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浜島書店 — pilot v2 OCR + ruby 版(PDF 5–193 ページ)

p.174 百人一首 91〜95番(良経〜慈円)

百人一首 第91首〜第95首

91 後京極摂政前太政大臣ごきょうごく せっしょう さきの だじょうだいじん

きりぎりすくや霜夜しもよのさむしろにころもかたしきひとりかも

出典: 新古今集 巻五・秋下

きりぎりすが鳴く霜の降る寒い夜の筵の上に、一人で衣を片敷いて寝るのだろうか、と詠む。藤原良経の作。万葉集の人麻呂歌「あしびきの山鳥の」と通底する独り寝の歌。

92 二条院讃岐にじょういん さぬき

わがそで潮干しおひえぬおきいしひとこそらねかわくもなし

出典: 千載集 巻十二・恋二

私の袖は、潮が引いても見えない沖の石のように、人には知られないが涙で乾く間もない、と詠む。激しい片思いの歌。

93 鎌倉右大臣かまくらの うだいじん

なかつねにもがもななぎさぐあまの小舟おぶね綱手つなでかなしも

出典: 新勅撰集 巻八・羈旅

「がも」は願望の助詞。世の中は常にこうあってほしい。渚を漕いでいく漁師の小舟の引き綱を曳く光景がいとしいことよ、と詠む。源実朝(鎌倉幕府三代将軍)の作。

94 参議雅経さんぎ まさつね

吉野よしのやま秋風あきかぜけてふるさとさむころもうつなり

出典: 新古今集 巻五・秋下

吉野の山の秋風が深夜に吹き、古都吉野が寒く感じられる中、砧で衣を打つ音が聞こえる、と詠む。藤原雅経の作。砧の音は秋の風物詩。

95 前大僧正慈円さきの だいそうじょう じえん

おほけなくうきたみにおほふかなわがつそまにすみ染めのそで

出典: 千載集 巻十七・雑中

「立つそま」は比叡山の麓の地名で、僧の住む山の意。身の程をわきまえずも、辛い世の民を覆い守ろうとする、私の墨染めの袖よ、と詠む。慈円は天台座主・摂関藤原忠通の子。