言語げんご文化ぶんか #4

NHK高校こうこう講座こうざ ラジオ学習がくしゅうメモ


古文こぶん入門にゅうもん 古文こぶん世界せかい

古文こぶん

今鏡いまかがみ
用光もちみつ白波しらなみ

学習がくしゅうのねらい

用光もちみつ白波しらなみ

相撲すまい使つかいの途中とちゅう海賊かいぞくおそわれた用光もちみつが、海賊かいぞくいのちうばわれるどころか、ぎゃくにほうびの品々しなじなまでももらいます。その理由りゆうかんがえながら、すすめましょう。また、古典こてん文法ぶんぽう基本きほんである活用形かつようけい古語こご辞典じてんかたについて理解りかいしましょう。

文法・表現

〜の途中で〜に襲われた〜(受身連体)
使いの途中で海賊に襲われた用光」=「在使者途中被海賊襲擊的用光」。
〜に〜を奪われるどころか、逆に〜までももらいます(強い反転)
命を奪われるどころか、逆に品々までももらいます」=「不僅沒被奪命,反而連…都得到」。
〜ながら、〜ましょう(並行+勧誘)
考えながら、読み進めましょう」=「一邊思考一邊讀下去吧」。
〜の基本である〜(同格)
古典文法の基本である活用形」=「身為古典文法基礎的活用形」。
〜について理解しましょう(漢語+勧誘)
について理解しましょう」=「請理解…」。

中文翻譯

在「相撲使」途中遭海賊襲擊的用光,不僅沒有被海賊奪取性命,反而連賞品都得到了。請一邊思考其理由,一邊讀下去。又,請理解古典文法的基礎「活用形」與「古語辭典的查法」。

学習がくしゅうのポイント●

〈1〉白波しらなみおそわれたとき用光もちみつ心理しんり行動こうどう意味いみかんがえる
〈二〉活用形かつようけい古語こご辞典じてんかた
〈三〉最後さいご段落だんらく内容ないよう

文法・表現

〜時の〜の〜(連体修飾連鎖)
襲われた時の用光の心理と行動」=「被襲擊時用光的心理與行動」。
〜の意味を考える(漢語+目的)
の意味を考える」=「思考…的意義」。
〜の引き方を知る(手段+目的)
引き方を知る」=「了解查法」。
〜の内容を読み取る(漢語+目的)
内容を読み取る」=「讀取內容」。

中文翻譯

〈一〉思考被「白波」(海賊)襲擊時用光的心理與行動的意義 〈二〉了解活用形、古語辭典的查法 〈三〉讀取最末段的內容

白波しらなみおそわれたとき用光もちみつ心理しんり行動こうどう意味いみかんがえる

文法・表現

(小標題)
小標題

中文翻譯

■思考被「白波」襲擊時用光的心理與行動的意義

相撲すまい使つかい(宮中きゅうちゅうおこなわれる相撲すもう力士りきし諸国しょこくからあつめるための使者ししゃ)の途中とちゅう用光もちみつ吉備国きびのくにのあたりで海賊かいぞくおそわれます。用光もちみつはこれが最期さいごだとおもったのでしょうか、なりをととのえ、ふね屋形やかたうえで、生涯しょうがいをかけてそのわざみがいてきた得意とくい篳篥ひちりき演奏えんそうするのです。すると、海賊かいぞくはその音色ねいろ感動かんどうして用光もちみつ解放かいほうしたばかりか、ほうびの品々しなじなまで用光もちみつあたえます。そのとき用光もちみつ心理しんり行動こうどう意味いみかんがえましょう。

文法・表現

〜のための〜(目的の連体)
諸国から集めるための使者」=「為從諸國徵集的使者」。
〜のあたりで〜に襲われます(場所+受身)
のあたりで海賊に襲われます」=「在…附近被海賊襲擊」。
〜と思ったのでしょうか(推量の柔軟疑問)
と思ったのでしょうか」=「是想…吧」。
〜を整え、〜の上で、〜を演奏する(連用連鎖)
身なりを整え、屋形の上で、篳篥を演奏する」=「整儀容,在屋形上演奏篳篥」。
〜をかけて〜てきた〜(手段+継続)
生涯をかけてその技を磨いてきた」=「傾盡一生磨練至今的」。
すると、〜(接續詞+帰結)
すると」=「於是」。
〜どころか、逆に〜くれます(反転+受益)
命を奪うどころか、逆に品物を残してくれます」=「不僅未奪命,反而留下贈物」。

中文翻譯

在「相撲使」(為宮中所舉辦的相撲、從諸國徵集力士的使者)的途中,用光在吉備國一帶被海賊襲擊。用光大概是覺得「這就是最後了吧」,整理好儀容,在船的屋形之上,演奏起自己一生鑽研磨練的、最拿手的篳篥。於是海賊被那聲音感動,把贈物留下便離去,未取(用光的)性命。

活用形かつようけい古語こご辞典じてんかた

前回ぜんかいまなんだように、用言ようげんである動詞どうし形容詞けいようし形容動詞けいようどうしと、付属語ふぞくご助動詞じょどうしは、かたちわります。これを活用かつようするといます。活用かつようしたそれぞれのかたち活用形かつようけいい、未然形みぜんけい連用形れんようけい終止形しゅうしけい連体形れんたいけい已然形いぜんけい命令形めいれいけいろく種類しゅるい活用形かつようけいがあります。

文法・表現

〜ように、〜(既知の引用)
前回学んだように」=「如前次所學」。
〜である〜と、〜の〜は、〜(並列+主題)
用言である動詞・形容詞・形容動詞と、付属語の助動詞は、語の形が変わります」=「身為用言的…與身為附屬語的…,語形變化」。
これを〜と言います(命名)
これを活用と言います」=「把這個叫做活用」。
〜と言い、〜があります(並列+存在)
活用形と言い、六種類の活用形があります」=「叫做活用形,有六種活用形」。

中文翻譯

如前次所學,作為「用言」的動詞、形容詞、形容動詞,與作為「附屬語」的助動詞,其語形會變化。把這個叫做「活用」。把活用後各自的形態叫做「活用形」,有「未然形、連用形、終止形、連體形、已然形、命令形」六種活用形。

未然形みぜんけい したに「ず」「む」「ば」などがつづく。

文法・表現

〜下に〜が続く(定義の定型)
下に〜が続く」=「下接…」。
〜「ず」「む」「ば」など(並列+例示)
『ず』『む』『ば』など」=「『ず』『む』『ば』等」。ず=打消、む=推量、ば=条件

中文翻譯

未然形——下接「ず」「む」「ば」等。

連用形れんようけい したべつ用言ようげんや「たり」「けり」「て」などがつづく。

文法・表現

〜や〜など(並列例示)
別の用言や『たり』『けり』『て』など」=「其他用言或…等」。

中文翻譯

連用形——下接其他用言或「たり」「けり」「て」等。

終止形しゅうしけい ぶんえる。

連体形れんたいけい した体言たいげん(「とき」など)がつづく。

已然形いぜんけい したに「ば」「ども」などがつづく。

命令形めいれいけい 命令めいれいするかたぶんえる。

講師こうし 吉田よしだ しげる

言語げんご文化ぶんか #4

古語こご辞典じてんかたのポイントは、つぎみっつです。

文法・表現

〜のポイントは、次の三つです(要點提示)
ポイントは、次の三つです」=「重點是以下三項」。

中文翻譯

古語辭典查法的重點是以下三項。

歴史的れきしてき仮名遣かなづかいでく。 相撲すもうは「すまひ」でく。

文法・表現

〜で引く(手段)
歴史的仮名遣いで引く」=「用歷史假名遣查」。

中文翻譯

①以「歷史假名遣」查。例:「相撲」用「すまひ」查。

活用かつようするつぎのようになおしてく。
動詞どうし終止形しゅうしけい〈ウだん(ラ変動詞へんどうしは「…り」)でわる〉になおす。
え → ゆ  うらみ → うらむ
形容詞けいようし終止形しゅうしけい(「…し」)になおす。
うるはしく → うるはし  ありがたく → ありがたし
形容動詞けいようどうし語幹ごかん変化へんかしない部分ぶぶん)で古語こご辞典じてんおおい。
あはれに → あはれ  堂々どうどうたる → 堂々どうどう(だうだう)

文法・表現

〜は次のように直して引く(指示)
は次のように直して引く」=「按下述方式修改後查」。
〜=〜に直す(定義)
動詞=終止形に直す」=「動詞=改為終止形」。
〜〈〜で終わる〉(連体+注記)
〈ウ段で終わる〉」=「〈以ウ段結尾〉」。
〜の古語辞典が多い(多数)
の古語辞典が多い」=「的古語辭典較多」。

中文翻譯

②有活用的詞,要按以下方式修改後查。 動詞=改為終止形〈以ウ段(ラ變動詞為「…り」)結尾〉。例:「見え→見ゆ」「うらみ→うらむ」 形容詞=改為終止形(「…し」)。例:「うるはしく→うるはし」「ありがたく→ありがたし」 形容動詞=以語幹(不變化的部分)查的古語辭典較多。例:「あはれに→あ…」

意味いみ複数ふくすうある場合ばあいは、文脈ぶんみゃくそくして意味いみえらびます。
なさけなむありける。(用光もちみつ白波しらなみ)→ 情趣じょうしゅかいするこころがあった。
男女だんじょなさけも、ひとへにあひるをばふものかは。(徒然草つれづれぐさ
男女だんじょ恋愛れんあいも、ひたすらうことだけをうものではない。
古語こご辞典じてんいたときには、ち、意味いみ変遷へんせんなどの解説かいせつにもとおしておくとよい。

文法・表現

〜が複数ある場合は、〜(條件)
が複数ある場合は」=「有多項時」。
〜に即して〜(基準)
文脈に即して意味を選びます」=「依文脈選擇意義」。
情けなむありける(係結)
情けなむありける」=「正是有情之心」。「なむ」=強調係助詞,要求連體形「ける」結句。
〜をば〜ものかは(反語)
あひ見るをば言ふものかは」=「難道是指相見嗎?(不是)」。
〜成り立ちなどにも気を配ってください(附帶注意)
成り立ちなどにも気を配ってください」=「請也注意詞語的構成等」。

中文翻譯

③詞語意義有多項時,依文脈選擇意義。 例:「情けなむありける。」(用光と白波)→「(他)有理解情趣之心。」 例:「男女の情けも、ひとへにあひ見るをば言ふものかは。」(徒然草)→「男女的戀愛,也並非僅指相見而已。」 ※查古語辭典時,請也注意詞語的構成等。

最後さいご段落だんらく内容ないよう

最後さいご段落だんらくは、まえしめした説話せつわについて作者さくしゃ批評ひひょうしたり、感想かんそうべたりするいわゆる「話末わまつ評語ひょうご」とばれる部分ぶぶんです。したがって、この段落だんらくは『今鏡いまかがみ』の作者さくしゃが、用光もちみつ海賊かいぞくのことを批評ひひょうしたところなのです。ここで作者さくしゃは、海賊かいぞくまで感動かんどうさせる用光もちみつ篳篥ひちりき演奏えんそう賛美さんびするとともに、情趣じょうしゅかいするこころ海賊かいぞくまで称賛しょうさんしています。
また、「むかし」という表現ひょうげんがあることに注意ちゅういをはらってってみましょう。風流ふうりゅうなもの、優雅ゆうがなものにこころひかれ、それがゆたかに存在そんざいしたむかしのことをとうとぶ、作者さくしゃおもいがあらわれているのかもしれません。

文法・表現

〜は、〜たり、〜たりする〜と呼ばれる部分(並列+受身連体)
批評したり、感想を述べたりするいわゆる『話末評語』と呼ばれる部分」=「批評、發表感想的、所謂『話末評語』被叫做的部分」。
したがって、〜(接続詞)
したがって」=「因此」。
〜を批評したところなのです(連用+名詞化+斷定)
を批評したところなのです」=「是批評…的地方」。
〜まで〜させる〜(範圍+使役)
海賊まで感動させる用光の篳篥」=「使海賊都感動的用光的篳篥」。
〜を賛美するとともに、〜(並列)
を賛美するとともに、評価しています」=「讚美的同時,評價」。
〜という意味で、〜を寄せている(同格+施與)
『いと頼もし。』という意味で、評価を寄せている」=「以『いと頼もし』之意,給予評價」。

中文翻譯

最末段落是「作者就先前所提示的說話進行批評、發表感想」的、所謂「話末評語」這個部分。因此,這一段是《今鏡》的作者就用光與海賊之事進行批評的地方。在此,作者讚美使海賊也為之感動的用光的篳篥演奏,並且,把當時的海賊評為「具備理解風雅之心的人」,將其作為「いと頼もし。」(非常令人感慰)這個意義來給予評價。

言語げんご文化ぶんか #4

古文こぶん

今鏡いまかがみ
用光もちみつ白波しらなみ

講師こうし 吉田よしだ しげる

用光もちみつが、相撲すまい使つかひに西にしくにくだりけるに、吉備きびくにのほどにて、おき白波しらなみて、ここにていのちえぬべくえければ、かぶりなどうるはしくして、屋形やかたうえでてりけるに、白波しらなみふねせければ、そのとき用光もちみつ篳篥ひちりきだして、うらみたるこえに、えならずきすましたりければ、白波しらなみども、おのおのかなしみのこころおこりて、かづけものどもをさへして、はなれてりにけりとなむ。
さほどのことわりもなきもののふさへ、なさけかくばかり、かせけむもありがたく、またむかし白波しらなみは、なほかかるなさけなむありける。
今鏡いまかがみ

文法・表現

〜けるに(過去連体+逆接時間)
下りけるに」=「正當下行時」。
〜のほどにて(場所+連用)
吉備の国のほどにて」=「在吉備國附近」。
沖つ白波立ち来て(連用+並列)
沖つ白波立ち来て」=「外海的白波(海賊)湧現過來」。「白波」=海賊的代稱。
〜ぬべく見えければ(強意完了+推量+確定條件)
絶えぬべく見えければ」=「看似要斷絕,於是…」。「ぬべし」=「てしまいそうだ」(強意完了+推量)。
〜うるはしくして(形容詞連用+して)
うるはしくして」=「整齊地整理」。「うるはし」=端正整齊(古今異義語)。
〜居りけるに(ラ變動詞+過去+逆接)
居りけるに」=「正坐著時」。
〜漕ぎ寄せければ(連用+確定條件)
白波の船漕ぎ寄せければ」=「白波之船划近,於是…」。
うらみたる声(連用+連體)
うらみたる声」=「哀切的聲音」。
えならず吹きすましたりければ(不可能否定+連用+條件)
えならず吹きすましたりければ」=「無與倫比地吹奏,於是…」。「えならず」=「不能表達其美的程度」。

中文翻譯

(古文原文)用光が、相撲の使ひに西の国へ下りけるに、吉備の国のほどにて、沖つ白波立ち来て、ここにて命も絶えぬべく見えければ、褐衣、冠などうるはしくして、屋形の上に出でて居りけるに、白波の船漕ぎ寄せければ、その時、用光篳篥取り出だして、うらみたる声に、えならず吹きすましたりければ、海賊どもの……

現代げんだい語訳ごやく

用光もちみつが、相撲すもう使つかいとして九州きゅうしゅうくだったときに、吉備国きびのくにのあたりで、海賊かいぞくてきて、(用光もちみつは)ここでいのちえてしまいそうにえたので、上着うわぎかんむりなどをきちんとととのえて、(ふねの)屋形やかたうえすわっていたところ、海賊かいぞくふねせたので、そのとき用光もちみつ篳篥ひちりきして、哀切あいせつ音色ねいろで、なんともえないほどすばらしくきならしたので、海賊かいぞくたちは、それぞれかなしみの気持きもちがこって、(用光もちみつに)ほうびの品々しなじなまでわたして、(ふねを)いではなれていった(ということだ)。
あれほどの道理どうりもわきまえない海賊かいぞくまでもが、(用光もちみつに)なさけをけてしまうほど、(用光もちみつ篳篥ひちりきを)いてかせたとかいうこともめったになく、またむかし海賊かいぞくは、やはりこのような情趣じょうしゅかいするこころがあったのである。

文法・表現

〜として(資格)
相撲の使いとして」=「作為相撲使」。
〜下った時に、〜のあたりで、〜出てきて、〜(時間+場所+並列)
下った時に、あたりで、〜出てきて」=「下行時,在…,…出來」。
〜てしまいそうに見えたので、〜(様態+理由)
絶えてしまいそうに見えたので」=「看起來要斷絕,所以…」。
〜きちんと整えて、〜出て座っていたところ(連用+場面)
きちんと整えて、出て座っていたところ」=「整齊地整理,出去坐著時」。

中文翻譯

(現代語譯)用光作為「相撲使」下行至九州時,在吉備國一帶,海賊出現,(用光)看起來「在此地性命就要斷絕」般,於是整理好上衣、冠等,到(船的)屋形之上坐下時,海賊的船划近過來,那時,用光取出篳篥,以哀切之聲,無與倫比地吹奏起來,於是海賊們……