しゅうれんへん」で練習れんしゅうします。

ちなみに、知覚動詞ちかくどうしを用いた構文こうぶんは、第三文型だいさんぶんけいとも第五文型だいごぶんけいとも解せる場合があるのが実情じつじょうです。英語えいごであれば、〈I saw that two logs were floating on the river.〉が第三文型だいさんぶんけい、〈I saw two logs floating on the river.〉が第五文型だいごぶんけいであることに疑問ぎもんの余地はありません。けれども、漢文かんぶんは、漢字かんじという文字もじ性質せいしつ上、単語たんご品詞ひんし明確めいかくでないため、どちらにも分類ぶんるいできてしまうのです。いずれにせよ、訓読くんどく文に異同いどうはなく、したがって書き下し文かきくだしぶんもまったく同じになります。

(例19の二通りの解釈:第三文型 vs 第五文型)

 V  O      C   →第三文型だいさんぶんけい

二蛟にこうカブヲ於水上すいじょうニ (二蛟にこう水上すいじょう

目的語もくてきご内部ないぶは、二蛟にこう水上すいじょう(S V Q)となります。

 V O C          →第五文型だいごぶんけい

二蛟にこうカブト於水上すいじょうニ (二蛟にこう水上すいじょう

補語ほご内部ないぶは、水上すいじょう(V Q)となります。動詞どうし」の動作主どうさしゅは、目的語もくてきご二蛟にこう」です。

以上で、漢文かんぶんにも英語えいごの五文型ぶんけいがそのまま当てはまることを理解りかいしてもらえたことでしょう。肝腎かんじんなのは、英語えいごにおいて第三文型だいさんぶんけい=SVOが中心ちゅうしんになるのと同じく、漢文かんぶんについても第三文型だいさんぶんけい=(S)V Oが中核ちゅうかくすということです。第一文型だいいちぶんけい=(S)Vも第二文型だいにぶんけい=(S)V Cも、さしてむずかしくありません。第二文型だいにぶんけい変形へんけい〕=(S)Cは、日本人にほんじんにとって、かえって容易よういと言ってもよいくらいでしょう。第四文型だいよんぶんけい=(S)V IO DOは第三文型だいさんぶんけいのOが二つかさなっただけですし、第五文型だいごぶんけい=(S)V O Cも第三文型だいさんぶんけいにCがけ加わったにすぎません。何をいても、第三文型だいさんぶんけい=(S)V Oを念頭ねんとういておくことです。この構文こうぶん大原則だいげんそくを《構文原則こうぶんげんそく》とんでおきましょう。そして、第三文型だいさんぶんけい=(S)V Oが中心ちゅうしんとなる以上、復文ふくぶんにおける語順ごじゅんえで最も重要じゅうようなのも、当然とうぜん〔V/O〕変換へんかんということになります。

中文翻譯

17楚人 乳を穀と謂ひ、虎を於菟と謂ふ。→ 楚人謂乳穀、謂虎於菟
(楚人稱牛乳為「穀」,稱老虎為「於菟」)
*「謂」的用法與英語〈call〉構成第五文型相同。
◎「乳を穀と謂ひ」→「謂乳穀」,〈目的語+補語〉順序不變,此為〔V/(O C)〕變換。
18宋 人をして之に往かしむ。→ 宋使人往之(宋命人前往彼處)
*使役動詞「使」構成的使役構文,與英語〈I made him go there.〉結構相同。
◎「人をして之に往かしむ」→「使人往之」;補語內部「之に往く」→「往之」亦需轉換。
19二蛟の水上に浮かぶを見る。→ 見二蛟浮於水上
(看見兩條蛟龍浮於水面)

第五文型=(S)V O C中,復文時須將動詞與〈目的語+補語〉語序互換,稱為〔V/(O C)〕變換。漢文第五文型限於「謂」構文(17)與使役構文(18)兩種。知覺動詞構文有時可歸入第三文型或第五文型,書き下し文相同,訓讀無異。

(例19的兩種解釋)同一漢文「見二蛟浮於水上」,依訓讀方式可解為:

・第三文型:見(V)二蛟浮於水上(O,內部為 S-V-Q)→「二蛟の浮かぶを見る」

・第五文型:見(V)二蛟(O)浮於水上(C,內部V-Q)→「二蛟の浮かぶを見る」

《構文原則》:第三文型=(S)V O是漢文語序的核心。其他文型均以此為基礎延伸,因此〔V/O〕變換是復文中最重要的語序轉換。

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