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浜島書店 — pilot v2 OCR + ruby 版(PDF 5–188 ページ)

p.166 百人一首 26〜34番(貞信公〜興風)

百人一首 第26首〜第34首

26 貞信公ていしんこう

小倉山おぐらやまみねのもみぢ葉こころあらばいまひとたびのみゆきたなむ

出典: 拾遺集 巻十七・雑秋

宇多上皇が小倉山に行幸した翌日、太政大臣藤原忠平が紅葉に向かって詠んだ歌。「もみじの葉に心があるならば、もう一度天皇の行幸を待っていてほしい」と。「みゆき」は天皇の御幸。

27 中納言兼輔ちゅうなごん かねすけ

みかのはらわきてながるるいづみがわいつきとてかこいしかるらむ

出典: 新古今集 巻十一・恋一

「みかの原」「いづみ川」(地名)に「湧きて」「いつ見」を掛けた言葉遊び。逢ったこともない人が、いつ逢ったとて恋しく思われるのだろう。藤原兼輔の作。

28 源宗于朝臣みなもとの むねゆき あそん

山里やまざとふゆぞさびしさまさりけるひとめもくさもかれぬとおもへば

出典: 古今集 巻六・冬

「かれ」に「離れ」(人が去る)と「枯れ」(草木が枯れる)を掛ける。山里は冬こそ寂しさが増す、人も訪れず草も枯れてしまうことを思うと、と詠む。

29 凡河内躬恒おおしこうちの みつね

こころあてにらばやらむ初霜はつしものおきまどはせる白菊しらぎくはな

出典: 古今集 巻五・秋下

初霜が降りて白く見え、白菊の花と見分けがつかない。当て推量で折ろうとすれば折れるだろうか、と詠む。視覚的錯覚の妙を詠む歌。

30 壬生忠岑みぶの ただみね

有明ありあけのつれなくえしわかれよりあかつきばかりきものはなし

出典: 古今集 巻十三・恋三

夜明けの月が冷たく見えた、あの別れの朝以来、暁ほど辛いものはない、と詠む後朝(きぬぎぬ)の恋歌。

31 坂上是則さかのうえの これのり

あさぼらけ有明ありあけつきるまでに吉野よしのさとれる白雪しらゆき

出典: 古今集 巻六・冬

明け方、有明の月かと見まがうほどに、吉野の里に降った白雪、と詠む。月光と雪の白さの錯覚を巧みに表現した冬の名歌。

32 春道列樹はるみちの つらき

山川やまかわかぜのかけたるしがらみはながれもあへぬ紅葉もみじなりけり

出典: 古今集 巻五・秋下

山の川に風が架けた柵(しがらみ)と見えたのは、流れきれない紅葉だった、と詠む。秋の景物の見立ての歌。

33 紀友則きの とものり

ひさかたのひかりのどけきはるにしづごころなくはなるらむ

出典: 古今集 巻二・春下

「ひさかたの」は「光」にかかる枕詞。光がのどかな春の日に、なぜ落ち着かなく花は散ってしまうのだろう、と桜の散る情景を惜しむ。

34 藤原興風ふじわらの おきかぜ

たれをかもひとにせむ高砂たかさごまつむかしともならなくに

出典: 古今集 巻十七・雑上

誰を知り合いにすればよいのか。高砂の松も、長寿だけれど私の昔の友ではないのだから、と老境の孤独を詠む。