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浜島書店 — pilot v2 OCR + ruby 版(PDF 5–163 ページ)

p.144 『宇治拾遺物語うじしゅういものがたり

鎌倉時代初期 — 庶民の笑いと哀しみかまくらじだい しょき — しょみんの わらいと かなしみ

編者・成立へんじゃ・せいりつ

編者へんじゃ未詳みしょう鎌倉時代かまくらじだい初期しょき(13世紀せいき前半ぜんはん)の成立せいりつとされる。「宇治大納言物語うじだいなごん ものがたり」をおぎなひろもらしたというで「宇治拾遺うじしゅうい」とばれる。ふる説話せつわ散逸さんいつふせ意図いとまれたとされる。

構成こうせい

ぜん2かん、197はなし説話せつわおさめる。「いまむかし」の説話せつわと「今昔物語集こんじゃくものがたりしゅう」と共通きょうつうするはなしおおい。仏教ぶっきょう説話せつわ世俗せぞく説話せつわ滑稽譚こっけいたん教訓譚きょうくんたんなど多彩たさい内容ないようふくむ。

内容ないよう

おにこぶらるること」「ちごのそら」「絵仏師えぶっし良秀よしひで」など、滑稽こっけいでかつ機知きち説話せつわおおふくむ。庶民しょみん生活せいかつ僧侶そうりょ機略きりゃく人間にんげんよわさや欲望よくぼうをユーモラスにえがき、当時とうじ人々ひとびと生活せいかつ感情かんじょうつたえる。芥川龍之介あくたがわ りゅうのすけの『はな』『芋粥いもがゆ』『地獄変じごくへん』などの素材そざいともなった。

文体ぶんたい

和文わぶん基調きちょうとする平易へいい文体ぶんたいはなし言葉ことばちか口語的こうごてき表現ひょうげんおおく、当時とうじはなしかたくちかす。今昔物語集こんじゃくものがたりしゅうことなり、漢字片仮名混かんじ かたかな まじじり文ではなく、和文わぶん仮名文かなぶん系譜けいふつ。

山号の事(巻一)さんごう の こと

まきいち所収しょしゅう挿話そうわ比叡山ひえいざんなどのやま由来ゆらいかたる。ページ口絵くちえには比叡山ひえいざん延暦寺えんりゃくじ根本中堂こんぽんちゅうどうおもわれる写真しゃしんえられる。

児のそら寝(巻一・第十二話)ちごの そらね

比叡山ひえいざん僧坊そうぼうそうたちがもちつくっていた。そこにいた小坊主こぼうずちご)は「こされたらべよう」とかんがえてわざとたふりをしていたが、結局けっきょくこされず、ぎてもちべそびれてしまうという滑稽譚こっけいたんどもの素直すなお可愛かわいらしさと欲深よくぶかさをえがく。