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浜島書店 — pilot v2 OCR + ruby 版(PDF 5–193 ページ)

p.172 百人一首 79〜84番(顕輔〜清輔)

百人一首 第79首〜第84首

79 左京大夫顕輔さきょうの だいぶ あきすけ

秋風あきかぜにたなびくくものたえよりもれづるつきかげのさやけさ

出典: 新古今集 巻四・秋上

秋風にたなびく雲の絶え間から漏れ出る月光の清らかなこと、と詠む。秋の月の美をひと筋の光に集約した名歌。藤原顕輔の作。

80 待賢門院堀河たいけんもんいんの ほりかわ

ながからむこころらず黒髪くろかみのみだれて今朝けさはものをこそおも

出典: 千載集 巻十三・恋三

「みだれて」は黒髪の乱れと心の乱れの両義。永くあなたが愛してくれるかどうかも分からない。黒髪が乱れるように心が乱れて、今朝は物思いに沈んでいる、と詠む。

81 後徳大寺左大臣ごとくだいじ さだいじん

ほととぎすきつるかたをながむればただ有明ありあけつきのこれる

出典: 千載集 巻三・夏

ほととぎすが鳴いた方を見ると、ただ有明の月が空に残っているばかり、と詠む。夏の夜明けの情景。藤原実定の作。

82 道因法師どういん ほうし

おもひわびさてもいのちはあるものをきにたへぬはなみだなりけり

出典: 千載集 巻十三・恋三

物思いに沈み苦しんでもなお命はあるものなのに、辛さに耐えきれず流れるのは涙だけだ、と詠む恋歌。

83 皇太后宮大夫俊成こうたいごうぐうの だいぶ しゅんぜい

なかみちこそなけれおもやまおくにも鹿しかくなる

出典: 千載集 巻十七・雑中

この世から逃れる道はないのか。深く分け入ろうとする山の奥でも、(同じく憂きを訴えるように)鹿が鳴いている、と詠む。藤原俊成の作。新古今的幽玄美の先駆。

84 藤原清輔朝臣ふじわらの きよすけ あそん

ながらへばまたこのころやしのばれむしといまこいしき

出典: 新古今集 巻十八・雑下

もしも長く生きていれば、今のこの辛い日々もまた懐かしく思い出されるだろう。辛いと思っていた昔の世が今は恋しいのと同じように、と詠む。