言語文化 #20
講師 渡辺 恭子
学習のねらい
漢文は、楽しく、味わいのある話が多いのですが、昔の中国語で書かれているので、「訓読法(漢文のきまり)」を知らなければ、読むこともできません。そこで、はじめに、読み方のルールである「訓読の基本」を二回に分けて学びます。今回はその一回目です。「訓読」とは何かをお知り、「訓読」するために必要な「訓点」のきまりについて学びましょう。「訓点」には、「句読点」・「送り仮名」・「返り点」の三つがあります。
漢文中有許多有趣、值得玩味的故事,但因為是以古代中文寫成,若不懂「訓讀法(漢文的閱讀規則)」就無法閱讀。因此,先用兩回的時間,學習這套讀法的規則「訓讀的基本」。
●学習のポイント●
〈一〉「訓読」とは何か
〈二〉漢文の構造と「訓読」のきまりについて
〈三〉「書き下し文」について
〈一〉「訓讀」是什麼 〈二〉漢文的結構與「訓讀」的規則 〈三〉「書下文(書き下し文)」
「訓読」とは、簡単にいうと、「読書」という中国語を「書を読む」という日本語に直して読む方法のことです。
「訓讀」簡單來說,就是把「読書」這個中文,作為「書を読む」這樣的日語來閱讀的方法。
読書 → 書を読む。
漢字・漢文が、お隣の国、中国から、朝鮮半島を経由して伝えられ、中国語の発音をもとにした読み方である「音読み」と、日本の意味を当てて読む読み方である「訓読み」が、誕生しました。
從鄰國中國經由朝鮮半島,漢字、漢文傳了過來,於是誕生了基於中文發音的讀法「音読み」與套用日語意義的讀法「訓読み」。
そして、日本の祖先は、元々は中国語である漢文を、この「音読み」と「訓読み」とを上手に使い、さらに日本語の語順に合わせながら、日本語に訳して読んでしまうという読み方を工夫しました。つまり、使われている漢字をそのまま生かしながら、日本語に訳して読んでしまおうという読み方です。これを「訓読」といいます。
於是日本的祖先們,巧妙地運用這「音読」與「訓読」兩種讀法,並將原本是中文的漢文按照日語的語序進行調整,發展出「翻譯為日語直接閱讀」的這套讀法。也就是說,根據所用漢字以及語序的不同,誕生了「日本式漢字音」「日語單詞」「日語語序」這三種讀法。
【訓点について】
漢文は、昔の中国語ですから、そのままの形で、日本語として読んでいくためには、多くの約束事が必要です。その約束事に用いる記号を、まとめて「訓点」と呼びます。「訓点」には、「句読点」・「返り点」・「送り仮名」の三つがあります。
漢文是古代中文,要把它直接作為日語讀下去,需要許多約定。這些用於約定的記號,被總稱為「訓點」。「訓點」有「句讀點」、「返り點」、「送り仮名」三種。
①「句読点」(「、」「。」)
漢文は、もともと同じ大きさの漢字が、同じ間隔で並んでいるだけで、文や語の切れ目もありません。それを「訓読」の際、意味が分かりやすくなるようにと、付けたものです。
①「句讀點」(「、」「。」):漢文原本只是相同大小的漢字以相同間距並排,並沒有句子或詞語的分隔點。在「訓讀」時,為了使意思更易理解,便加上這些記號。
②「返り点」
中国語と日本語では、語順(構造)が違います。このように、日本語とは構造の異なる漢文を「訓読」する時には、読む順序を示す記号が必要です。この記号を「返り点」といいます。漢字の左下に付けます。
②「返り點」:中文與日語的語順(結構)不同。對於結構不同於日語的漢文進行「訓讀」時,需要顯示閱讀順序的記號——這就是「返り點」,標記在漢字的左下方。
③「送り仮名」
「訓読」する時に、中国語である漢文にない文字(活用語尾・助詞・助動詞)は補わなければなりません。これを「送り仮名」といい、漢字の右下に小さく「カタカナ」(歴史的仮名遣い)で書くきまりになっています。
③「送り仮名」:訓讀時,中文漢文中沒有的文字(活用語尾、助詞、助動詞)必須補上。這稱為「送り仮名」,依規定以小字「カタカナ(歷史假名遣)」寫在漢字的右下方。
【漢文の構造(語順)】
| 漢文 | 日本語 |
|---|---|
| 主語 + 述語 | 主語 + 述語 |
| 修飾語 + 被修飾語 | 修飾語 + 被修飾語 |
| 述語 + 目的語(補語) | 目的語(補語) + 述語 |
【返り点の種類】
「返り点」は、「下から上へ返って読む」場合にだけ付ける記号です。「返り点」には、「レ点」・「一・二点」・「上・中・下点」など何種類かの記号があります。それぞれ、どんな場合に使う記号なのかを、例文をもとに考えていきましょう。
「返り點」是只在「從下往上回頭讀」時才標記的記號。「返り點」有「レ點」、「一・二點」、「上・中・下點」等幾種。讓我們以例文來理解各自的使用場景。
● レ点 …… 下の一字から、上の一字に返って読むことを示す記号。
立レ志
つまり、下の漢字「志」(目的語)を読んでから、上の漢字「立つ」(述語)にひっくり返っています。この時、カタカナの「レ」のような記号を使います。この記号を「レ点」といいます。
「立レ志」は、「志を立つ」と読みます。
●レ點……表示「從下方一字回到上方一字讀」的記號。例:立レ志(立志)。即先讀下方漢字「志」(目的語),再回讀上方漢字「立つ」(述語)。這時使用形似片假名「レ」的記號。
● 一・二点 …… 二字またはそれ以上へだてて返って読むことを示す記号。
登二竜門一
ここでは「竜門」(補語)から「登る」(述語)へ二字返って読みますから、「レ点」ではなく「一・二点」を使うのです。
「登二竜門一」は、「竜門に登る」と読みます。
※長文なら一・二・三・四・五……と使える。
●一・二點……表示「隔開兩字或更多字回頭讀」的記號。例:登二竜門一(登竜門)。從「竜門(補語)」回到「登る(述語)」,因隔了兩字,所以不用「レ點」而用「一・二點」。
● 上・(中)・下点 …… 一・二点のついた句を中にはさんで、さらに返って読む記号。
●上・(中)・下點……表示在已有「一・二點」的詞句之外,更進一步回頭讀的記號。
※「返り点」は、言葉と言葉の関係や、文の構造を示す記号にもなっています。
※「返り點」也是表示「詞與詞之間的關係」「句子結構」的記號。
「書き下し文」とは、漢文を訓点にしたがって漢字仮名まじり文に改めた文のことです。漢字はそのまま漢字で、「カタカナ」で書かれた「送り仮名」は平仮名にかえて、日本語の語順に直します。
(※なお、訓点の付かない漢字だけの元の漢文を「白文」といいます。)
所謂「書き下し文」,是指依照訓點,將漢文改寫為「漢字假名混合文」的文字。漢字保留為漢字,以「カタカナ」書寫的「送り仮名」改為「平假名」,並依日語語順排列。(※不使用訓點的字也適當地補上。)
注意点は、以下の二点です。
① 一部の漢字(日本語の助詞・助動詞にあたる漢字)は平仮名にする。
② 送り仮名は、平仮名(歴史的仮名遣い)にする。
注意點有以下兩點:①一部分漢字(相當於日語助詞、助動詞的漢字)改為平假名。②送り仮名改為平假名(歷史假名遣)。
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