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浜島書店 — pilot v2 OCR + ruby 版(PDF 5–198 ページ)

p.180 古典こてん名歌めいかたびうつうた

旅・死・現し世の歌たび・し・うつしよの うた

和歌わか重要じゅうようなテーマとして、たび哀愁あいしゅう哀傷あいしょう現し世うつしよ無常むじょうがある。ほんページでは、これらのテーマを万葉まんようから新古今しんこきんまでの名歌めいか集約しゅうやくする。富士山ふじさんつるかり蜻蛉野かげろうのなどの自然しぜんと、人生じんせい根源的こんげんてき感情かんじょうとをむすびつけた歌の世界せかいる。

旅の歌たびの うた

和歌わかにおける「たび」は、たんなる移動いどうではなく、みやこはなれるかなしみと、未知みちでの孤独こどくともな詩的してき体験たいけん万葉集まんようしゅう防人さきもりうた阿倍仲麻呂あべの なかまろ唐土とうどからの望郷ぼうきょううた能因法師のういん ほうし西行さいぎょう芭蕉ばしょうなどの行脚あんぎゃうたがこの系譜けいふつくる。「あまはらふりさければ春日かすがなる三笠みかさやまでしつきかも」(阿倍仲麻呂あべの なかまろ)は代表作だいひょうさく

哀傷の歌あいしょうの うた

したしいひとあいするひとうしなったかなしみをうた哀傷歌あいしょうかという。古今集こきんしゅう以来いらい勅撰集ちょくせんしゅうに「哀傷あいしょう」の部立ぶだてがある。柿本人麻呂かきのもとの ひとまろつま泣血きゅうけつ哀慟あいどう作歌さっか」、紀貫之きの つらゆき亡妻ぼうさい挽歌ばんか藤原俊成ふじわらの しゅんぜいなかみちこそなけれ」など、和歌史わかしつらぬ重要じゅうようなテーマ。

現し世の歌うつしよの うた

現し世うつしよ」は現実げんじつ和歌わかではゆめうつつまぼろしのテーマとむすびつき、人生じんせいはかなさをむ。良寛りょうかんかすみなが春日はるひ子供こどもらとまりつきつつこのらしつ」のようならしの肯定こうていもあれば、後鳥羽院ごとばいんひともをしひともうらめし」のような無常むじょう嘆息たんそくもある。ほんページではこの「現し世うつしよ」をめぐうた一覧いちらんする。