言語げんご文化ぶんか #42-44

現代げんだいぶん

こころ小説しょうせつ1]

雨漏あまもりのおと全三回ぜんにかい

長嶋ながしま ゆう

講師こうし 小山こやま 志門しもん

いち雨漏あまもりのおと

学習がくしゅうのねらい

今回こんかい教材きょうざいは「雨漏あまもりのおと」という小説しょうせつです。あたらしい結婚けっこん生活せいかつひかえた「あかね」という女性じょせい登場とうじょうします。「あかね」は二人ふたりらすいえさがなかで、「雨漏あまもり」の記憶きおくおもし、そこから家族かぞくたいするある感覚かんかくおもおこしていきます。今回こんかいは、冒頭ぼうとう場面ばめんで、物語ものがたり設定せってい把握はあくし、「あかね」とおっとになる「晴人はると」との関係かんけい確認かくにんしましょう。また物語ものがたりなかで「雨漏あまもりのおと」がどういう役割やくわりたすのか注目ちゅうもくしてみましょう。

文法・表現

〜という小説です(定義)
『雨漏りの音』という小説」=「叫『雨漏りの音』的小說」。
〜を控えた〜(連体)
新しい結婚生活を控えた」=「即將迎來新婚生活的」。
〜を確認しましょう。また〜注目してみましょう(勧誘の並列)
並列的勸誘

中文翻譯

本回的教材是「雨漏りの音」這部小說。即將迎來新婚生活的「茜」這位女性登場。「茜」在尋找兩人共住的家的過程中,想起了「漏雨」的記憶,由此回想起對家人的某種感覺。本回於開頭場面把握物語的設定,確認「茜」與將成為丈夫的「晴人」之關係吧。並注目於「漏雨之音」在物語中扮演什麼樣的角色。

学習がくしゅうのポイント●

いち場面ばめん整理せいりをする
〉「雨漏あまもり」にたいする二人ふたり反応はんのう整理せいりする
さん〉「ゆか」をあかね心情しんじょうについてかんがえる

文法・表現

〜について考える/〜を整理する(漢語)
思考・整理之動作

中文翻譯

〈一〉整理場面 〈二〉整理對於「漏雨」兩人的反應 〈三〉思考看著「地板」的茜的心情

場面ばめん整理せいりをする

まず、舞台ぶたい設定せってい確認かくにんをしましょう。
あかね」と「晴人はると」の二人ふたりが「見取みとり」をている場面ばめんからはじまります。不動産屋ふどうさんや案内あんないしてもらい、自分じぶんたちがごす新居しんきょさがしています。これからあたらしい生活せいかつはじまる二人ふたりなのですが、実際じっさいったいえが「雨漏あまもり」するほど「ふるい」いえであることや、ジメジメした気配けはいなどもえがかれ、新婚しんこん生活せいかつむねおどらせるというかろやかなかんじがしません。「晴人はると」の心情しんじょう直接ちょくせつ表現ひょうげんされていないのでかりませんが、「あかね」は気持きもちが表現ひょうげんされていて、すこ理屈りくつっぽくかんがえようとする性格せいかくなどをわせると、すこおもくて慎重しんちょう雰囲気ふんいきがにじみています。新婚しんこん生活せいかつむねおどらせて、ストーリーがすすんでいくというはなしではなさそうです。

文法・表現

〜場面から始まります(場面の起点)
場面から始まります」=「從…的場面開始」。
〜なのですが、〜という軽やかな感じがしません(逆接+否定)
のですが、〜という感じがしません」=「雖然…,但沒有…的感覺」。
〜を読み合わせると、〜がにじみ出ています(合成+滲出)
読み合わせると、にじみ出ています」=「合在一起讀,便滲出…」。
〜という話ではなさそうです(否定的推測)
ではなさそうです」=「似乎不是…」。

中文翻譯

首先,確認舞台設定吧。 從「茜」與「晴人」兩人看著「平面圖」的場面開始。讓不動產業者導覽,正在尋找自己將居住的新居。雖然是即將開始新生活的兩人,但實際去看的家是會「漏雨」般的「老舊」之家,也描繪出潮濕的氣息——並沒有對新婚生活雀躍的輕盈感。「晴人」的心情未被直接表現所以不清楚,但「茜」的心情被表現出來,與她稍微愛講道理的性格合在一起讀,便滲出稍微沉重而謹慎的氛圍。看來這並不是「對新婚生活雀躍、故事就此進展」這樣的故事。

そんな二人ふたりがどうなっていくのか? とか、どうして新婚しんこん生活せいかつひかえた「あかね」がすこおも雰囲気ふんいきでいるのか、など、言葉ことば表現ひょうげんされている「あかね」の心情しんじょう中心ちゅうしんいかけながら、「晴人はると」をはじめとしたまわりの人間にんげんと「あかね」との関係かんけいかんがえながらすすめるとよいでしょう。

文法・表現

〜のか?/どうして〜のか(疑問内包)
のか/どうしてのか」=「怎樣…呢/為什麼…呢」。
〜を中心に追いかけながら、〜考えながら〜読み進めるとよいでしょう(並行+提案)
中心に追いかけながら、考えながら〜読み進めるとよい」=「以…為中心追蹤,並思考著…讀下去比較好」。

中文翻譯

這樣的兩人會怎樣呢?或者,為什麼即將新婚的「茜」會帶著稍微沉重的氛圍——這些等等,以言語表現的「茜」的心情為中心追蹤、並思考以「晴人」為首周圍的人與「茜」的關係,這樣讀下去比較好。

■「雨漏あまもり」にたいする二人ふたり反応はんのう整理せいりする

見取みとり下部かぶの『雨漏あまもりする箇所かしょあり』という特記とっき事項じこうに、あかね晴人はるとはまるでことなる反応はんのう同時どうじにみせた」という一文いちぶん注目ちゅうもくしてみましょう。

文法・表現

〜まるで異なる反応を同時にみせた(並行的対比)
まるで異なる反応を同時にみせた」=「同時呈現出完全不同的反應」。

中文翻譯

請注意「對於平面圖下部『有漏雨之處』這個特記事項,茜與晴人同時呈現出完全不同的反應」這一句。

晴人はると」は「え、それはちょっと。」と困惑こんわくしていて「雨漏あまもり」は「NOだ」という拒否きょひ反応はんのうです。それに対し「あかね」は「へぇー。」と「雨漏あまもり」をむしろたのしんでいるような反応はんのうをしました。新居しんきょが「雨漏あまもりする」いえだったら、「それはちょっとこまる」というのが普通ふつう反応はんのうだとおもいます。どうやら「あかね」の実家じっか最近さいきんまで「雨漏あまもり」していたようで、そんな経験けいけんなかから「雨漏あまもり」にたいする反応はんのうたようです。

文法・表現

〜は「〜」という拒否の反応です(行動+評価)
『NOだ』という拒否の反応」=「『NO』的拒絕反應」。
それに対し〜(対比)
それに対し」=「對此」。
どうやら〜していたようで、〜出たようです(推測の連鎖)
どうやら〜したようで、〜出たようです」=「看來…,似乎…」。

中文翻譯

「晴人」說「欸、那有點……。」表現困惑——「漏雨」是「NO」的拒絕反應。對此「茜」「嘿——。」似乎反而是覺得「漏雨」有趣的反應。新居若是「會漏雨」的家,「那有點困擾」應該是普通的反應吧。看來「茜」的老家最近還在「漏雨」,從這經驗中產生出對「漏雨」的反應。

わたしは、この二人ふたり反応はんのうに、作者さくしゃ意図いとんでほしいとおもいます。ける冒頭ぼうとうてきた出来事できごとですから、この二人ふたりちがいを読者どくしゃにしっかり注目ちゅうもくさせたかったはずです。今回こんかいのズレは、これからなが二人ふたり生活せいかつおくる「いえ」、つまり、二人ふたり土台どだいたいする反応はんのうのズレということです。些細ささいなズレとはえませんよね。そういった「晴人はると」とのズレをかんったのではないでしょうか。そういうてんにおいて、すこおも雰囲気ふんいきただよっていたのではないでしょうか。

文法・表現

〜を汲んでほしいと思います(依頼+希望)
意図を汲んでほしい」=「希望讀取意圖」。
〜はずです(必然推量)
注目させたかったはずです」=「應該是想讓注目」。
〜とは言えませんよね(否定+確認)
とは言えませんよね」=「不能說是…吧」。

中文翻譯

我希望各位從這兩人的反應中讀取作者的意圖。因為這是吸引讀者的開頭出現的事件,作者一定是想讓讀者好好注目兩人的不同。本回的偏差,是對於兩人將過長久生活的「家」、也就是兩人的根基的反應之偏差。並非微小的偏差呢。應該是感受到了那樣的與「晴人」的偏差吧。在這點上,可能漂著稍微沉重的氛圍。

雨漏あまもり」にたいする反応はんのうにも、たとえば、「あかね」と「晴人はると」が物件ぶっけんはいっていく場面ばめんにもズレがえがかれています。「おっと、けて」と「晴人はると」が「あかね」に「慇懃いんぎんに」します。「慇懃いんぎんに」というのは「丁寧ていねいに、やさしくせっする」ことですが、それを「あかね」は「わざとらしい、とわらいながらとる」とあります。これは新婚しんこん夫婦ふうふ自然しぜん気配きくばりのようにもえますが、それに違和感いわかんがなければかんじないはずの「わざとらしさ」をつけているのです。このように、二人ふたり感覚かんかくちがい、「あかね」のズレにたいする意識いしき強調きょうちょうされているようにおもいます。

文法・表現

〜の他にも、たとえば、〜にもズレが描かれています(追加+例示)
の他にも、たとえば、〜にもズレが描かれています」=「除了…外,例如,也描繪出偏差」。
〜にも見えますが、〜のです(柔軟+確認)
にも見えますが、〜のです」=「也可看作…,但…」。
〜が強調されているように思います(受身+推測)
が強調されているように思います」=「感覺被強調」。

中文翻譯

除了對「漏雨」的反應外,例如「茜」與「晴人」進入物件的場面也描繪出偏差。「噢、小心」——「晴人」「慇懃地」對「茜」伸出手。「慇懃地」是「禮貌地、親切地對待」的意思,但「茜」「邊笑邊接,覺得做作」。這也可能看作是新婚夫婦自然的關心,但她發現了「若沒有違和感應該不會感到」的「做作」。如此一來,兩人感覺的差異、「茜」對偏差的意識被強調出來了。

■「ゆか」をあかね心情しんじょうについてかんがえる

さて、「物件ぶっけんさがし」というてんでは、この「雨漏あまもり」のする物件ぶっけん二人ふたりともりるはない様子ようすでした。だから「あかね」は「たずねる必要ひつようはなかったのだガ」と自分じぶんでもおもいながらも、「雨漏あまもり」する場所ばしょ不動産屋ふどうさんや女性じょせいにわざわざ確認かくにんをします。この確認かくにんが、物語ものがたりつぎ場面ばめん誘導ゆうどうするきっかけとなります。

文法・表現

〜気はない様子でした(意図的否定)
気はない様子でした」=「看來沒有要…的意思」。
〜と自分でも思いながらも、〜(並行+自覚)
と思いながらも」=「一邊…一邊也…」。
〜きっかけとなります(契機)
誘導するきっかけとなります」=「成為引導的契機」。

中文翻譯

那麼,在「找物件」這一點上,看來兩人都沒有要租這「漏雨」的物件。所以「茜」雖自己也想著「沒必要問」,卻特意向不動產業者的女性確認「漏雨」的地方。這個確認,成為將物語引導到下個場面的契機。

場所ばしょおそえてもらったときの「あかね」の行動こうどう注目ちゅうもくしてください。雨漏あまもりのしみを見上みあげる二人ふたりたいして、「あかね」だけすぐに視線しせんゆかうつしました。れたあめめる洗面器せんめんきをおいたゆか注目ちゅうもくしているのです。そこから「あかね」は、たんなる出来事できごととしての「雨漏あまもり」ではなく、自分じぶん自身じしん経験けいけんした「雨漏あまもり」をおもしていきます。その物思ものおもいは「あかね」のあたまなかでどんどんふかまっていきます。ゆかながめ、そこに意識いしき集中しゅうちゅうしていく。あたまはぼんやりと現実げんじつからはなれていく。そうやって、「あかね」は二つ目ふたつめ物件ぶっけんかう車内しゃないで、自分じぶん世界せかいはいんでいくのです。さて「あかね」がどんなおもいをめぐらせているのかは、次回じかい一緒いっしょんでいきましょう。

文法・表現

〜だけすぐに〜(限定+即時)
『茜』だけすぐに視線を床に移しました」=「只有『茜』立刻將視線移到地板」。
〜から「茜」は、〜を思い出していきます(起點+進行)
から思い出していきます」=「從…開始回想」。
そうやって、〜入り込んでいくのです(手段+帰結)
そうやって、入り込んでいく」=「如此進入」。

中文翻譯

請注意被告知地點時「茜」的行動。對於仰望漏雨痕跡的兩人,只有「茜」立刻將視線移到地板上。她注目於放置接漏雨用洗臉盆的地板。從那兒,「茜」開始回想——並非單純事件的「漏雨」,而是自己經歷過的「漏雨」。那思緒在「茜」腦中越來越深。眺望地板,將意識集中於那裡。腦袋茫然地離開現實。如此一來,「茜」在前往第二個物件的車中,進入了自己的世界。「茜」在思索什麼,下回一起讀吧。

言語げんご文化ぶんか #42-44

雨漏あまもりのおと

学習がくしゅうのねらい

今回こんかいは、「あかね」が「雨漏あまもりのおと」をきっかけにしておも過去かこ出来事できごとについてりましょう。直接ちょくせつ表現ひょうげんされていない心情しんじょう関係かんけいることも必要ひつようとなりますから、登場とうじょう人物じんぶつ様子ようす動作どうさなど、こまかいところにも注目ちゅうもくしましょう。どんな心情しんじょういだいているのか、どういう関係かんけいつくっているのか、想像そうぞうゆたかにめるとよいでしょう。

文法・表現

〜をきっかけにして〜(契機)
をきっかけにして」=「以…為契機」。
〜ことも必要となりますから、〜にも注目しましょう(理由+勧誘)
ことも必要となりますから、〜にも注目しましょう」=「因為…也是必要的,所以也注目於…」。
どんな〜抱いているのか、どういう〜作っているのか(並列疑問)
並列疑問

中文翻譯

本回讀取「茜」以「漏雨之音」為契機所回想的過去事件吧。也需要讀取未直接表現的心情與關係,所以請注目登場人物的樣子、動作等細微之處。抱有什麼心情、構築什麼關係——能富於想像地讀就好了。

学習がくしゅうのポイント●

いち〉「雨漏あまもり」のおも整理せいりする
父親ちちおや行動こうどうから心情しんじょうかんがえる
さんあかねちちへのおもいをかんがえる

文法・表現

〜から〜を考える(手段+對象)
から〜を考える」=「從…思考…」。

中文翻譯

〈一〉整理「漏雨」的回憶 〈二〉從父親的行動思考心情 〈三〉思考茜對父親的情感

■「雨漏あまもり」のおも整理せいりする

あかね」がまずはじめにおもしているのは「雨漏あまもりのおと」です。そのおとは、「ティン、ティン」と反響はんきょうするおとだどいます。そもそも「雨漏あまもり」自体じたい経験けいけんしたひとでないとイメージしづらいです。ですから、みなさんも、天井てんじょう見上みあげ、そこから足元あしもとゆか水滴すいてき一滴いってきずつちる様子ようすや、その受け皿うけざらおとなどについて、想像そうぞうしながらんでください。「あかね」の実家じっかでは「雨漏あまもり」の受け皿うけざらとして「アルマイト」の洗面器せんめんき使つかっていたようです。「アルマイト」は金属きんぞくであるアルミニウムを酸化さんかさせたものだそうです。だとすると、たしかに、「ぽつん、ぽつん」ではなく、金属的きんぞくてき反響はんきょうおんがしそうです。「ティン、ティン」しずかな部屋へや反響はんきょうする「雨漏あまもりのおと」。なんとなくみみのこりそうながしますね。

文法・表現

〜だと言います(伝聞)
だと言います」=「據說」。
そもそも〜自体、〜でないとイメージしづらいです(前提+條件)
そもそも〜自体、〜でないとイメージしづらい」=「那本身,沒有…就難以想像」。
〜を使っていたようです(過去推量)
を使っていたようです」=「好像在用…」。
〜なんとなく〜気がしますね(柔軟感受)
なんとなく〜気がしますね」=「不知為何有…的感覺」。

中文翻譯

「茜」最初想起的是「漏雨之音」。據說那個聲音是「叮、叮」這樣迴響的聲音。「漏雨」本身,沒有經驗過的人就難以想像。所以請各位也一邊想像——抬頭看天花板、水滴從那裡一滴一滴落到腳下的地板,與接住它的容器發出的聲音——一邊讀。「茜」的老家好像是用「鋁陽極氧化(アルマイト)」的洗臉盆作為「漏雨」的接住容器。「アルマイト」據說是把鋁這種金屬氧化後的東西。如此一來,的確不是「噗通、噗通」,而是金屬般的迴響音吧。「叮、叮」在寂靜的房間迴響的「漏雨之音」。感覺彷彿會留在耳中呢。

あかね」は「雨漏あまもり」のおとあたまなかひびき、どんどん物思ものおもいにふけっていきます。まず「雨漏あまもり」のこと自体じたいおもします。自分じぶんいえが「ただただボロかった」こと。「あかね」のいえの「雨漏あまもり」はながつづいていたこと。「二十秒にじゅうびょう一度いちどくらい」の「雨漏あまもり」。そんなにひどくないから、あまり神経質しんけいしつにはならず「横着おうちゃくわせの工夫くふうで」雨漏あまもりに対応たいおうしていたこと。「でも、そういえば、まるでにしていないわけでもなかった」こと。その「雨漏あまもり」自体じたいおもから、「あかね」は、さらに自分じぶん家族かぞくとのことをかんがえていきます。おとにいざなわわて自分じぶん家族かぞくのことをおもしていくのです。

文法・表現

〜が頭の中に響き、どんどん〜ふけっていきます(並行+進行)
響き、どんどんふけっていきます」=「迴響,越來越陷入」。
〜は長く続いていたこと(持続)
長く続いていたこと」=「持續很久的事」。
〜にいざなわれて〜を思い出していくのです(誘導+進行)
にいざなわれて思い出していく」=「被誘引而回想」。

中文翻譯

「茜」「漏雨」之音在腦中迴響,越來越陷入沉思。首先想起「漏雨」這件事本身。自己的家「就只是破舊」。「茜」家的「漏雨」已持續了很久。「大約二十秒一次」的「漏雨」。因為沒那麼嚴重,所以也不太神經質,「用懶散湊合的辦法」對應漏雨。「但是這麼說來,倒也不是完全不在意」。從「漏雨」本身的回憶,「茜」進一步想著與自家家人的事。被音引誘、回想起自家家人。

父親ちちおや行動こうどうから心情しんじょうかんがえる

あるあめよる、「あかね」が勉強べんきょう部屋べやから台所だいどころてきたときのおもいてあります。このとき、ある「違和感いわかん」をかんじています。その「違和感いわかん」はなにでしょうか。
まず一つ目ひとつめ夜中よなかにふとづいたらちち泥酔でいすいしてソファでころんでいる。そこにいるとおもっていないからビックリしますよね。「あかね」がかんじた「違和感いわかん」の一つひとつです。そしてそのちちがソファでころびながら、突然とつぜんこえないだろ」といます。それによって、「あかね」が「あっとひらめ」いたこと。普段ふだんこえるはずの「雨漏あまもりのおと」がこえないことです。それが「あかね」がかんじていたもう一つひとつの「違和感いわかん」の正体しょうたいでした。「あかね」が洗面器せんめんき確認かくにんすると、そこ雑巾ぞうきんいてありました。それによって、ひびくはずの雨漏あまもりのおとこえなくなっていたのですね。「ちち」はそれを「だらり」とした格好かっこういていたわけです。

文法・表現

〜から〜に出てきたときの思い出が書いてあります(書面記述)
出てきたときの思い出が書いてあります」=「寫著…的回憶」。
〜と思っていないからビックリしますよね(前提+帰結)
と思っていないからビックリします」=「因為沒料到所以嚇一跳」。
〜によって、〜あっとひらめいたこと(手段+感受)
によって、ひらめいたこと」=「藉此突然想到」。
〜だらりとした格好で聴いていたわけです(様態+帰結)
だらりとした格好で聴いていたわけです」=「以鬆垮的姿勢聽著」。

中文翻譯

寫著某個雨夜,「茜」從書房出來到廚房時的回憶。這時感受到某種「違和感」。那「違和感」是什麼呢? 首先第一個。夜半忽然發現父親爛醉地躺在沙發上睡著。沒料到他在那裡,會嚇一跳呢。這就是「茜」感到的「違和感」之一。然後那父親躺在沙發上時,突然說「聽不到吧」。藉此,「茜」「啊」地想到——平常應該聽得到的「漏雨之音」聽不到了。這就是「茜」感到的另一個「違和感」的真貌。「茜」確認洗臉盆,發現底下鋪了抹布。因此本該迴響的漏雨之聲變得聽不到了。「父親」就以「鬆垮」的姿勢聽著它。

このとき、父親ちちおやはどんな気持きもちで雑巾ぞうきんき、おといていたのでしょうか?
ヒントになるのは、「になってさ」という言葉ことばです。つまり、ちちも「雨漏あまもり」のことがになっていたということです。「あかね」の回想かいそうにもあったように、しばらく「雨漏あまもり」を修理しゅうりしないでいた家族かぞくだったわけですが、「ちち」も雨漏あまもりがするいえのボロさがになっていたり、なおしたほうがよいだろうとおもっていたのかもしれませんよね。「父親ちちおや」ですから、自分じぶんいえ家族かぞく心地ごこちなどに責任せきにんかんじていたかもしれません。いろんな気持きもちをかかえ、ぱらい、いえかえって寝転ねころがり、ずっとになっていた雨漏あまもりのおとして、それをただいていた。「ちち」にしかわかないおもいをいだきながらころんでいたようながします。

文法・表現

〜どんな気持ちで〜のでしょうか(疑問内包)
どんな気持ちで〜のでしょうか」=「是以怎樣的心情…呢」。
ヒントになるのは、〜です(提示)
ヒントになるのは、〜です」=「線索是…」。
〜たり、〜と思っていたのかもしれません(推量の並列)
たり、思っていたのかもしれません」=「或許…,或許想著…」。
〜にしかわかない思いを抱きながら〜(限定的+並行)
にしかわかない思いを抱きながら」=「懷著只有…才知道的思緒」。

中文翻譯

這時,父親是以怎樣的心情鋪上抹布、聽著那聲音呢? 線索是「在意呢」這句話。也就是說,父親也在意「漏雨」。如「茜」回想中所說,這是一家暫時不修「漏雨」的家庭,但「父親」可能也在意漏雨家的破舊、覺得應該修一下。畢竟是「父親」,可能對自己的家、家人的居住舒適度感到責任。懷著各種心情、喝醉、回家躺下,把一直在意的漏雨之音遮住,只是靜靜地聽著它。讓人感覺他像是懷著只有「父親」才知道的思緒躺著。

■「あかね」のちちへのおもいをかんがえる

この場面ばめんで「あかね」は「ちち」にたいして「ちちじゃないというか、なんの役割やくわりもない生身なまみものみたいなをした」とかんじています。この感覚かんかくは、想像そうぞうしながらしっかり理解りかいしたいところです。この場面ばめん、「ちち」はわれわすれるほどにい、だらりとねむんでいたのですよね。普段ふだん見知みしったひとが、完全かんぜん脱力だつりょくしてソファにたおんでいたらどうでしょう? 「あかね」はびっくりして一瞬いっしゅんちち」じゃないようにかんじたのでしょう。しかもこのとき「ちち」は、「こえないだろ」と予想よそうしていなかった言葉ことばはっしました。普段ふだんとの様子ようすちがいにおどろいているなかいままで「あかね」がおもってもいなかった「ちち」の感覚かんかくらされたのです。自分じぶんっている「ちち」とはちがべつ一面いちめん一人ひとり人間にんげんとして「ちち」をた。これが「雨漏あまもりのおと」からおもしたエピソードです。

文法・表現

〜に対して〜と感じています(心情+對象)
父に対して〜と感じています」=「對父親感到…」。
〜ほどに〜(程度)
我を忘れるほどに酔い」=「醉到忘我的程度」。
〜のでしょう(推量)
感じたのでしょう」=「應該感到了…吧」。
〜中、〜知らされたのです(並行+受身)
中、知らされたのです」=「在…之中,被告知」。

中文翻譯

在這場面中,「茜」對「父親」感到「不像父親,像是沒有任何角色的活生生的生物般的眼神」。這份感覺,請邊想像邊好好理解。在這場面,「父」醉到忘我地睡得鬆鬆垮垮的對吧。如果平常熟悉的人,完全脫力倒在沙發上會如何呢?「茜」應該是嚇了一跳,一瞬間覺得「不像父親」吧。而且這時「父」也說出沒料到的話「聽不到吧」。在驚訝於與平常不同樣子的同時,又被告知至今「茜」想都沒想過的「父」的感覺。將「父」作為——擁有與自己所認識的「父」不同的另一面的一個人類——來看。這就是從「漏雨之音」回想起的軼事。

皆さんみなさん、この「あかね」の感覚かんかくは、自分じぶんなりに整理せいりして理解りかいしておきましょう。家族かぞくというものは、時間じかんをかけて関係かんけい出来上できあがっていて、お互いたがい認識にんしき関係かんけいになかなか変化へんかかんじません。変化へんかがあってもすこしずつなので気付きづきにくいのです。けれど、あるとき、なにかのきっかけで、その変化へんか気付きづいたり、つよかんじるときがあります。あれおとうさんてこんなひとだっけ? おねえちゃんってこんなことかんがえるひとなんだ、とそれまで自分じぶんおもっていた家族かぞくちがうという違和感いわかんにふとく。その瞬間しゅんかんえがいたのが、この「あかね」のエピソードなんじゃないでしょうか?

文法・表現

〜は自分なりに整理して理解しておきましょう(勧誘)
自分なりに整理して理解しておきましょう」=「以自己的方式整理理解吧」。
〜なかなか変化を感じません(困難)
なかなか変化を感じません」=「不太能感到變化」。
〜けれど、〜あるとき、何かのきっかけで、〜(逆接+場合)
けれど、あるとき、何かのきっかけで」=「但是,某時、某契機」。
〜を描いたのが、〜なんじゃないでしょうか(強調+疑問)
を描いたのが、〜なんじゃないでしょうか」=「描繪…的,不就是…嗎」。

中文翻譯

各位,這份「茜」的感覺請以自己的方式整理理解吧。「家人」是經過時間構築起來的關係,彼此的認識與關係不太能感到變化。即使有變化也是一點一點的所以不容易察覺。但是,在某個時刻、某個契機,會察覺到那變化、或強烈感受到。「咦,爸爸是這樣的人嗎?」「姊姊原來會想這種事啊」——突然察覺到與自己所認為的家人不同的違和感。描繪這瞬間的,不就是「茜」的這個軼事嗎?

さて、この「ちち」への感覚かんかくおもした「あかね」は、このあと現実げんじつもどります。そのおも現在げんざいとどうつながっていくか、つづきは次回じかい一緒いっしょんでいきましょう。

文法・表現

〜は、この後〜に戻ります(時間順序)
は、この後〜に戻ります」=「她之後回到…」。
〜どうつながっていくか(疑問内包)
どうつながっていくか」=「如何連結下去」。

中文翻譯

那麼,回想起對「父」這份感覺的「茜」,之後回到了現實。那個回憶與現在如何連結,下回一起讀吧。

言語げんご文化ぶんか #42-44

さん雨漏あまもりのおと

学習がくしゅうのねらい

雨漏あまもりのおと」の学習がくしゅう最後さいごです。過去かこおもから現実げんじつもどってきた場面ばめんみましょう。「あかね」の過去かこおもが、現在げんざいにどうつながっていくのかすすめましょう。また、作品さくひん特徴とくちょう確認かくにんし、えがかれた家族かぞく関係かんけい自分じぶん自身じしんえてかんがえてみることも読書どくしょたのしみの一つですね。

文法・表現

〜から〜に戻ってきた場面を読みましょう(時間+勧誘)
から戻ってきた場面を読みましょう」=「讀從…回來的場面吧」。
〜にどうつながっていくのか読み進めましょう(疑問内包+勧誘)
にどうつながっていくのか読み進めましょう」=「讀下去看如何連結到…」。
〜を自分自身に置き換えて〜(変換+並行)
を自分自身に置き換えて考える」=「代入到自己來思考」。

中文翻譯

「雨漏りの音」的學習也是最後。讀讀從過去回憶回到現實的場面吧。「茜」過去的回憶如何連結到現在,往下讀吧。並且,確認作品的特徵,將描繪的家族關係代入自己自身來思考,這也是讀書的樂趣之一呢。

学習がくしゅうのポイント●

いち二人ふたり様子ようす整理せいりし、最後さいご場面ばめんあかね心情しんじょうとらえる
作品さくひん構成こうせい表現ひょうげんじょう特徴とくちょう整理せいりする
さん作品さくひんりをつうじ、人間にんげん関係かんけいようかえ

文法・表現

〜を捉える(漢語動詞)
を捉える」=「把握」。

中文翻譯

〈一〉整理兩人的樣子,把握最後場面的茜的心情 〈二〉整理作品的構成或表現上的特徵 〈三〉透過作品的解讀,回顧人際關係的樣態

二人ふたり様子ようす整理せいりし、最後さいご場面ばめんあかね心情しんじょうとらえる

あかね」が過去かこおも現在げんざい自分じぶんたちにてはめ、意味いみけをしていく場面ばめんです。

文法・表現

〜に当てはめ、〜していく場面です(並行+進行)
に当てはめ、意味付けをしていく」=「套用到…,賦予意義」。

中文翻譯

「茜」將過去的回憶套用到現在的自己們、賦予意義的場面。

二つ目ふたつめ物件ぶっけん玄関げんかんにあがるシーンに注目ちゅうもくしてみましょう。「晴人はると」が「あかね」に「うやうやしくべ」ています。この王子様おうじさまお姫様おひめさまにするような動作どうさは「トキワそう」みたいな物件ぶっけんにあがるときにもやっていましたね。「あかね」が「晴人はると」とのズレを意識いしきしたシーンでした。実はじつは本文ほんぶん最後さいごまですすめると、「あかね」のおなかなかあたらしくまれる子供こどもがいることがかります。その事実じじつまえると、「晴人はると」がすという行為こういは、身重みおもつまたいするおっとのやさしさでもあり、まれてくる子供こども大切たいせつにする父親ちちおやとしての自覚じかくともれます。

文法・表現

〜にあがるシーンに注目してみましょう(注目の勧誘)
にあがるシーンに注目してみましょう」=「注目登上…的場面」。
〜みたいな物件にあがるときにもやっていましたね(過去動作+確認)
みたいな物件にあがるときにもやっていました」=「登上…的物件時也做過」。
〜を踏まえると、〜とも読み取れます(前提+多義解釈)
を踏まえると、とも読み取れます」=「基於…,也可解讀為」。

中文翻譯

請注目第二個物件玄關上去的場面。「晴人」對「茜」「恭敬地伸出手」。這個王子對公主般的動作,在登上像「常磐莊」這樣的物件時也做過呢。是「茜」意識到與「晴人」之偏差的場面。其實讀到本文最後會發現,「茜」的肚中懷有將出生的孩子。基於這一事實,「晴人」伸手這個行為,可以解讀為對身懷六甲的妻子的丈夫之溫柔,也可解讀為珍視即將出生的孩子的父親的自覺。

おっととして父親ちちおやとして、その役割やくわりたそうとしている「晴人はると」。その「晴人はると」に、さきほど「あかね」がおもかえした過去かこ父親ちちおやたいする感覚かんかくかさねます。すると、「晴人はると」も何年なんねん何十年なんじゅうねんには、「あかね」がかんじたように、子供こどもからちちでないもののようにかんじられるがくるのかもしれない、と想像そうぞうしたわけです。それは、もう二人ふたり関係かんけいつづけられないというような深刻しんこく感覚かんかくではありません。これから自分じぶんたちがむかえるであろう変化へんか想像そうぞうし、家族かぞくとしての一歩をしているのだと、わたしはとらえました。「あかね」のあたらしい家族かぞくとしての出発しゅっぱつ物語ものがたりが「雨漏あまもりのおと」という小説しょうせつであるとえるかもしれません。

文法・表現

〜として〜として、その役割を果たそうとしている(連用+意志)
として〜として、果たそうとしている」=「作為…作為…,試圖盡到…」。
〜に〜を重ねます(連用+重ね)
に〜を重ねます」=「疊在…上」。
〜のかもしれない、と想像したわけです(推測+帰結)
かもしれない、と想像したわけです」=「或許…,這樣想像」。
〜ではありません。〜のだと、〜とらえました(否定+肯定的把握)
ではありません。〜のだと、とらえました」=「不是…。而是…,這樣把握」。

中文翻譯

作為丈夫、作為父親,試圖盡其角色的「晴人」。將剛才「茜」想起的對過去父親的感覺,疊在「晴人」身上。如此一來,「晴人」也在幾年後、幾十年後,或許會像「茜」當時感到的那樣,被孩子感到像是不是父親之人——「茜」這樣想像。那並不是「兩人關係已無法持續」這樣深刻的感覺。而是想像今後自己們將迎來的變化,作為家族踏出一步——我這樣把握。「茜」作為新家族出發的物語就是「雨漏りの音」這部小說——或許可以這樣說。

作品さくひん構成こうせい表現ひょうげんじょう特徴とくちょう整理せいりする

すことらえどころがむずかしい小説しょうせつだったかもしれませんが、作者さくしゃ構成こうせい表現ひょうげんじょう工夫くふうを捉えてんでいくと、自分じぶんのこととしてえられたとおもいます。復習ふくしゅう意味いみめて、ほん作品さくひん特徴とくちょうなかでもおおきなポイントを二つふたつ確認かくにんしておきましょう。

文法・表現

〜捉えどころが難しい〜かもしれませんが(推測+逆接)
捉えどころが難しい〜かもしれませんが」=「或許難以掌握,但…」。
〜の意味も込めて、〜確認しておきましょう(目的+勧誘)
の意味も込めて、確認しておきましょう」=「包含…的意義,確認吧」。

中文翻譯

或許是個有點難以掌握的小說,但若能捕捉作者的構成或表現上的功夫來閱讀,我想能把它代換為自己的事。為了複習,也來確認本作品特徵中兩個大要點吧。

まず一つ目ひとつめは「おと」を効果的こうかてき使つかっていることです。その一番いちばん効果こうかは「雨漏あまもり」の「ティン、ティン」という擬音語ぎおんごです。非常ひじょう特徴的とくちょうてき擬音語ぎおんご使つかうことで、どんな雨漏あまもりだったかを具体的ぐたいてき想像そうぞうさせられたとおもいます。その想像そうぞうにより、読者どくしゃであるわたしたちも「あかね」とおなじように、雨漏あまもりの回想かいそうにぐいっとはいむことができたのだとおもいます。

文法・表現

〜を効果的に使っていることです(手段+評価)
を効果的に使っていることです」=「有效地使用…的事」。
〜を使うことで、〜させられたと思います(手段+受動的使役)
を使うことで、〜させられた」=「藉由使用…,被讓…」。
〜により、〜入り込むことができた(手段+可能)
により、入り込むことができた」=「藉由…,能夠進入」。

中文翻譯

首先第一個是有效地使用「聲音」。最大的效果就是「漏雨」的「叮、叮」這個擬音。藉由使用非常特徵性的擬音,讓人能具體想像那是怎樣的漏雨。藉由那想像,作為讀者的我們也能像「茜」一樣,一頭栽進漏雨的回想中。

二つ目ひとつめは、過去かこ回想かいそうをうまく活用かつようしたことです。本作品さくひんは、「雨漏あまもり」にたいする「晴人はると」とのズレをきっかけにして、過去かこの「雨漏あまもり」をおもし、ちちとの関係かんけいつめるという構成こうせいとなっていました。さらに、回想かいそう意識いしきした過去かこちちとの関係かんけいを、現在げんざい晴人はるとかさね、そこから、「晴人はると」とあたらしい子供こどもとの未来みらいおもいをはせていきます。現在げんざいから過去かこ過去かこから現在げんざい現在げんざいから未来みらいへと展開てんかいしていく。過去かこの「雨漏あまもり」の記憶きおくが、ぎゃく現在げんざい未来みらいをつなぐはしともなっているのです。

文法・表現

〜をうまく活用したことです(手段+評価)
をうまく活用したことです」=「巧妙運用…的事」。
〜をきっかけにして、〜という構成となっていました(契機+構成)
をきっかけにして、構成となっていました」=「以…為契機,是這樣的構成」。
〜から〜、〜から〜、〜から〜へと展開していく(時間の展開)
から〜から〜から〜へと展開していく」=「從…到…的展開」。
〜逆に〜の架け橋ともなっているのです(逆+意味)
逆に〜の架け橋ともなっている」=「反過來也成為橋樑」。

中文翻譯

第二個是巧妙運用過去的回想。本作品以對「漏雨」與「晴人」之偏差為契機,回想起過去的「漏雨」,凝視與父親的關係——是這樣的構成。更進一步,將回想中意識到的與父親過去之關係,重疊到現在的晴人身上,從那裡展開對「晴人」與將出生孩子的未來之思緒。從現在到過去、從過去到現在、從現在到未來地展開。過去「漏雨」的記憶,反過來也成為連接現在與未來的橋樑。

作品さくひんりをつうじ、人間関係かんけいようかえ

しずかでおだやかな物語ものがたりでした。今回こんかい小説しょうせつみ、自分じぶんいえにある特徴的とくちょうてきおとおもしたり、自分じぶん家族かぞくとの関係かんけいかえったりしたひとすくなくないのではないでしょうか。

文法・表現

〜物語でした(評価)
静かで穏やかな物語でした」=「是寂靜安穩的物語」。
〜たり、〜たりした人も少なくない(並列+人数)
たり、たりした人も少なくない」=「…的人也不少」。

中文翻譯

是寂靜安穩的物語。讀本回小說,想起自家特徵性的聲音、回顧自己與家人關係的人應該不少吧。

わたしも、「あかね」のおもわせて実家じっかのことをおもしていました。んでいたいえ雰囲気ふんいき、さまざまなおと、いろんなことがおもせました。家族かぞく関係かんけい変化へんかというてんでは、わたし自身じしん反抗はんこうのこともおもされました。それまで仲良なかよごしていた家族かぞくたいして、ちいさいころとはちが反抗的はんこうてき時期じきがありました。ある時期じきぎたら大人おとなになっていて、また家族かぞく関係かんけいっていました。高校生こうこうせいころには、「あかね」のようにちちはは布団ふとんをかけてあげるというようなやさしさはっていなかったです。

文法・表現

〜に合わせて〜を思い出していました(並行+進行)
に合わせて思い出していました」=「配合…回想」。
〜とは違う〜時期がありました(対比+経験)
とは違う時期がありました」=「有過與…不同的時期」。

中文翻譯

我也配合「茜」的回憶,想起了老家的事。住過的家的氛圍、各種聲音,許多事都能回想起來。在家族關係變化這一點上,也想起了自己反抗期的事。對之前融洽相處的家人,曾有過與小時候不同的反抗期。過了某段時期就長大了,又與家人有了連結。高中時代,沒有像「茜」那樣為父母蓋棉被的溫柔。

家族かぞく」というものは自分じぶん自身じしんいていますし、自分じぶん以外いがい家族かぞくかかわりかたについてはりませんから、客観的きゃっかんてき家族かぞくかたつめたり、すぐに関係かんけい修正しゅうせいしたりすることが、むずかしいものです。時間じかんいて気付きづくことがあったり、ひとはなしてはじめて理解りかいできたりします。そういう意味いみでは、小説しょうせつとおして自分じぶん以外いがいだれかの経験けいけんれ、そういうかんがかたもあるんだな、と気付きづかされたり、自分じぶん家族かぞくえてかえるきっかけをれられることに、読書どくしょ意義いぎつよかんじます。別に「あかね」の感覚かんかくが、全員ぜんいん共感きょうかんされるものともかぎりませんし、そうである必要ひつようもありません。でも、この「あかね」が、自身じしんかんじた違和感いわかん未来みらいにつなげたように、小説しょうせつんだ感覚かんかく自分じぶん自身じしんのことにきかえ、これからのことをおもえがくきっかけにできれば、それはとても素敵すてき経験けいけんえるのではないでしょうか?

文法・表現

〜は〜ていますし、〜については知りませんから、〜難しいものです(並列+理由+評価)
並列理由+難度
〜があったり、〜できたりします(並列)
あったり、できたりします」=「有…、也能…」。
〜気付かされたり、〜手に入れられることに、〜意義を強く感じます(受身+獲得+強調)
気付かされたり、手に入れられることに、意義を強く感じます」=「被讓察覺、得到…,強烈感受到意義」。
別に〜とも限りませんし、〜必要もありません(否定の確認)
とも限りませんし、必要もありません」=「不一定…,也沒必要」。

中文翻譯

「家族」這東西,自己本身就身在其中,又因為不知道家族以外的人的相處方式,所以客觀地看家族的存在方式、立刻修正關係——這是難的事。也有過些時間才察覺的、與其他人說了才理解的情況。在這意義上,透過小說接觸自己以外的某人的經驗,被讓你察覺到「原來也有那樣的想法」、得到代入自己的家族來回顧的契機——我強烈感受到讀書的意義。「茜」的感覺不一定全員都會共鳴,也沒必要那樣。但是,正如「茜」將自身感受到的違和感連到未來那般——將讀小說的感覺代入自身、能成為描繪今後的契機,那不就是非常美好的經驗嗎?

さて、三回さんかいにわたり「雨漏あまもりのおと」をすすめてきました。作品さくひんを、作者さくしゃ意図いと工夫くふうめながら丁寧ていねいむことができれば、よりふかかんがえたり、自分じぶんのことをつめなおすきっかけをれることができるものです。ぜひ、いろいろな小説しょうせつみ、作品さくひんこころせて、より自分じぶん自身じしんのプラスにしてもらえたらよいなとおもいます。

文法・表現

〜にわたり〜読み進めてきました(範囲+進行)
にわたり読み進めてきました」=「歷經…讀完」。
〜を受け止めながら〜読むことができれば、〜手に入れることができるものです(仮定+可能+一般化)
を受け止めながら読むことができれば、〜手に入れることができる」=「若能…,便能…」。
ぜひ、〜読み、〜寄せて、〜してもらえたらよいなと思います(依頼+希望)
ぜひ〜読み、寄せて、してもらえたらよいな」=「請務必…,希望能…」。

中文翻譯

那麼,歷經三回讀完了「雨漏りの音」。若能一邊接收作者的意圖與用心,一邊仔細地讀作品,便能得到更深的思考、重新審視自己的契機。請務必讀各種小說,將心寄於作品,希望能對自身自己有更多正面助益。

現代げんだいぶん

雨漏あまもりのおと

長嶋ながしま ゆう

見取みとり下部かぶの「雨漏あまもりする箇所かしょあり」という特記とっき事項じこうに、あかね晴人はるとはまるでことなる反応はんのう同時どうじにみせた。

「え、それはちょっと。」

「へぇー。」

二人ふたりとも、具体的ぐたいてき好悪こうあく言葉ことばつづかなかったが、へぇーと感心かんしんしたあかね内心ないしんしくじったとおもった。間違まちがえた、そこは「それはちょっと。」がただしい反応はんのうだ。いえ雨漏あまもりは欠陥けっかんであり、よくないこと。たのしい、ワクワクする「装置そうち」ではない。

築年ちくねんふるいえですから。でも、修理しゅうりはきくとおもいますよ。」軽自動車けいじどうしゃのハンドルをにぎ不動産屋ふどうさんやおんな後部座席こうぶざせき二人ふたりにとりなして、赤信号あかしんごう停車ていしゃする。晴人はると腕組みうでぐみをしてかおをあげた。もとよりリフォーム前提ぜんてい検討けんとうしている物件ぶっけんだったが、雨漏あまもりはさらに費用ひようがかさむ案件あんけんだ。

あかねらした実家じっか最近さいきんのリフォームまであめっていた。そうげると、晴人はると眉間みけんにしわがる。やはり、雨漏あまもりにたいする反応はんのう正解せいかいはそっちだった。

「そういえばたしかに去年きょねん、おうかがいするときにってたっけ、『最近さいきんまで雨漏あまもりしてたんだ。』って。」

「うん。」

「その『最近さいきん』っていつのこと、平成へいせいになっても雨漏あまもってた?」

「うん、る……いや、ったった。二年にねんくらいまえまで。」今度こんど眉間みけんにしわではなく、うわあ、と純粋じゅんすいおどろかお

「え、あのいえって、そんなにふるかったっけ。」

「いや、だって、晴人はるとたときはリフォームだから。」

晴人はるとれて帰省きせいしたとき、あかね内心ないしんおどろいていたのだ。きれいになった! と。

エンジンのかかるおとがしてかおまえけると、軽自動車けいじどうしゃ青信号あかしんごうになった十字路じゅうじろ直進ちょくしんした。これも「最近さいきん」だ。アイドリングストップ機能きのうで、停車ていしゃながいとエンジンが自動じどうでストップする。

この進化しんか毎年まいとし毎月まいつき、たゆまずにおこなわれているだろうが、個々ここらしはそのようにはすすまない。毎月まいつきリフォームしつづけたり、毎年まいとしくるまえたりはできない。あるときまである技術ぎじゅつなかかこまれてわらずにらし、あるタイミングでいきなりそのときの最新さいしんえるから、いえ内装ないそうでも自動車じどうしゃでも、かならず、格段かくだん変化へんかをみせつけられる。

ついさっき、不動産屋ふどうさんや裏手うらてにとめられたこのくるまんだとき、晴人はるとも「ひろいなあ。」とつぶやいたが、あれも過去かこのそれと比較ひかくしないとてこない感慨かんがいだ。

くるまおおきなとおりから住宅街じゅうたくがいはいみ、一軒いっけんいえまえせて停車ていしゃした。

きました。」かぎり、駐車ちゅうしゃしてくるというおんなくるま見送みおくり、二人ふたりでいきなりなかはいらずにいえ見上みあげた。

「なんか……『トキワそう』みたい。」

かる!」あかねおどろいて晴人はるとかおをみた。おな固有名詞こゆうめいしおもかべていたのだ。アパートではなく一軒家いっけんやなのに。それに、かつて天才てんさい漫画家まんがかつどった有名ゆうめいなアパートの姿すがた実際じっさいにはちゃんとっているわけでもないのに。

住宅街じゅうたくがいなかの、昭和しょうわっぽいたたずまいのいえのイメージが二人ふたりとも漫画まんがったそれしかなかった。晴人はるとかぎうごかす。ガラガラガラ。これも「ふるい」とかんじさせるおとがしてそのおくくら玄関げんかん廊下ろうかあらわれる。ひんやりした玄関げんかんはいむとき、「トキワそう」のような不思議ふしぎ既視感きしかん二人ふたりふたたあじわった。

「おっと、けて。」靴脱くつぬぎからの段差だんささきえた晴人はると慇懃いんぎんしたあかねはわざとらしい、とわらいながらとる。

だいたいの内見ないけん玄関げんかんもどると、おくれてきた不動産屋ふどうさんやおんな制服せいふく姿すがたのおしりをこちらにけながら、二人ふたりくつをそろえなおしていた。

あかねおんなに、雨漏あまもりする場所ばしょたずねた。晴人はるとたずねなかったのは、雨漏あまもりの有無うむ以前いぜんりるがなかったからだろう。あかねあかね気乗きのりしなかった。間取まとりが複雑ふくざつで、おもった以上いじょうみにくそうだ。さきはからずも露呈ろていした、駐車ちゅうしゃのしにくさもデメリットだ。隣家りんかへい敷地しきちかんちかさや、ジメジメした気配けはいになる。だから、たずねる必要ひつようはなかったのだガ。三人さんにん台所だいどころまでもどり、おんな天井てんじょうさすとみのようなものがみえる。

というこどは……。晴人はるとおんなはずっと天井てんじょう見上みあげていたが、あかねだけすぐに視線しせんゆかうつした。というこどは、このへんに洗面器せんめんきいたか。ビニール樹脂じゅしせいというのか、ひとむかしまえによくみたタイプのゆかの、ここに。

二つ目ふたつめ物件ぶっけんかう車内しゃない後部座席こうぶざせきで、あかねあたまなかにはおとっていた。
雨漏あまもりのおとだ。

アルマイトの洗面器せんめんき断続的だんぞくてきにうつ水滴すいてきのテン、テン、というおとは、もっと微細びさいくとティン、ティンとかすかにうつわなか反響はんきょうした。二十秒にじゅうびょう一度いちどくらいだったか。夜通よどおあめつづなかきても洗面器せんめんき一杯いっぱいになることはなかった。

雨漏あまもりをちちははおとうと自分じぶんも、どうしていただろう。おもしろがっていた?
いや、なんともおもってなかった、がちかい。横着おうちゃくわせの工夫くふうで、とくにストレスをかんじることもなくごしていた。

うちは貧乏びんぼうだったというが、そもそもいしない。家屋かおくふるいがひろかったし、くるま三度さんどえた。家族かぞく旅行りょこうにもよくかけた。学校で友人ゆうじん自分じぶんのなにか(学用品がくようひん服装ふくそう弁当べんとう中身なかみなど)を比較ひかくしてみじめにかんじることもなかった。かんじていたのは、ただただいえがボロいという事実じじつだけだ。

でも、そういえば、まるでにしていないわけでもなかった。

いつか、なにかのいで泥酔でいすいしたちち居間いまのソファで寝入ねいった夜遅よるおそく、あめした。自室じしつ十四じゅうよんインチのテレビ画面がめんがカラーバーをうつし、のびをして勉強べんきょう部屋べやから台所だいどころてきたあかねは、しばらく違和感いわかん付かなかった。冷蔵庫れいぞうこからおちゃしてコップにそそぎ、ソファにたおれるちちをみやった。ワイシャツのえりのボタンをはずしただけで、だらりとゆかがったには眼鏡めがねったままだ。

「もう、とうさん、風邪かぜひくよ。」くちしながら、そうやって布団ふとんなかったことで本当ほんとう風邪かぜをひいたひとべつにみたことないな、ともおもって、でも一応いちおう近付ちかづくことにした。バスタオルをってきてかけるとちちいた。

その一瞬いっしゅんちちじゃないというか、なんの役割やくわりもない生身なまみものみたいなをした。

こえないだろ。」ちちはそうしゃべったあとで、のどらした。たんがからんでいたのだろう。

「なにがこえないの。」

おとが。」あかねみみをすませた。ソファのそばまどから雨音あまおとがする。

あっとひらめき、あわてて台所だいどころかうと、洗面器せんめんきそこ雑巾ぞうきんいてあった。

になってさ。」くと、ちちはソファからがって、ネクタイを片手かたてはずした。もうものじゃない、いつものちちだった。あかねは「なるほどね。」とかのかなんとか返事へんじしたのだったか。

いまにしてみれば、なんの含蓄がんちくもないはなしだ。それでもあかねおぼえている。夜遅よるおそくまでアルマイトをたたくみず金属きんぞく衝突しょうとつおんと、それをにしていないようで、にしたちち。その後リフォームされるまで、おな工夫くふうとくにされなかったとおもう。

神式しんしきなんですか、いいですね。」運転席うんてんせきおんなはずんだ声音こわねをあげた。

「そうなんですよ。」いつのにか結婚けっこんしきはなし晴人はるとはしていたらしい。

二つ目ふたつめ物件ぶっけんまえ今度こんどあかねかぎった。今度こんどいえはトキワそうみたいではない。ちいさな玄関げんかんで、すようにさき三和土たたきをあがった晴人はるとうやうやしくべる。

「もう、いいから、それ。」

「いやいや。」おなかのなか子供こどもがいる実感じっかんさえまだてないのに、なんでもうわべから、それも芝居しばいがかったかたちおうじるおとこをとってもらい、あかね晴人はるとかおをみた。

これからまれてくる自分じぶんたちの子供こどもが、このいえらす、この玄関げんかんくつぎ、この段差だんさなんえ、なにごともなくごしそだち、不意ふい父親ちちおやちちでなくもののようにかんじるよるおとずれることをかんがえながら。

長嶋ながしま ゆう 一九七二年[昭和しょうわ 47]─
小説家しょうせつか本文ほんぶんは『わたしされるもの』(二〇一八年かん)による。

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