p.136 『平家物語』 — 章扉(鎌倉時代前期・軍記物語)
鎌倉時代前期 / 軍記物語 — 平家滅亡の悲劇
巻頭の導入
平家物語は、平氏一門の栄華と没落を描く軍記物語。鎌倉時代前期に成立し、琵琶法師の語りによって全国に流布した。和漢混淆文を基本とし、仏教的無常観を底に置く文体で、平家の興亡を語る。
作者
作者は未詳。徒然草第226段に「信濃前司行長」が作者であると記す説が古くからある。実際には複数の語り手・編者の手を経て現在の形に成立したとされる。
成立
鎌倉時代前期の成立とされる。琵琶法師の語りで広まる過程で増補・改作が重ねられ、諸本(覚一本・延慶本など)が伝わる。
文体
和漢混淆文を基調とする。漢語と和語を交え、対句・七五調の韻律を多用することで、語り物としての声の流れに乗りやすい文体となっている。
忠度の都落ち(口絵)
巻七に収める一段。平忠度(平清盛の弟)が都を落ちる際、和歌の師である藤原俊成のもとに自詠百余首の巻物を託す。後に俊成は『千載和歌集』に「読人知らず」として一首を採る。和歌に身を委ねた平家武将の哀切を描く名場面として知られる。
安徳天皇関連画像
本ページに添える挿絵群は、安徳天皇ゆかりの地および平家物語に関わる視覚資料(海・武人の姿・寺社等)として配される。詳細な画題は本文に記載されていない。