10歳から52歳までの回想記
天喜3年(1055)頃成立、菅原孝標女(すがわらの たかすえの むすめ、1008-没年不詳)による。10歳から52歳までの42年間を回想する自伝的日記。物語に憧れる少女時代、東国(上総国)から京への上京旅、宮中出仕、結婚と家族、夫の死、信仰生活への帰依までを描く。
菅原道真の子孫で、菅原孝標の娘。父孝標は受領階級(地方官)の出身。13歳のとき父の上総守任終了で京に上京。物語に夢中になった少女期から、結婚(30歳頃)、子の誕生、夫橘俊通の死(51歳頃)、母の死、信仰への帰依までを30年余越え。「夢」「物語」と「現実」「死」「信仰」が主題。
「あづま路の道のはてよりも、なほ奥つかたに生ひいでたる人」で始まる。少女時代の物語への憧れ、姉や継母から物語を聞く喜び、京への憧れ。後半は人生の挫折と信仰への深まりが描かれる。「物語の主人公のようになりたい」と願った少女が、現実の苦悩と無常を知って仏に帰依するまでの精神史。
鎌倉後期の自伝的日記
正応2年(1289)頃成立、後深草院二条(ごふかくさいん にじょう、1258-不詳)による。後深草院(上皇)の女房としての13年余の宮廷生活と、その後の出家・諸国遍歴を綴る自伝的日記。波乱に満ちた一生の独白。