学習のねらい
今回は、杜甫の作品「春望」を学習します。今まで学習した詩の中で、最も長い八句の詩です。語句の意味を考えたり、書かれた背景を学んだりすることで、作品を鑑賞しましょう。また、「対句」という初めて登場する技法も覚えましょう。
文法・表現
- 〜たり〜たりすることで、〜(手段)
- 「たり〜たりすることで」=「透過…」。
- 〜も覚えましょう(追加の勧誘)
- 「技法も覚えましょう」=「也記住技法吧」。
中文翻譯
本回學習杜甫的作品「春望」。在至今所學的詩中,是最長的八句之詩。藉由思考語句的意義、學習被寫下時的背景,鑑賞作品吧。又,也記住首次登場的「對句」這個技法吧。
●学習のポイント●
〈一〉詩の内容を理解しよう
〈二〉詩の書かれた時代背景と作者「杜甫」について
〈三〉詩の理解と「唐詩(近体詩)のきまり」について
文法・表現
- 〜について(漢語格助詞)
- 「について」=「關於」。
中文翻譯
〈一〉理解詩的內容
〈二〉關於詩被寫下的時代背景與作者「杜甫」
〈三〉理解詩,與關於「唐詩(近體詩)的規則」
■ 詩の内容を理解しよう
「春望」は、「春の日の眺め」という意味です。この詩は、「人生」、その中でも「憂いと悲しみ」をテーマにした作品です。戦乱で荒廃した、都長安の春景色を眺めながら、家族のことを思いやり、老いて行く焦燥感をうたい、役人としての気持ちももうたっています。「春望」は、杜甫の代表作として知らない人がいないほど有名です。
文法・表現
- 〜という意味です(定義)
- 「『春の日の眺め』という意味です」=「春之日的眺望之意」。
- 〜をテーマにした作品です(連体修飾)
- 「『憂いと悲しみ』をテーマにした作品です」=「以憂與悲為主題的作品」。
- 〜ながら〜、〜うたい、〜うたっています(並列)
- 「眺めながら、〜思いやり、〜うたい、〜うたっています」=「一邊眺望,一邊思念,吟詠」。
- 〜知らない人がいないほど〜です(程度)
- 「知らない人がいないほど有名です」=「有名到無人不知的程度」。
中文翻譯
「春望」是「春之日的眺望」之意。這首詩是以「人生」,其中又特別以「憂與悲」為主題的作品。一邊眺望因戰亂荒廢的都長安的春景,一邊思念家人,吟詠著漸老的焦慮感,也吟詠著作為官員的心情。「春望」作為杜甫的代表作,是有名到無人不知的程度。
【語句の意味】
- 国 …………… 国の都、長安
中文翻譯
●国……國的都,長安
●破れて……被破壞
●城……城市。被城牆圍起的都市。指長安全城
●時……時世。戰亂持續的時世
●涙を濺ぎ……(杜甫)滴答地落下淚
●恨みては……痛惜悲傷
●烽火……烽火
●家書……來自家人的信
●万金……大金
●渾べて……完全。全部
●簪……簪。固定冠的東西、髮夾類
●勝へざらんと欲す……將要支撐不住
●欲す……將要~
- 破れて ……… 破壊されて
- 城 …………… まち。城壁で囲まれた都市。長安の街全体を指す
- 時 …………… 時世。戦乱の続く時世
- 涙を濺ぎ …… (杜甫が)はらはらと涙をこぼし
- 恨みては …… いたみ悲しんでは
- 烽火 ………… のろし
- 家書 ………… 家族からの手紙
- 万金 ………… 大金
- 渾べて ……… 全く。すっかり
- 簪 …………… かんざし。冠を固定させるためのものヘアピンの類
- 勝へざらんと欲す …… 支えきれなくなりそうだ
- 欲す ………… ~になりそうだ
■ 詩の書かれた時代背景と作者「杜甫」について
杜甫は、李白と並んで「唐」を代表する大詩人です。幼い頃から読書好きの努力家で、よりよい社会を作りたいと願っていました。しかし、官吏登用試験(科挙)には合格できなかったのですが、詩の上手さが買われて、皇帝からちょっとした役職をもらったのです。ところが、「安禄山の乱」が起こり、杜甫は反乱軍に捕らえられ、都(長安)に軟禁されてしまいます。「春望」は、このときに作ったものです。杜甫は、この後すきを見て脱出。再び皇帝に仕えます。しかし、正義感が強すぎて皇帝から嫌われ、再び失脚。家族を連れて流浪の旅に出ます。杜甫は、世渡りがあまりうまくない人でした。
文法・表現
- 〜と並んで〜(並列)
- 「李白と並んで」=「與李白並列」。
- 〜には合格できなかったのですが、〜(譲歩)
- 「には合格できなかったのですが」=「雖然無法合格」。
- 〜が買われて、〜をもらったのです(受動的+帰結)
- 「が買われて、〜もらったのです」=「因…被看中,獲得…」。
- ところが、〜起こり、〜捕らえられ、〜軟禁されてしまいます(事件の連鎖+受身)
- 「ところが、〜捕らえられ、〜軟禁されてしまいます」=「然而被捕,被軟禁」。
- 〜が強すぎて〜(過度)
- 「正義感が強すぎて」=「正義感太強」。
中文翻譯
杜甫,與李白並列,是代表「唐」的大詩人。從幼年起就愛讀書、是個努力家,願望創造更好的社會。然而,雖然沒能合格官吏登用考試(科舉),但因詩的高明被看中,從皇帝那兒得到了一個小官職。然而「安祿山之亂」發生,杜甫被叛軍俘虜,被軟禁在都(長安)。「春望」就是在這個時候所作的。杜甫之後尋找機會脫逃,再次仕奉皇帝。但因正義感太強而被皇帝厭惡,再次失勢。帶著家人開始流浪之旅。杜甫是個不太擅長處世的人。
■ 詩の理解と「唐詩(近体詩)のきまり」について
「春望」は、「個人として」と「役人として」の二つの立場(視点)から詩がうたわれていることに特徴があり、それが杜甫らしさだといわれています。例えば三句目「時に感じては」は、戦乱の時に目を向ける「役人としての視点」。四句目の「別れを恨みては」は、家族の安否を気遣う「家長としての視点」です。以下もこれと同様に、各句交互に二つの立場から述べられています。
文法・表現
- 〜うたわれていることに特徴があり(受身連体+特徴)
- 「うたわれていることに特徴があり」=「在…被吟詠這一點上有特徴」。
- 〜らしさだといわれています(伝聞+特性)
- 「杜甫らしさだといわれています」=「據說是杜甫的風格」。
- 例えば〜は、〜「〜視点」です(例示)
- 「例えば〜は、〜視点です」=「例如…,是…的視角」。
- 〜と同様に、〜述べられています(並行+受身)
- 「これと同様に」=「與此同樣」。
中文翻譯
「春望」之特色,在於從「作為個人」與「作為官員」這兩個立場(視角)來吟詠詩,據說這正是杜甫的風格。例如第三句「時に感じては」是面向戰亂之時的「作為官員的視角」。第四句的「別れを恨みては」是掛心家人安否的「作為家長的視角」。以下也與此同樣,每句交互地從兩個立場敘述。
- 詩の形式 …… 「五言律詩」(杜甫は「律詩」が得意)
文法・表現
- 〜が得意(特技)
- 「『律詩』が得意」=「擅長律詩」。
中文翻譯
●詩之形式……「五言律詩」(杜甫擅長「律詩」)
●韻……「深・心・金・簪」(シン)
- 韻 …………… 「深・心・金・簪」(シン)
※ 「律詩」では、第三句と第四句、第五句と第六句を「対句」にするきまりになっています。「対句」とは、二つの句を対応させて表現する技法です。「対句」ととなる二つの句は、内容上関係があって、文法的にも構造が同じでなければなりません。「春望」では、これ以外に、第一句と第二句も「対句」になっており、「五言律詩」としては破格です。
文法・表現
- 〜きまりになっています(規則)
- 「きまりになっています」=「規定為」。
- 〜を対応させて表現する技法(連用+名詞)
- 「対応させて表現する技法」=「讓…對應而表現的技法」。
- 〜なければなりません(必要)
- 「同じでなければなりません」=「必須相同」。
- 〜以外に、〜なっており、〜としては破格です(追加+評価)
- 「これ以外に、〜になっており、〜としては破格です」=「此外,也是…,作為…是破格的」。
中文翻譯
※在「律詩」中,第三句與第四句、第五句與第六句要對作「對句」。所謂「對句」,是讓兩個句子相對應而表現的技法。成為「對句」的兩個句子,必須在內容上有關係,文法上也必須結構相同。在「春望」中,除此之外,第一句與第二句也是「對句」,作為「五言律詩」是破格的。
漢文
【春望】 (杜甫)
国破山河在
城春草木深
感時花濺涙レ
恨別鳥驚心レ
烽火連三月二
家書抵万金一
白頭搔更短レ
渾欲不勝簪レ
『唐詩三百首』
〈書き下し文〉
国破れて山河在り 城春にして草木深し
時に感じては花にも涙を濺ぎ 別れを恨みては鳥にも心を驚かす
烽火三月に連なり 家書万金に抵たる
白頭搔けば更に短く 渾て簪に勝へざらんと欲す
【現代語訳】
国の都、長安は破壊されたけれども、山と川だけは以前と変わらずに存在している。
長安の町には春がめぐってきて、草や木が(昨年と同じように)深々と生い茂っている。
(戦乱の続く)時世に深く心を動かされて、(目を楽しませるはずの)咲く花(のいろどり)を見ても(はらはらと)涙をこぼし、
(家族や友人との)生き別れを恨めしく思って、(耳を快くさせるはずの)鳴く鳥(のさえずり)を聞いてもびっくとす。
(いくさを告げる)のろしは、数ヶ月(まったく)やむ気配はなく、
(交通の途絶してしまった状況では)家族からの手紙は、(もし届いたならば)巨額のお金に相当するものに思われるだろう。
私の(心痛のために増えた)白髪をかきむしると、ますます(抜け落ちて髪が)薄く乏しくなり、
全く(役人がかぶる冠をとめる)かんざしもさせなくなりそうだ。
文法・表現
- 〜けれども、〜だけは〜(譲歩+限定)
- 「破壊されたけれども、山と川だけは」=「雖然被破壞,但唯有山與河」。
- 〜にも〜を濺ぎ/〜にも心を驚かす(受動的反応)
- 「花にも涙を濺ぎ」「鳥にも心を驚かす」=「對著花也落淚/對著鳥也驚心」。
- 〜に抵たる(相當)
- 「万金に抵たる」=「相當於萬金」。
- 〜搔けば更に〜(条件+程度)
- 「搔けば更に短く」=「越搔越短」。
- 〜に勝へざらんと欲す(古語の様態)
- 「勝へざらんと欲す」=「將要支撐不住」。
中文翻譯
(現代語譯)國的都長安雖然被破壞,但山與河與從前一樣不變地存在著。
長安城中春天又來了,草木(與去年同樣)深深地茂盛著。
感於(戰亂持續的)時世、深深動心,(本該悅目的)盛開的花(之色彩),看了也(簌簌地)落淚,
怨恨(與家人友人的)生離,(本該悅耳的)啼鳥(之鳴囀),聽了也驚動心。
(告戰之)烽火,數月(完全)沒有止息的跡象,
(在交通斷絕的狀況下)來自家人的信,(如果送到)便覺得相當於巨額之金。
我(因心痛而增)的白髮,越搔越(脫落而)稀薄,
完全(無法用)簪子(固定官員之冠了),將要支撐不住了。
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文法・表現
- 〜及び〜を〜禁じます(漢語並列+強調)
- 正式・告知の文体。