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浜島書店 — pilot v2 OCR + ruby 版(PDF 5–193 ページ)

p.173 百人一首 85〜90番(俊恵〜大輔)

百人一首 第85首〜第90首

85 俊恵法師しゅんえ ほうし

もすがらものおもふころはけやらぬねやのひまさへつれなかりけり

出典: 千載集 巻十二・恋二

一晩中物思いに沈むこの頃は、なかなか明けない閨の隙間(戸の隙間)まで冷淡に思える、と詠む。来ない男を待つ女の苦しみを代詠する。

86 西行法師さいぎょう ほうし

なげけとてつきやはものをおもはするかこちがほなるわがなみだかな

出典: 千載集 巻十五・恋五

「嘆け」と命じて月が物思いをさせるのだろうか。月のせいだという顔をして流れる私の涙よ、と詠む。月にかこつけた恋の嘆き。西行(佐藤義清)の名歌。

87 寂蓮法師じゃくれん ほうし

村雨むらさめつゆもまだひぬまきのきりちのぼるあき夕暮ゆうぐれ

出典: 新古今集 巻五・秋下

通り雨の露がまだ乾かない真木の葉に、霧が立ちのぼる秋の夕暮れ、と詠む。新古今集の「三夕の歌」の一首。

88 皇嘉門院別当こうかもんいんの べっとう

難波江なにわえあしのかりねのひとゆゑくしてやこいひわたるべき

出典: 千載集 巻十三・恋三

「かりね」に「刈り根」「仮寝」、「みをつくし」に「澪標」「身を尽くし」を掛ける。難波江の芦の刈り根の一節ほどの短い仮寝の一夜のために、身を尽くして恋し続けるのだろうか、と詠む。

89 式子内親王しょくし ないしんのう

たまえなばえねながらへばしのぶることのよわりもぞする

出典: 新古今集 巻十一・恋一

「玉の緒」は命の比喩。命よ、絶えるなら絶えてしまえ。長らえれば(恋心を)忍ぶ力が弱ってしまうから、と詠む。式子内親王の激しい恋情の歌。後白河院の皇女。

90 殷富門院大輔いんぷもんいんの たいふ

せばやな雄島おじまのあまのそでだにもれにぞれしいろはらず

出典: 千載集 巻十四・恋四

雄島(陸奥松島)の漁師の袖は濡れていても色は変わらないが、私の袖は涙で血の色に染まっている、と詠む。源重之の「松島やをじまのあまの濡れ衣」の本歌取り。