学習のねらい
『論語』の二回目、「人間」についてです。今回の学習では、まず『論語』とはどのような書物なのかを学びます。そして、実際に「人間」に関する三つの章句を読み味わうことで、孔子が理想とした人間とはどういう人なのか、人間はどうあるべきなのか、つまり「孔子の人間観」について理解を深めていきましょう。
●学習のポイント●
〈一〉 『論語』とはどのような書物なのか
〈二〉 「人間」について述べた三つの章句を読み味わおう
〈三〉 「孔子の人間観」についての理解を深めよう
■ 『論語』とはどのような書物なのか
『論語』は、孔子とその弟子たちが、話したり、行ったりしたこと、そして問答などが、主な内容になっています。孔子の死後、門人たちの手によってまとめられました。『論語』の章句は、一般的にはおよそ五百あると言われていますが、それが二十のまとまりに分けられていて、それぞれ名前(篇名)が付けられています。『論語』は、『古事記』によると、今から一七〇〇年くらい前の応神天皇の時代に、百済の博士である王仁によって日本に伝えられたとされています。日本に入ってきた中国の書物としては最古のものになります。
文法・表現
- ~たり~たりすること
- 「做~或~的事」。「たり」連用,表示列舉代表性動作。
- 門人たちの手によってまとめられました
- 「由門人們彙整而成」。受身形,表示施事者。
- 一般的には~と言われています
- 「一般認為~」。慣用表現。
- それぞれ名前が付けられています
- 「各有名稱」。受身形+ている,表示狀態。
- ~とされています
- 「被認定為~・據說~」。
中文翻譯
《論語》的主要內容是孔子與其弟子們的言行以及問答等。孔子死後,由門人們彙整而成。《論語》的章句,一般認為大約有五百條,分成二十個部分,各有名稱(篇名)。根據《古事記》,《論語》是在距今約一千七百年前的應神天皇時代,由百濟博士王仁傳入日本的。這是傳入日本的中國書籍中最古老的。
やがて、日本でも『論語』は必読書の一つになり、平和が続いた江戸時代には、幕府の教育政策のもと、学者はもとより寺子屋で学ぶ子どもに至るまで、多くの人に読まれるようになりました。
文法・表現
- やがて
- 副詞。「不久・漸漸地」。
- 必読書
- 「必讀書」。
- ~はもとより~に至るまで
- 「從~到~為止」。表示廣泛的範圍。
- 読まれるようになりました
- 「變得被閱讀了・開始被閱讀了」。受身+ようになる,表示漸進的變化。
中文翻譯
不久,《論語》在日本也成為必讀書之一,在太平之世持續的江戶時代,在幕府的教育政策之下,從學者到在寺子屋學習的孩子,許多人都開始閱讀。
■ 「人間」について述べた三つの章句を読み味わおう
(1)曽子曰く、「吾日に三たび吾が身を省みる。人の為に……」
● 曽子が、いかに誠実で努力家であったことが分かる章句。
文法・表現
- いかに
- 副詞。「多麼・如何」。
- 努力家
- 「勤勉者・努力的人」。
- ~が分かる
- 「可以了解~」。
ポイント
「忠」「信」は「仁」に達するための重要な手段。
・ 「忠」 …… 真心を尽くすこと。
・ 「信」 …… 誠実であること。
文法・表現
- 達するための
- 「為了達到」。「ための」表示目的。
- 真心を尽くすこと
- 「竭盡真心」。
- 誠実であること
- 「誠實」。形容動詞的名詞化。
中文翻譯
「忠」「信」是達到「仁」的重要手段。・「忠」……竭盡真心。・「信」……誠實。
(2)子曰く、「巧言令色鮮し仁。」
● 「仁者」は、自分にも他人にも誠実でなければなりません。
ポイント
「仁」
・ 「仁」 …… 孔子が最高の徳としたもの。深い人間愛。
・ 「巧言令色」[四字熟語]
…… 見せかけだけで誠実さのないこと。覚えましょう!
(3)厩焚けたり。子退朝して曰く、……
● 孔子が、なによりも人を重んじたことを示すエピソード。
文法・表現
- なによりも
- 「比任何事都更・最」。
- 重んじる
- 動詞。「重視・看重」。
- 示すエピソード
- 「顯示的故事」。連體修飾。
ポイント
孔子が、高価な馬よりも人の身を案じたこと。
・ 「人を傷なへるか」(「疑問」を表す)
…… 「人に怪我はなかったかね。」と訳しましょう。
文法・表現
- 案じる
- 動詞。「擔憂・掛念」。
- 疑問を表す
- 「表示疑問」。
- 「乎(か)」
- 疑問助詞。古典漢文中置於句末表示疑問。
中文翻譯
孔子憂慮人的安危勝過貴重的馬。・「人を傷なへるか」(表示「疑問」)……譯為「人有沒有受傷呢。」
■ 「孔子の人間観」についての理解を深めよう
ここでのキーワードは、「仁」と「忠」と「信」です。
「仁」とは、孔子が目指した、人間として最も理想的な生き方です。「深い人間愛」を意味するといわれています。
文法・表現
- 目指した
- 「所追求的」。連體修飾用法。
- 最も理想的な
- 「最理想的」。「最も」修飾形容動詞。
- といわれています
- 「據說是」。
中文翻譯
所謂「仁」,是孔子所追求的、作為人的最理想的生活方式。據說意指「深厚的人類之愛」。
もう一方のキーワード「忠」と「信」ですが、「忠」とは、「他人のために、自分の真心を尽くすこと」でした。また、「信」とは、「嘘偽りのない誠実さ」、もっと分かりやすくいうと、「言うことと行うことが一致していること」です。自分の言葉に責任を持ち、言った言葉や約束をどこまでも守り通す、そんな誠実な生き方をいいいます。つまり、「忠」や「信」といった態度は、「仁」に達するための重要な手段なのです。孔子は、個人個人が「仁」を身につければ、人間愛にあふれた、理想的な社会ができると考えていました。
文法・表現
- もう一方の
- 「另一個・另一方的」。
- 真心を尽くすこと
- 「竭盡真心」。
- 言うことと行うことが一致していること
- 「言行一致」。
- どこまでも守り通す
- 「始終遵守・貫徹到底」。複合動詞「守り通す」。
- 個人個人が
- 「個人個人・每個人」。
中文翻譯
另一個關鍵詞「忠」與「信」,「忠」是指「為他人竭盡自己的真心」。而「信」是指「沒有謊言欺騙的誠實」,更淺顯地說,就是「言行一致」。對自己的話負責,始終遵守說過的話和約定,說的就是這樣誠實的生活方式。也就是說,「忠」「信」這樣的態度,是達到「仁」的重要手段。孔子認為,個人個人若能習得「仁」,就能建立充滿人類之愛的理想社會。
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曽子曰く、「吾日に三たび吾が身を省みる。人の為に謀りて不忠なる乎。朋友と交りて不信なる乎。伝へて不習なる乎。」
〔学而〕
子曰く、「巧言令色、鮮し矣仁。」
〔学而〕
厩焚けたり。子退朝して曰く、「人を傷なへる乎。」不問はず馬を。
〔郷党〕
【書き下し文】
曽子曰はく、「吾日に三たび吾が身を省みる。人の為に謀りて忠ならざるか。朋友と交りて信ならざるか。習はざるを伝ふるか。」と。
〈口語訳〉
曽先生がおっしゃった、「私は一日のうちに何時も自分自身を反省する。人の相談にのってあげながら、まごころを尽くさないことはなかったか。友達と交際して、誠実でなかったのではないか。まだ身につけていない生かじりのことを、人に教え伝えることはなかったか。」と。
【書き下し文】
子曰はく、「巧言令色、鮮なし仁。」と。
〈口語訳〉
先生がおっしゃった、「巧みな弁舌や、取りつくろった表情の人には、少いなあと本当の仁の心は。」と。
【書き下し文】
厩焚けたり。子朝より退きて曰はく、「人を損なへるか。」と。馬を問はず。
〈口語訳〉
(孔子の家の)厩が焼けてしまった。(孔)先生は朝廷から退出して、(家に帰ってきた。そしてすぐに)言うことに、「人に怪我はなかったか。」と。(その後、)馬のことについては(何一つ)尋ねなかった。
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