p.158 能・狂言 — 世阿弥・風姿花伝・能面
世阿弥
南北朝〜室町時代(1363?–1443?) — 能の大成者
世阿弥(観世元清)は父・観阿弥と共に猿楽能を大成した役者・作者・能理論家。足利義満の庇護を受けて活躍し、京都の幽玄美を取り入れた能を確立した。多くの謡曲(能の脚本)と理論書を残し、日本の中世芸術の到達点となった。
『風姿花伝』
応永7–25年(1400–1418)頃成立
世阿弥の能楽理論書の代表作。「花伝書」とも呼ばれる。役者の年齢別の稽古論、能の演技論、観客との関係論、能の美的理念(「幽玄」「花」)を体系的に説く。冒頭の「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」は名高い。
『花鏡』
応永31年(1424)成立
世阿弥晩年の能楽理論書。『風姿花伝』が若き日の覚え書きであるのに対し、『花鏡』は熟達した境地から能の本質を語る。「離見の見」(演者が自分を客観視する視点)など、独自の理論用語を多く創出した。
謡曲と能の様式
能は主役(シテ)と相手役(ワキ)の二人を中心に、囃子方(笛・小鼓・大鼓・太鼓)・地謡(合唱)・狂言方の構成で演じる総合芸術。物語は神・修羅・鬘・狂・鬼の「五番立て」の分類があり、面(おもて)をかけて演じる。能舞台は橋掛り・本舞台・鏡の間からなる固有の構造を持つ。
能面
能で使われる仮面。役柄により多種多様な型がある。代表的な面に、女性役の「小面」「増女」「孫次郎」、老人役の「翁」、神役の「天神」、鬼・怨霊の「般若」「蛇」など。能面は角度や光の当て方で表情を変える「中間表情」を持つ精緻な工芸品。
五番立てと演目分類
本ページ下部には能の演目を「神・男・女・狂・鬼」(または「初番・二番・三番・四番・五番」)の五分類で並べた一覧表が掲載される。各分類の代表曲(『高砂』『敦盛』『井筒』『隅田川』『道成寺』など)が並ぶ。