『新古今和歌集』(1205年成立、後鳥羽院監修)は八代集の最後を飾る勅撰集。撰者は源通親・藤原定家・藤原家隆・寂蓮・藤原有家・藤原雅経の六人。藤原俊成の歌論を受け継ぎ、「幽玄」「有心」の美意識を確立。古今集とは対照的に、複雑な技巧(本歌取り・三句切れ・体言止め)と象徴的・象徴主義的歌風を特色とする。
新古今集巻四・秋上の三首を「三夕の歌」と呼ぶ。「秋の夕暮れ」を結句に持つ寂蓮・西行・定家の三首が並ぶ。寂蓮「さびしさはその色としもなかりけり真木立つ山の秋の夕暮」(または「村雨の露もまだひぬ」)、西行「心なき身にもあはれは知られけりしぎ立つ沢の秋の夕暮」、定家「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮」。中世和歌の幽玄美の極致を示す三首。
西行(1118–1190、俗名・佐藤義清)は新古今集の中心的歌人で、94首採られている(最多)。元北面武士、出家後は諸国を漂泊。自由な作風と深い情感で後の歌道に大きな影響を与えた。代表歌「願はくは花のもとにて春死なむそのきさらぎの望月のころ」「嘆けとて月やはものを思はする」など。
寂蓮法師(俗名・藤原定長)は俊成の甥で、新古今集の撰者の一人。三夕の歌の作者の一人として名高い。式子内親王(1149–1201)は後白河天皇の皇女で、藤原俊成・定家に学ぶ。激しい情感と凝縮された表現で、女流歌人の中でも独特の存在。代表歌「玉の緒よ絶えなば絶えね」。