言語げんご文化ぶんか #22

漢文かんぶん

漢文かんぶん入門にゅうもん 漢文かんぶんしたしむ

故事成語こじせいご 「守株しゅしゅ」 (韓非子かんぴし

講師こうし 渡辺わたなべ 恭子きょうこ

学習がくしゅうのねらい

訓読くんどく基本きほん(1)(2)での学習がくしゅうをもとに、漢文かんぶん文章ぶんしょう読んでよんでいきます。そのはじめとして、今回こんかい故事こじかぶ守るまもる」を読みますよみます。「かぶ守るまもる」は、そうくに人々ひとびと笑いものわらいものにされてしまったおとこはなしです。なぜおとこ笑いものわらいものになったのでしょうか。「かぶ守るまもる」の内容ないよう理解するりかいするとともに、故事成語こじせいごとしての意味いみ学びましょうまなびましょう。まずは、本文ほんぶん今までいままで学習したがくしゅうした訓読くんどくのきまり」に従ってしたがって読んでよんでみましょう。

文法・表現

〜をもとに、〜(基礎)
学習をもとに」=「以…為基礎」。前提
〜を読んでいきます(敬体・継続)
読んでいきます」=「持續讀下去」。
〜のはじめとして、〜(順序)
そのはじめとして」=「作為其起點」。
〜にされてしまった〜(受身+完了)
笑いものにされてしまった男」=「遭人嘲笑了的男人」。「~にする」+「~てしまう」=被動完了。
なぜ〜のでしょうか(疑問の推量)
なぜ笑いものにされてしまったのでしょうか」=「為何遭人嘲笑呢」。
〜を見ながら〜を楽しみましょう(並行+勧誘)
イラストを見ながら、世界の物語を楽しみましょう」=「邊看插圖邊享受故事」。

中文翻譯

以「訓讀の基本」(一)(二)所學為基礎,開始閱讀漢文的文章。作為其開端,本回閱讀故事「株を守る」。這是宋國某個男人被嘲笑的故事。為什麼會被嘲笑呢?一邊看插圖,一邊享受古中文世界的故事吧。

学習がくしゅうのポイント●

いち〉「故事こじ」・「故事成語こじせいご」とは何かなにか
本文ほんぶんこえ出してだして読むよむ
さん〉「守株しゅしゅ」の現代語訳げんだいごやくはなし背景はいけい故事成語こじせいごとしての意味いみ考えるかんがえる

文法・表現

〜とは何か(疑問の定型)
とは何か」=「是什麼」。用語定義の疑問
〜を声に出して読む(音読)
を声に出して読む」=「朗聲讀出」。音読の指示
〜の現代語訳と話の背景、〜としての意味を考える(並列)
現代語訳と話の背景、〜としての意味を考える」=「思考現代語譯、故事背景、作為…的意義」。

中文翻譯

〈一〉「故事」「故事成語」是什麼 〈二〉朗讀本文 〈三〉思考「守株」的現代語譯、故事背景、以及作為故事成語的意義

■「故事こじ」・「故事成語こじせいご」とは何かなにか

故事こじ」とは、むかしから伝わってつたわっている出来事できごとはなしのことをいいます。そして、「故事成語こじせいご」とは、その「故事こじ」がもとになって生まれたうまれた言葉ことばのことです。

文法・表現

〜とは、〜のことをいいます(定義の定型)
『故事』とは、〜のことをいいます」=「所謂『故事』,就是…」。
〜から伝わっている〜(受身連体)
昔から伝わっている出来事」=「自古流傳下來的事件」。
〜がもとになって生まれた〜(受身連体)
『故事』がもとになって生まれた言葉」=「從『故事』演變而來的詞語」。

中文翻譯

所謂「故事」,是指自古流傳下來的事件、故事。而「故事成語」,則是由「故事」而來的詞語。

本文ほんぶんこえ出してだして読むよむ

漢文かんぶん学習がくしゅうでは、訓読くんどくのきまりに従ってしたがって漢文かんぶん読めるよめるようになること、そして、漢文かんぶんのリズムに慣れるなれることが大切たいせつです。訓読くんどく(「句読点くとうてん」「返り点かえりてん」「送り仮名おくりがな」)の学習がくしゅう学んだまなんだ知識ちしき生かしていかして、「かぶ守るまもる」の文章ぶんしょうを、こえ出してだして何度もなんども読んでよんでみましょう。主なおもな記号きごう漢字かんじ左下ひだりした付いてついている「返り点かえりてん」)については、「訓読くんどく基本きほん(1)」の学習がくしゅうメモをもう一度いちど確認かくにんしてください。

文法・表現

〜では、〜こと、そして、〜ことが大切です(範圍+並列+評価)
学習では、〜こと、そして、〜ことが大切です」=「在學習中,…和…都很重要」。
〜のきまりに従って(基準)
訓読のきまりに従って」=「依照訓讀的規則」。
〜を読めるようになること(可能形+名詞化)
読めるようになること」=「變得能讀的這件事」。
〜のリズムに慣れること(漢語+格助詞)
リズムに慣れること」=「習慣節奏的這件事」。
〜の学習で学んだ知識を生かして、〜(手段+目的)
知識を生かして」=「活用知識」。
〜気分で、声に出して読みましょう(態度+勧誘)
気分で読みましょう」=「以…的氣氛來讀吧」。

中文翻譯

在漢文學習中,依照訓讀的規則學會閱讀漢文、並熟悉漢文的節奏,兩者都很重要。讓我們活用在訓讀(句讀點、返り點、送り仮名)中所學的知識,將「株を守る」的文章朗讀出來吧。以聆聽寺子屋學生般的心情來讀(附有音檔,請聆聽)。

■「守株しゅしゅ」の現代語訳げんだいごやくはなし背景はいけい故事成語こじせいごとしての意味いみ考えるかんがえる

かぶ守るまもる」は、うさぎ走ってはしって来てきて木の切り株きのきりかぶにぶつかって死ぬしぬという、二度にどとありそうもないことを見てみて、それが再びふたたび起こるおこるのをじっと待ってまっているという、なにとも間抜けなまぬけな男のおとこの話ですはなしです

文法・表現

〜が〜来て〜にぶつかって死ぬという、〜こと(連体修飾の引用)
『~死ぬ』という、こと」=「『…死掉』這樣的事」。引用+同格名詞
二度とありそうもないこと(反復不可能の表現)
二度とありそうもないこと」=「不太可能再次發生的事」。強い否定推量
〜を見て、〜が再び起こるのをじっと待っているという、〜(連体修飾+進行)
を見て、〜のをじっと待っているという男」=「看到…,一直等候…的男人」。
何とも間抜けな〜(評価)
何とも間抜けな男」=「真是傻氣的男人」。「何とも」=強調的副詞。

中文翻譯

「株を守る」是這樣的故事:兔子跑來撞上切株而死——這幾乎不可能再次發生的事,那個男人看到後,便一直在那裡等待它再次發生。真是個讓人摸不著頭緒的傻男人的故事。

語句ごく意味いみ

かぶ守るまもる」の話ははなしは韓非かんぴという学者ががくしゃが書いたかいた本の中にほんのなかに伝わるつたわる話ですはなしです韓非はかんぴは紀元前きげんぜん二三三年にひゃくさんじゅうさんねんまで活躍したかつやくした思想家でしそうかで法律やほうりつや刑罰をけいばつを重んじるおもんじる思想であるしそうである法家ほうか思想をしそうを極めたきわめた人としてひととして有名ですゆうめいです韓非はかんぴは君主にくんしゅに対してたいして昔のむかしの方法をほうほうをそのまま持ち込むのではなくもちこむのではなく今にいまに相応しいふさわしい方法でほうほうで人民をじんみんを治めるべきだおさめるべきだ」と主張しますしゅちょうします。そのとき自分のじぶんの主張にしゅちょうに説得力をせっとくりょくを持たせるもたせるための手段としてしゅだんとして、この寓話ぐうわ使ったのですつかったのです
童謡どうよう待ちぼうけまちぼうけ」の歌詞もかしも守株しゅしゅ」の話からはなしから生まれましたうまれました

文法・表現

〜という〜が書いた〜(同格+受身連体)
韓非という学者が書いた本」=「名為韓非的學者所寫的書」。
〜まで活躍した〜(範圍+過去)
紀元前二三三年まで活躍した思想家」=「活躍到…的思想家」。
〜を重んじる〜(連体修飾)
法律や刑罰を重んじる思想」=「重視法律與刑罰的思想」。
〜を極めた人として有名(評価)
を極めた人として有名」=「以…的精通者著名」。
〜に対して〜と主張しました(対象+引用)
君主に対して『〜』と主張しました」=「對君主主張『…』」。
〜こそ正しい(強調的肯定)
こそ正しい」=「才是正確的」。
〜のための例の一つ(用途+部分)
そのための例の一つです」=「是用來說明此(主張)的例之一」。

中文翻譯

「株を守る」這個故事,是學者韓非所著之書中流傳下來的故事。韓非是活躍至西元前233年的思想家,以「重視法律與刑罰的法家思想」聞名。韓非反對國君「為了治理而推行古代政治」的做法,主張「世間萬象皆變,依這時代之需治理國家才是正確的」——「守株」正是體現此主張的例子之一。

故事成語こじせいご守株しゅしゅ」の意味いみ

① いつまでも古いふるいやり方にやりかたにこだわって、新しいあたらしいことに対処できないたいしょできないこと。
進歩のしんぽのないこと。

文法・表現

いつまでも〜にこだわって(持続+固執)
いつまでも古いやり方にこだわって」=「一直執著於舊方法」。
〜に対処できないこと(不可能+名詞化)
対処できないこと」=「無法應對」。
〜のないこと(打消連体+名詞化)
進歩のないこと」=「沒有進步」。

中文翻譯

「守株」作為故事成語的意義: ①一味執著於舊有方法,無法應對新事物。 ②沒有進步。


守株しゅしゅ本文ほんぶん

宋人そうひと耕田者たがやすでんをもの
田中でんちゅうかぶ
うさぎはしリテかぶにくびを
よりリテテテそのすきをまもかぶをこいねがまたうさぎを
うさぎべからまたしてみはなる宋国笑そうこくのわらいと

書き下し文かきくだしぶん

宋人そうひと田をでんを耕すたがやす者有りものあり
田中でんちゅう株有りかぶあり
うさぎ走りてはしりて株にかぶに触れふれ頸をくびを折りておりて死すしす
因りてよりて其のその耒をすきを釈ててすてて株をかぶを守りまもり復たまた兎をうさぎを得んえんことを冀ふこいねがう
うさぎ復たまたべからずして、身はみは宋国のそうこくの笑いとわらいと為るなる

文法・表現

〜に〜有り(漢文訓讀調・存在)
宋人に〜有り」=「宋人中有…」。漢文「有」字句的訓讀
〜走りて〜触れ、〜(連用+順接)
兎走りて株に触れ」=「兔子跑著撞上樹樁」。連用形+て=順接連用。
〜頸を折りて死す(漢文の「死す」)
頸を折りて死す」=「折斷頸子而死」。「死す」是サ變動詞「死す(しす)」,漢文訓讀調。
因りて〜(漢文順接の接続詞)
因りて」=「因此」。漢文「因」字句的訓讀。
〜を釈てて〜を守り、〜(連用+意圖)
耒を釈てて株を守り」=「放下耒(農具)守著樹樁」。
〜を得んことを冀ふ(意志+希求)
復た兎を得んことを冀ふ」=「希望能再得到兔子」。「~んことを冀ふ」=書面語的希求。
〜べからずして(不可能+打消連用)
復た得べからずして」=「沒能再得到」。「べからず」=「べし」的打消(不可能)。
身は〜と為る(変化)
身は宋国の笑いと為る」=「自身成為宋國的笑話」。「と為る」=變成。

中文翻譯

(漢文書下文)宋人に田を耕す者有り。田中に株有り。兎走りて株に触れ、頸を折りて死す。因りて其の耒を釈てて株を守り、復た兎を得んことを冀ふ。兎復た得べからずして、身は宋国の笑いと為る。

現代語訳げんだいごやく

宋のそうの国の人にくにのひとに畑をはたけを耕すたがやす者がいたものがいた畑の中にはたけのなかに木の切り株がきのきりかぶがあった。
(ある)そこへ兎がうさぎが走ってはしって来てきて、その切り株にきりかぶに突き当たりつきあたり首のくびの骨をほねを折りておりて死んでしまったしんでしまった
農夫はのうふは)そこで自分のじぶんのすきを放り出してほうりだして切り株のきりかぶの番をしばんをし再びふたたび兎をうさぎを手にてに入れよういれよう待ち望んだまちのぞんだ
(しかし)兎はうさぎは二度とはにどとは手にてに入れるいれることができず、彼自身はかれじしんは宋国中のそうこくじゅうの人々のひとびとの笑いものわらいものとなった。

文法・表現

〜の人に、〜者がいた(漢文「有」の現代語化)
に、〜者がいた」=「有…的人」。
〜があった(過去存在)
切り株があった」=「有個樹樁」。
〜が走って来て、〜に突き当たり、〜してしまった(連用+帰結)
走って来て、突き当たり、死んでしまった」=「跑來撞上、結果死了」。「~てしまう」=完了+不本意。
そこで、自分の〜を放り出して、〜(順接+連用)
そこで、放り出して、〜守りをし」=「於是丟下…,做守候」。
結局、〜得ることができないで、〜となった(帰結)
結局、得ることができないで、笑い物となった」=「最終沒能得到,反成笑柄」。

中文翻譯

(現代語譯)宋國有個耕田的人。田中有個樹的切株。一隻兔子跑過來撞上那個切株,折斷了脖子而死。 於是(那個人)扔下自己的耒(農具),守在那個切株旁,希望能再次得到兔子。然而兔子不可能再得到,他自身反倒成為宋國的笑柄。

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文法・表現

〜の〜及び〜を〜禁じます(漢語並列)
無断転載及び商用利用固く禁じます」——「及び」=書面並列;「固く」=強調副詞。

中文翻譯

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