巻頭特集 評論読解の手がかり ② — 筆者の言葉の定義をおさえて読む
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読解パターン② 専門性の高い文章を読み取る
経済、芸術、科学などの専門家が自身の研究分野について述べた文章では耳にしない言葉は、筆者が行う定義をおさえて読み進めていく。また具体例やたとえ話を用いている場合は、何を伝えるためにとりあげたかを考え、複数の事例が並び、説明的要素が強い文章であっても、最後にまとめられている筆者の意見を読み取る。
文章の流れ
序論
- 何について述べているか。
- ○○という言葉がある。
- ○○に着目したい。
本論
- どのようなものであるか。
- ○○とは……のことである。
- たとえば……のように○○は、
- 次は○○に着目すると……。
結論
- 全体のまとめを読み取る。
- つまり○○である。
- ○○はまさに……である。
話題の概略をつかむ
大きく何についての話題かをつかみ、どのような切り口で述べているかをおさえる。
言葉の定義に注意して読み取る
専門的な言葉を説明している箇所に着目し、言葉の定義をおさえる。具体例やたとえ話を用いている場合は、何を伝えるための例であるかを読み取る。
意味段落を意識して読もう
長い文章を読む場合は、関連する形式段落をまとめた意味段落を意識すると、内容を整理できて読み取りやすい。文章全体で考え、筆者の主張を述べた段落、意見の根拠をあげた段落などの役割を判断するのがよい。
筆者の意見を読み取る
社会との関連性や今後の展望などに着目する。筆者が世間一般の人々に何を知らせたかったのかに着目する。
例
岩井克人の文章
「
マルジャーナの
知恵」(『
二十一世紀の
資本主義論』
所収)
資本主義の中心が、技術、通信、広告、教育などの「情報」を商品化する産業へ移動しつつあると最近の流れを述べる。
「アリババと四十人の盗賊」の登場人物マルジャーナを例にとって論を展開、「情報」とは何かを「差異(ほかと違うこと)」という言葉を用いて説明している。マルジャーナは、アリババの家の扉に盗賊がつけた印を見つけ、他の家にも同じ印をつけた。盗賊は印という「情報」を失い、アリババの家を見つけられず襲えなかった。マルジャーナは印があるかないかという「差異」の価値を知る人物だった。
「情報」の商品化は、「差異」が利潤を創りだすという基本原理そのものを体現していると説明し、これからの社会の展望を述べる。
- 挿絵①: 東京証券取引所の電光掲示板(キャプション:「東京証券取引所 情報を反映し、株価は刻々と変化する。」)
- 挿絵②: PCキーボードを打つ手元のクローズアップ(キャプションなし)
- 書影: 岩井克人『二十一世紀の資本主義論』(白い表紙、帯に「恐慌か、もうこわしい危機が来るのか?」判読困難)
随筆を読む
随筆は、自己の見聞や体験で得[られ]た感動や思索をつづった文章。読[者]は、提示された切り口から物事を[眺]め直し、新鮮な感動を得る事ができる。
※ [ ]内は他要素と重なり判読不能のため文脈推定。
随筆の構成例
- 個別の体験: …ということがあった。
- 筆者の思索: このとき…のように感じた。
- 一般的な言葉で表現: …ということだろうか。
随筆の種類
評論的に書かれる随筆: 取り上げた事象に対して複数の視点から分析して考えを述べ、幅広い人に示唆を与える。
文学的に書かれる随筆: 体験そのものが大切な要素。体験や見聞を味わい深く描いているので、読者は感情を共有することができる。整然とした結論を伝えるものではない。
※人名読みについて: 岩井克人(1947–)は経済学者・東京大学名誉教授。代表作に『貨幣論』『二十一世紀の資本主義論』。