言語げんご文化ぶんか #21

漢文かんぶん

漢文かんぶん入門にゅうもん 漢文かんぶんしたしむ

訓読くんどく基本きほん(2) 【格言かくげん

講師こうし 渡辺わたなべ 恭子きょうこ

学習がくしゅうのねらい

漢文かんぶんは、たのしく、あじわいのあるはなしおおいのですが、むかし中国語ちゅうごくごかれているので、「訓読法くんどくほう漢文かんぶんのきまり)」をらなければ、むこともできません。そこで、はじめに、かたのルールである「訓読くんどく基本きほん」を二回にかいけてまなびます。今回こんかいは、その二回目にかいめです。「返読文字へんどくもじ」・「置き字おきじ」・「再読文字さいどくもじ」とはなにかをり、その用法ようほうについてまなびましょう。

文法・表現

〜は、〜が多いのですが、〜(並列+逆接)
「漢文、〜が多いのですが、〜読むこともできません」=「有許多…,但若不…就無法讀」。
〜で書かれているので、〜(受身+理由)
「中国語で書かれているので」=「因為是用中文寫的」。
そこで、はじめに、〜(接続+順序)
そこで、はじめに」=「因此、首先」。
〜にわたって、〜していきます(範圍+継続)
二回にわたって勉強していきます」=「用兩回,持續學習」。

中文翻譯

漢文中有許多有趣、值得玩味的故事,但因為是以古代中文寫成,若不懂「訓讀法(漢文的閱讀規則)」就無法閱讀。因此,用兩回的時間學習這套讀法的規則「訓讀的基本」。上次是第一回,本回是第二回。

学習がくしゅうのポイント●

いち〉「返読文字へんどくもじ」について
〉「置き字おきじ」について
さん〉「再読文字さいどくもじ」について

文法・表現

〜について(漢語+格助詞)
『返読文字』について」=「關於『返讀文字』」。
返読文字(漢語熟語)
返読文字」=「需從下往上反讀的字」(如「無」「不」等否定詞)。
置き字(漢語熟語)
置き字」=「放在文中但不讀的字」(如「於」「焉」「矣」等虛字)。
再読文字(漢語熟語)
再読文字」=「同一字要讀兩次的字」(如「未」「将」「当」等)。

中文翻譯

〈一〉關於「返讀文字」 〈二〉關於「置き字」 〈三〉關於「再讀文字」

■「返読文字へんどくもじ」について

漢文かんぶん場合ばあいは、目的語もくてきごには「ヲ」や補語ほごには「ニ・ト・ヨリ」などの格助詞かくじょし送り仮名おくりがなとしてけて、述語じゅつごかえってむことを前回ぜんかいまなびました。ところが、漢文かんぶんなかには、「ヲ・ニ・ト・ヨリ」がなくても、したかれているからかえって文字もじがあります。それを「返読文字へんどくもじ」といいます。何度なんどてきますので、そのたびおぼえましょう。つぎ赤字あかじが「返読文字へんどくもじ」です。

文法・表現

〜場合は、〜(範圍提示)
読む場合は」=「讀…時」。
〜には〜などの〜を付けて、〜(連用+手段+目的)
目的語には『ヲ』を付けて、述語に返って読む」=「目的語加上『ヲ』回讀至述語」。
〜を前回学びました(過去・既習)
を前回学びました」=「前回學過了」。
ところが、〜(接続詞・逆接)
ところが」=「然而」。意外性のある転換
〜にも、〜(範圍内の例示)
「漢文の中には、〜もあります」=「漢文中也有…」。
〜なくても、〜(譲歩)
『ヲ・ニ・ト・ヨリ』がなくても」=「即使沒有『ヲ・ニ・ト・ヨリ』」。
〜は必ず〜と言います(必然+命名)
は必ず返って読みますと言います」=「必定回讀。稱為…」。
代表的な〜には、〜があります(例示)
代表的なものには、〜があります」=「典型的有…」。
〜を覚えておくと、〜便利です(条件+効用)
主な返読文字を覚えておくと、便利です」=「記住主要的返讀文字會很方便」。

中文翻譯

閱讀漢文時,上回學了——目的語要加上「ヲ」、補語要加上「ニ・ト・ヨリ」等格助詞作為「送り仮名」,然後回讀到述語。但漢文中也有即使沒有「ヲ・ニ・ト・ヨリ」,下方的字也必定要返回去讀的字——這些被稱為「返讀文字」。常見的有:表否定者(如「不・無」)、表存在或所有者(如「有」)、表使役者(如「使」)、表受身者(如「見・被」)。記住主要的「返讀文字」會很方便。

少年せうねんやす がくがた
少年しょうねんやすがくがたし。)
李下りかかんむりただただかんむり
李下りかかんむりたださず。)
他山之石たざんのいしもつみがくたま
他山たざんいしもつたまみがくべし。)

江戸時代えどじだい寺子屋てらこやでは、漢文かんぶんおしえるときに、「ヲニト(おにと)ったらかえかえ)れ。」とおしえたそうです。これは、文中ぶんちゅうで、「~ヲ・~ニ・~ト」という送り仮名おくりがなてきたら、ひっくりかえってむのですよ、ということをおぼえやすいようにった言葉ことばです。また、補語ほごに「ヨリ」をふくめた「ヲニト(おにと)うヨリかえかえ)れ。」というおぼかたもあります。

文法・表現

〜では、〜とき、〜と教えたそうです(受身的伝聞)
寺子屋では、教えるときに、〜と教えたそうです」=「據說寺子屋教漢文時是這樣教的」。
「ヲニト(鬼と)会ったら返れ」(語呂合わせ)
把「ヲニト」三個格助詞與「鬼と」(と=鬼)語呂合わせ(諧音記憶法)。可愛的助記法。
〜たら〜(条件+命令)
会ったら帰れ」=「遇到就回去」。た形+ら=条件、命令形
〜が出てきたら、〜なさい(条件+勧告)
送り仮名が出てきたらひっくり返って読みなさい」=「當出現…時請反過來讀」。
〜ですよね(同意の確認)
覚え方ですよね」=「是個記法吧」。同意の誘い
〜ましょう(共同勧誘)
覚えてしまいましょう」=「讓我們記下吧」。

中文翻譯

據說在江戶時代的寺子屋中,教漢文時會教學生:「ヲニト(碰到鬼的話)就回去吧」。意思是——文中如果出現「~ヲ・~ニ・~ト」這類送り仮名,就要回去讀。是不是一個很有意思的記憶口訣呢?我們也把它記下來吧。

■「置き字おきじ」について

漢文かんぶん使つかわれている漢字かんじは、それぞれ一回いっかいずつむのが原則げんそくですが、その原則げんそくからはずれるものがふたつあります。そのひとつが「置き字おきじ」で、もうひとつが学習がくしゅうのポイント〈さん〉の「再読文字さいどくもじ」です。「置き字おきじ」とは、まない漢字かんじのことをいい、直接ちょくせつみませんが意味いみ役割やくわり)はあります。前後ぜんご文字もじ送り仮名おくりがなに、それぞれの「置き字おきじ」の意味いみ役割やくわり)をふくませてんだり、たん語調ごちょうととのえたり文末ぶんまつ語気ごきあらわしたりします。「書き下し文かきくだしぶん」にあらためるとき、「置き字おきじ」はきません。

文法・表現

〜は、〜のが原則ですが、〜(断定+逆接)
漢字は、一回ずつ読むのが原則ですが、〜外れるものがあります」=「漢字原則上每字讀一次,但…」。
〜から外れるもの(連体修飾)
原則から外れるもの」=「不符原則的」。
その一つが〜、もう一つが〜です(並列)
その一つが『置き字』、もう一つが『再読文字』です」=「一個是…,另一個是…」。
〜とは、〜のことです(定義)
『置き字』とは、読まない漢字のことです」=「所謂置き字,就是不讀的漢字」。
主に〜などです(限定+例示)
主に『於・于・乎』などです」=「主要是」。
〜のうち、〜は、〜(範圍内+主題)
このうち、四字、〜位置します」=「其中,四個字位於…」。
〜は、〜ほぼ同じ意味になります(評価)
同じような意味になります」=「意義大致相同」。

中文翻譯

漢文中所使用的漢字,原則上「每字讀一次」。但有兩種例外:其一是「置き字」,另一個則是學習要點〈三〉的「再讀文字」。 所謂「置き字」,是指「不讀的漢字」。主要有「於・于・乎・焉・矣・也・而」等。其中前四字常常被置於「補語」之前,表示「在~/向~/從~/與~/比起~」等意義。「於・于・乎」三者意義大致相同。

あやまざるあらためこれあやまち
あやまちてあらためざる、これあやまちとふ。)
忠言ちゅうげんさからみみれどもおこなひ
忠言ちゅうげんみみさからへども、おこなひにあり。)
なかれもち己之長おのれのちょうあらわす人之短ひとのたん
おのれちょうつてしてひとたんあらわすることかれ。)

■「再読文字さいどくもじ」について

訓読くんどくするときに、ひとつの漢字かんじ二度にど文字もじのことを「再読文字さいどくもじ」といいます。かたは、最初さいしょ返り点かえりてん関係かんけいなく、日本にほん副詞的ふくしてきみをし、さらにもう一度さらにもういちど今度こんど返り点かえりてんしたがって助動詞的じょどうしてき動詞どうしもある)なみをします。「書き下し文かきくだしぶん」にあらためるときは、一度目いちどめはそのまま漢字かんじもちい、二度目にどめみは平仮名ひらがなにするのがまりです。

文法・表現

〜する時に、〜のことを〜と言います(場合+命名)
訓読する時に、〜のことを『再読文字』と言います」=「訓讀時,把…稱為『再讀文字』」。
〜を二度読む文字(連体修飾+数詞)
一つの漢字を二度読む文字」=「同一漢字讀兩次的字」。
最初に〜、さらにもう一度〜(順序)
最初に〜、さらにもう一度〜」=「先…、然後再…」。順序的副詞
〜に関係なく、〜(無関係)
返り点に関係なく」=「不管返り點」。
〜的な読みをします(属性的動詞)
副詞的な読みをします」=「作副詞性的讀法」。
〜に従って、〜(基準)
返り点に従って」=「依照返り點」。
〜には注意してください(注意喚起)
には注意してください」=「請注意」。
〜は〜で書き、〜は〜で書きます(並列規則)
「最初の部分は漢字で書き、二度目は平仮名で書きます」=「第一次以漢字寫,第二次以平假名寫」。

中文翻譯

訓讀時,將同一個漢字讀兩次的字稱為「再讀文字」。讀法是——第一次先不管返り點,作為「副詞性」的讀法讀一次;接著再依返り點返回去,這次作為「助動詞性(也有作動詞性的)」的讀法讀一次。需要注意的是,「書き下し文」中,第一次讀的部分以漢字書寫,第二次讀的部分以平假名書寫。

いまダ
いまたらず。)
いまだきか好学こうがくものなり
(いまだがくこのものかざるなり。)
まさニかぎらんとす其食そのしょく
(まさに其のそのしょくかぎらんとす。)
およときニまさニ勉励べんれい歳月さいげつまたひとを
ときおよんでまさ勉励べんれいすべし、歳月さいげつひとたず。)
きみより故郷こきょうきたるまさニしる故郷事こきょうのこと
きみ故郷こきょうよりきたたる、まさ故郷こきょうことるべし。)
すぎたるはなほざるがおよばごときなり
過ぎすぎたるはおよばざるがごときなり。)

主なおもな再読文字さいどくもじ

漢字かんじ 読み方よみかた 意味いみ
いまだ ~ず 否定ひてい(まだ ~ない)
しょう / しょ まさに ~んとす 未来みらい将来しょうらい(今にも ~しようとする、~になろうとする)
とう / おう まさに ~べし 当然とうぜん(当然 ~すべきである)、推量すいりょう(きっと ~であろう)
ゆう / ゆう なほ ~がごとし 比較ひかく(ちょうど ~のようだ、ちょうど ~と同じである)

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文法・表現

〜の〜及び〜を〜禁じます(漢語並列)
無断転載及び商用利用固く禁じます」——「及び」=書面並列;「固く」=強調副詞。

中文翻譯

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