【一】 〈俳句〉雪の深さを
学習のねらい
今回は、「俳句」について学習していきます。前回学習した「短歌」では、リズムを感じたり情景を想像したりして、身近に感じられるポイントを確認していました。
「俳句」も同様に、リズムを大切にして、作品に描かれている作者の想いや豊かな情景を読み取りましょう。特に「俳句」は「短歌」より、自然の情景を切り取って表現されているものが多くあります。五感を生かして俳句を味わってみましょう。
文法・表現
- 〜について学習していきます(範圍+継続)
- 「について学習していきます」=「就…持續學習」。
- 〜では、〜したり〜したりして、〜を確認していました(過去継続)
- 「感じたり想像したりして、〜を確認していました」=「感受、想像,確認…」。
- 〜も同様に、〜(並列)
- 「『俳句』も同様に」=「『俳句』也一樣」。
- 〜を大切にして、〜(連用+目的)
- 「リズムを大切にして」=「珍視節奏」。
- 〜を読み取りながら、〜から読んでいきましょう(並行+勧誘)
- 「読み取りながら、〜から読んでいきましょう」=「一邊讀取、一邊從…來閱讀」。
中文翻譯
本回開始學習關於「俳句」。在上回所學的「短歌」中,我們透過感受節奏、想像情景,確認過能切身感受到的要點。
「俳句」也同樣,珍視節奏,讀取作品中所描繪的作者的想法與豐富的情景吧。特別是「俳句」比「短歌」更多地切取自然的情景來表現。試著活用五感來品味俳句吧。
●学習のポイント●
〈一〉リズムを感じながら味わう
〈二〉自然を感じる
〈三〉音を想像する
文法・表現
- 〜を感じながら〜(並行)
- 「感じながら味わう」=「一邊感受一邊品味」。
- 〜を感じる/〜を想像する(並列)
- 「自然を感じる/音を想像する」=「感受自然/想像聲音」。
中文翻譯
〈一〉一邊感受節奏一邊品味
〈二〉感受自然
〈三〉想像聲音
■リズムを感じながら味わう
金亀子擲つ闇の深さかな
― 高浜虚子
〈解釈例〉
「近くに飛び回るコガネムシを捕まえて投げ捨てると、闇が深いことに気づいた」
芋の露連山影を正しうす
― 飯田蛇笏
〈解釈例〉
「秋の朝、芋の葉におりた朝露の水滴に、姿勢を正したような山々がはっきり映っている」
やはり「俳句」も「短歌」と同じく、音読をしてリズムを味わってほしいと思います。高浜虚子の作品も飯田蛇笏の作品もいずれも〈五七五〉の音数です。しかし、音読してみると二つのリズムが少し異なることに気づくでしょうか?
文法・表現
- 〜も〜と同じく、〜(並列+類比)
- 「『俳句』も『短歌』と同じく」=「『俳句』也與『短歌』一樣」。
- 〜してほしいと思います(願望)
- 「味わってほしいと思います」=「希望品味」。
- 〜も〜もいずれも〜です(並列+同一性)
- 「作品も作品もいずれも〈五七五〉の音数です」=「兩首都是…音數」。
- しかし、〜してみると、〜に気づくでしょうか(柔軟疑問)
- 「音読してみると、〜に気づくでしょうか」=「朗讀後是否會注意到」。
中文翻譯
「俳句」也跟「短歌」一樣,希望大家朗讀以品味節奏。高濱虛子的作品和飯田蛇笏的作品,無論哪個都是〈五七五〉的音數。然而朗讀看看的話,是否會注意到兩者的節奏稍有不同呢?
飯田蛇笏の俳句は〈五七五〉の音数ではありますが、意味上のつながりを意識すると、単純に〈五〉〈七〉〈五〉と区切るのではないリズムを感じないでしょうか。第二句「連山影を」に注目しましょう。意味上のまとまりを意識すると、第二句終わりの「影を」が第三句「正しうす」にかかっています。つまり、意味のつながりでは第二句と第三句は切り離されておらず、滑らかに続いて展開しています。それを意識すると〈五七五〉だけではないリズムを感じられると思います。
このように、俳句も音の響きやリズムをまず感じてほしいと思います。
文法・表現
- 〜ではありますが、〜(譲歩)
- 「音数ではありますが」=「雖然是音數,但…」。
- 〜を意識すると、〜(条件+帰結)
- 「つながりを意識すると、〜リズムを感じないでしょうか」=「意識到連貫,便會感受到節奏」。
- 〜に注目しましょう(指示)
- 「に注目しましょう」=「請留意」。
- 〜は、下の〜とつながっています(連結)
- 「『連山影を』は、下の『ひたしけり』とつながっています」=「『連山影を』與下面的『ひたしけり』相連」。
- 〜のかたまりに、リズムを感じます(受身的感受)
- 「のかたまりに、リズムを感じます」=「在…的塊狀中感受到節奏」。
中文翻譯
飯田蛇笏的俳句雖是〈五七五〉的音數,但若意識到意義上的連貫,是否會感受到「並非單純地切為〈五〉〈七〉〈五〉」這樣的節奏呢?請注意第二句「連山影を」。意識到意義上的塊狀的話,第二句末的「影を」與第三句「正しうす」相連。也就是說,在意義的連貫上,第二句與第三句並未被切離,而是流暢地接續展開。意識到這一點,便能感受到並非僅僅是〈五七五〉的節奏吧。
如此,俳句也希望大家首先感受聲音的響鳴與節奏。
高浜虚子の俳句は、身近にある闇にはっとして詠んだ句で、何とも言えない余韻があります。飯田蛇笏の俳句は、小さい「露」に大きな「連山」が映り込んでいる視覚的に壮大な作品となっています。
文法・表現
- 〜にはっとして詠んだ〜(連用+連体)
- 「身近にある闇にはっとして詠んだ句」=「因身邊的黑暗一驚而詠的句」。「はっとする」=突然驚覺。
- 〜何とも言えない〜(強い余韻)
- 「何とも言えない余韻」=「難以言喻的餘韻」。
- 〜が〜に映り込んでいる〜(受身的進行)
- 「『連山』が映り込んでいる」=「『連山』映入」。「~込む」=深入。
- 視覚的に壮大な〜となっています(外形+進行)
- 「視覚的に壮大な作品となっています」=「成為視覺壯麗的作品」。
中文翻譯
高濱虛子的俳句,是因身邊的黑暗一驚而詠的句子,有著難以言喻的餘韻。飯田蛇笏的俳句,則是小小的「露」中映入大大的「連山」——成為視覺上壯麗的作品。
■自然を感じる
「俳句」は「短歌」よりも写生的に、目で見たものを描き出すものが多いです。その俳句にどんな情景が描かれているのかをイメージし、想像を膨らませるのも、俳句の楽しみの一つです。
文法・表現
- 〜は〜よりも〜的に、〜(比較+態樣)
- 「『俳句』は『短歌』よりも写生的に」=「俳句比短歌更寫生」。
- 〜目で見たものを描き出す〜が多い(連体修飾+頻度)
- 「描き出すものが多い」=「描繪…的多」。
- 〜を膨らませるのも、〜の楽しみの一つです(強調+分類)
- 「想像を膨らませるのも、楽しみの一つです」=「發揮想像也是樂趣之一」。
中文翻譯
「俳句」比「短歌」更具寫生性,多是描繪眼睛所見之物。想像那首俳句中描繪了怎樣的情景,讓想像力膨脹——這也是俳句樂趣的一種。
来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり
― 水原秋桜子
文法・表現
- 来しかた(古典名詞)
- 「来しかた」=「來時、過去走過的方向」。
- 〜や(切れ字)
- 「や」=俳句的切れ字,用以強調語句、製造間頓。
- 馬酔木(あしび)咲く野(連体修飾)
- 「馬酔木咲く野」=「馬醉木盛開的原野」。
中文翻譯
「来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり」——水原秋櫻子
〈解釈例〉
「ここまで歩いてきた自分の道のりを振り返ってみると、馬酔木が咲き誇り、春の日差しが降り注ぐ美しい様子が見える」
外にも出よ触るるばかりに春の月
― 中村汀女
文法・表現
- 〜も出よ(強調+命令)
- 「外にも出よ」=「到外面去吧」。「よ」=命令形。
- 触るるばかりに(比況+程度)
- 「触るるばかりに」=「近得彷彿能觸到」。
- 春の月(季語)
- 「春の月」=春季季語。春天朦朧的月。
中文翻譯
「外にも出よ触るるばかりに春の月」——中村汀女
〈解釈例〉
「外に出て見てごらん。手に触れられそうなほど大きな春の月がきれいですよ」
冒頭の「来しかたや」の「や」は切れ字と言います。強く言い切ることで間を持たせたり、余韻を生んだりします。今回の「来しかたや」は「これまで歩いてきた方向」を表し、そこに切れ字があります。つまり作者は歩いてきた道のりを立ち止まって振り返っているシーンが想像されます。
「馬酔木」はツツジ科の木です。春に白い花をつけるので「春」の季語です。俳句は季語を使うことで、十七音と限られた音数の中でも読者に季節感をうまく伝えることができます。
文法・表現
- 〜と言います(定義)
- 「切れ字と言います」=「稱為切字」。
- 〜ことで〜たり、〜たりします(連用+並列)
- 「言い切ることで間を持たせたり、余韻を生んだりします」=「透過斷句製造間頓、產生餘韻」。
- 〜は『〜』を表し、〜(説明)
- 「は『〜』を表し」=「表示『…』」。
- つまり〜(換言)
- 「つまり作者は歩いてきた方向を振り返っている」=「也就是說作者邊走邊回望」。
- 〜と続くのです(接続+強調)
- 「と続くのです」=「後續是…」。
中文翻譯
開頭「来しかたや」中的「や」稱為「切れ字」。藉由強烈地斷句,能夠拉開間頓、產生餘韻。本回的「来しかたや」表示「迄今走過來的方向」,並在那裡有切れ字。也就是說,可以想像作者停下腳步、回頭望自己走過的路途的場景。
「馬酔木」是杜鵑花科的樹木。因為春天開白花,所以是「春」的季語。俳句藉由使用季語,便能在十七音這有限的音數中,巧妙地向讀者傳達季節感。
ここで作者が振り返って目にしたのは、馬酔木の白い花が、春の日ざしできらきら輝いているような風景だったでしょうか。旅をして歩いてきた作者が、自分の歩いてきた道のりを振り返って見た、春の野の情景です。「何とも美しく、とっても春らしい情景です。作者はこの馬酔木が咲き誇る野原に立ち、春の日ざしを満喫しながら、自分の歩んで来た道のりを肯定的、に受け止めている様子が想像できます。
文法・表現
- 〜が目にしたのは、〜だったでしょうか(過去+柔軟疑問)
- 「作者が振り返って目にしたのは、〜だったでしょうか」=「作者回頭所見的是…吧」。
- 〜が、〜輝いているような〜(連体修飾+比況)
- 「輝いているような風景」=「彷彿閃耀的風景」。
- 〜を振り返って〜(連用+目的)
- 「道のりを振り返って」=「回望路途」。
- 「〜」というかのような〜(引用+比況)
- 「『〜』というかのような」=「彷彿說『…』那樣的」。
- 〜を、〜に詰め込んだ〜が感じられます(受身+連体+知覚)
- 「詰め込んだ意図が感じられます」=「能感受到塞入…的意圖」。
中文翻譯
在這裡,作者回頭所看見的,或許是馬醉木的白花在春日陽光中閃閃發亮般的風景吧。是旅行至此、走過來的作者回頭眺望自己所走過的路途時所見的春之原野的情景。多麼美麗、多麼春日般的情景啊。可以想像——作者站在這片馬醉木盛開的原野上,飽享著春日陽光,肯定地接納自己走過來的路途的樣子。
もう一つは、中村汀女の俳句です。「朧月」という言葉がありますが、春は空気に少し湿度があり、ぼんやりと膨張した大きな月が見られます。そこでこの俳句。ふと外に出てみると、ぼんやり淡い、とっても大きくて美しい月を見つけたのです。思わず、きれいだなとつぶやくだけでなく、まだ部屋の中にいる人に「外にも出よ」と呼びかけて、早く見せたいという気持ちが伝わってきます。
文法・表現
- 〜という言葉がありますが、〜(既知+逆接)
- 「『朧月』という言葉がありますが」=「有『朧月』這個詞,但…」。
- 〜があり、〜が見られます(自動詞並列)
- 「湿度があり、月が見られます」=「有濕度,可見月」。
- そこでこの俳句。〜(場面提示)
- 「そこでこの俳句」=「於是這首俳句」。
- 〜てみると、〜(試行+発見)
- 「出てみると、〜月があります」=「試著出去,便有月」。
- 〜に〜と言います(対象+発話)
- 「に『〜』と言います」=「對…說『…』」。
- 〜を共有したいかのような〜(願望+比況)
- 「を共有したいかのような」=「彷彿想分享的」。
- 〜なのに、〜(譲歩)
- 「短いなのに、一気に詠まれた」=「明明短,卻一氣呵成」。
- 〜という姿勢が感じられます(連体+知覚)
- 「という姿勢が感じられます」=「能感受到…的姿態」。
中文翻譯
另一首是中村汀女的俳句。雖然有「朧月」這個詞,春天空氣略有濕度,可以看到朦朧而擴大的大月。於是有了這首俳句——忽然走出外面,發現朦朧淡薄、非常之大且美麗的月。情不自禁地,不只是低聲說「好美啊」,還向仍在屋內的人呼喚「也出來吧」,那種想趕快讓對方看到的心情傳達了出來。
■音を想像する
最後に、俳句に描かれた情景をイメージし、さらにその場面の「音」を想像してみましょう。
文法・表現
- 〜をイメージし、さらに〜を想像してみましょう(連用+勧誘)
- 「イメージし、さらに〜を想像してみましょう」=「想像情景,再想像聲音」。
- 〜に描かれた〜(受身連体)
- 「俳句に描かれた情景」=「描繪於俳句中的情景」。
中文翻譯
最後,想像俳句中所描繪的情景,並進一步想像那個場面的「聲音」吧。
海に出て木枯帰るところなし
― 山口誓子
〈解釈例〉
「海まで吹き抜けてきた木枯らしはもう帰っていくところもない」
「木枯らし」は冬の〈季語〉です。秋から冬の間にかけてふく強い風です。「木枯らしは、びゅーびゅーと大きな音を立て、木々を揺らし枯れ葉を吹き飛ばしてしまう強い風です。さらにこの俳句の木枯らしは、海まで吹き抜けてきた場面です。そこにはどんな情景が広がっているでしょうか。冬の波が高い荒れた海。強い風、波の音とあいまって、激しい轟音が鳴り響くような情景が想像できませんか。そして、その木枯らしは、海にたどり着いた後、帰る所がなくなっている。この寄りどころの無い荒れた木枯らしが、きっとその時の作者の心情だったのではないしょうか。
文法・表現
- 〜は〜の〈季語〉です(分類+定義)
- 「『木枯らし』は冬の〈季語〉です」=「『木枯らし』是冬季季語」。
- 〜から〜の間にかけてふく〜(範圍+連体修飾)
- 「秋から冬の間にかけてふく強い風」=「從秋到冬之間吹起的強風」。
- 〜は〜、〜、〜強い風です(多重連用+断定)
- 「音を立て、揺らし、吹き飛ばしてしまう強い風」=「發聲、搖動、吹散的強風」。
- さらに〜は、〜と詠まれていて、〜(受身+連用+並列)
- 「さらに〜は、〜と詠まれていて、〜が伝わってきます」=「更被描繪為…,傳達…」。
- 〜の音や、〜さらさらと揺れる音(並列)
- 「音や、揺れる音」=「聲音與…的聲音」。
- 〜にも、〜が聞こえてきそうですね(柔軟確認)
- 「にも、〜が聞こえてきそうですね」=「也彷彿能聽到…」。
中文翻譯
「木枯らし」是冬之〈季語〉。是從秋到冬之間吹的強風。「木枯らし」是呼呼地發出巨大聲響、搖動樹木、吹飛枯葉的強風。而且這首俳句中的木枯,是一路吹到海邊的場面。那裡延展著怎樣的情景呢。冬天波濤洶湧的荒海。強風、與波浪聲交雜,能想像出像有激烈的轟音響起般的情景嗎。並且,那木枯到達海邊之後,已經失去了可歸之處。這份無可依憑、荒亂的木枯,恐怕就是那時作者的心情吧。
冬の水一枝の影も欺かず
― 中村草田男
〈解釈例〉
「冬の張り詰めた水面が、鏡のように木々を映している。一本の枝さえごまかすことなく」
水面に、木々の一本の枝の様子まで、「欺かず」つまり正確に映し出されるほど静かな様子です。水面に細かい枝が正確に映り込むのですから、少しのさざ波も立っていないはずです。もしかしたら、凍りついているのかもしれませんね。そんな情景と、先ほどの俳句の荒涼とした激しい情景と比べると、随分静かです。風の音も、水の音も聞こえてきません。真冬の凛とした寒さの中、生き物も息をひそめ、緊張感のある張り詰めた静けさに包まれているような気がしませんか?
文法・表現
- 〜まで、『〜』つまり〜ほど〜(程度+換言)
- 「一本の枝の様子まで、『欺かず』つまり正確に映し出されるほど」=「連枝條樣貌都不欺(即被準確映出)的程度」。
- 〜のですから、〜はずもありません(理由+強い打消)
- 「細かい枝が正確に映り込むのですから、さざ波も立っていないはずです」=「既然細枝準確映入,就不該有漣漪」。
- もしかしたら、〜のかもしれません(推量)
- 「もしかしたら、〜のかもしれません」=「或許…」。
- 〜あなたの耳に届きませんか(柔軟疑問)
- 「耳に届きませんか」=「傳到您耳中嗎」。
中文翻譯
水面上,連樹木一根樹枝的樣子都「不欺(あざむかず)」——也就是被準確映出——是這樣安靜的樣子。水面上既然能準確映入細枝,那就應該連一點漣漪也沒有。或許已經凍住了也說不定。將這樣的情景,與剛才那首俳句中荒涼激烈的情景做比較,就顯得相當寂靜。風的聲音、水的聲音都聽不見。在嚴冬凜冽的寒意中,生物也屏息,被一種有緊張感的、凝結般的寂靜包裹著——你不會有這樣的感覺嗎?
【二】 〈俳句〉雪の深さを
学習のねらい
前回に続き、「俳句」について学習していきます。前回はリズムを感じながら、自然や音を意識して読んでみました。
今回は、さらに味わいを深めるための読み方を学んでいきましょう。〈五七五〉という極めて短い言葉に凝縮された思いに、楽しんで触れてみましょう。
文法・表現
- 〜に続き、〜(継続)
- 「前回に続き」=「延續前回」。
- 〜を感じながら、〜を意識して〜(並行+意識)
- 「を感じながら、を意識して」=「邊感受邊意識」。
- 〜さらに〜深めるための〜を学んでいきましょう(程度+目的+勧誘)
- 「さらに〜深めるための読み方を学んでいきましょう」=「學習更深品味的方法」。
- 〜に込められた〜に触れていきましょう(受身連体+勧誘)
- 「に込められた気持ちに触れていきましょう」=「接觸…所託付的心情」。
中文翻譯
延續上回,繼續學習關於「俳句」。上回我們一邊感受節奏,一邊意識自然與聲音來讀讀看了。
●学習のポイント●
〈一〉言葉にこだわる
〈二〉作品の背景を知る
〈三〉俳句の面白さを知る
文法・表現
- 〜にこだわる(執著)
- 「言葉にこだわる」=「對文字講究」。
- 〜の面白さを知る(漢語+熟語)
- 「面白さを知る」=「了解趣味」。
中文翻譯
〈一〉專注於文字
〈二〉了解作品的背景
〈三〉了解俳句的趣味
■言葉にこだわる
いくたびも雪の深さを尋ねけり
― 正岡子規
本作品の「いくたびも」という言葉に注目してみましょう。「雪の深さを」「尋ねる」というところに、作者の強い関心を感じますよね。しんしんと降り続く中、作者が「ねぇ、どれだけ積もった?」とそばにいる誰かに尋ねています。「いくたびも」ですから、二回や三回ではありません。それくらい雪に強い関心を持っていることや、時間の経過などが感じられます。わずか十七音ですが、一つの言葉の中に、長い時間の経過を感じられるのは面白いですね。
文法・表現
- 〜に注目してみましょう(試行+勧誘)
- 「に注目してみましょう」=「試著注意…」。
- 〜というところに、〜を感じますよね(柔軟同意)
- 「というところに、〜を感じますよね」=「從…可以感受到…吧」。
- 〜中、〜場面が想像できます(場合+可能)
- 「降り続く中、〜場面が想像できます」=「在持續降下的雪中,可以想像…的場景」。
- 一度だけではなく、何度も〜(強調的反復)
- 「一度だけではなく、何度も尋ねている」=「不只一次,而是多次問」。
中文翻譯
請注意本作中「いくたびも」這個詞吧。從「雪の深さを」「尋ねる」這裡,可以感受到作者強烈的關心吧。在簌簌不斷降下的雪中,作者向身旁某人問著「欸,積了多少?」。因為是「いくたびも(多次)」,所以不是兩三次。可以感受到——對雪有著那麼強的關心,以及時間的經過等。雖然只有短短十七音,但在一個詞語之中卻能感受到長時間的經過,真是有趣呢。
それにしても、作者はどうして「いくたびも」尋ねているのでしょうか。自分で見ればよいのにと思ってしまいませんか? それはつまり、作者は、雪が降っているのはわかっていても、どれくらい積もっているかは自分では見られない、そんな状況にいるということです。俳句から情景を想像し、それを組み立てながら、作者の思いに迫っていきましょう。
ちなみに、この俳句の作者は正岡子規です。「短歌」の回で「藤の花」の短歌を読みましたね。その時に、正岡子規は病床にあったことを学びました。そういう状況を重ね合わせると、「いくたびも雪の深さを尋ねる」心情が想像できるのではないでしょうか。
文法・表現
- それにしても、〜(柔軟接続)
- 「それにしても」=「話雖如此」。
- どうして〜のでしょうか(疑問の柔軟化)
- 「どうして尋ねているのでしょうか」=「為何問呢」。
- 〜と思ってしまいませんか(柔軟疑問)
- 「と思ってしまいませんか」=「不是會想…嗎」。
- それはつまり、〜ということだったのです(換言+過去断定)
- 「それはつまり、〜だったのです」=「那是因為…」。
- 〜が、自分では〜できなかった(譲歩+打消可能)
- 「降っているのはわかっていても、自分では確認できなかった」=「知道下雪,自己卻無法確認」。
- 〜で亡くなっています(漢語+連用+進行)
- 「結核で亡くなっています」=「因結核去世」。
- 〜が、〜が、〜から伝わってきます(複合+感情+伝達)
- 「気持ちが、〜から伝わってきます」=「心情從…傳達」。
中文翻譯
話雖如此,作者為什麼「いくたびも」詢問呢?難道不會覺得「自己看不就好了嗎」嗎?這也就是說——作者雖知道在下雪,但「積了多少」這件事自己無法看到,他處在這樣的狀況。從俳句想像情景,一邊將之組合,一邊逼近作者的心情吧。
順帶一提,這首俳句的作者是正岡子規。在「短歌」那一回,讀過「藤の花」的短歌吧。當時學到了正岡子規身在病床上。將那樣的狀況疊合在一起,「いくたびも雪の深さを尋ねる」這份心情不就能想像出來嗎。
■作品の背景を知る
しばらくは秋蝶仰ぐ爆心地
― 名取里美
この俳句は、かつて長崎に落とされた原子爆弾の爆心地に立った作者が詠んだ句です。
そんな背景を持つ俳句なのですが、「爆心地」という言葉の他には、戦争や辛い出来事を直接表す言葉はありません。直接的に悲惨な過去を訴えたり、反戦の気持ちを強調したりという俳句ではなさそうです。いったい、どのような思いが込められているのでしょうか。
文法・表現
- 〜は、〜が詠んだ句です(強調+過去)
- 「は、〜が詠んだ句です」=「是…所詠的句」。
- 〜に落とされた〜(受身連体)
- 「長崎に落とされた原子爆弾」=「被投在長崎的原子彈」。
- そんな背景を持つ〜なのですが、〜(連体+逆接)
- 「持つ俳句なのですが」=「是有這背景的俳句,但…」。
- 〜の他には、〜はありません(限定+打消)
- 「の他には、〜はありません」=「除…之外,沒有…」。
- 〜的に〜表す言葉はありません(態樣+打消)
- 「直接的に表す言葉はありません」=「沒有直接表達…的詞」。
- 〜こそが、〜です(強調+断定)
- 「これこそが、俳句の特徴です」=「這正是俳句的特徵」。
中文翻譯
這首俳句是——立於從前被投下於長崎的原子彈的「爆心地」之上的作者所詠的句子。
雖是擁有這樣背景的俳句,但句中除「爆心地」一詞之外,沒有直接表現戰爭或痛苦事件的詞語。看起來並不是直接訴說悲慘過去、或強調反戰心情的那種俳句。究竟,其中寄寓著怎樣的想法呢。
まず、「秋蝶」に注目しましょう。秋の蝶はあまりイメージが無いかもしれませんが、秋に弱々しく飛ぶ蝶々で、冬にはいなくなってしまいます。そんな「秋蝶」に、「爆心地」に立った作者が感じているはかなく悲しく切ない気持ちが読み取れるように思います。
文法・表現
- まず、〜に注目しましょう(順序+勧誘)
- 「まず、注目しましょう」=「首先請注意」。
- 〜はあまりイメージが無いかもしれませんが、〜(柔軟打消+逆接)
- 「はあまりイメージが無いかもしれませんが」=「或許印象不深,但…」。
- 〜弱々しく飛ぶ〜(連用+連体)
- 「弱々しく飛ぶ蝶々」=「弱弱地飛的蝶」。
- そんな〜に、〜を感じている(連体+進行)
- 「そんな『秋蝶』に、〜を感じている」=「在這種秋蝶中,感受到…」。
中文翻譯
首先,注意一下「秋蝶」吧。秋天的蝶或許印象不深,但牠是秋天弱弱地飛、到冬天便不在了的蝴蝶。從這樣的「秋蝶」中,似乎可以讀取出立於「爆心地」的作者所感受到的脆弱、悲傷、難捱的心情。
さらに作者は「蝶」を目で追い、「空」に視線を移します。秋の空は、「天高く馬肥ゆる秋」という言葉もありますよね。嫌なこと、辛いことのすべてが吹き飛ぶような、青く澄んださわやかな空です。「爆心地」に立ち、言葉にならない悲しみ、を感じつつ、それを忘れてしまいそうなほどの秋空を見ているのです。
文法・表現
- 〜を目で追い、〜に視線を移します(並列の動作)
- 「目で追い、視線を移します」=「用眼追、轉移視線」。
- 〜という言葉もありますよね(既知+同意)
- 「という言葉もありますよね」=「也有…這個詞吧」。
- 〜のような〜空(比況+連体修飾)
- 「吹き飛ぶような空」=「彷彿吹散的空」。
- 〜どんなに〜のか、〜想像してみましょう(疑問内包+勧誘)
- 「どんなに澄んだ空なのか、想像してみましょう」=「多麼澄澈呢,試著想像」。
中文翻譯
進一步地,作者以目追隨「蝶」,將視線移向「空」。秋天的天空,有「天高馬肥之秋」這樣的說法吧。是那種彷彿能把討厭的事、痛苦的事全都吹散的、湛藍清澈、清爽的天空。立於「爆心地」,一邊感受著無法言喻的悲傷,一邊望著那彷彿能讓人忘卻悲傷之深的秋空。
今、目の前にある平和や美しい風景に身を置いていると、過去の辛い出来事を忘れてしまいそうになることがありませんか。だからこそ、作者は「しばらくは」この爆心地に立ち、空を仰ぎ見ていようというのです。平和な日常に生きている私たちですが、いつもと違って「爆心地」に立っている間は、過去の出来事に身を寄せて、平和を願おうとしているのではないでしょうか。
文法・表現
- 〜に身を置いていると、〜(連用+条件)
- 「に身を置いていると」=「置身於…時」。
- 〜ことがありませんか(柔軟疑問)
- 「ことがありませんか」=「不會有…的時候嗎」。
- だからこそ、〜のです(強調的因果)
- 「だからこそ、〜のです」=「正因如此」。
- 〜であっても、〜と忘れずにいたい(譲歩+持続的願望)
- 「であっても、〜と忘れずにいたい」=「即便如此,仍不想忘記」。
中文翻譯
當置身於現在眼前的和平與美麗的風景之中,會不會有彷彿要忘記過去痛苦事件的時候呢?正因為如此,作者才說「しばらくは(暫且)」要立於這片爆心地、仰望天空。我們雖然活在和平的日常中,但與平常不同地、立於「爆心地」期間,似乎是在將自身靠向過去的事件、祈願和平吧。
■俳句の面白さを知る
こんなにうまい水があふれてゐる
― 種田山頭火
文法・表現
- こんなに(程度副詞)
- 「こんなに」=「這麼」。
- 〜うまい〜(口語形容)
- 「うまい水」=「好喝的水」。
- 〜あふれてゐる(古典+進行)
- 「あふれてゐる」=「正滿溢著」。「ゐ」=古典ワ行イ段假名。
中文翻譯
「こんなにうまい水があふれてゐる」——種田山頭火
これは、今まで学習してきた俳句とは少し雰囲気が違いますね。特に「リズム」が違います。この俳句は〈五七五〉に区切ることができませんし、三つに分けようとするのも困難です。これは俳句の音数や〈切れ〉や〈季語〉といった形式を払った「自由律俳句」と呼ばれるものです。作者、種田山頭火は自由律俳句の代表的な俳人です。俳句は形式があって堅苦しいと感じている人もいると思いますが、こんな自由な俳句もあるのです。
文法・表現
- 〜とは少し〜が違いますね(対比+確認)
- 「とは少し雰囲気が違いますね」=「氛圍稍有不同呢」。
- 〜に区切ることができませんし、〜(不可能+並列)
- 「〈五七五〉に区切ることができませんし」=「不能切為五七五」。
- 〜のも困難です(強調+打消可能)
- 「三つに分けようとするのも困難です」=「分為三也很困難」。
- これは〜と呼ばれます。〜(受身命名+断定)
- 「これは『自由律俳句』と呼ばれます」=「稱為自由律俳句」。
- 〜にとらわれない〜(打消連体)
- 「形式にとらわれない」=「不受形式束縛的」。
中文翻譯
這首與我們至今所學的俳句氛圍稍有不同呢。特別是「節奏」不一樣。這首俳句無法切分為〈五七五〉,也很難分成三部分。這是脫離俳句的音數、〈切れ〉、〈季語〉等形式的、稱為「自由律俳句」的東西。作者種田山頭火是自由律俳句的代表性俳人。我想也有人覺得俳句有形式而拘束,但也有像這樣自由的俳句。
さて「こんなにうまい水があふれてゐる」と読んでみると、簡単に言ってしまえば、水がうまい、というだけの内容です。しかし作者が相当おいしい水に出会えたことがよく表現されています。「こんなに」という言葉や「あふれている」と表現したことが、作者の状況をいろいろと想像させてくれています。作者は放浪し、各地を旅して歩きながら俳句を作った人です。そんな作者がどれほどの喉が渇いていて、どんな場所で水に出会い、見つけた時にどれほど感動したか。皆さんは、どのように想像しますか? ぜひ、山頭火の「こんなにうまい水」がどんなおいしさだったのか、想像して楽しんでください。
文法・表現
- 〜てみると、〜(試行+発見)
- 「読んでみると」=「讀後」。
- 簡単に言ってしまえば、〜だけの内容です(條件+制限)
- 「簡単に言ってしまえば、〜だけの内容です」=「簡單地說只是…的內容」。
- 〜よく表現されています(受身+進行)
- 「よく表現されています」=「充分表現了」。
- 〜と、〜が聞こえてきそうですし、〜が伝わってきます(並列+柔軟)
- 「聞こえてきそうですし、〜が伝わってきます」=「彷彿能聽見…,並傳達…」。
- 〜の枠の中で省略をして〜が、〜(譲歩)
- 「枠の中で省略をして〜が、〜」=「在框架中省略,但…」。
- ぜひいろいろな〜に触れてみてください(強い勧誘)
- 「ぜひいろいろな俳句に触れてみてください」=「請務必接觸各種俳句」。
中文翻譯
那麼讀讀「こんなにうまい水があふれてゐる」這句,簡單地說,是「水好喝」這樣一句而已的內容。然而其中很好地表達出——作者遇到了相當好喝的水。「こんなに」這個詞、與「あふれている」的表達,讓我們對作者的狀況產生種種想像。作者是流浪、旅行各地、一邊步行一邊作俳句的人。那樣的作者,喉嚨乾到什麼程度,在怎樣的地方遇到水,發現時受到了多大的感動。各位是如何想像的呢?請務必想像看看山頭火的「こんなにうまい水」是怎樣的美味,享受這種樂趣吧。
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文法・表現
- 〜の〜及び〜を〜禁じます(漢語並列)
- 「無断転載及び商用利用を固く禁じます」——「及び」=書面並列;「固く」=強調副詞。