NHK こうこうこう げんぶん だい18・19かい
:「まくらそうし うつくしきもの」

おんがく

もとけいかい):
NHK こうこうこう げんぶんかんです。みなさんごげんいかがですか? もとけいです。
こんかいかいで、『まくらそうし』の「うつくしきもの」というおはなしんでいきます。
こうは、よししげるせんせいです。よろしくおねがいします。

よししげるこう):
こちらこそよろしくおねがいします。
かいにわたって『まくらそうし』の「うつくしきもの」というしょうだんんでいきます。
まくらそうし』はへいあんだいさくひん、すなわちちゅうぶんがくひとつですが、まえまなんだ『つれづれぐさ』とおなじ「ずいひつ」にぶんるいされます。
さくしゃせいしょうごんで、10こうはんから11ぜんぱんにかけてきたひとです。どうだいひとむらさきしきいずしきなどがいます。

もと
さんにんともまえいたことがあります。みなさんじょせいなんですよね。

よし
はい、みなさんじょせいです。せいしょうごんは『まくらそうし』、むらさきしきは『げんものがたり』をき、いずしきゆうめいじんとしてられています。

もと
そのなかひとであるせいしょうごんいた『まくらそうし』、むのがとてもたのしみになりました。どんなぶんしょうなのでしょうか?
それではこんかいがくしゅうです。
1. だいさんだんらくまでのないようる。
2. じょはたらきをる。
3. 「うつくし」のかんがえ、だいによるへんせんかくにんする。
じょうの3つです。それではがくしゅうはじめましょう。

もと
それでは「うつくしきもの」のぜんはんろうどくいてみましょう。ろうどくたかやまさんです。

たかやまろうどく):
うつくしきもの、うりにかきたるちごかおすずめの、ねずきするにおどる。ふたみっつばかりなるちごの、いそぎてみちに、いとちいさきちりのありけるを、ざとにつけて、いとをかしげなるゆびにとらへて、おとごとにせたる、いとうつくし。
かしらあまそぎなるちごの、かみのおほへるを、かきはやらで、うちかたぶきてものなどたるも、うつくし。
おおきにはあらぬ殿てんじょうわらわの、しょうぞくきたてられてありくも、うつくし。
をかしげなるちごの、あからさまにいだきて、あそばしうつくしむほどに、かいつきてたる、いとらうたし。
ひいな調ちょうはちすのいとちいさきを、いけよりげたる。あおいのいとちいさき。なになにも、ちいさきものは、みなうつくし。

かいせつ

もと
だいさんだんらくまでのないようる」。それではかいしゃくしていきましょう。

よし
「うつくしきもの」。
うりにかきたるちごかお」。
「うつくしきもの」はこのぶんしょうです。あとかんがえることにしましょう。「うりえがいてあるようかお」。なつでしょうか、ちいさなうりかおえがいて、それにちいさなものせてにんぎょうあそびをしたのでしょう。なんだかわいらしいかんじがしますね。

はい、つぎは「すずめの、ねずきするにおどる」。
「ちゅっちゅっ」というねずみのをすると、すずめおどるようにしてってくるの。

ふたみっつばかりなるちごの、いそぎてみちに、いとちいさきちりのありけるを、ざとにつけて」。
とうかぞどしですから、「ふたみっつばかり」はいまの1、2さいたります。それをしょうで、ここではそのまま「さんさいくらいのようが、いそいでってくるちゅう、ごくちいさなごみがあったのを」としておきます。
もとさん、「ざとに」はどのようなだとおもいますか?

もと
げんだいの「ざとく」とおなですか?

よし
はい、そのとおりです。「ざとくつけて」。
「いとをかしげなるゆびにとらへて、おとごとにせたる、いとうつくし」。
たいそうあいらしいゆびでつまんで、そこにいるどのおとにもせているのは、じつにかわいらしいです。

かしらあまそぎなるちごの、かみのおほへるを、かきはやらで、うちかたぶきてものなどたるも、うつくし」。
これは、かみかたのあたりでりそろえているようが、かみがかかっているのを、はらいのけもしないで、くびをかしげてものなどをているのも、かわいらしいです。
もとさん、もう「うつくし」のはおかりですね。

もと
はい。うりにんぎょうも、おどるようにやってくるすずめも、ちりおとせているようも、あまそぎのちごも、ほんとうにかわいらしいですよね。なので「うつくし」は「かわいらしい」ですね。

よし
そのとおりです。さくしゃは「かわいらしいもの」をれっきょしたのです。とくようふたつのれいからは、いっしゅんうごきをとさないさくしゃえいびんかんかくることができます。

そしてつぎは、「おおきにはあらぬ殿てんじょうわらわの、しょうぞくきたてられてあるくも、うつくし」。
もとさん、ここでじょどうふくしゅうをしておきましょう。「おおきにはあらぬ」の「ぬ」はじょどうですが、ぶんぽうてきなにですか?

もと
し、でしょうか。

よし
そのとおりです。しのじょどう「ず」のれんたいけいです。おおがらではない、となります。
殿てんじょうわらわ(てんじょうわらわ)は、きゅうちゅうほうならいをしているしょうねんです。それをまえて、「おおがらではない殿てんじょうわらわが、りっものをきちんとせられてあるいているのも、かわいらしい」です。

もと
しょうぞくきたてられて」のところが、かわいらしいかんじがしますね。

よし
はい。
「をかしげなるちごの、あからさまにきて、あそばしうつくしむほどに、かいつきてたる、いとらうたし」。
ここにてくる「あからさまなり」は、げんだいでは「こつなどのですが、ここでは「ちょっとだ、きゅうだ」というです。
「らうたし」は「かわいい」でつうじるですから、ここは、「あいらしいようようが、ちょっといて、あそばせかわいがるうちに、しがみついてってしまったのは、たいそうかわいらしい」となります。

もと
ちいさいかれたままってしまったという姿すがたは、ときどきにしますよね。

よし
そうですね。さらに「うつくしきもの」のれいとして、
ひいな調ちょう」。調ちょうどうのことで、ひなかみなどでつくったちいさなにんぎょうのことですから、「ちいさいにんぎょうあそびのどう」。
はちすのいとちいさきを、いけよりげたる」。「みずいているはすで、たいそうちいさないけからげたの」。
あおいのいとちいさき」。「あおいで、ごくちいさいの」。
なになにも、ちいさきものは、みなうつくし」。「なにもかも、ちいさなものは、みなかわいらしい」とむすんでいます。
もとさん、ここまでさくしゃが「うつくしきもの」としてれっきょしたものから、さくしゃはどのようなものにかわいらしさをかんじていますか?

もと
そうですね。「なになにちいさきものはみなうつくし」とあるように、ちいさく、またおさないもののうごきをかわいらしいとおもっているんじゃないでしょうか。

よし
はい、そのとおりです。

ぶんぽう

もと
じょはたらきをる」。

よし
こんかいんでいるところにとうじょうするじょおもなものをがくしゅうしましょう。

もと
はい。

よし
まずはかくじょからせつめいします。かくじょおもたいげんにつき、めいのことですね、それがぶんなかでどのようなはたらきをするかをしめじょです。
すずめの」にはふたつの「の」があらわれます。
ひいな調ちょう」の「の」とおなじで、げんだいの「わたしぼう」の「の」にたり、「れんたいしゅうしょくかく」の「の」といます。
すずめの」の「の」は「しゅかく」をあらわし、げんだいの「わたしいた」の「が」とおなじで、しゅあらわします。

もと
なるほど。それでせんせいは「すずめが」とやくされたのですね。

よし
そうなんです。このかくじょの「の」は、れんたいしゅうしょくかくしゅかくがいに、「どうかく」の「の」というものがあります。
はちすのいとちいさきを」にえる「の」の「の」がそれです。これは、「の」のうえの「」と、「の」のしたの「いとちいさき」は、はすべつてんからせつめいしていますが、ぶんこうせいじょうおなはたらきをしています。このはたらきを「どうかく」というのです。
」につづく「の」で、「〜で」とやくすといいですね。

もと
そうするとここでは、「はすで、ちいさいのを」とやくすわけですね。

よし
そのとおりです。ほかにもじょてきています。そのひとつがせつぞくじょです。これはぜんぶんせつせつぞくする、そのようなはたらきをします。
あさきて、かおあらいます」というぶんの「て」がげんだいせつぞくじょです。「ざとにつけて」や「ゆびにとらへて」の「て」がせつぞくじょで、ぶんでもおおもちいられます。
「かきはやらで」の「で」もせつぞくじょです。「で」にはしのふくまれますから、「かきはらわないで」とやくします。

もと
しのせつぞくじょもあるんですね。

よし
はい。ここでかかむすびをつくじょかかりじょ)をせつめいします。
「ぞ・なむ・や・か・こそ」はかかりじょです。「ぞ・なむ・や・か」があると、げんそくとしてれんたいけいぶんむすばれます。「こそ」のあいは、げんそくとしてぜんけいとなります。
このようにぶんむすびにえいきょうえるかかりじょは、こんかいんでいるしょにはえません。
かしらあまそぎなる」の「は」や、「ものなどたるも」の「も」がかかりじょです。でもこの「は・も」があっても、むすびのけいへんはありません。

もと
ほかしゅるいじょてきていますか?

よし
はい。ふくじょの「ばかり」がとうじょうしていますね。ふくじょはいろいろなについてえるじょです。げんだいでもすこふるめかしいひょうげんかもしれませんが、「いちキロばかりくとみぎゆう便びんきょくがあります」というかたがありますね。この「ばかり」です。

もと
なるほど。ほんぶんちゅうでは「ふたみっつばかりなる」の「ばかり」ですね。

よし
そうです。ほかには「うちかたぶきて」の「て」や「ものなど」の「など」、「たるも」の「も」などが(せつぞくじょや)ふくじょです。ほかぶんにはしゅうじょかんとうじょとうじょうします。じょはたらきにちゅうしながらむと、せいかくどっかいにつながります。けいぞくしてまなんでいきましょう。

ことへんせん

もと
「『うつくし』のかんがえ、だいによるへんせんかくにんする」。
「うつくし」はどのようにもちいられますか?

よし
うつくしいやまうつくしいひと、などですか?

もと
そうですね。現代では広く美一般を指して用いられますね。

よし
でも古い時代、例えば『万葉集』では、「妻(めこ)見れば、悲かなし(うつくし)」と歌うたわれ、これは「妻つまや子を見ると、愛いとしくかわいい」と訳やくされますが、この時だいでは妻つまや子などに対たいして「かわいい」という感かんじょうを「うつくし」で表あらわしていました。

もと
そうなんですね。げんだいとはぜんぜんちがいますね。

よし
はい。へいあんだいになるとたいしょうすこひろがって、『まくらそうし』のように、ちいさいもの、ようしょうのもののぐさて「かわいい」「かわいらしい」とおもときに、「うつくし」とひょうげんするようになりました。

もと
せんせいほんぶんてきた「うつくしむ」も「うつくし」にていますよね。

よし
そうですね。「うつくし」とこんおなじなんです。そのどうで、「おさないものをかわいがる」のもちいられています。このげんだいの「いつくしむ」のふるかたちです。「かわいい」とか「かわいがる」というわけですから、「うつくし」や「うつくしむ」は、たんに「うつくしい(きれい)」というではなく、あいじょうふくまれるようにおもいます。
かまくらだいこうちゅうせいになっても、はじめはじょせいれいはなげんていして「うつくし」とひょうげんしたようです。そのだいちょくぜんころには、にんげんがいぜん、またじんこうてきふくめて「うつくし」とひょうげんされました。そしてげんだいのように、ひろいっぱんを「うつくし(い)」とひょうげんするようになったのです。

もと
なるほど。だいともわってきたんですね。

よし
そうなんです。「うつくし」のほかにも、せいしょうごんが『まくらそうし』でようする「をかし」や、『げんものがたり』でまなんだ「あはれなり」、ありがたしのだいによってどのようにわっていくのか。また、「らうたし」のようにだいすいとともにあまりもちいられなくなったにどのようなものがあるのか、調しらべてみるのもおもしろいとおもいます。

(まとめ)

もと
それではこんかいかくにんしましょう。
1. だいさんだんらくまでのないようる。
2. じょはたらきをる。
3. 「うつくし」のかんがえ、だいによるへんせんかくにんする。
この3つでした。

もと
こんかいんだ「うつくしきもの」のぜんはんでは、うりえがいたどもかおや、すずめおどるようにってくるよう、そしてかわいらしいどもぐさげていました。またにんぎょうあそびのどうちいさなげ、「ちいさきものはみなうつくし」とむすんでいました。さくしゃかんさつがんするどさをかんじました。

よし
はい。そしてぶんちゅうえるじょちゅうしんせつめいしてきました。また「かわいらしい」というった「うつくし」のへんせんながめてきました。

もと
さてこんかいは、よししげるせんせいと『まくらそうし』「うつくしきもの」のぜんはんみました。よしせんせい、ありがとうございました。

よし
ありがとうございました。

もと
NHK こうこうこう げんぶんもとけいよししげるせんせいでおおくりしました。