羅生門 【四】
学習のねらい
登場人物の振る舞いと心情の変化を読み取り、作品の理解を深めます。また、物語の鍵となる語句について考察を加えます。
文法・表現
- 〜を読み取り、〜を深めます(並列+目的)
- 「を読み取り、を深めます」=「讀取、加深」。
- 〜について考察を加えます(漢語+追加)
- 「について考察を加えます」=「對於…加以考察」。
中文翻譯
讀取登場人物的舉止與心情變化,加深對作品的理解。並且,對物語的關鍵語句加以考察。
●学習のポイント●
〈一〉下人の決意
〈二〉老婆の描かれ方
〈三〉全体を振り返る
文法・表現
- 〜の描かれ方(受身連体+方式)
- 「描かれ方」=「被描繪的方式」。
中文翻譯
〈一〉下人的決意
〈二〉老婆的描繪方式
〈三〉回顧整體
■下人の決意
老婆の弁解はおおよそ次のような意味でした。現代語で示してみましょう。
文法・表現
- 〜はおおよそ〜でした(概略)
- 「おおよそ次のような意味でした」=「大致是這樣的意思」。
- 〜で示してみましょう(試み)
- 「で示してみましょう」=「以…呈現吧」。
中文翻譯
老婆的辯解大致是以下這樣的意思。讓我們以現代語呈現吧。
「なるほど、死人の髪の毛を抜くというのはどんなにか悪いことなのかもしれない。しかし、ここにいる死人たちはみな、そのくらいのことをされてもいい者ばかりだ。現に、私が髪の毛を抜いていた女は、蛇を切って干したものを干し魚だといって、護衛を務める役人たちへ売りに行っていた。役人たちもこの女の干し魚は味がよいと言って、必ずおかずとして買い求めていたほどだ。しかし私は、この女のしたことを悪いとは思っていない。そうしなければ飢え死にしてしまうから、しかたなくしたことだろうから。だから今、私がしていることも悪いことだとは思わない。これもまた、そうしなければ飢え死にしてしまうので、しかたなくしていることだからだ。それをよくわかっていたこの女は私のすることを許してくれるだろう」。
文法・表現
- なるほど〜(同意)
- 「なるほど」=「的確」。
- 〜ばかりだ(限定)
- 「ばかりだ」=「都是…」。
- 〜だろうから(推量的理由)
- 「だろうから」=「因為…吧」。
- 〜許してくれるだろう(推量的期待)
- 「許してくれるだろう」=「應該會原諒吧」。
中文翻譯
「的確,拔死人的頭髮也許是無比惡的事。但是,這裡的死人們都是即使被這樣對待也無妨之輩。實際上,我所拔頭髮的這個女子,曾經把切了曬乾的蛇當作魚乾,賣給擔任護衛的官員們。官員們也說這女子的魚乾味道好,必定買來作配菜。但我並不認為這女子所做的事是壞事。因為不那樣做就會餓死,是不得已的吧。所以現在我所做的事,我也不覺得是壞事。這也是——不那樣做就會餓死,所以不得已而做的。明白這道理的這個女子,應該會原諒我所做的事吧」。
つい先ほどまで、楼の上に得体の知れない不気味なものが潜んでいると恐怖していた下人は、この老婆の言葉を「冷然と」聞いています。つまり、相手を下に見た、冷ややかな態度を隠しません。老婆の生死が自分の手に握られていることに気づいた下人は、それまで抑えがたく燃え上がっていた「憎悪の心」を冷ましてしまいます。自分の腕力で老婆をねじ伏せた下人は、相手が取るに足らない存在であることに気づき、憎悪の対象を向けるにはふさわしくないと感じたのでしょう。要するに、相手を見くびってもいい者だと蔑んだのです。そして下人には、
文法・表現
- つい先ほどまで、〜と恐怖していた〜は、〜聞いています(時間+並行)
- 「つい先ほどまで、と恐怖していたは、聞いています」=「直到不久前還恐懼…的他,正在聽…」。
- 〜を冷ましてしまいます(程度+帰結)
- 「を冷ましてしまいます」=「冷卻了…」。
- 〜を向けるにはふさわしくないと感じたのでしょう(推測)
- 「を向けるにはふさわしくないと感じたのでしょう」=「覺得不配將…投向」。
- 要するに、〜と蔑んだのです(要約+断定)
- 「要するに、と蔑んだのです」=「要言之,蔑視為…」。
中文翻譯
直到不久前還恐懼「樓上潛伏著來歷不明的不祥之物」的下人,「冷然地」聽著老婆的這番話。也就是說,他並不隱藏將對方看低、冷淡的態度。意識到老婆的生死握在自己手中後,下人冷卻了至此抑制不住燃燒著的「憎惡之心」。以自己腕力壓制老婆的下人,察覺到對方是不值一提的存在,覺得不配作為憎惡的對象吧。要言之,他蔑視——認為對方是個可以小看的東西。然後在下人心中,
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門の下では欠けていた「ある勇気」が生まれます。これは、老婆を捕らえた時の正義感にあふれた勇気とは真逆のものだと描かれています。
文法・表現
- 〜では欠けていた〜が生まれます(受身連体+發生)
- 「欠けていたが生まれます」=「誕生了曾缺乏的…」。
- 〜とは真逆のものだと描かれています(対比+受身)
- 「とは真逆のものだと描かれています」=「被描寫為與…相反的東西」。
中文翻譯
誕生了在門下時所缺乏的「某種勇氣」。據描述,這與抓住老婆時充滿正義感的勇氣是相反的東西。
この作品のなかで「勇気」はたびたび登場しています。
初めは、
「下人は、手段を選ばないということを肯定しながらも、この『すれば』のかたをつけるために、当然、その後に来るべき『盗人になるよりほかにしかたがない』ということを、積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。」
次が、
「下人にとっては、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜くということが、それだけで既に許すべからざる悪であった。」
という老婆を捕らえたときの勇気、
最後が、
「しかし、これを聞いているうちに、下人の心には、ある勇気が生まれてきた。」
という箇所の「ある勇気」です。
文法・表現
- 〜はたびたび登場しています(頻度+出現)
- 「はたびたび登場しています」=「屢次出現」。
- 〜という箇所の「ある勇気」です(指示+強調)
- 「という箇所の「ある勇気」です」=「就是…這段的『某種勇氣』」。
中文翻譯
本作中「勇氣」屢次出現。
最初是:
「下人,雖肯定『不擇手段』,但為了給這個『若是…』收尾,自然應隨之而來的『不得不成為盜人』這件事,他並沒有積極地肯定的勇氣。」
接著是:
「對下人來說,在這雨夜、在這羅生門上、拔死人的頭髮這件事本身就已是不可饒恕的惡。」
這是抓住老婆時的勇氣,
最後是:
「然而,聽著這些,下人的心中產生了某種勇氣。」
這段中的「某種勇氣」。
では、老婆の話を聞いた後、なぜ下人にこの「ある勇気」が生まれてきたのでしょうか。勇気と呼ばれるものが発動するためには、いくつか条件が考えられます。
文法・表現
- では、〜なぜ〜のでしょうか(轉折+疑問)
- 「では、なぜのでしょうか」=「那麼,為什麼呢」。
- 〜が発動するためには、〜が考えられます(目的+可能)
- 「が発動するためには、考えられます」=「要使…發動,可考慮…」。
中文翻譯
那麼,聽完老婆的話後,為什麼下人會產生這「某種勇氣」呢?要使被稱為勇氣之物發動,可以考慮以下幾個條件。
① それをなすには、大きな危険と恐怖を伴うこと
② 大きな危険と恐怖を克服しなければならないこと
③ そのうえで実行に移されなければならないこと
④ ただし無謀とならぬよう、リスクを見積る必要があること
⑤ 価値(意義)ある行為でなければならないこと
(西研「本質観取をどのように行うか」より)
文法・表現
- 〜には、〜を伴うこと(必要+伴隨)
- 「には、を伴うこと」=「需要…,伴隨…」。
- 〜なければならないこと(必要条件)
- 「なければならないこと」=「必須…的事」。
中文翻譯
① 要做那件事,伴隨著巨大的危險與恐懼
② 必須克服巨大的危險與恐懼
③ 在此之上必須付諸實行
④ 但為了不至於魯莽,需要評估風險
⑤ 必須是有價值(有意義)的行為
(出自西研「本質觀取應如何進行」)
下人は老婆の話を聞いたあと、嘲るような声で「きっど、そうか。」と念を押しているように、咄嗟の衝動で行動を起こしたのではありません。「冷ややかな侮蔑」という表現にも見えるように、下人が老婆の着物を剥ぎ取るという行為に及ぶのは、下人の中で生まれた、強い確信にのっとって決断されています。下人は、自分がこれまで頑なに恐れていた、盗人になってまで生き抜いて見せるという気概を「ある勇気」として手に入れるのです。
文法・表現
- 〜あと、〜のような声で〜(時間+方式)
- 「あと、のような声で〜」=「之後,以…般的聲音…」。
- 〜ように、〜念を押している(樣態+確認)
- 「念を押している」=「確認般地說」。
- 〜で行動を起こしたのではありません(否定+斷定)
- 「で行動を起こしたのではありません」=「並非以…採取行動」。
- 〜に及ぶのは、〜にのっとって決断されています(手段+根據)
- 「に及ぶのは、にのっとって決断されています」=「進行…,是根據…而決斷」。
- 〜を「ある勇気」として手に入れるのです(性質+獲得)
- 「を「ある勇気」として手に入れる」=「作為『某種勇氣』而獲得」。
中文翻譯
下人聽老婆的話之後,以嘲弄般的聲音「果真,是這樣麼。」確認般地說——可見並非以瞬間衝動而採取行動。如「冰冷的侮蔑」這個表達也可看出,下人剝奪老婆衣物這個行為,是基於在他心中產生的、強烈的確信而做的決斷。下人,將至今頑固地恐懼的「即使當盜人也要活下去」的氣概,作為「某種勇氣」而獲得。
■老婆の描かれ方
文中、老婆の姿は、非常に印象的な動物の比喩で語られています。「猿のような老婆」「猿の親が猿の子のしらみを取る(ように)」「鶏の脚(のような)」「肉食鳥の(ような)鋭い目」「からすの鳴く(ような)声」「蟇のつぶやく(ような)声」などです。「猿」、「鶏(鳥)」、「蟇(蛙)」と、場面自体が下がっていくにしたがって、あたかも生物の進化の過程を退化していくような比喩が、老婆に当てられていることに気がつきます。喩えられる動物の大きさもどんどん小さくなっており、
文法・表現
- 〜は、〜で語られています(受身+方式)
- 「で語られています」=「以…被敘述」。
- 〜にしたがって、あたかも〜のような〜が当てられている(並行+比喩+受身)
- 「にしたがって、あたかものような当てられている」=「隨著…,彷彿…般的…被用」。
- 〜小さくなっており、〜(並行進行)
- 「小さくなっており」=「變得越來越小」。
中文翻譯
文中老婆的身影以非常印象深刻的動物比喻被敘述。「猴子般的老婆」「(如同)母猴給小猴抓蝨子」「(如同)雞腳」「(如同)肉食鳥的銳利之眼」「(如同)烏鴉鳴叫般的聲音」「(如同)蟾蜍呢喃般的聲音」等等。「猴」、「雞(鳥)」、「蟾(蛙)」——隨著場面本身下沉,彷彿是生物進化過程的退化般的比喻被用在老婆身上——可以察覺到這一點。所比喻的動物的大小也越來越小,
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これはちょうど、下人が老婆に対して強い者の立場を獲得していくことに反比例しているかのようにも読み取れます。
文法・表現
- ちょうど〜していくことに反比例しているかのようにも読み取れます(程度+比喩+可能)
- 「ちょうど〜していくことに反比例しているかのようにも読み取れます」=「恰好彷彿與…成反比例般可解讀」。
中文翻譯
這恰好可解讀為——與下人對老婆獲得強者立場成反比例。
一方、下人に対しても、動物の比喩は使われていました。「猫のように身をちぢめて」や「やもりのように足音を盗んで」という部分がそれに当たります。ただ、下人の場合は、はしごを上がる場面で動物に喩えられはするものの、楼の上に出てからは、そのような比喩が出てこなくなります。相手が老婆だと判明してからはずっと、弱者を見下ろす強者として描かれているのです。老婆の生死をその手に握ったとき、「ある仕事をして、それが円満に成就した時の、安らかな得意と満足とがあるばかり」と語られているように、おそらくこれまでの人生の中で、自分以外の人間をその手の支配下においたことなどなかったであろう下人は、自分が想像していた悪の道が、目の前の老婆のうちに、非常に平凡な形で体現していることに拍子抜けしたのかもしれません。
文法・表現
- 〜にも、〜は使われていました(受身)
- 「にも、〜は使われていました」=「也使用了…」。
- 〜場面で〜喩えられはするものの、〜出てきなくなります(譲歩+帰結)
- 「場面で喩えられはするものの、出てこなくなります」=「雖在…場面被比喻,但…就不出現」。
- 〜と語られているように、おそらく〜下人は、〜に拍子抜けしたのかもしれません(書面+推量)
- 「と語られているように、おそらく〜したのかもしれません」=「正如…所說,恐怕…或許…」。
中文翻譯
另一方面,對下人也使用了動物的比喻。「貓一般地縮起身體」「壁虎一般地偷著腳步」這些部分就是。但下人的情況,雖在登樓梯場面被比喻為動物,但出到樓上之後就不再出現那樣的比喻。在判明對手是老婆之後,他一直被描寫為俯視弱者的強者。當把老婆的生死握在手中時,正如「就像做完某件工作、它圓滿完成時那種安樂的得意與滿足而已」所說,恐怕至今的人生中沒有將自己以外的人類置於支配下的下人,對於自己所想像的惡之道、以非常平凡的形態體現於眼前老婆身上,或許感到失望了。
■全体を振り返る
『羅生門』の内容を改めて振り返っておきましょう。荒んでしまった京の都のはじ、かつては都の城門としてそびえ立っていた羅生門は、今はもう見るも無残に朽ち果てようとしています。そこにたどり着いた下人は、降りしきる雨の中で、何をするでもなく、自身の運命へのあらがいようのなさにぼう然としていました。町の中では仏像や仏具さえ打ち壊され、薪の燃料に使われてしまっています。もはや人々は宗教への信仰心も忘れて、その日をどう生き抜くかだけを考えていたのです。
文法・表現
- 〜を改めて振り返っておきましょう(重新+勧誘)
- 「を改めて振り返っておきましょう」=「重新回顧吧」。
- 〜は、今はもう〜ようとしています(変化+進行)
- 「は、今はもうようとしています」=「現在已快要…」。
- 〜中で、〜何をするでもなく、〜にぼう然としていました(場面+無為+茫然)
- 「中で、何をするでもなく、ぼう然としていました」=「在…中,無所事事,茫然著」。
- もはや〜も忘れて、〜だけを考えていたのです(已經+限定)
- 「もはや忘れて、だけを考えていた」=「已忘了…,只想著…」。
中文翻譯
讓我們重新回顧《羅生門》的內容吧。在已荒廢的京都的盡頭,曾作為都城城門高聳而立的羅生門,現在已慘不忍睹地朽爛。到達那兒的下人,在傾盆大雨中無所事事,茫然於對自身命運的無能為力。城中佛像、佛具都被打碎,被當作柴薪的燃料。人們已忘了對宗教的信仰心,只想著如何過完當天。
たった一人、羅生門の上で、死体とともに夜を明かそうとした下人でしたが、そこで出会った老婆によって、彼は生き抜くための理屈を手に入れます。すなわち、飢え死にしないためなら、自分が生きるためなら、悪事を働くことはしかたがないという開き直りです。前半と後半で、下人の様子がまるで違っていることを読み取ることができます。誰からも、見向きもされなかった男が、老婆の生死をその手に握り、支配することができたとき、彼は自分が悩んでいたことが、いかにちっぽけであったかに気づくのです。しかし、彼のこの後の歩みは、「夜の底」や「黒洞々たる夜」という表現に、暗示されているかのようでした。
文法・表現
- たった一人、〜とともに〜しようとした〜(強調+意志)
- 「たった一人、ともにしようとした」=「本想隻身一人,與…一起…」。
- 〜によって、〜手に入れます(手段+獲得)
- 「によって、手に入れます」=「藉由…,獲得…」。
- すなわち、〜という開き直りです(換言)
- 「すなわち、という開き直り」=「也就是…的開脫」。
- 〜まるで違っていることを読み取ることができます(程度+可能)
- 「まるで違っていることを読み取ることができます」=「可看出截然不同」。
- 〜気づくのです。しかし、〜暗示されているかのようでした(覚醒+逆接+暗示)
- 「気づくのです。しかし、暗示されているかのようでした」=「察覺。然而似乎被暗示」。
中文翻譯
本想隻身一人在羅生門上、與死體一起度過夜晚的下人,藉由在那兒遇到的老婆,獲得了求生的理屈。也就是——只要不餓死、只要為了自己活下去,做壞事是不得已的——這份開脫。可以看出,前半與後半下人的樣子已截然不同。被誰都不看一眼的男人,當他將老婆的生死握在手中、能夠支配她時,他發現自己所煩惱的事是多麼渺小。但他之後的步伐,似乎已被「夜的底部」與「黑洞洞之夜」這樣的表達所暗示。
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羅生門 【五】
学習のねらい
作品成立の経緯を踏まえつつ、結末部分に加えられた変更が及ぼした読みの変容と、いまなお読者を引きつける作品の魅力について考えます。
文法・表現
- 〜を踏まえつつ、〜について考えます(前提+並行+對象)
- 「を踏まえつつ、について考えます」=「基於…,思考關於…」。
- 〜が及ぼした〜の変容(連体+影響)
- 「が及ぼした変容」=「所造成的變容」。
- いまなお〜引きつける〜の魅力(持續+特徵)
- 「いまなお引きつける魅力」=「至今仍吸引的魅力」。
中文翻譯
在掌握作品成立經緯的基礎上,思考結尾部分所加的變更帶來的閱讀變容,以及至今仍吸引讀者的作品魅力。
●学習のポイント●
〈一〉『羅生門』の初出
〈二〉『羅生門』の書き換え
〈三〉『羅生門』から読み取れること
文法・表現
- 〜の初出(漢語)
- 「初出」=「初次發表」。
中文翻譯
〈一〉《羅生門》的初次發表
〈二〉《羅生門》的改寫
〈三〉從《羅生門》可讀出的事
■『羅生門』の初出
芥川龍之介によって書かれた『羅生門』は、彼がまだ東京帝国大学に在学していた頃、作家としては全くの無名時代に書かれました。この後、芥川はいくつかの短編と一緒にまとめて一冊の本を出版するのですが、そのタイトルが『羅生門』とされているように、彼自身にとっても、非常に思い入れのある作品だったようです。
文法・表現
- 〜によって書かれた〜は、〜頃、〜時代に書かれました(受身+時代)
- 「によって書かれた、頃、時代に書かれました」=「由…所寫的,於…時代被寫下」。
- そのタイトルが〜とされているように、〜にとっても、非常に〜のある作品だったようです(受身+對象+程度)
- 「とされているように、にとっても、非常にのある作品だったようです」=「正如書名為…,對…來說也似乎是非常有…的作品」。
中文翻譯
由芥川龍之介所寫的《羅生門》,是他還在東京帝國大學在學時、作為作家完全還是無名時代寫的。之後,芥川將它與幾篇短篇匯整成一本書出版,那書的書名就定為《羅生門》——可見對他本人而言,這也是非常有思入的作品。
なお、日本を代表する映画監督である黒澤明は、『羅生門』というタイトルの映画を制作しました。いまから七十年以上前、一九五〇年の作品ではありますが、黒澤明の映画手法は、世界中の映画監督に影響を与えたと言われています。ちなみに、映画の原作自体は『羅生門』ではなく、芥川による別の短編「藪の中」が主なストーリーとなっていますが、舞台立てとして、雨宿りのために登場人物たちが羅生門に集まるという設定になっています。
文法・表現
- 〜である〜は、〜を制作しました(資格+行動)
- 「である〜は、を制作しました」=「身為…的他,製作了…」。
- 〜以上前、〜の作品ではありますが、〜と言われています(讓步+伝聞)
- 「以上前、の作品ではありますが、と言われています」=「雖是…以上前的作品,但據說…」。
- ちなみに、〜自体は〜ではなく、〜が主なストーリーとなっていますが、〜設定になっています(補充+對比+設定)
- 「ちなみに、自体はではなく、が主なストーリーとなっていますが、設定になっています」=「順帶一提,本身並非…,主要故事是…,但採用…設定」。
中文翻譯
順帶一提,代表日本的電影導演黑澤明製作了名為《羅生門》的電影。雖然是距今七十年以上之前、1950年的作品,但據說黑澤明的電影手法影響了全世界的電影導演。順帶一提,電影的原作本身並非《羅生門》,主要故事是芥川的另一短篇〈竹叢中〉,但作為舞台設定,採用了登場人物為避雨而聚集於羅生門的設定。
■『羅生門』の書き換え
『羅生門』の最後の結びの一文は、たびたび変更されています。いちばん初め、『帝国文学』という文学雑誌に掲載された初出では、「下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつつあつた。」になっているのですが、第一短編集となる『羅生門』を発刊する際には、「下人は、既に、雨を冒して京都の町へ強盗を働きに急いでゐた。」となり、このあともさらに、短篇集『鼻』に収録される時に改めて修正され、現在のような、「下人の行方は、誰も知らない」となったようです。
文法・表現
- 〜は、たびたび変更されています(頻度+受身)
- 「たびたび変更されています」=「屢次被變更」。
- いちばん初め、〜に掲載された初出では、〜になっているのですが、〜する際には、〜となり、〜さらに、〜時に改めて修正され、〜のような、〜となったようです(時間順序+變化)
- 「初め、に掲載された初出では、なっているのですが、する際には、となり、さらに、時に改めて修正され、のような、となったようです」=「最初在…刊載的初出是…,但在…之際變為…,又再…重新修正,似乎成為…」。
中文翻譯
《羅生門》最後結尾的一句屢次被變更。最初登在文學雜誌《帝國文學》上的初出版本是:「下人,已冒著雨,急忙地往京都之町行強盜之事。」但在發行第一短篇集《羅生門》之際,改為「下人,已冒著雨,急忙地往京都之町行強盜。」之後,在收入短篇集《鼻》時又重新修改,似乎成了現在的「下人的去向,無人知曉」。
改稿前も後も、行く先もなく途方に暮れていた若い男が、羅生門の楼上での老婆との出会いを通じて、自身が生きようとする意志を獲得していくストーリーとなっていますが、「作者はさっき」と、この物語のすべてを統括していたかのような語り手が、現在の形である、「下人の行方は、誰も知らない」と語るとき、作者たる自分の筆からも登場人物がすり抜けていったかのような書き方をしていると見ることができます。
文法・表現
- 改稿前も後も、〜獲得していくストーリーとなっていますが(共通+結構)
- 「前も後も、ストーリーとなっています」=「前後都是…的故事」。
- 〜と語るとき、〜書き方をしていると見ることができます(時點+可能)
- 「と語るとき、書き方をしていると見ることができます」=「說…時,可看作是…的寫法」。
- 〜たる〜の〜からも〜たかのような(連体+比喩)
- 「たる〜のからもたかのような」=「從身為…的…,彷彿…般的」。
中文翻譯
無論改稿前或改稿後,劇情都是——無處可去而茫然的年輕男人,藉由在羅生門樓上與老婆的相遇,獲得求生意志。但是,當前版本「下人的去向,無人知曉」這個敘事,從原本好像統括整個物語的「作者剛才」這樣的敘述者口中說出時,可看作是一種——彷彿登場人物已從作為作者的自己筆下滑脫而出般的寫法。
この結果、下人を待ち受ける行く末が決して、穏やかなものであるはずがない
文法・表現
- 〜が決して、〜であるはずがない(強い否定)
- 「決して、であるはずがない」=「絕不可能是…」。
中文翻譯
結果,下人前面等待的命運,可說是給了讀者「絕不可能是平穩之物」的讀後餘白。
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という読後の余白を、読み手にもたらしていると言うことができるでしょう。「下人の行方は、誰も知らない」で閉じられる現在の物語は、結末部分に余白を残すことによって、さらに作品の普遍性を高めたのではないでしょうか。
文法・表現
- 〜にもたらしていると言うことができるでしょう(產生+可能)
- 「にもたらしていると言うことができるでしょう」=「可以說帶給了…」。
- 〜で閉じられる〜は、〜ことによって、さらに〜を高めたのではないでしょうか(結束+手段+柔軟主張)
- 「で閉じられるは、ことによって、さらに高めたのではないでしょうか」=「以…結束的,藉由…,更提高…不是嗎」。
中文翻譯
這份讀後的餘白,可以說它帶給了讀者。以「下人的去向,無人知曉」結尾的現行物語,藉由在結尾部分留下餘白,更提高了作品的普遍性,不是嗎?
■『羅生門』から読み取れること
冒頭からずっと、語り手の位置は、主人公である下人に寄り添っていました。しかし、最後の場面において急に、老婆の視点に乗り移ります。
文法・表現
- 〜からずっと、〜に寄り添っていました(從…一直+貼近)
- 「からずっと、に寄り添っていました」=「從…一直貼近…」。
- しかし、〜において急に、〜に乗り移ります(轉折+移動)
- 「急に、に乗り移ります」=「突然轉移到…」。
中文翻譯
從開頭一直以來,敘述者的位置一直貼近主角下人。然而在最後的場面突然轉移到老婆的視點上。
下人に着物を奪われた老婆は、下人が消えていったはしごの口まで、はっていくと、短い白髪を逆さまにして門の下をのぞき込みます。老婆の視線としては天地が逆になっていますが、門の外の光景、見え方自体は、影響を受けていません。なぜなら、どこを見渡しても漆黒の闇、「黒洞々たる夜」が広がっているばかりだからです。まさに善悪の彼岸とも呼べる羅生門という空間を越え出たとき、「夜の底」と表される闇へと下人は姿を消していくのです。
文法・表現
- 〜は、〜まで、〜していくと、〜のぞき込みます(連用+進行+動作)
- 「はまでしていくと、のぞき込みます」=「爬到…,望向…」。
- 〜としては〜が逆になっていますが、〜は影響を受けていません(讓步+否定)
- 「としては逆になっていますが、影響を受けていません」=「雖…顛倒,但未受影響」。
- なぜなら、〜だからです(理由)
- 「なぜなら、だからです」=「因為…」。
- まさに〜を越え出たとき、〜と表される〜へと〜は姿を消していくのです(強調+場面+帰結)
- 「まさにを越え出たとき、と表されるへと姿を消していく」=「正在跨越…時,往被表為…的…消失而去」。
中文翻譯
被下人奪去衣物的老婆,爬到下人消失的梯口,將短短的白髮倒掛著望向門外。雖然從老婆的視線來看天地是顛倒的,但門外的光景、看見的方式本身,並沒有受到影響。因為無論望向哪裡,都只擴展著漆黑的暗、「黑洞洞之夜」。正是越過了可稱為善惡之彼岸的羅生門這個空間時,下人便消失於被表為「夜的底部」的暗之中。
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文法・表現
- 〜及び〜を〜禁じます(漢語並列)
- 正式・告知の文体。