これならわかる復文の要領 ―― 漢文学習の裏技 ――

古田島洋介著 / 新典社選書83 / 新典社
p.05 Ⅱ 基礎篇後半(pp. 108–133)

復文ふくぶん作業例さぎょうれいpp. 108–112

それでは〔例題〕を一つひとつ示ししめし復文ふくぶん実際じっさい観察かんさつしてもらいましょう。それぞれの数字すうじ番号ばんごうは【A】の作業さぎょう手順てじゅん1~6に相当そうとうします。

〔例題〕我 善く 吾が 浩然の 気を 養ふ。(全八字ぜんはちじ置き字おきじナシ)

1 書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう七字しちじ指定していされた総字数そうじすう八字はちじですから、仮名書かながききの一字いちじだけ漢字かんじ復元ふくげんする必要ひつようがあります。《復文ふくぶん作業さぎょうよう資料しりょう》に照らてらせば、助詞じょし「の」が漢字かんじ復元ふくげんすべき有力ゆうりょく候補こうほです。

2 助詞じょし「ね」を付けつけつつ、書き下し文かきくだしぶん文節ぶんせつ分けわけます。
 →われ(ね)/善くよく(ね)/われが(ね)/浩然こうねんの(ね)/気をきを(ね)/養ふやしなふ

3 うえからしたへとじゅんちくって、文節ぶんせつどうしの文法関係ぶんぽうかんけい考えかんがえてゆきます。
 ア「我が養ふ」→《構文原則こうぶんげんそく》により「我養」
 イ「善く養ふ」→《修飾原則しゅうしょくげんそく》により「善養」
 ウ「吾が気」→《修飾原則しゅうしょくげんそく》により「吾気」
 エ「浩然の気」→《修飾原則しゅうしょくげんそく》により「浩然気」
 オ「気を養ふ」→〔V/O〕変換へんかんにより「養気」

4 みぎ書き出しかきだしたア〜オがすべて満たみたされるように原文げんぶん組み立てくみたててゆきます。
 ア+イ:《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》により修飾語しゅうしょくご「善」が被修飾語ひしゅうしょくご「養」に密着みっちゃく→「我善養」
 ウ+エ:《順行配置則じゅんこうはいちそく》により書き下し文かきくだしぶんじゅんどおり→「吾浩然気」
 ウ+エ+オ:《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》により修飾語しゅうしょくご「吾浩然」が「気」に密着みっちゃく→「養吾浩然気」
 →ア+イ+ウ+エ+オ合成ごうせい合成ごうせい「我善養吾浩然気」(七字しちじ

5 指定していされた総字数そうじすう八字はちじ得らえられた原文げんぶん七字しちじ一字いちじ不足ふそくしているので、1で候補こうほとして考えかんがえておいた助詞じょし「の」を漢字かんじ「之」に改めあらため、《「之」介入現象かいにゅうげんしょう》に従ってしたがってわれ善養ぜんようわれ浩然こうねんゆき」とします。

6 返り点かえりてん送り仮名おくりがな付けつけ確認かくにん:「我善ク養フ二吾ガ浩然之気ヲ一」→すんなり返り点かえりてん付くつく
 〔構文こうぶん分析ぶんせきわれsぜんadvようvわれ浩然こうねんゆきo =第三文型だいさんぶんけい

以上いじょうが【A】1〜6に沿っそっ復文ふくぶん手続てつづきです。最ももっとも重要じゅうよう作業さぎょうが3・4であることは十分じゅうぶん理解りかいしてもらえたでしょう。原文げんぶんしち〇〜はち〇%は慣れなれてくれば瞬時しゅんじ復元ふくげんできます。字数じすう確認かくにん慎重しんちょうに。原稿用紙げんこうようし使用しようをお勧めすすめします。

中文翻譯

〔例題〕我善く吾が浩然の気を養ふ。(全八字/置き字無)

①確認字數:書き下し文7字→指定8字,差1字,「の」(之)為候補。②文節分割:我/善く/吾が/浩然の/気を/養ふ。③文法關係:ア我養(SV)、イ善養(副詞修飾)、ウ吾気(修飾)、エ浩然気(修飾)、オ養気(〔V/O〕)。④組合:ア+イ→我善養;ウ+エ+オ→養吾浩然気;全合→我善養吾浩然気(7字)。⑤字數調整:「の」→「之」介入→我善養吾浩然之気(8字)。⑥確認:我善ク養フ二吾ガ浩然之気ヲ一。構文:我ˢ善ᵃᵈᵛ養ᵛ吾浩然之気ᵒ=第三文型。

基礎事項きそじこう確認問題かくにんもんだい 《Q1》〜《Q10》pp. 113–115

では、本篇ほんへんのまとめとして、次のつぎのじゅうだいをこなしてみましょう。全三字ぜんさんじから全十字ぜんじゅうじへと総字数そうじすう増しましてゆきますが、字数じすう長短ちょうたん本質的ほんしつてき事柄ことがらではありません。あくまでも語順ごじゅん組み立てくみたてほう意識いしき集中しゅうちゅうしてください。

                *解説かいせつ解答かいとう → pp. 116–133

《Q1》天を怨みず。(全三字ぜんさんじ置き字おきじナシ)

《Q2》間髪を容れず。(全四字ぜんよじ置き字おきじナシ)

《Q3》光陰箭の如し。(全四字ぜんよじ置き字おきじナシ)

《Q4》臣始めて境に至る。(全五字ぜんごじ第四字だいよじ置き字おきじ「於」)

《Q5》其(そ)の民を河東に移す。(全六字ぜんろくじ第四字だいよじ置き字おきじ「於」) ○河黄河。

《Q6》百聞は一見に如かず。(全六字ぜんろくじ置き字おきじナシ)

《Q7》冉子ぜんし之(これ)に粟五秉ぞくごへいを与ふ。(全七字ぜんしちじ置き字おきじナシ) ○冉子ぜんし人名じんめい。○粟粟穀物。○秉容量の単位。

《Q8》子貢しこう民を治むるを孔子こうしに問ふ。(全八字ぜんはちじ第六字だいろくじ置き字おきじ「於」) ○子貢しこう孔子こうし人名じんめい

《Q9》父の臣と父の政とを改めず。(全九字ぜんくじ置き字おきじナシ)

《Q10》人の短を道ふこと無かれ、己の長を説くこと無かれ。(全十字ぜんじゅうじ置き字おきじナシ)

*これで基礎篇きそへん終わりおわりです。つぎへんでは、漢文かんぶん頻出ひんしゅつする語句ごく中心ちゅうしん練習れんしゅうし、復文ふくぶんちから一層いっそう向上こうじょう図るはかることにします。

中文翻譯

本篇總結,請完成以下十題。總字數從三字逐漸增至十字,但字數多寡並非重點,請把意識集中在語序的組立方式上。(解説&解答→ pp.116-133)

Q1天を怨みず(3字)Q2間髪を容れず(4字)Q3光陰箭の如し(4字)Q4臣始めて境に至る(5字・第4字=置き字「於」)Q5其の民を河東に移す(6字・第4字=置き字「於」)Q6百聞は一見に如かず(6字)Q7冉子之に粟五秉を与ふ(7字)Q8子貢民を治むるを孔子に問ふ(8字・第6字=置き字「於」)Q9父の臣と父の政とを改めず(9字)Q10人の短を道ふこと無かれ、己の長を説くこと無かれ(10字)

《Q1》解説かいせつ解答かいとう えんてんpp. 116–118

《Q1》てん怨みうらみず。(全三字ぜんさんじ置き字おきじナシ)

1 書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう二字にじ復元ふくげんすべき原文げんぶん三字さんじですから、仮名書かながききの漢字かんじ一字いちじ書き直すかきなおす必要ひつようがあります。「ず」を「不」に改めあらためればよいことは、すぐ見抜けみぬけるでしょう。

2 助詞じょし「ね」を付けつけて「天を(ね)/怨みず」と文節ぶんせつ分かわかちます。

3 《格言かくげん》に基づもとづいて「天を」の助詞じょし「を」に着目ちゃくもくし、〔V/O〕変換へんかん加えくわえます。また「怨みず」は動詞どうし「怨む」の否定ひていですから、《修飾原則しゅうしょくげんそく》により否定ひてい副詞ふくし「不」を被修飾語ひしゅうしょくご「怨」にかぶせます。
 ▽「天を怨む」→えんてん  ▽「怨みず」→えん

4  ▼えんてんえんえんえんてん

5 「全三字ぜんさんじ置き字おきじナシ」を満たみたしていることをたしかめます。

6 確認かくにんのため、返り点かえりてん送り仮名おくりがな付けつけ訓読文くんどくぶん作成さくせいします。

【A1】
 えん てん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんえんミレてんヲ(『論語ろんご憲問けんもん
構文こうぶん分析ぶんせきadvえんvてんo =第三文型だいさんぶんけい

補説ほせつ動詞どうし「怨む」を否定ひていした「うらみず」には違和感いわかん覚えおぼえるかもしれません。四段よだん活用かつよう「うらむ」の未然みぜんかたち打消うちけし助動詞じょどうし「ず」を付けつければ「うらまず」となるはずですから。けれども「うらむ」はもとうえ二段にだん活用かつようでした。漢文かんぶん訓読くんどくでは、未然みぜんかたちにだけは旧いふるいうえ二段にだん活用かつよう残しのこし、「不レ怨」」「うらみず」とくんずるのが通例つうれいです。ちなみに同様どうよう例にれいに「忍ぶ」があり、「不レ忍」」「しのびず」となります。

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書き下し文2字→原文3字,「ず」→「不」。「天を怨む」→怨天〔V/O〕;「怨みず」→不怨(否定副詞)。組合:不怨天。

【補説】「怨む」本為上二段活用,漢文訓讀中保留舊的上二段未然形,故「不怨」讀作「うらみず」而非「うらまず」。同例:「忍」→「しのびず」。

《Q2》解説かいせつ解答かいとう かんようかみpp. 118–120

《Q2》間髪かんぱつ容れいれず。(全四字ぜんよじ置き字おきじナシ)

1 書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう三字さんじ原文げんぶん四字よじですから、「ず」を「不」に改めあらためればよいとの見当けんとうがつきます。

2 助詞じょし「ね」を付けつけて「間(ね)/髪を(ね)/容れず」と文節ぶんせつ分かわかちます。

3 名詞めいし「間」が動詞どうし「容る」の主語しゅご。《格言かくげん》により「髪を」の「を」から〔V/O〕変換へんかん。「容れず」は否定ひていの「不」を被修飾語ひしゅうしょくご「容」に冠すかんす
 ▽「間容る」→かんよう  ▽「髪を容る」→ようかみ  ▽「容れず」→よう

4 《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》により修飾語しゅうしょくご「不」が被修飾語ひしゅうしょくご「容」に密着みっちゃく
 ▼かんようようかみようようかんようかみ

【A2】
かん  よう かみ
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんかんようイレレかみヲ(『漢書かんじょまいじょうでん「上書諫呉王」)
構文こうぶん分析ぶんせきかんsadvようvかみo =第三文型だいさんぶんけい

補説ほせつ〕「間髪を容れず」とふつう発音はつおんされますが、本来ほんらい「間髪」を一語いちごのように扱うあつかうのは誤りあやまりです。もし「間髪」が一語いちごであれば原文げんぶんは「不容間髪」(よう二間ふたまかみいち)となるはずですが、これでは意味いみ通じつうじません。

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書き下し文3字→原文4字,「ず」→「不」。「間」為主語,「髪を」→容髪〔V/O〕,「容れず」→不容。《修被直結原則》:不密着容→間不容髪。

【補説】日語常說「間髪を容れず」,但「間髪」本為二語。若「間髪」是一語,原文應作「不容間髪」,但那樣語義不通。正確語序是「間」(隙間)作主語,「髪」作目的語。

《Q3》解説かいせつ解答かいとう 光陰こういんじょせんpp. 120–121

《Q3》光陰こういんせん如しごとし。(全四字ぜんよじ置き字おきじナシ)

1 書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう四字よじ原文げんぶん四字よじですから、書き下し文かきくだしぶん漢字かんじ適切てきせつ並べならべるだけの問題もんだいです。

2 助詞じょし「ね」を付けつけて「光陰(ね)/箭の(ね)/如し」と文節ぶんせつ分かわかちます。

3 名詞めいし「光陰」が主語しゅご、「如し」が述部じゅつぶ中核語ちゅうかくご。この「如」は連結動詞れんけつどうし linking verb ですので、名詞めいし「箭」が補語ほごとなります。
 ▽「光陰如し」→光陰こういんじょ  ▽「箭の如し」→じょせん

4 ▼光陰こういんじょじょせんせん光陰こういんじょせん

【A3】
ひかり いん じょ せん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん光陰こういんじょシレせんノ(〔宋〕蘇軾そしょく《行香子》「秋興」
構文こうぶん分析ぶんせき光陰こういんsじょvせんc =第二文型だいにぶんけい

中文翻譯

書き下し文4字=原文4字,直接組合。「光陰」為主語,「如」為連結動詞(繫辞)linking verb,「箭」為補語(第二文型SVC)。光陰如箭。

《Q4》解説かいせつ解答かいとう しんいたさかいpp. 121–122

《Q4》しん始めはじめさかい至るいたる。(全五字ぜんごじ第四字だいよじ置き字おきじ「於」)

1 書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう四字よじ原文げんぶん五字ごじですから、問題もんだいに「第四字だいよじ置き字おきじ』」との条件じょうけんがありますので、仮名書かながききの自らみずから漢字かんじ復元ふくげんするには及びおよびません。

2 助詞じょし「ね」を付けつけて「臣(ね)/始めて(ね)/境に(ね)/至る」と文節ぶんせつ分かわかちます。

3 「臣」が主語しゅご・「至る」が動詞どうし副詞ふくし「始めて」は動詞どうし「至る」の修飾語しゅうしょくご→「始至」。「境に」は置き字おきじ「於」を用いてもちいて後位副詞句こういふくしく「於境」とします。
 ▽「臣至る」→しんいた  ▽「始めて至る」→いた  ▽「境に至る」→いたさかい

4 《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》により修飾語しゅうしょくご「始」が「至」に密着みっちゃく
 ▼しんいたいたいたさかいさかいしんいたさかい

【A4】
しん  いた  さかい
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんしんメテいたさかいいち(『孟子もうし梁恵王下りょうけいおうか
構文こうぶん分析ぶんせきしんsadvいたvさかいq =第一文型だいいちぶんけい

中文翻譯

書き下し文4字→原文5字,第4字指定置き字「於」。「臣」=主語,「始めて」=副詞修飾「至」,「境に」→後位副詞句「於境」。組合:臣始至於境。第一文型(S V Q)。

《Q5》解説かいせつ解答かいとう そのたみ河東かわひがしpp. 122–124

《Q5》その(そ)のたみ河東かわひがし移すうつす。(全六字ぜんろくじ第四字だいよじ置き字おきじ「於」)

1 書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう五字ごじ原文げんぶん六字ろくじですから、問題もんだいに「第四字だいよじ置き字おきじ』」とありますので仮名書かながききの自らみずから復元ふくげんするには及びおよびません。

2 助詞じょし「ね」を付けつけて「其の(ね)/民を(ね)/河東に(ね)/移す」と文節ぶんせつ分かわかちます。

3 「其の」が「民」に掛かかか修飾語しゅうしょくご→「其民」(「の」は送り仮名おくりがな「其ノ」)。「民を移す」→〔V/O〕変換へんかんで「移民」。「河東に移す」→置き字おきじ「於」を用いてもちいて「移於河東」。
 ▽「其の民」→そのたみ  ▽「民を移す」→移民いみん  ▽「河東に移す」→河東かわひがし

4 《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》により修飾語しゅうしょくご「其」が「民」に密着みっちゃく動詞どうし「移」の下方しもほうには《順行配置則じゅんこうはいちそく》に従いしたがい書き下し文かきくだしぶんじゅんどおりに「其民」をうえ、「於河東」を下にしたに置くおく(〔V/(OQ)〕変換へんかん)。
 ▼そのたみ移民いみん河東かわひがし河東かわひがしそのたみ河東かわひがし

【A5】
 その たみ  かわ ひがし
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんそのたみ河東かわひがしニ(『孟子もうしはり恵王けいおううえ
構文こうぶん分析ぶんせきvそのたみo河東かわひがしq =第三文型だいさんぶんけい

中文翻譯

書き下し文5字→原文6字,第4字指定置き字「於」。「其の民」→其民(修飾語);「民を移す」→移民〔V/O〕;「河東に移す」→移於河東(後位副詞句)。《順行配置則》→〔V/(OQ)〕变換:移其民於河東。第三文型。

《Q6》解説かいせつ解答かいとう 百聞ひゃくぶんじょ一見いっけんpp. 124–126

《Q6》百聞ひゃくぶん一見いっけん如かずしかず。(全六字ぜんろくじ置き字おきじナシ)

1 書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう五字ごじ原文げんぶん六字ろくじですから、「ず」を「不」に改めあらためればよいとの見当けんとうがつきます。

2 助詞じょし「ね」を付けつけて「百聞は(ね)/一見に(ね)/如かず」と文節ぶんせつ分かわかちます。

3 「百聞」が主語しゅご、「如く」が述部じゅつぶ中核語ちゅうかくご(この「如」は「及ぶ」純然じゅんぜんたる動詞どうしであり、《Q3》の連結動詞れんけつどうしとは異なことなります)。《格言かくげん》により「一見に」の「に」から〔V/O〕変換へんかん→「如一見」。「如かず」→じょ
 ▽「百聞如く」→百聞ひゃくぶんじょ  ▽「一見に如く」→じょ一見いっけん  ▽「如かず」→じょ

4 《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》により修飾語しゅうしょくご「不」が「如」に密着みっちゃく
 ▼百聞ひゃくぶんじょじょ一見いっけんじょじょ百聞ひゃくぶんじょ一見いっけん

【A6】
ひゃく ぶん  じょ いち けん
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん百聞ひゃくぶんじょ一見いっけんニ(『漢書かんじょちょうじゅうくにでん
構文こうぶん分析ぶんせき百聞ひゃくぶんsadvじょv一見いっけんo =第三文型だいさんぶんけい

中文翻譯

書き下し文5字→原文6字,「ず」→「不」。此處「如」為純粹動詞(及ぶ),非連結動詞。「百聞」=主語,「一見に如く」→如一見〔V/O〕,「如かず」→不如。《修被直結原則》→百聞不如一見。

《Q7》解説かいせつ解答かいとう 冉子ぜんしゆき粟五秉ぞくごへいpp. 126–127

《Q7》冉子ぜんしゆき(これ)に粟五秉ぞくごへい与ふあたふ。(全七字ぜんしちじ置き字おきじナシ)

1 書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう七字しちじ原文げんぶん七字しちじですから、書き下し文かきくだしぶん漢字かんじ適切てきせつ並べならべるだけの問題もんだいです。

2 助詞じょし「ね」を付けつけて「冉子ぜんし(ね)/ゆきに(ね)/粟五秉ぞくごへいを(ね)/与ふあたふ」と文節ぶんせつ分かわかちます。

3 「冉子ぜんし」が主語しゅご・「与ふ」が授与動詞じゅよどうし。「之に」の「に」から「之」が間接目的語かんせつもくてきご(IO)、「粟五秉ぞくごへいを」の「を」から「粟五秉ぞくごへい」が直接目的語ちょくせつもくてきご(DO)とわかります。《順行配置則じゅんこうはいちそく》を適用てきよう書き下し文かきくだしぶんじゅんどおりに〔V/(OO)〕変換へんかん
 ▽「冉子ぜんし与ふあたふ」→冉子ぜんし  ▽「ゆき粟五秉ぞくごへい与ふあたふ」→ゆき粟五秉ぞくごへい

4 ▼冉子ぜんしゆき粟五秉ぞくごへい冉子ぜんしゆき粟五秉ぞくごへい

【A7】
ぜん   ゆき あわ  
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん冉子ぜんしゆき粟五秉ぞくごへいヲ(『論語ろんごよう
構文こうぶん分析ぶんせき冉子ぜんしsvゆきio粟五秉ぞくごへいdo =第四文型だいよんぶんけい

中文翻譯

書き下し文7字=原文7字,直接組合。「冉子」=主語,「与ふ」=授與動詞。「之に」→間接目的語,「粟五秉を」→直接目的語。〔V/(OO)〕變換:冉子与之粟五秉。第四文型(S V IO DO)。

《Q8》解説かいせつ解答かいとう 子貢しこうとんおさむたみ孔子こうしpp. 127–129

《Q8》子貢しこうたみ治むおさむるを孔子こうし問ふとふ。(全八字ぜんはちじ第六字だいろくじ置き字おきじ「於」)

1 書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう七字しちじ原文げんぶん八字はちじですが、問題もんだいに「第六字だいろくじ置き字おきじ』」とありますので仮名書かながききの自らみずから復元ふくげんするには及びおよびません。

2 助詞じょし「ね」を付けつけて「子貢しこう(ね)/たみを(ね)/治むおさむるを(ね)/孔子こうしに(ね)/問ふとふ」と文節ぶんせつ分かわかちます。

3 「子貢しこう」が主語しゅご・「問ふ」が動詞どうし。「民を」の「を」から「民」は動詞どうし「治む」の目的語もくてきご、「治むるを」の「を」から動詞どうし「治む」が動詞どうし「問ふ」の目的語もくてきごどう名詞めいしてき用法ようほう)、「孔子こうしに」→後位副詞句こういふくしく「於孔子こうし」。
 ▽「子貢しこう問ふとふ」→子貢しこうとん  ▽「民を治む」→おさむたみ  ▽「治むるを問ふ」→とんおさむ  ▽「孔子こうし問ふとふ」→とん孔子こうし

4 《順行配置則じゅんこうはいちそく》で〔V/(OQ)〕変換へんかん
 ▼子貢しこうとんおさむたみとんおさむとん孔子こうし子貢しこうとんおさむたみ孔子こうし

【A8】
 みつぐ とん おさむ たみ  あな 
確認かくにんよう訓読文くんどくぶん子貢しこうとんおさむムルヲたみ孔子こうしニ(『説苑ぜいえんまつりごと
構文こうぶん分析ぶんせき子貢しこうsとんvおさむたみo孔子こうしq =第三文型だいさんぶんけい

補説ほせつ〕「治むるを問ふ」には戸惑っとまどったかもしれません。動詞どうし「治」が同じおなじ動詞どうし「問」の目的語もくてきごになるように見えみえるからです。しかし「治」は英語えいごどう名詞めいし〈governing〉または不定ふてい名詞めいし用法ようほう〈to govern〉に相当そうとうします。そう考えかんがえれば「治」が「問」の目的語もくてきごになるのも不思議ふしぎではないでしょう。

中文翻譯

書き下し文7字→原文8字,第6字指定置き字「於」。「治」在此作動名詞用法(〈governing〉),是「問」的目的語。〔V/(OQ)〕變換:子貢問治民於孔子。

《Q9》解説かいせつ解答かいとう かいちちゆきしんちちゆきまつりごとpp. 129–131

《Q9》ちちしんちちまつりごととを改めあらためず。(全九字ぜんくじ置き字おきじナシ)

1 書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう五字ごじ原文げんぶん九字くじ、「置き字おきじナシ」との指示しじですから、仮名書かながききの漢字かんじ四字よじ書きかき改めあらため必要ひつようがあります。二つふたつの「の」に「之」を、末尾まつびの「ず」に「不」を当てあてるのはよいとしても、もう一字いちじはどうするか。取り敢えずとりあえず懸案けんあんとして保留ほりゅうしておきます。

2 助詞じょし「ね」を付けつけつつ「父の(ね)/臣と(ね)/父の(ね)/政とを(ね)/改めず」と文節ぶんせつ分かわかちます。

3 二つふたつの「父」はそれぞれ「臣」と「政」に掛かかか修飾語しゅうしょくご。《格言かくげん》により動詞どうし「改む」が目的語もくてきご取るとることもわかります。接続詞せつぞくし「与」が「Xト与ニYト」(XとYと)のかたち並列へいれつします(→ p.50)。
 ▽「父の臣」→ちちしん  ▽「父の政」→ちちまつりごと  ▽「改めず」→かい
 ▽「父の臣と父の政と」→ちちしんちちまつりごと
 ▽「父の臣と父の政とを改む」→かいちちしんちちまつりごと

4 ▼かいちちしんちちまつりごとまつりごとかいちちしんちちまつりごと七字しちじ

5 七字しちじ指定してい九字くじ二字にじ不足ふそくしています。1で考えかんがえておいた二つふたつの「の」を漢字かんじ「之」に書き換えかきかえて「かいちちゆきしんちちゆきまつりごと」とします。

【A9】
 かい ちち ゆき しん  ちち ゆき まつりごと
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんかいちちゆきしんちちゆきまつりごといち(『論語ろんご子張しちょう
構文こうぶん分析ぶんせきadvかいvちちゆきしんちちゆきまつりごとo =第三文型だいさんぶんけい

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書き下し文5字→原文9字(置き字無),需還原4字假名。「ず」→「不」,二個「の」→「之」,還有接続詞「与」(Xと与ニYと的並列形式)。先得不改父臣与父政(7字),仍差2字,故二個「の」均復元為「之」→不改父之臣与父之政。

《Q10》解説かいせつ解答かいとう 無道ぶどうにんゆきたんせつおのれゆきちょうpp. 131–133

《Q10》にんたんみちふこと無かなかれ、おのれちょう説くとくこと無かなかれ。(全十字ぜんじゅうじ置き字おきじナシ)

1 書き下し文かきくだしぶん漢字数かんじすう八字はちじ原文げんぶん十字じゅうじですから、仮名書かながききの漢字かんじ二字にじ書きかき改めあらため必要ひつようがあります。二つふたつの「こと」を「事」に書きかき改めあらためても字数じすう合いあいますが、書き下し文かきくだしぶんにおいて名詞めいし「事」が「こと」と仮名書かながききされる可能性かのうせいはありません。書き下し文かきくだしぶん仮名書かながききになるのは、あくまで日本語にほんご助詞じょし助動詞じょどうし当てあてくんずるだけです。

2 助詞じょし「ね」を付けつけつつ「人の(ね)/短を(ね)/道ふこと(ね)/無かれ、己の(ね)/長を(ね)/説くこと(ね)/無かれ」と文節ぶんせつ分かわかちます。

3 「人の」「己の」がそれぞれ「短」「長」に掛かかか修飾語しゅうしょくご→「人短」「己長」。「短を道ふ」→「道短」、「長を説く」→「説長」(〔V/O〕変換へんかん)。「道ふこと無かれ」「説くこと無かれ」は《英語相似律えいごそうじりつ》により禁止命令きんしめいれい〈Do not〉と同じおなじ動詞どうし直前ちょくぜん→「無道」「無説」(禁止きんしの「無」が動詞どうし冠すかんする)。
 ▽「人の短」→にんたん  ▽「己の長」→おのれちょう
 ▽「短を道ふ」→みちたん  ▽「長を説く」→せつちょう
 ▽「道ふこと無かれ」→無道ぶどう  ▽「説くこと無かれ」→せつ

4 《修被直結原則しゅうひちょっけつげんそく》により修飾語しゅうしょくご「人」「己」のほうが動詞どうし「道」「説」よりも被修飾語ひしゅうしょくご「短」「長」との密着みっちゃく高いたかい
 ▼にんたんおのれちょうみちたんせつちょう無道ぶどうせつせつ無道ぶどうにんたんせつおのれちょう八字はちじ

5 八字はちじ指定してい十字じゅうじ二字にじ不足ふそく二つふたつの「の」を「之」に書き換えかきかえて「無道ぶどうにんゆきたんせつおのれゆきちょう」とします。

6 本問ほんもんは「全十字ぜんじゅうじ」の問題もんだいとはいえ、実質じっしつは「全五字ぜんごじ」の問題もんだい二つふたつ重ねおもねただけです。

【A10】
 みち にん ゆき たん 、  せつ おのれ ゆき ちょう
確認かくにんよう訓読文くんどくぶんカレレみちフコト二人ふたりゆきたんいちカレレせつクコトおのれゆきちょういち(〔漢〕さいえん「座右銘」)
構文こうぶん分析ぶんせきauxみちvにんゆきたんoauxせつvおのれゆきちょうo =第三文型だいさんぶんけい第三文型だいさんぶんけい

中文翻譯

書き下し文8字→原文10字,需還原2字假名。注意:「こと」不能還原為「事」(「事」在書き下し文中不會寫成仮名)。「無かれ」為禁止命令,《英語相似律》→仿英語〈Do not〉,「無」冠於動詞前:無道、無説。《修被直結原則》→人之短(人修飾短)、己之長(己修飾長)→無道人短、無説己長(8字)→二個「の」→「之」→無道人之短、無説己之長(10字)。

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