巻頭特集 評論読解の手がかり ① — 評論文を読む
PDF p.6(巻頭2)— 全体ビュー
読解パターン① 筆者の意見・提案を読み取る
評論文とは
筆者が自分の意見を伝えるために、具体的な事例を用いながら、書いた文章。根拠として提示した事実と筆者の意見を読み分けることが大切。
文章の流れ
序論
- 何について述べているか。
- ○○ということがあった。
- ○○という問題がある。
- ○○はよいだろうか。
本論
- ○○のようなことが原因か。
- ○○が原因ではないか。
- 本来は○○であるべきだ。
- ○○のことを……と呼ぶ。
結論
- ○○を訴えたいのか。
- 私たちは○○をすべきだ。
- 今後は○○となるだろう。
事実と意見を読み分ける
社会で起きている現象に対して、筆者が独自の視点で問題を見出し、背景を分析して自らの意見を述べた文章。提示された問題に対し、あるべき姿と、筆者が事実に基づいて考えた根拠を読み取り、最終的には提案された解決策をどのような方向に進むべきかを示している。
提示された問題をつかむ
[冒頭1行 判読不能]起きた現象や日常的なできごとを用いて、親しみやすい形で書き起こされる場合が多い。そこから筆者が何を問題視しているかをつかむ。
問題の背景や原因を理解する
筆者が問題のどの部分に着目しているかを抑えながら読む。その際に論の根拠とした事実と意見は読み分ける。自説を述べるために用いた筆者の特有の表現は必ずおさえる。
筆者の意見を読み取る
文章全体を通して、筆者が述べたかったことを読み取る。今後に対する筆者の展望や社会に対しての提案(解決策)をつかむ。
常識に向けられた疑問
評論文では日常生活において、筆者が目にする光景に対して、筆者が疑問を呈する文章も多い。当たり前に思っていたことに新鮮な気づきを与えてくれる。自分の考えと異なる場合も、まずは筆者の意見に従って読むことが大切となる。
例
村上陽一郎の文章
「
科学的合理性と
社会的合理性」(『
人間にとって
科学とは
何か』
所収)
「科学者が一〇〇%確実と断言できるのは、特定の条件がそろい、専門の知識で語られる時だけ」と、科学者の判断は限定されたものという考えを述べる。虫の害に強い遺伝子組み換え稲からとれた米は、食べるには害はないと科学者は考える。しかし、虫のいない農地が広がることの生態系への影響には言及できないとしている。科学者の証言は多様な証言の一つと位置づける。今知っていることで、これからの経過の予想を「シナリオ」という物語にすることはできる、と科学の役割を見出している。
(複数のシナリオからの選択の際[に対?]して、道義的、倫理的な責任が生じるという意識が強くなっ[ている?])
※ 丸括弧内の補注。[ ]内は判読困難・推定。
挿絵: 宇宙から見た青い地球の写真と新潮選書『人間にとって科学とは何か』の書影。
例
言語学者 鈴木孝夫の文章
「虹は何色」と聞かれて…
日本人は七色と答えるが、アメリカ人は六色、ドイツは五色である。何を「当たり前と思うか」も育った文化・言葉の影響を受けているのである。
家族で議論をするときに…
- ▶ アメリカ:「父」に「YOU」と言う。議論中は親子が対等の関係。
- ▶ 日本:「お父さん」と呼ぶ。議論のときでも、自分と相手の関係を自覚しているといえる。
挿絵: 紅葉した山林にかかる虹の風景写真。
※人名読みについて: 村上陽一郎(1936–)は科学史家・科学哲学者。鈴木孝夫(1926–2021)は言語学者、代表作に『ことばと文化』。