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浜島書店 — pilot v2 OCR + ruby 版(PDF 5–188 ページ)

p.168 百人一首 45〜54番(謙徳公〜儀同三司母)

百人一首 第45首〜第54首

45 謙徳公けんとくこう

あはれともいふべきひとおもほえでのいたづらになりぬべきかな

出典: 拾遺集 巻十五・恋五

「あはれ」と言ってくれる人もないままに、私の身は無駄に滅びてしまいそうだ、と詠む。恋に拒まれた男性の嘆き。藤原伊尹の作。

46 曽禰好忠そねの よしただ

由良ゆらのとをわた舟人ふなびとかぢを行方ゆくえらぬこいみちかな

出典: 新古今集 巻十一・恋一

由良川の河口を渡る船人が、舵を失って行方も知らずに漂うように、私の恋の道も先がわからない、と詠む。

47 恵慶法師えぎょう ほうし

八重葎やえむぐらしげれる宿やどのさびしきにひとこそえねあきにけり

出典: 拾遺集 巻三・秋

雑草の生い茂った荒れた家。人は誰も訪れないけれど、秋だけは来てくれた、と詠む。河原院(源融の旧居)の荒廃を詠む歌。

48 源重之みなもとの しげゆき

かぜをいたみいわうつなみのおのれのみくだけてものをおもふころかな

出典: 詞花集 巻七・恋上

風が激しく岩を打つ波が、自分だけ砕けるように、私だけが心砕けて物思いに沈むこの頃だ、と詠む片思いの歌。

49 大中臣能宣朝臣おおなかとみの よしのぶ あそん

みかきもり衛士えじのたく火のよるひるえつつものをこそ思へ

出典: 詞花集 巻七・恋上

宮中の御垣を守る衛士の焚き火が、夜は燃え昼は消えるように、私の恋もそのように夜は燃え昼は消えるように物思いをしている、と詠む。

50 藤原義孝ふじわらの よしたか

きみがためしからざりしいのちさへながくもがなとおもひけるかな

出典: 後拾遺集 巻十二・恋二

あなたのためなら惜しくはなかった命までも、(逢えた今は)長く生きたいと思うようになった、と詠む後朝の歌。

51 藤原実方朝臣ふじわらの さねかた あそん

かくとだにえやはいぶきのさしも草さしもらじなゆるおもひを

出典: 後拾遺集 巻十一・恋一

「いぶき」に「言ふ」、「さしも草」(伊吹山のもぐさ)に「さしも知らじ」(こんなとも知らないだろう)を掛ける。これほどとも言えないのに、伊吹山のもぐさのように燃える思いを、あなたはまだ知るまい、と詠む。

52 藤原道信朝臣ふじわらの みちのぶ あそん

けぬればるるものとはりながらなほうらめしきあさぼらけかな

出典: 後拾遺集 巻十二・恋二

夜が明ければまた日が暮れて夜が来ると分かっているのに、それでもこの朝の別れが恨めしい、と詠む後朝の歌。

53 右大将道綱母うだいしょう みちつなの はは

なげきつつひとりのあくる間はいかにひさしきものとかは

出典: 拾遺集 巻十四・恋四

嘆きながら一人で寝る夜が明けるまでが、どんなに長いものかご存じですか、と夫・藤原兼家に詠みかける。『蜻蛉日記』にも見える歌。

54 儀同三司母ぎどうさんし はは

わすれじの行末ゆくすえまではかたければ今日きょうかぎりのいのちともがな

出典: 新古今集 巻十三・恋三

「忘れない」というあなたの言葉が将来までも続くとは難しいから、いっそ今日を限りに命が絶えればよい、と詠む恋歌。「儀同三司」とは藤原伊周のこと。母は高階貴子。