言語げんご文化ぶんか #23

漢文かんぶん

漢文かんぶん入門にゅうもん 漢文かんぶんしたしむ

故事成語こじせいご 「五十歩百歩ごじっぽひゃっぽ」 (孟子もうし

講師こうし 渡辺わたなべ 恭子きょうこ

学習がくしゅうのねらい

故事こじ二回目にかいめ。「五十歩百歩ごじっぽひゃっぽ」を学習がくしゅうします。「こころ尽くしたつくした政治せいじ行っているおこなっているのに、我が国わがくに人口じんこう増えないふえないのは、どうしてか」というおう質問しつもんに、孟子もうし答えてこたえています。孟子もうしりょう恵王けいおう言いたかったいいたかったこと(主張しゅちょう)を理解りかいするとともに、「五十歩百歩ごじっぽひゃっぽ」の故事成語こじせいごとしての意味いみ学びましょうまなびましょう。まずは、本文ほんぶんを「訓読くんどくのきまり」に従ってしたがって読みましょうよみましょう

文法・表現

〜の二回目。〜を学習します(番号+目標)
故事の二回目『五十歩百歩』を学習します」=「故事的第二回。要學的是『五十歩百歩』」。
〜のに、〜のは、どうしてか(逆接+疑問)
行っているのに、人口が増えないのは、どうしてか」=「明明…,但…,是為什麼呢」。
〜という王の質問に、〜(連体修飾+対象)
という王の質問に、孟子が答えています」=「面對國王的這個問題,孟子做出回答」。
〜に言いたかったことを理解しましょう(過去願望+勧誘)
言いたかったことを理解しましょう」=「讓我們理解(孟子)想說的」。

中文翻譯

故事的第二回,學習「五十歩百歩」。針對國王問「我盡心治理國家,可是人民卻不增加」,孟子作出回答。讓我們理解孟子想對梁惠王傳達的意思(主張)。

学習がくしゅうのポイント●

いち本文ほんぶんこえ出してだして読むよむ
〉「五十歩百歩ごじっぽひゃっぽ」の現代語訳げんだいごやく故事成語こじせいごとしての意味を考えるいみをかんがえる
さん〉この話からはなしから孟子もうし恵王けいおう言いたかったこといいたかったことはなにか

文法・表現

〜の現代語訳と〜としての意味(並列)
現代語訳と故事成語としての意味」=「現代語譯與作為故事成語的意義」。
〜から、〜は何か(疑問の定型)
この話から、〜は何か」=「從這話中…是什麼」。

中文翻譯

〈一〉朗讀本文 〈二〉思考「五十歩百歩」的現代語譯及作為故事成語的意義 〈三〉這個故事中,孟子想對惠王說的是什麼

本文ほんぶんこえ出してだして読むよむ

漢文かんぶん学習がくしゅうでは、訓読くんどくのきまりに従ってしたがって漢文かんぶん正しくただしく読めるよめるようになること、そして、漢文かんぶんのリズムに慣れるなれることが最ももっとも大切たいせつです。訓読くんどく(「句読点くとうてん」「返り点かえりてん」「送り仮名おくりがな」)の学習がくしゅう学んだまなんだ知識ちしき生かしていかして、「五十歩百歩ごじっぽひゃっぽ」の文章ぶんしょうを、こえ出してだして何度もなんども読んでよんでみましょう。主なおもな記号きごう漢字かんじ左下ひだりした書いてあるかいてある返り点かえりてん」)については、「訓読くんどく基本きほん(1)」の学習がくしゅうメモを、もう一度いちど確認かくにんしてください。

文法・表現

〜では、〜こと、そして、〜ことが最も大切です(範圍+並列+最上級評価)
学習では、〜こと、そして〜ことが最も大切です」=「在學習中,…和…最重要」。
〜のきまりに従って(基準)
訓読のきまりに従って」=「依照訓讀的規則」。
〜正しく読めるようになる(可能形+変化)
正しく読めるようになる」=「變得能正確讀」。
〜を生かして、〜(手段+目的)
知識を生かして」=「活用知識」。
〜気分で、〜ましょう(態度+勧誘)
気分で読みましょう」=「以…的氣氛來讀吧」。

中文翻譯

在漢文學習中,依照訓讀的規則學會正確地閱讀漢文、並熟悉漢文的節奏,這兩點都很重要。讓我們活用「訓讀」(句讀點、返り點、送り仮名)的學習所得,將「五十歩百歩」的文章朗讀出來吧。以聆聽寺子屋學生般的心情來讀(附有音檔,請聆聽)。

■「五十歩百歩ごじっぽひゃっぽ」の現代語訳げんだいごやく故事成語こじせいごとしての意味を考えるいみをかんがえる

五十歩百歩ごじっぽひゃっぽ」は、王のおうの質問にしつもんに対してたいして孟子もうしがその場にばにふさわしい「たとえばなし」を用いてもちいて答えするこたえする話ですはなしです今回のこんかいの学習はがくしゅうは、この「たとえばなし」の部分ですぶぶんです戦いのたたかいの最中にさいちゅうにおいて、五十歩ごじっぽ逃げたにげた兵士とへいしと百歩ひゃっぽ逃げたにげた兵士はへいしは逃げたにげたという点でてんで大きなおおきな差がさがない。重要なのはじゅうようなのは、「逃げずににげずに戦うかどうかだたたかうかどうかだ」という内容ですないようです

文法・表現

〜は、〜に対して、〜(主題+対象)
『五十歩百歩』は、王の質問に対して」=「『五十歩百歩』面對國王的提問」。
〜にふさわしい〜(連体修飾)
その場にふさわしい『たとえ話』」=「適合場合的比喻故事」。
〜を用いてお答えする(手段+謙譲)
を用いてお答えする」=「用…來回答」。「お~する」=謙譲。
〜の最中において、〜(場合+格助詞)
戦いの最中において」=「在戰鬥當中」。
〜は違うものの、〜である(譲歩+断定)
違うものの、同じである」=「雖然不同,但是相同」。
〜という、〜内容です(同格+名詞句)
という、内容です」=「是…的內容」。

中文翻譯

「五十歩百歩」這個故事——是針對國王的提問,孟子使用適合場合的「比喻故事」來回答。本回所學的,就是這個「比喻故事」的部分。在戰場上,逃了五十步的士兵與逃了一百步的士兵,雖然逃跑的距離有所不同,但都同樣是逃跑——這就是孟子比喻的內容。

語句ごく意味いみ

故事成語こじせいご五十歩百歩ごじっぽひゃっぽ」の意味いみ

五十歩百歩ごじっぽひゃっぽ」は、多少のたしょうの違いはちがいはあるにしても、似たりよったりでにたりよったりで結局たいしてけっきょくたいして違いがないちがいがない。「わずかな違いはちがいはあっても、本質的にはほんしつてきには同じであるおなじであること」という意味です。あまり褒められないほめられない点でてんで似ているにている、というときに使われますつかわれます

文法・表現

〜にしても、〜(譲歩)
違いはあるにしても」=「就算有差異」。「~にしても」=即便如此。
似たりよったり(慣用句)
似たりよったり」=「差不多、半斤八兩」。慣用句,源於「似たり寄ったり」。
結局〜たいして〜ない(強調+打消)
結局たいして違いがない」=「結果並沒什麼差別」。
〜があっても、〜的には〜(譲歩+本質)
違いはあっても、本質的には同じ」=「就算有差異,本質上仍相同」。
あまり褒められない〜(控えめな否定的評価)
あまり褒められない点」=「不太值得稱讚的點」。受身可能の否定
〜というときに使います(用法説明)
というときに使います」=「用於…的時候」。

中文翻譯

所謂「五十歩百歩」,是指——雖有些許不同但相似、結果並無什麼差別。意思是「即使有微小差異,本質上是相同的」。常被用於「在不太值得稱讚的點上相似」這類情況。

■この話からはなしから孟子もうし恵王けいおう言いたかったこといいたかったことはなにか

五十歩百歩ごじっぽひゃっぽ」の話もはなしも、「守株しゅしゅ同様どうよう自分のじぶんの主張にしゅちょうに説得力をせっとくりょくを持たせるもたせるための手段としてしゅだんとして使われたつかわれた「たとえばなし」です。
梁のりょうの恵王がけいおうが孟子にもうしに、「私はわたしは日頃ひごろ心をこころを尽くしたつくした政治をせいじを行っているおこなっている隣国のりんごくの王はおうはこのような善政はぜんせいは行っていないおこなっていない。それなのに、なぜ隣国のりんごくの人民はじんみんは私をわたしを慕ってしたって移住していじゅうしてこないのか」と質問しますしつもんしますそれに対してそれにたいして孟子がもうしが、「普段からふだんからもっと根本的にこんぽんてきに人民のじんみんの生活がせいかつが安定するあんていするような政治をせいじを行うべきでおこなうべきで表面的なひょうめんてきなことばかりに心をこころを砕いてもくだいても何もしないなにもしない隣国のりんごくの王とおうと大差がないたいさがない」と述べますのべます。その「たとえばなし」として、兵士のへいしの話をはなしを持ち出したのですもちだしたのです戦争せんそう好きのずきの王におうに戦争のせんそうのたとえ話をしてばなしをして王のおうの心をこころを捉えとらえ最後はさいごは自分のじぶんのペースに持ってもって行くところがいくところが孟子のもうしの話のはなしの上手さですうまさです
この時代はこのじだいは戦争がせんそうが絶えませんでしたたえませんでした恵王がけいおうが富国強兵ふこくきょうへい策をさくを取っているとっている限りかぎり人民はじんみんは戦争などにせんそうなどにかり出されるだされるため、生活もせいかつも精神もせいしんも安定せずあんていせず安らぎをやすらぎを覚えることはできませんおぼえることはできません孟子はもうしは仁義にじんぎに基づくもとづく王道おうどう」でなければ人口のじんこうの増加はぞうかは望めないのぞめないと、恵王にけいおうに言いたかったのですいいたかったのです

文法・表現

〜も、〜同様、〜です(並列+類比+断定)
『五十歩百歩』も、『守株』同様、〜です」=「『五十歩百歩』也與『守株』一樣,是…」。
〜に説得力を持たせる(使役)
説得力を持たせる」=「讓…擁有說服力」。使役形
〜手段として使われた〜(受身連体)
手段として使われたたとえ話」=「被當作手段使用的比喻」。
〜が〜に、「〜」と尋ねます(質問の構造)
恵王が孟子に、『〜』と尋ねます」=「惠王問孟子:『…』」。
〜のような〜は行っていない(比較+打消)
このような善政は行っていない」=「沒有這樣的善政」。
〜なのに、〜ないし、〜ない。これはどうしてか(逆接+疑問)
なのに、減りもしないし、増えもしない。これはどうしてか」=「但是不減也不增,為什麼呢」。
〜にしても、〜変わらない(譲歩+打消)
にしても、変わらない」=「就算如此,也沒有改變」。
〜を批判して、〜と主張している(理由+引用)
を批判して、〜と主張している」=「批評,主張…」。

中文翻譯

「五十歩百歩」與「守株」一樣,是為了增加自己主張的說服力而採用的「比喻故事」。梁惠王對孟子說:「我平日盡心施政。鄰國的君主並沒有像我這樣的善政。然而鄰國的人民並沒有減少,我國的人民也並沒有增加,這是為什麼呢?」對此,孟子用著名的「五十歩百歩」作了回答。 大意是——「(陛下)您的政治和鄰國比較起來,並沒有什麼差別」。也就是說,孟子是在批評梁惠王所做的並非真正能讓人民幸福的「王道之政」,只是和鄰國差不多——這正是孟子想表達的主張。


五十歩百歩ごじっぽひゃっぽ本文ほんぶん

孟子もうしこたヘテいは、「わうこのマバたたかひもちたたかひたとヘン
塡然てんぜんとしてこれ兵刃へいじんすでせつ
テテかふキテへいニシテあるひは百歩ひゃっぽニシテのちとどマリあるひは五十歩ごじっぽニシテのちとどマル
もち五十歩ごじっぽわらは百歩ひゃっぽすなは何如いかん。」と。
わういは、「なり。ただざる百歩ひゃっぽのみこれまたぐるなり。」と。

書き下し文かきくだしぶん

孟子もうしこたへていははく、「わうたたかひをこのむ。たたかひをもつたとへん。
塡然てんぜんとしてこれにし、兵刃へいじんすでせつす。
かふへいきてぐ。あるいは百歩ひゃっぽにしてのちとどまり、あるいは五十歩ごじっぽにしてのちとどまる。
五十歩ごじっぽもつ百歩ひゃっぽわらはば、すなは何如いかん。」と。
わういははく、「不可ふかなり。ただ百歩ひゃっぽならざるのみ。これはまたぐるなり。」と。

文法・表現

〜対へて曰はく、〜(漢文の問答定型)
孟子対へて曰はく」=「孟子回答說」。「曰はく」=漢文訓讀調的「言ふに」。
〜を好む(漢文・好の連体)
王戦ひを好む」=「王愛好戰爭」。
請ふ〜(謙譲的願望)
請ふ戦ひを以て喩へん」=「請允許我用戰爭來作比喻」。「請ふ」=希願;「~ん」=意志推量。
塡然として(擬聲+連用)
塡然として」=「咚咚地(戰鼓聲)」。「然」=〜のように、〜とともに,副詞性。
これに鼓し(指示+連用)
これに鼓し」=「敲響戰鼓」。
〜既に〜(漢文時制)
兵刃既に接す」=「兵器已經交鋒」。「既に」=漢文「已」字訓讀。
〜を棄て、〜を曳きて走ぐ(連用+並列)
甲を棄て兵を曳きて走ぐ」=「丟下鎧甲、拖著兵器逃跑」。「走ぐ(にぐ)」=逃。
或いは〜にして後に〜、或いは〜にして後に〜(並列条件)
或いは百歩にして後に止まり、或いは五十歩にして後に止まる」=「有的跑了百步停下,有的跑了五十步停下」。並列対比
〜を以て〜を笑はば、〜(条件+疑問)
五十歩を以て百歩を笑はば、則ち何如」=「若是用五十歩去嘲笑百歩,又如何呢」。「を以て」=用…;「則ち」=即;「何如」=如何。

中文翻譯

(漢文書下文)孟子対へて曰はく、「王戦ひを好む。請ふ戦ひを以て喩へん。塡然としてこれに鼓し、兵刃既に接す。甲を棄て兵を曳きて走ぐ。或いは百歩にして後に止まり、或いは五十歩にして後に止まる。五十歩を以て百歩を笑はば、則ち何如」と。

現代語訳げんだいごやく

孟子もうしがお答えしてこたえして言うにはいうには、「王はおうは戦争がせんそうが好きですすきです。(ですから)どうか、私にわたしに戦争のせんそうの話ではなしでたとえさせてください。
(ドンドンと)攻めせめ太鼓をだいこを打ち鳴らしうちならし両軍のりょうぐんの武器がぶきが交わりましたまじわりました。(そのときに)よろいを脱ぎ捨ててぬぎすてて武器をぶきを引きずってひきずって逃げ出したにげだした兵士がへいしがいました。ある者はあるものは百歩ひゃっぽ逃げ出してからにげだしてから踏みとどまりふみとどまりある者はあるものは五十歩ごじっぽ逃げ出してからにげだしてから踏みとどまりましたふみとどまりました
(このとき五十歩ごじっぽ逃げたにげた兵士がへいしが五十歩ごじっぽ(しか逃げなかったにげなかった)という理由でりゆうで百歩ひゃっぽ逃げたにげた兵士をへいしを笑ったならばわらったならば、どうでしょうか。」と。
王がおうが言ったいった、「よくない。ただ百歩ひゃっぽでないだけだ。(これも)同じくおなじく逃げたのであるにげたのである。」と。

文法・表現

〜お答えして言うには、〜(謙譲+引用)
お答えして言うには」=「回答說」。謙譲の引用文
〜がお好きです(尊敬)
戦争がお好きです」=「您愛好戰爭」。お+名詞+です=尊敬。
どうか〜させてください(懇願+使役受身)
どうか、〜たとえさせてください」=「請容我比喻」。
〜と、〜(順接の連用)
鼓を打ち鳴らし、兵器が交わりました」=「擊鼓、兵器相交」。
〜よろいを脱ぎ捨てて、〜を引きずって逃げる(連用+並列)
脱ぎ捨てて、引きずって逃げる」=「脫掉、拖著逃跑」。
〜では、〜どうでしょうか(疑問の定型)
では、どうでしょうか」=「那麼會如何呢」。

中文翻譯

(現代語譯)孟子回答說:「王,您愛好戰爭。請容許我以戰爭來作個比喻。咚咚地擊響戰鼓,雙方兵刃已經交鋒。(此時)有士兵棄下鎧甲、拖著兵器逃跑。有的人逃了一百步才停下,有的人逃了五十步就停下。如果(這逃了五十步的人)以『只逃了五十步』來嘲笑『逃了一百步的人』,那會如何呢?」

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文法・表現

〜の〜及び〜を〜禁じます(漢語並列)
無断転載及び商用利用固く禁じます」——「及び」=書面並列;「固く」=強調副詞。

中文翻譯

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