言語げんご文化ぶんか #31

古文こぶん

うたのこころ詩歌しいか2]

折々おりおりのうた 大岡おおおか まこと全四回ぜんよんかい=②】

古今和歌集こきんわかしゅう

講師こうし 山本やまもと 章博あきひろ

学習がくしゅうのねらい

大岡おおおかまこと折々おりおりのうた』にげられた『古今和歌集こきんわかしゅう』のうたを、その解説文かいせつぶん参考さんこうとしながらんでいきます。『古今和歌集こきんわかしゅう』にかんする基礎知識きそちしきさえたうえで、夏歌なつうた秋歌あきうたみ、季節きせつをどのように表現ひょうげんしているのかをかんがえ、鑑賞かんしょうします。

文法・表現

〜に取り上げられた〜(受身連体)
に取り上げられた歌」=「被選入的歌」。
〜を参考としながら〜(並行+手段)
を参考としながら読んでいきます」=「一邊參考一邊閱讀」。
〜を押さえたうえで、〜(前提+目的)
基礎知識を押さえたうえで」=「掌握基礎之後」。
〜どのように〜のかを考えてみましょう(疑問内包+勧誘)
どのように表現しているのかを考えてみましょう」=「思考如何表達」。

中文翻譯

閱讀大岡信《折々のうた》中所選的《古今和歌集》之歌,並一邊參考其解說文一邊讀下去。在掌握有關《古今和歌集》的基礎知識之後,閱讀夏之歌與秋之歌,思考它們是怎樣表現季節的歌、加以鑑賞。

折々おりおりのうた』の作者さくしゃ大岡おおおかまことは、昭和六年しょうわろくねん生まれうまれで、平成二十九年へいせいにじゅうきゅうねん亡くなりました。静岡県しずおかけん三島みしま出身しゅっしんで、学生がくせいときから書きかき始めましたはじめました大学卒業後だいがくそつぎょうご新聞記者しんぶんきしゃとなり、そのあと大学だいがく教員きょういんとなりますが、その傍らかたわら活発にかっぱつに執筆活動しっぴつかつどう続けてつづけていきました。

文法・表現

〜は、〜の生まれで、〜亡くなりました(人物紹介定型)
は、〜の生まれで、〜亡くなりました」=「生於…,於…去世」。
〜の出身で、〜書き始めました(連用+過去開始)
静岡県三島の出身で、〜書き始めました」=「出身於三島,開始寫…」。
〜となり、その後、〜となりますが、〜の傍ら、〜(連續變化+並行)
記者となり、その後、教員となりますが、その傍ら、〜」=「變為記者,後變教員,並…」。
〜として知られています(資格+受身)
現代詩人として知られています」=「以現代詩人聞名」。

中文翻譯

《折々のうた》的作者大岡信,生於昭和六年,於平成二十九年逝世。出身於靜岡縣三島,從學生時代起便開始寫詩。大學畢業後成為新聞記者,之後成為大學教員,但在其餘暇中,仍持續活躍地進行寫作活動。

学習がくしゅうのポイント●

いち〉『古今和歌集こきんわかしゅう』について知るしる
〉「五月待つさつきまつ……」の和歌わか理解りかい鑑賞するかんしょうする
さん〉「秋来ぬとあききぬと……」の和歌わか理解りかい鑑賞するかんしょうする

文法・表現

〜について知る(漢語)
について知る」=「了解…」。
〜を理解し鑑賞する(並列)
を理解し鑑賞する」=「理解並鑑賞」。

中文翻譯

〈一〉了解《古今和歌集》 〈二〉理解並鑑賞「五月待つ……」之和歌 〈三〉理解並鑑賞「秋來ぬと……」之和歌

■『古今和歌集こきんわかしゅう』について知るしる

■「五月待つさつきまつ……」の和歌わか理解りかい鑑賞するかんしょうする

夏のなつの五月さつきになって咲いたさいたたちばな花のはなの香りをかおりをかいだ。よい香りだかおりだ思っておもっていたら、ふと、昔のむかしの人のひとの着物のきものの袖のそでの香りをかおりを思い出したおもいだした。この橘のたちばなの香りはかおりは昔のむかしのあの人のひとの袖のそでの香りとかおりと似ているにている。あの人はひとはいま、どうしているのだろう、という意味のいみの歌ですうたです
昔のむかしの人とひととはどのような人かひとか想像してそうぞうしてみましょう。また、何かのなにかの香りにかおりによって昔をむかしを思い出すおもいだすという経験はけいけんはないか、振り返ってふりかえってみましょう。

文法・表現

〜になって咲いた〜(時間+過去)
五月になって咲いた橘の花」=「到五月開的橘花」。
〜と思っていたら、ふと、〜を思い出した(条件+發見)
と思っていたら、ふと、〜を思い出した」=「正想…時,忽然想起…」。
〜と似ている(比較)
香りと似ている」=「與…相似」。
〜どうしているのだろう、という〜(疑問+連体)
どうしているのだろう、という意味の歌」=「『現在如何呢』,是這個意義的歌」。

中文翻譯

聞到了夏之五月開放的橘花的香。正覺得「好香啊」時,忽然想起了昔日之人衣袖的香。這橘花的香,與昔日那人袖的香很相似。那人現在,怎麼樣了呢——是這樣意義的歌。

重要語句じゅうようごく

■「秋来ぬとあききぬと……」の和歌わか理解りかい鑑賞するかんしょうする

立秋りっしゅう」を詠んだよんだ歌ですうたです秋があきがやって来たとやってきたと目にはめにははっきりとは見えないみえないけれども、風のかぜの音におとに秋にあきになったんだと、はっと自然にしぜんに気がついたよきがついたよ、という意味のいみの歌ですうたです
桜がさくらが咲いたりさいたり紅葉こうようしたりすると、その季節をきせつを実感するじっかんする思いますがおもいますが風のかぜの音やおとや香りにかおりに季節のきせつの移り変わりをうつりかわりを感じたかんじたことはないでしょうか。
今回のこんかいの古今和歌集こきんわかしゅう』の二首はにしゅは嗅覚やきゅうかくや聴覚のちょうかくの繊細なせんさいな感覚がかんかくが詠まれていますよまれています。その感覚をかんかくを想像してそうぞうしてみましょう。

文法・表現

〜を詠んだ歌です(連体+斷定)
を詠んだ歌です」=「是詠…的歌」。
〜には〜とは〜けれども、〜(譲歩)
目にははっきりとは見えないけれども」=「肉眼雖看不清」。
〜と、はっと自然に気がついたよ(連用+發見+詠嘆)
と、はっと自然に気がついたよ」=「啊,突然自然地察覺到了」。「」=詠嘆。
〜と、〜を実感する〜(条件+実感)
桜が咲いたり、紅葉したりすると、〜を実感する」=「當…時,能感受到」。
〜ない事を、〜気がついた、という〜(連体+過去+同格)
気がついた、という風流な歌です」=「是『察覺到…』的風雅之歌」。

中文翻譯

詠「立秋」的歌。秋天到來這件事,雖然肉眼看不分明,但藉由風的聲音,「啊,已經到秋天了」——猛地自然地察覺到了——是這樣意義的歌。 當櫻花開了、楓葉紅了,我們會切實感受到季節,但你有沒有過——從風的聲音或香味中感受到季節的轉移呢? 本回的《古今和歌集》兩首歌中,詠出了嗅覺與聽覺的纖細感覺。讓我們想像那種感覺吧。

重要語句じゅうようごく


よみ人しらずよみびとしらず

五月さつき待つまつ花橘はなたちばなをかげば昔のむかしの人のひとの袖のそでの香ぞかぞする

文法・表現

五月待つ花橘(連体修飾)
五月待つ花橘」=「等待五月綻放的橘花」。
〜をかげば(已然形+ば条件)
香をかげば」=「聞了香就…」。
昔の人の袖の香(連體修飾連鎖)
昔の人の袖の香」=「昔日某人衣袖之香」。
〜ぞする(強調の係結)
香ぞする」=「正是…的香味呢」。「」=強調係助詞,要求連體形(する)結句。

中文翻譯

「五月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする」

現代語訳げんだいごやく
五月にごがつになって咲くさく橘のたちばなの花のはなの香りをかおりを嗅ぐとかぐと昔のむかしの人のひとの袖のそでの香りがかおりがするよ。
五月さつき」は陰暦五月いんれきごがつ。「花橘はなたちばな」は橘のたちばなの花をはなを褒めてほめていう。「昔のむかしのひと」はむかし恋人だったこいびとだったひと、ここでは女性じょせい橘のたちばなの花のはなの芳香がほうこうが、かつての思い人のおもいびとの袖にそでにたきしめられていた香りをかおりを突然とつぜんよみがえらせたのである。平安朝のへいあんちょうの詩人たちはしじんたちは嗅覚のきゅうかくの刺激がしげきが過去をかこを呼び戻すよびもどす事実にじじつに関心をかんしんをそそられていた。それは当時にとうじにおける新しいあたらしい主題のしゅだいの一つだったひとつだった。この歌はうたはたいそう愛されたのであいされたので、「花橘のはなたちばなの」といえば「昔のむかしのひと」という連想のれんそうの型がかたができたほどだ。

藤原敏行ふじわらのとしゆき

秋来ぬとあききぬと目にはめにはさやかに見えねどみえねど風のかぜのおとにぞおどろかれぬる

文法・表現

秋来ぬ(完了の終止)
秋来ぬ」=「秋天到了」。「」=完了助動詞。
〜とさやかに見えねども(副詞+打消已然+逆接)
さやかに見えねども」=「儘管看不分明」。「さやかに」=分明地;「ねども」=「ず」已然+ども。
〜にぞおどろかれぬる(係結+受身完了)
風のおとにぞおどろかれぬる」=「因風聲而被驚覺了」。「」=強調係助詞,要求連體形「ぬる」結句;「」=受身/自發。

中文翻譯

「秋來ぬと目にはさやかに見えねども風のおとにぞおどろかれぬる」

現代語訳げんだいごやく
秋があきが来たときたと目にはめにははっきりとは見えないみえないけれども、風のかぜの音におとにはっと気がついたよきがついたよ
秋歌あきうた巻頭のかんとうの立秋のりっしゅうのうた。「おどろく」はにわかに気づくきづく。まだ目にはめにはありありと見えないがみえないが、ああもう風のかぜの音がおとが秋をあきを告げているつげている目にめに見えるみえるものより先にさきに、「かぜ」という「気配けはい」によって秋のあきの到来をとうらいを知るというしるという発見がはっけんが、この有名なゆうめいな歌のうたのかなめである。つまり「とき」の移りうつり行きをゆきを目ではめではなく耳でみみで聴き取るききとる行き方でいきかたで、より内面的なないめんてきな感じ方であるかんじかたである。これが後世のこうせいの美学にもびがくにも影響をえいきょうを与えたのだったあたえたのだった

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文法・表現

〜の〜及び〜を〜禁じます(漢語並列)
無断転載及び商用利用固く禁じます」——「及び」=書面並列;「固く」=強調副詞。

中文翻譯

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