p.98 『古今和歌集』 (編者・成立・内容・歌風)
平安時代前期、勅撰和歌集の始まり
古今和歌集とは
醍醐天皇の勅命により延喜5年(905)に成立した、日本初の勅撰和歌集。古今集と略称。万葉集以後、約140年間に詠まれた歌から、優秀な作を厳選した。20巻・約1100首収録。古典和歌の典範となり、後の文学に大きな影響を与えた。
編者
- 紀貫之 ── 中心的編者・序文(仮名序)作者・「土佐日記」作者
- 紀友則 ── 貫之の従兄弟
- 凡河内躬恒 ── 六歌仙の一人
- 壬生忠岑 ── 下級貴族の歌人
内容
20巻、約1100首。各巻は「春上下」「夏」「秋上下」「冬」「賀」「離別」「羈旅」「物名」「恋一〜五」「哀傷」「雑歌上下」「雑体」「大歌所御歌」など主題別に分類される。各歌に作者・状況が記される詞書あり。
歌風(たをやめぶり・古今調)
万葉集の「ますらをぶり」(男性的・率直)に対し、古今集は「たをやめぶり」(女性的・優美・繊細)と評される。技巧的な掛詞・縁語・序詞などの修辞が発達。情趣・余情を重んじる。賀茂真淵による批判があった一方、王朝和歌の典範として後世に大きな影響を与えた。
六歌仙
紀貫之が古今集の仮名序で挙げた、特に優れた歌人六人。
- 在原業平 ── 情熱的な恋歌の名手。『伊勢物語』の主人公的人物。
- 小野小町 ── 情感豊かな女性歌人。絶世の美女として伝説化。
- 僧正遍昭 ── 出家後も技巧的な歌を詠んだ僧侶歌人。
- 喜撰法師 ── 宇治山の隠者。「わが庵は都のたつみ」の歌で知られる。
- 大友黒主 ── 近江出身。野卑な歌風と評される。
- 文屋康秀 ── 「吹くからに秋の草木」の歌で知られる。
仮名序・真名序
古今集には2つの序文がある。紀貫之の「仮名序」はひらがなで、紀淑望の「真名序」は漢文で書かれる。仮名序は「やまとうたは人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける」で始まる和歌論の名文。