短編小説 大正4年(1915)11月『帝国文学』発表(23歳)
東京帝大英文科3年生時の芥川の出世作。『今昔物語』巻29の「羅城門登上層見死人盗人語」と「太刀帯陣売魚姫語」に材を取った王朝物。平安京の荒廃した羅城門の楼上で、下人と老婆が出会う極限状況の中で、人間の生存本能と倫理の崩壊を描いた。「下人の行方は、誰も知らない」の有名な結末。
羅城門は平安京の朱雀大路の南端に建てられた都の正面玄関。平安後期から荒廃が進み、芥川が物語の舞台に選んだ時代設定では、屍を捨てる場所として地獄絵のような風景になっていた。七段の石段と丹塗りの柱が朽ち、暗い楼上には死人と老婆が居た。
黒澤明監督、一九五〇(昭和25)年に芥川の『羅生門』と『藪の中』を原作とした映画化作品。三船敏郎・京マチ子・志村喬らが主演。一九五一年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞、戦後日本映画の国際進出の嚆矢となった。
平安時代の装束を示す。烏帽子、平安束帯(公家)、染色衣(庶民の上下)、火桶、髪を抜く老女の刀(木製のなまくらの刀)、撫物甪と市女笠など、当時の生活道具を示す。