平安時代後期 — 新時代の名もなき題材
編者は未詳。源隆国編とする説が古くから伝わるが、確証はない。一説には複数の編者の手を経て編まれたともいう。
平安時代後期(1120年頃)の成立とされる。当初は三十一巻があったとされ、現存は二十八巻(巻八・十八・二十一が欠巻)。
全1000以上の説話を収める。冒頭の語「今は昔」から「今昔物語集」と名づけられた。内容は天竺(インド)部・震旦(中国)部・本朝(日本)部の三部構成で、仏教説話と世俗説話の双方を扱う。本朝部の世俗説話には、武士・盗賊・庶民の生活を生き生きと描いたものが多く、新時代の文学として注目される。芥川龍之介の『羅生門』『鼻』『芋粥』などの素材ともなった。
漢字・片仮名・万葉仮名を交えた独特の文体(宣命体に近い)。漢文訓読体と和文を融合させ、後代の和漢混淆文の先駆とされる。短く区切られた歯切れのよい文章で、説話文学にふさわしい語り口を持つ。
高僧内大臣藤原房前は若いころ、盗賊に襲われた山科の僧侶を救おうとして、その盗賊の組頭から「足を切ろう、首を切ろう」と恐ろしげに脅されたという、本朝部世俗説話の一篇。本ページに口絵として松岡映丘の絵が添えられる。
※ 本文に長文の物語梗概が記される一節だが、細字密配のため逐字判読困難。粗筋のみを記す。
ページ右下に「はしのもの○ばた」など、巻22ノ7に関わるものとされる挿話の口絵が添えられる。詳細は本文の細字部分にあり、ここでは画題のみ記す。