最新国語便覧

浜島書店 — pilot v2 OCR + ruby 版(PDF 5–153 ページ)

p.134 『大鏡おおかがみ』のえが人物像じんぶつぞう菅原道真すがわらの みちざね左遷させん花山天皇かざんてんのう出家しゅっけ

菅原道真の左遷(時平伝)すがわらの みちざねの させん(ときひらでん)

醍醐天皇だいごてんのう延喜えんぎ元年がんねん(901)、藤原時平ふじわらの ときひら讒言ざんげんにより、右大臣うだいじん菅原道真すがわらの みちざね大宰府だざいふ左遷させんされる。「東風こちかばにおひおこせようめはなあるじなしとてはるわすれそ」のうた有名ゆうめいきょうやかたはなれるさい場面ばめん流謫地るたくちでの孤独こどく生活せいかつ無実むじつうったえ、903ねん死亡しぼうしてからの怨霊化おんりょうかまでを大鏡おおかがみ詳述しょうじゅつ

菅原道真辞世の歌すがわらの みちざね じせいの うた

東風こちかばにおひおこせようめはなあるじなしとてはるわすれそ

流れゆく我は水屑となり果てぬ君しがらみとなりて止めよ

京を発ち、淀川を下りながら詠んだとされる

(大鏡)

京の館を離れる際、梅の花に語りかけて自分の身の不遇を嘆く名歌。後に天神(菅原道真の死後の神格化)伝説の中核となる。

花山天皇の出家(花山記)かざんてんのうの しゅっけ

永観えいかん2ねん(984)即位そくいした花山天皇かざんてんのうは、寵愛ちょうあいした女御にょうごかなしみ、出家しゅっけのぞむ。藤原兼家ふじわらの かねいえ策略さくりゃくにより、19さい花山天皇かざんてんのうは986ねん6つきつきかりのれた夜中やちゅうひそかに宮中きゅうちゅうし、元慶寺がんぎょうじ出家しゅっけして退位たいいさせられる。この事件じけん兼家かねいえ権力けんりょく獲得かくとくのための策略さくりゃくであり、大鏡おおかがみにはくわしい場面ばめん描写びょうしゃがある。

安倍晴明あべの せいめい

10世紀末せいきまつから11世紀初の陰陽師おんみょうじ花山天皇かざんてんのう出家しゅっけよる内裏だいりこった霊的れいてき事件じけん予知よちしたと『大鏡おおかがみ』にしるされる。式神しきがみ駆使くしする陰陽道おんみょうどう達人たつじんとして伝説化でんせつか

花山天皇の出家 推定経路かざんてんのうの しゅっけ すいてい けいろ

宮中きゅうちゅう内裏だいり)→ 大路おおじ鴨川かもがわ沿岸えんがん北東ほくとうに → 元慶寺がんぎょうじ(がんぎょうじ)。安倍晴明あべの せいめいいえちかくをとおる。