言語げんご文化ぶんか #33

古文こぶん

うたのこころ詩歌しいか2]

折々おりおりのうた 大岡おおおか まこと全四回ぜんよんかい=④】

梁塵秘抄りょうじんひしょう閑吟集かんぎんしゅう

講師こうし 山本やまもと 章博あきひろ

学習がくしゅうのねらい

大岡おおおかまこと折々おりおりのうた』にげられた『梁塵秘抄りょうじんひしょう』と『閑吟集かんぎんしゅう』のうたを、その解説文かいせつぶん参考さんこうとしながらんでいきます。歌謡かようかんする基礎知識きそちしきさえたうえで、それぞれからひとつのうたみ、歌謡かよう表現ひょうげん特徴とくちょうかんがえます。

文法・表現

〜に取り上げられた〜(受身連体)
に取り上げられた歌」=「被選入的歌」。
〜を参考としながら〜(並行+手段)
を参考としながら読んでいきます」=「一邊參考一邊閱讀」。
〜を押さえたうえで、それぞれから〜(前提+並列)
押さえたうえで、それぞれから一つの歌を読み」=「掌握後,從各書各讀一首」。
〜の特徴を考えます(漢語+意圖)
歌謡の表現の特徴を考えます」=「思考歌謠的表達特色」。

中文翻譯

閱讀大岡信《折々のうた》中所選的《梁塵秘抄》與《閑吟集》之歌,並一邊參考其解說文一邊讀下去。在掌握有關「歌謠」的基礎知識之後,從各書中各選一首閱讀,思考歌謠的表現特色、加以鑑賞。

折々おりおりのうた』は、もともと新聞しんぶん一面いちめん毎日まいにち連載れんさいされたものですが、二十五年以上にじゅうごねんいじょう通算つうさん六七六二回ろくせんななひゃくろくじゅうにかいおよびました。それだけ日本にほんには、さまざまなジャンルじゃんるのすぐれた詩歌しいかがたきさんあるということになります。

文法・表現

〜は、もともと〜されたものですが、〜(受身連体+逆接)
もともと連載されたものですが」=「原本是被連載的,但…」。
〜以上、〜に及びました(範圍+程度)
二十五年以上、通算六七六二回に及びました」=「達二十五年以上、共六七六二回」。「~に及ぶ」=達到。
それだけ〜があるということになります(程度+帰結)
それだけ〜あるということになります」=「由此可知有那麼多…」。

中文翻譯

《折々のうた》原本是在新聞的頭版每日連載之物,二十五年以上,合計達六七六二回。也就是說,日本有著各式各樣類型的優秀詩歌。

学習がくしゅうのポイント●

いち歌謡かよう特徴とくちょうについて知るしる
〉「蝸牛かたつぶり……」のうた理解りかい鑑賞するかんしょうする
さん〉「おもへどおもはぬ……」のうた理解りかい鑑賞するかんしょうする

文法・表現

〜の特徴について知る(漢語+格助詞)
特徴について知る」=「了解…的特色」。
〜を理解し鑑賞する(並列)
を理解し鑑賞する」=「理解並鑑賞」。

中文翻譯

〈一〉了解歌謠的特色 〈二〉理解並鑑賞「舞へ舞へ蝸牛……」之歌 〈三〉理解並鑑賞「思へど思はぬ……」之歌

歌謡かよう特徴とくちょうについて知るしる

歌謡かようとは

代表的なだいひょうてきな歌謡集かようしゅう

■「蝸牛かたつぶり……」のうた理解りかい鑑賞するかんしょうする

どもたちが蝸牛かたつむりかって、わなければ子馬こうま子牛こうしらせてらせるぞ、かわいくったら花園はなぞのにつれていってやる、とはやしたてているうたです。どもたちのこころ様子ようす想像そうぞうしてみましょう。

文法・表現

〜に向かって、〜(方向)
蝸牛に向かって」=「對著蝸牛」。
〜なければ〜に〜させる(条件+使役)
舞わなければ、〜蹴らせて踏み割らせるぞ」=「若不跳舞,就讓…踢、踩」。「させる」=使役;「」=強調的終助詞。
〜たら〜(条件+帰結)
かわいく舞ったら花園につれていってやる」=「若可愛地跳舞,就帶你去花園」。「~てやる」=施恩。
〜とはやしたてている歌(引用+連体)
とはやしたてている歌」=「就這樣起鬨的歌」。「はやしたてる」=喧鬧地慫恿。
〜想像してみましょう(試行+勧誘)
想像してみましょう」=「來想像看看」。

中文翻譯

孩子們對著蝸牛——若不舞,就讓小馬與小牛踢你、踩碎你;如果可愛地舞,就帶你去花園——這樣起鬨的歌。讓我們想像孩子們的心情與樣子吧。

重要語句じゅうようごく

■「おもへどおもはぬ……」のうた理解りかい鑑賞するかんしょうする

こいかんするうたです。相手あいてのことをおもっていても、おもっていないふりをして、しゃっとしているひとそこふかい、といううたです。「しゃっと」というのはどういう態度たいどのことか、また「そこふかい」とはどういうことか、かんがえながら鑑賞かんしょうしましょう。

文法・表現

〜ても、〜ふりをして(譲歩+態度)
思っていても、思っていないふりをして」=「就算思念,也裝作沒思念」。
〜しゃっとしている〜は底が深い(連体+評価)
しゃっとしている人は底が深い」=「神情自若的人是底深的」。
〜というのは〜か、また〜とは〜か(疑問の連鎖)
というのはどういう態度のことか、また〜とはどういうことか」=「是怎樣的態度、是什麼意思」。
〜考えながら〜(並行)
考えながら」=「邊思考邊…」。

中文翻譯

與戀愛相關的歌。雖然心中思念著對方,卻裝作沒思念,那種「しゃっとしている」的人,「底是深的」——是這樣的歌。「しゃっと」是怎樣的態度,又「底が深い」是怎樣的事,一邊思考一邊鑑賞吧。

*『閑吟集かんぎんしゅう』でこのうたつぎならべられているうた
おもへどおもはぬりをしてなう おもせにそうろう

文法・表現

〜に並べられている〜(受身連体)
に並べられている歌」=「排列在…的歌」。
〜なう(終助詞・呼びかけ)
なう」=室町時代口語的呼びかけ/詠嘆
思ひ痩せに痩せ候(複合+強調)
思ひ痩せに痩せ候」=「因思念而消瘦更甚」。

中文翻譯

*《閑吟集》中接在此歌之後的歌:「思へど思はぬ振りをしてなう 思ひ痩せに痩せ候」(雖然思念著卻裝作沒思念啊,因思念而瘦上加瘦)

現代語訳げんだいごやく
おもっていてもおもっていないりをしてなあ、せにせてしまったのじゃ。

梁塵秘抄りょうじんひしょう

蝸牛かたつぶり はぬものならば
むまうしゑさせてむ らせてむ
まことにうつくしくうたらば はなそのまであそばせむ

文法・表現

舞へ舞へ蝸牛(命令の反復+呼びかけ)
舞へ舞へ蝸牛」=「跳吧跳吧,蝸牛」。「」=命令形。
〜ぬものならば(打消+仮定)
舞はぬものならば」=「若不跳的話」。
〜に〜させてむ(使役+強意+推量)
蹴ゑさせてむ」=「就會讓…踢」。「てむ」=完了「つ」+推量「む」。
まことに〜たらば(強調+仮定)
まことにうつくしく舞うたらば」=「若真的可愛地跳舞的話」。
〜まで遊ばせむ(範圍+使役+意志)
華の園まで遊ばせむ」=「就讓你玩到花園」。「」=意志。

中文翻譯

「舞へ舞へ蝸牛舞はぬものならば馬の子や牛の子に蹴ゑさせてむ踏み破らせてむまことにうつくしく舞うたらば華の園まで遊ばせむ」(《梁塵秘抄》)

現代語訳げんだいごやく
おどれ、おどれ、蝸牛かたつむりよ。わないならば、子馬こうま子牛こうしらせてしまおう、らせよう。本当ほんとうにかわいらしくったならば、はなそのまでれてってあげよう。

平安歌謡へいあんかよう歌謡かようには大人おとなうた、それもこいうたおおい。歌謡かよう性質上当然せいしつじょうとうぜんといえるが、なかにこのうたのような童謡どうようじっているのはたのしい。蝸牛かたつむりかって、え、わぬとうまうしみつぶさせるよ、とはやしている。蝸牛かたつむりってうはずもないが、ここではのばしたくび様子ようすまいたものか。蝸牛かたつむりをマイマイというが、そのおとのつながりもあるかもしれない。

閑吟集かんぎんしゅう

おもへどおもはぬりをして
しやつとしておりやるこそそこふかけれ

文法・表現

〜ど〜(古典逆接)
思へど」=「儘管思念」。「」=已然形+ど=逆接。
〜振りをして(態度の連用)
振りをして」=「裝作…」。
しやつと(口語副詞)
しやつと」=「神情自若、面不改色」。
〜おりやる(おる的尊敬語的口語)
おりやる」=「居る/いる」的口語。室町時代用法。
〜こそ〜深けれ(強調的係結)
底はこそ深けれ」=「底正是深的呢」。「こそ」=強調係助詞,要求已然形「深けれ」結句。

中文翻譯

「思へど思はぬ振りをしてしやつとしておりやるこそ底は深けれ」(《閑吟集》)

現代語訳げんだいごやく
おもっていてもおもっていないふりをして、しゃきっとしていらしゃるひとこそがそこふかいのだよ。

室町歌謡むろまちかようおんなからおとこ理想像りそうぞうだろう。「隆達小歌りゅうたつこうた」にも「おもへどおもはぬりみせてすきのいとしさよやきみ」のような歌謡かようがある。またおなじ『閑吟集かんぎんしゅう』には「しやつとしたこそひとはよけれ」という小歌こうたもある。「しやつと」して底深いそこぶかいおとこは、むかしいまもイキなおとこ典型てんけいだった。しかし『閑吟集かんぎんしゅう』の編者へんしゃはなかなかの皮肉屋ひにくやである。「おもへどおもはぬりをしてなう おもせにそうろう」。掲出歌けいしゅつかつぎにはこのうたがある。

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文法・表現

〜の〜及び〜を〜禁じます(漢語並列)
無断転載及び商用利用固く禁じます」——「及び」=書面並列;「固く」=強調副詞。

中文翻譯

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