p.142 主要な軍記物語(一覧)
概観
平家物語以外の主要な軍記物語を一覧として並べる。将門記から太平記・義経記・曾我物語まで、時代順に成立・編者・内容・文体の項目で比較する。
将門記
平安時代中期成立。承平・天慶の乱で関東に独立国を樹立しようとした平将門の挙兵・敗死を描く。日本最古の軍記物語とされる。漢文体で書かれる。
陸奥話記
平安時代中期成立。前九年の役(1051–1062)における源頼義・義家父子と安倍頼時・貞任父子との戦いを描く。漢文体。
保元物語
鎌倉時代前期成立。保元元年(1156)の保元の乱を描く。崇徳上皇と後白河天皇の対立、藤原忠通・頼長の権力争い、源為義・義朝、平忠正・清盛の家族内対立を描く。
平治物語
鎌倉時代前期成立。平治元年(1159)の平治の乱を描く。藤原信頼と源義朝の挙兵、平清盛の反撃と勝利、義朝の敗死までを描き、源平の対立の起点を示す。
太平記
南北朝時代成立、四十巻。元弘の乱から南北朝の動乱、足利尊氏の活躍、後醍醐天皇の親政と挫折を描く。和漢混淆文。「太平」の名に反して動乱の時代を叙する。「太平記読み」として近世まで広く読まれた。
義経記
室町時代前期成立。源義経の生涯を、誕生から鞍馬寺での修行、五条橋での武蔵坊弁慶との出会い、平家追討、頼朝との不和、奥州への逃避と最期までを描く。義経伝説の集大成。
曾我物語
室町時代前期成立。建久4年(1193)富士の巻狩りでの曾我兄弟(曾我十郎祐成・五郎時致)による父の仇討ちを描く。日本三大仇討の一つとして語り継がれ、後世の歌舞伎・浄瑠璃の重要素材となった。
軍記物語年表(一覧)
ページ右側に「平安」「鎌倉」「南北朝」「室町」の時代区分と、平家物語・保元・平治・太平記・義経記・曾我物語などの成立時期を視覚的に対応させる年表が配される。