言語げんご文化ぶんか #57-59

古文こぶん

古文こぶん 古人いにしえびとかた物語ものがたり

平家へいけ物語ものがたり 木曽きそ最期さいご全三回ぜんさんかい=③】

講師こうし 山本やまもと 章博あきひろ

さん木曽きそ最期さいご

学習がくしゅうのねらい

平家へいけ物語ものがたり』「木曽きそ最期さいご」の三回目さんかいめです。兼平かねひら義仲よしなか自害じがいすることをすすめ、義仲よしなか一騎いっき粟津あわづ松原まつばらかいます。兼平かねひら義仲よしなか自害じがいするまでてきをふせぐために、一騎いっき五十騎ごじゅうき相手あいてにして大奮闘だいふんとうしました。そのはげしい戦闘せんとう様子ようすえがかれていたのが前回ぜんかい場面ばめんでした。今回こんかいは、まずそれぞれれの最期さいごはどのようなものであったのかを理解りかいします。そして、それを比較ひかくしてみましょう。

文法・表現

~回目
「第~次」。回數的數量詞用法。
~を勧める
「勸~」。
~を相手にして
「以~為對手」。
~のが前回の場面でした
「~的是前回的場面」。「のが」是形式名詞「の」+主格助詞。
それぞれ
「各自」。

中文翻譯

《平家物語》「木曾的最期」的第三回。兼平勸義仲自盡,義仲一騎前往粟津的松原。兼平為了在義仲自盡之前抵擋敵人,一騎對戰五十騎大為奮鬥。描寫那激烈戰鬥情景的,是前回的場面。本回首先理解各自的最期是怎樣的。然後試著加以比較。

学習がくしゅうのポイント ●

いち木曽きそ義仲よしなか最期さいご状況じょうきょう理解りかいする
今井いまい四郎しろう兼平かねひら最期さいご状況じょうきょう理解りかいする
さん〉 それぞれの最期さいごえがかれかた比較ひかくする

文法・表現

~にはまって
「陷入~」。
瞬間
「瞬間」。
望んでいた
「曾希望的」。「望む」のて形+いた。
潔く
形容詞「潔し」的連用形。「乾脆・果斷地」。
衝撃的
形容動詞。「衝擊性的」。

中文翻譯

義仲的最期……陷入深田無法動彈,因擔心兼平而回頭的瞬間被討取。所希望的自盡未能達成。 兼平的最期……乾脆地、衝擊性地自盡。

木曽きそ義仲よしなか最期さいご状況じょうきょう理解りかいする

文法・表現

~にはまって
「陷入~」。
瞬間
「瞬間」。
望んでいた
「曾希望的」。「望む」のて形+いた。
潔く
形容詞「潔し」的連用形。「乾脆・果斷地」。
衝撃的
形容動詞。「衝擊性的」。

中文翻譯

義仲的最期……陷入深田無法動彈,因擔心兼平而回頭的瞬間被討取。所希望的自盡未能達成。 兼平的最期……乾脆地、衝擊性地自盡。

自害じがいするために粟津あわづ松原まつばらかった義仲よしなかでしたが、自害じがいすることはできず、てきたれてしまいます。それまでの経過けいか以下いかとおりです。

文法・表現

~するために
「為了~」。表示目的。
~でしたが
「是~但是」。逆接。
~てしまいます
「~掉了」。完了,含遺憾的語感。
以下の通り
「如下所述」。

中文翻譯

義仲為了自盡而前往粟津的松原,但無法自盡,被敵人討取了。直到那時為止的經過如下所述。

義仲よしなかたれるまで

義仲よしなかは、深いふかい薄氷うすらいっているのにがつかず、そこにうまれてうごけなくなってしまう。
 ↓
義仲よしなかは、兼平かねひらがどうしているのかがかりでく。
 ↓
石田いしだ次郎じろう為久ためひさが、いた義仲よしなかかお弓矢ゆみやる。
 ↓
義仲よしなかは、重傷じゅうしょういうつせになってしまう。
 ↓
石田いしだ次郎じろう為久ためひさ家来けらいふたにんやってきて義仲よしなかくびり、為久ためひさくび太刀たちさきたかかかげて名乗なのりをげる。

文法・表現

~のに気がつかず
「沒有注意到~」。
乗り入れる
複合動詞。「騎入・駛入」。
動けなくなってしまう
「變得無法動彈」。「動ける」可能形否定+「なる」+「てしまう」。
気がかり
「擔心・掛念」。
勝ち名乗りを上げる
慣用句。「揚聲報出勝利之名」。武士在戰場上戰勝後高聲宣告自己的姓名與功績。

中文翻譯

義仲沒有發現深田上結了薄冰,將馬騎入其中而動彈不得。↓義仲擔心兼平的情況如何,回頭觀望。↓石田次郎為久用弓箭射回頭的義仲的臉。↓義仲身負重傷,趴伏在地。↓石田次郎為久的家臣兩人前來取了義仲的首級,為久將首級插在太刀尖端高高舉起,揚聲報出戰勝之名。

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重要じゅうよう語句ごく

入相いりあい ……… 夕方ゆうがたのこと。

注意ちゅういすべき表現ひょうげん

つかかつてよつぴいて
      ↑ 音便おんびん
  ひかかりてよくひきて

つてんげり
      ↑ 音便おんびん
  りてけり

ひやうふつ → んでたるおと

今井いまい四郎しろう兼平かねひら最期さいご状況じょうきょう理解りかいする

兼平かねひらは、義仲よしなかたれたことをって自害じがいします。その様子ようすつぎとおりです。

文法・表現

~が討たれた
受身形過去。「被討取了」。
~ことを知って
「知道~」。
次の通り
「如下所述」。

中文翻譯

兼平知道義仲被討取了之後自盡。其情景如下所述。

兼平かねひら自害じがい

兼平かねひらは、為久ためひさ名乗なのりによって、義仲よしなかたれたことをり、もはやたたか意味いみはないとおもう。
 ↓
「これをたまへ、東国とうごく殿とのばら、日本一にほんいちごうもの自害じがいする手本てほん」といって、太刀たちさきくちふくむ。
 ↓
うまからちて、その太刀たちからだつらぬかれてぼつする。

文法・表現

~によって
「藉由~・因為~」。表示原因・手段。
もはや
副詞。「已經・再也」。
~と思う
「認為~」。
剛の者
「勇者・武勇之士」。
貫かれて
受身形。「被貫穿」。
没する
動詞。「死亡・身故」。

中文翻譯

兼平因為久報出戰勝之名,得知義仲被討取了,認為已經沒有再戰的意義。↓「請看,東國的諸位大人,這就是日本第一勇者自盡的範例」說罷,將太刀的尖端含入口中。↓從馬上跳下,被那把太刀貫穿身體而亡。

重要じゅうよう語句ごく

ごうもの ……… つよくて勇敢ゆうかんもの

■ それぞれの最期さいごえがかれかた比較ひかくする

義仲よしなか兼平かねひらふたにん最期さいご対照的たいしょうてきです。兼平かねひら自害じがいしたのにたいし、義仲よしなか兼平かねひら心配しんぱいしていたとおり、もない武将ぶしょうたれ、不名誉ふめいよ戦死せんしげます。しかし、義仲よしなか間際まぎわまで兼平かねひらのことをおもっていました。やさしく人間的にんげんてき義仲よしなかえがかれているのです。

文法・表現

対照的
形容動詞。「對照性的・形成對比的」。
~に対し
「相對於~」。
~通り
「正如~那樣」。
名もない
「無名的」。
不名誉な
形容動詞。「不名譽的」。
~間際まで
「直到~的瞬間為止」。
人間的な
形容動詞。「富有人情味的・有人性的」。

中文翻譯

義仲與兼平兩人的最期是對照性的。相對於兼平自盡,義仲一如兼平所擔心的,被無名的武將討取,遭遇了不名譽的戰死。然而義仲到死的瞬間都還在思念兼平。這裡描繪的是溫柔而富有人情味的義仲。

義仲よしなか最期さいご ……… 深いふかいにはまってうごけなくなり、兼平かねひら心配しんぱいしてかえったその瞬間しゅんかんたれた。のぞんでいた自害じがいはできなかった。
兼平かねひら最期さいご ……… いさぎよく、衝撃的しょうげきてき自害じがい

文法・表現

~にはまって
「陷入~」。
瞬間
「瞬間」。
望んでいた
「曾希望的」。「望む」のて形+いた。
潔く
形容詞「潔し」的連用形。「乾脆・果斷地」。
衝撃的
形容動詞。「衝擊性的」。

中文翻譯

義仲的最期……陷入深田無法動彈,因擔心兼平而回頭的瞬間被討取。所希望的自盡未能達成。 兼平的最期……乾脆地、衝擊性地自盡。

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木曽きそ最期さいご   その③  

義仲よしなか最期さいご兼平かねひら自害じがい

文法・表現

~にはまって
「陷入~」。
瞬間
「瞬間」。
望んでいた
「曾希望的」。「望む」のて形+いた。
潔く
形容詞「潔し」的連用形。「乾脆・果斷地」。
衝撃的
形容動詞。「衝擊性的」。

中文翻譯

義仲的最期……陷入深田無法動彈,因擔心兼平而回頭的瞬間被討取。所希望的自盡未能達成。 兼平的最期……乾脆地、衝擊性地自盡。

木曽きそ殿どのはただいっ粟津あはづ松原まつばら駆けかけたまふが、正月しょうぐわつ二十一日にじふいちにち入相いりあひばかりのことなるに、薄氷うすびつたりけり、深田ふかたありともらずして、うまをざつとうち入れうちいれたれば、馬の頭むまのかしら見えみえざりけり。あふれどもあふれども、打てうてども打てうてども働かはたらかず。今井いまゐ行方ゆくへのおぼつかなさに、振り仰ぎふりあふぎたまへる内甲うちかぶとを、三浦みうら石田いしだ次郎じらう為久ためひさつかかつてよつぴいてひやうふつとる。痛手いたでなれば、真向まつかう馬の頭むまのかしら当てあてて、うつぶしたまへるところに、石田いしだ郎等らうどう二人ににん落ち合ふおちあふて、つひに木曽きそ殿どのくびをばつてんげり。
太刀たちさき貫きつらぬき高くたかくさし上げさしあげ大音声だいおんじょうをあげて、
「このごろ日本につぽんごく聞こえきこえさせたまひつる木曽きそ殿どのをば、三浦みうら石田いしだ次郎じらう為久ためひさ討ちうち奉ったてまつったるぞや。」
のりければ、今井いまゐ四郎しらういくさしけるが、これを聞ききき
いまたれをかばはんとてか、いくさをもすべき。これをたまへ、日本一にほんいちかうもの自害じがいする手本てほん。」
とて、太刀たちさきくち含みふくみむまより逆さまさかさま飛び落ちとびおち貫かつてつらぬかつて失せうせにける。さてこそ粟津あはづのいくさはなかりけれ。

巻第九まきだいきゅう

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現代げんだい語訳ごやく

木曽きそ殿どの義仲よしなか)はただいっで、粟津あわづ松原まつばらかってうまはしらせなされるが、正月しょうがつ二十一日にじゅういちにち夕暮ゆうぐれのころのことであるうえに、薄いうすいこおりっていて、(そのしたに)深いふかいがあることもらないで、うまをざっといきおいよくれてしまったので、うまあたま見えみえなくなった。(あぶみうまはらって)あおってもあおっても、(むちで)打っうっても打っうっても動かうごかない。今井いまい兼平かねひら)の行方ゆくえになって、あおぎなされた(義仲よしなかの)かぶと内側うちがわを、三浦みうら次郎じろう為久ためひさが、いついて(ゆみを)よくいて、ひょうふっとる。重傷じゅうしょうなので、かぶと正面しょうめんうまあたま当てあてて、うつせになられたところに、石田いしだ家来けらいふたにんわせて、とうとう木曽きそ殿どのくびってしまった。(そのくびを)太刀たちさきつらぬいて、高くたかくげ、大声おおごえをあげて、
「この常々つねづね日本にほんごく評判ひょうばんでいらっしゃった木曽きそ殿どのを、三浦みうら次郎じろう為久ためひさ申しもうし上げあげたぞ。」
名乗っなのったので、今井いまい四郎しろう兼平かねひら)はたたかっていたが、これをいて、
いまだれをかばおうとして、いくさをしようか。これをごらんなさい、東国とうごくのかたがた、日本一にほんいち武勇ぶゆうもの自害じがいする手本てほんだ。」
言っいって、太刀たちさきくち含みふくみうまから逆さまさかさま飛び落ちとびおちつらぬかれて死んしんでしまった。こうして粟津あわづたたかいはわった。

− 191 −

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