学習のねらい
『徒然草』第三十一段「雪のおもしろう降りたりし朝」を読みます。兼好法師がある人と交わした手紙の話ですが、その手紙の返事が、印象的で忘れ難いものとして記されています。兼好はどのような点を忘れ難いと思ったのか、考えていきましょう。また、助動詞の意味を判別する際の基本的な方法を学びます。
文法・表現
- 〜を読みます。〜の話ですが、〜(敬体+並列)
- 「第三十一段を読みます。〜の話ですが、〜記されています」=「讀…。是…的故事,被記為…」。
- 〜と交わした〜(受身連体修飾)
- 「ある人と交わした手紙」=「與某人來往的信」。「交わす」=互相往來。
- 〜として記されています(受身+資格)
- 「忘れ難いものとして記されています」=「被當作難以忘懷的事記下」。
- 〜どのような点を〜と思ったのか(疑問内包)
- 「どのような点を忘れ難いと思ったのか」=「覺得哪一點難以忘懷呢」。
- 〜を探してみましょう(試みの勧誘)
- 「を探してみましょう」=「讓我們找看看吧」。
中文翻譯
本回閱讀《徒然草》第三十一段「雪のおもしろう降りたりし朝」。這是兼好法師與某人書信往來的故事,那封回信被描寫為令人難以忘懷之物。兼好究竟對哪一點感到難以忘懷呢?讓我們來找找看吧。
●学習のポイント●
〈一〉手紙の内容を理解する
〈二〉手紙を読んだ作者の思いを考える
〈三〉助動詞の意味を理解する
文法・表現
- 〜の〜を理解する/〜を考える(並列)
- 「内容を理解する」「思いを考える」=「理解內容、思考心情」。
- 〜を読んだ〜(連体修飾節)
- 「手紙を読んだ作者」=「讀了信的作者」。
中文翻譯
〈一〉理解信的內容
〈二〉思考讀信後作者的感受
〈三〉理解助動詞的意義
■手紙の内容を理解する
兼好法師は、ある人に手紙を送りましたが、その朝の趣深い雪のことについて、一切触れませんでした。ある人は、今朝の雪について一言も触れないような人の言うことは聞くことができないと、返事をします。
文法・表現
- 〜に手紙を送りましたが、〜について一切触れませんでした(逆接+打消)
- 「に手紙を送りましたが、〜一切触れませんでした」=「寄了信,但對…完全沒提」。
- 〜について一言も触れないような人(連体修飾+打消)
- 「一言も触れないような人」=「連一句也不提的人」。「一言も~ない」=完全否定。
- 〜の言うことは聞くことができない(不可能の表現)
- 「言うことは聞くことができない」=「聽不下他說的話」。強い拒絶。
- 〜と、返事をします(引用+動詞)
- 「『〜』と、返事をします」=「如此回信」。
中文翻譯
兼好法師寄了一封信給某人,但對於那天早晨那場有意趣的雪一字未提。對方回信寫道:「對於連今早這場雪『你怎麼看』都不肯說一筆的、那麼彆扭的人所說之話,我可聽不下去。」
【重要語法】
● おもしろく → おもしろう (ウ音便)
【重要語句】
● おもしろし …… 趣深い。
● 文 ……………… 手紙。
● やる …………… 送る。
● のたまはす …… おっしゃる。
● ひがひがし …… 素直でない。ひねくれている。
● 口惜し ………… 残念だ。
文法・表現
- 古典語の語義注(並列定型)
- 辭典體裁的語義注釋。「……」表示「=(等於)」。古典語的意味記述。
- おもしろし(古今異義語)
- 「おもしろし」=古「趣深、優雅」(不是現代的「滑稽」)。
- やる(古今異義語)
- 「やる」=古「送出、派遣」(不是現代「給予」)。
- のたまはす(最高敬語)
- 「のたまはす」=「言ふ」的最高敬語形式。
- ひがひがし(古典形容詞)
- 「ひがひがし」=「不率真、彆扭、不近情」。
中文翻譯
●おもしろし……有意趣、趣深
●文……………信、書簡
●やる…………寄送、送出
●のたまはす…說(敬語)
●ひがひがし…不率真、彆扭
●口惜し………遺憾
■手紙を読んだ作者の思いを考える
雪のことに触れなかったことに対して、痛烈に批判された兼好ですが、そのある人の返事に対して、素晴らしい返事だと感心します。批判されたのにどうして感心したのでしょうか。それは、その人の常に風流を大事にする言葉に感動したからです。
文法・表現
- 〜に対して、痛烈に〜された〜(受身+程度副詞)
- 「に対して、痛烈に批判された兼好」=「被痛烈批評的兼好」。「~に対して」=對象。
- 〜のに対して、〜だと感心します(対比+評価)
- 「批判されたのに対して、素晴らしい返事だと感心します」=「儘管被批評,卻感佩是好回信」。
- どうして〜のでしょうか(理由の問いかけ)
- 「どうして感心したのでしょうか」=「為什麼會感佩呢」。
- 〜という姿勢に対して、〜だと感じたから(理由)
- 「姿勢に対して、〜だと感じたから」=「因為對…的態度感到…」。
- 〜たうえで、〜認めた(連用+肯定)
- 「批判されたうえで、認めた」=「被批評之後、卻仍承認」。「~うえで」=「於…之後/在…的基礎上」。
- 〜も興味深いところ(評価)
- 「素直な態度も興味深いところ」=「坦率的態度也很值得玩味」。
- 〜について、〜をまとめてみましょう(勧誘)
- 「について、感じたことをまとめてみましょう」=「對於…,整理感受看看吧」。
中文翻譯
對於沒提雪這件事而受到嚴厲指責的兼好,反而覺得那人的回信「真是了不起的回信」而為之感佩。為什麼被指責反而會為之感佩呢?那是因為——他被對方那種凡事都重視風流的態度所感動。儘管被指責,但能承認對方見識的這份兼好心胸坦蕩之態度也是可圈可點。讀完古文原文後,整理一下兼好對於「對方的回信」與「自己被指責這件事」各自有怎樣的感受吧。
【重要語句】
● をかし ……… おもしろい。趣がある。すばらしい。
文法・表現
- をかし(平安美学の核心語)
- 「をかし」=「有情趣・優雅・別有風韻」。平安朝美學的核心概念,與「あはれ」並列。古今異義語(現代的「おかしい」=可笑,不同意)。
■助動詞の意味を理解する
● 助動詞は、動詞のほかにも、形容詞や助動詞にも接続します。助動詞の意味を考える際には、活用(どのように形が変化するか)と接続(どのような語に接続するか)の知識が必要になります。
文法・表現
- 〜のほかにも、〜にも〜(並列の拡張)
- 「動詞のほかにも、形容詞や助動詞にも接続します」=「除了…之外、也接續於…」。
- 〜際には、〜の知識が必要になります(場合+必要)
- 「考える際には、知識が必要になります」=「思考時,需要知識」。
- 〜(どのように〜か)(疑問内包)
- 「(どのように形が変化するか)」=「(形態如何變化)」。括弧内の補足。
中文翻譯
●助動詞除了動詞之外,也會接續於形容詞、助動詞。在思考助動詞意義時,需要關於「活用(形態如何變化)」與「接續(接於什麼樣的詞)」兩方面的知識。
● 過去の助動詞「き」は、活用して「し」(連体形)、「しか」(已然形)と形を変えます。
文法・表現
- 過去の助動詞「き」(活用表)
- 「き」=過去助動詞,表示確實經驗的過去。連體形=「し」、已然形=「しか」。「けり」(伝聞過去)對比。
- 〜と形を変えます(変化の表現)
- 「と形を変えます」=「變為…形態」。
中文翻譯
●過去助動詞「き」活用後變為「し」(連體形)、「しか」(已然形)。
〈動詞〉
● 降り + たり + し (連体形) [訳] 降っていた
(動詞・助動詞・存続)
文法・表現
- 〜たり(存続の助動詞)
- 「たり」=存続の助動詞,表「…著的狀態」。連用形接続。
- 〜し(過去き連体形)
- 「し」=「き」的連體形。
- 複合活用(動詞+助動詞+助動詞)
- 古文中可以多重接續助動詞,形成複雜時態。
中文翻譯
●「降り+たり+し」(連體形)→譯:「降っていた(曾下著)」。動詞「降り」+助動詞「たり」(存續)+助動詞「し」
● 言は + ざり + し (連体形) [訳] 言わなかった
(動詞・助動詞・打消)
文法・表現
- 〜ざり(打消の連用形)
- 「ざり」=打消助動詞「ず」的連用形(特殊變形)。「ず」の連用形補助変化。
- 〜未然形+ず(打消接続)
- 「言は(未然)+ず」=「不說」。
中文翻譯
●「言は+ざり+し」(連體形)→譯:「言わなかった(沒說的)」。動詞「言は」+助動詞「ざり」(打消)+助動詞「し」
● 言ひ + たり + し (連体形) [訳] 言っていた
(動詞・助動詞・存続)
文法・表現
- 〜たり(存続)+し(過去)の組合せ
- 「たり+し」=「~していた」。狀態的過去。
- 連用形+たり(接続規則)
- 「言ひ」=連用形+「たり」(連用形接続)。
中文翻譯
●「言ひ+たり+し」(連體形)→譯:「言っていた(曾說過的)」。動詞「言ひ」+助動詞「たり」(存續)+助動詞「し」
〈形容詞〉
● をかしかり + しか (已然形) [訳] おもしろかった
文法・表現
- 〜かり(形容詞カリ活用)
- 「をかしかり」=形容詞「をかし」+「かり」(カリ活用連用形),可接續助動詞。
- 〜しか(過去き已然形)
- 「しか」=「き」的已然形。常與「こそ」呼應作係結。
中文翻譯
●「をかしかり+しか」(已然形)→譯:「おもしろかった(有趣/別有情趣)」
● 助動詞「たり」は、どのような語に接続するかによって意味が異なります。
文法・表現
- 〜によって意味が異なります(依存関係)
- 「によって意味が異なります」=「因…而意義不同」。
- 「たり」の二義(存続/断定)
- 「たり」=① 接動詞連用形→「存続」(…著的狀態);② 接名詞→「断定」(「である」的古文形)。
中文翻譯
●助動詞「たり」依其接續對象不同,意義有所差異。
- 活用する語の連用形 + たり (助動詞・存続) ~ている
- 体言(名詞) + たり (助動詞・断定) ~である
【第三十一段】 本文
雪のおもしろう降りたりし朝、人のがり言ふべきことありて、文をやるとて、雪のこと何とも言はざりし返り事に、「この雪いかが見ると、一筆のたまはせぬほどの、ひがひがしからん人の仰せらるること、聞き入るべきかは。かへすがへす口惜しき御心なり。」と言ひたりしこそ、をかしかりしか。今は亡き人なれば、かばかりのことも忘れ難し。
文法・表現
- 雪のおもしろう降りたりし朝(連体修飾の連鎖)
- 「雪のおもしろう降りたりし朝」=「雪有意趣地下著的早晨」。「たり(存続)+し(過去連体)」修飾「朝」。
- 人のがり(古典格助詞)
- 「人のがり」=「到某人那裡」。「がり」=「のところへ」的古語格助詞。
- 〜べきことありて、〜やるとて(必要+目的)
- 「言ふべきことありて、文をやるとて」=「因有要說的事,打算寄信」。「べき」=當為;「とて」=目的。
- 〜返り事に(返信に)
- 「返り事に」=「在回信中」。
- 〜いかが見ると、〜のたまはせぬほどの(疑問+打消連体)
- 「いかが見ると、一筆のたまはせぬほどの」=「怎麼看,連一筆都不肯說的」。「のたまはす」=最高敬語的「言ふ」;「ほどの」=程度の連体修飾。
- ひがひがしからん人(推量の連体修飾)
- 「ひがひがしからん人」=「恐怕是不率真的人」。「ん」=推量助動詞「む」。
- 〜の仰せらるること、聞き入るべきかは(敬語+反語)
- 「仰せらるること、聞き入るべきかは」=「所說的話,怎能聽得進去呢」。「かは」=反語。
- 返々〜口惜しき御心なり(強調+評価)
- 「返々口惜しき御心なり」=「實在實在令人遺憾的心啊」。「返々」=「重ね重ね」。
- 〜と言ひたりしこそ、をかしかりしか(強調の係結)
- 「言ひたりしこそ、をかしかりしか」=「說了那番話,正是有意趣啊」。こそ+已然形「しか」結句的係結。
- 今は亡き人なれば、〜(理由+愛惜)
- 「今は亡き人なれば、〜忘れがたし」=「因為現在已是故人,連這樣的事都難以忘懷」。
- かばかりのこと(程度の指示)
- 「かばかりのこと」=「就連這樣的事」。
中文翻譯
(古文原文)雪のおもしろう降りたりし朝、人のがり言ふべきことありて、文をやるとて、雪のこと何とも言はざりし返り事に、「この雪いかが見ると、一筆のたまはせぬほどの、ひがひがしからん人の仰せらるること、聞き入るべきかは。返々口惜しき御心なり。」と言ひたりしこそ、をかしかりしか。今は亡き人なれば、かばかりのことも忘れがたし。
【現代語訳】
雪が趣深く降っていた朝、(ある)人のもとへ言うべきことがあって、手紙を送ろうとして、(その手紙で)雪のことは何とも言わなかった(その)返事に、「この雪をどのように見ていますかと、一言もおっしゃらないほどの、ひねくれた人がおっしゃられることを、(どうして)聞き入れることができましょうか(いや、できません)。返す返すも本当に残念なお心です。」と言っていたのは、心がひかれすばらしかった。今は亡くなってしまった人なので、この程度のちょっとしたことでも忘れ難いものだ。
文法・表現
- 〜が〜降っていた朝、〜(連体修飾の事情)
- 「雪が趣深く降っていた朝」=「雪有趣地下著的早晨」。
- 〜のもとへ〜言うべきことがあって(場所+必要)
- 「のもとへ言うべきことがあって」=「到…那裡,因有事要說」。
- 〜なかった(その)返事に、〜(前文+場面)
- 「言わなかった(その)返事に」=「在那封沒提雪的回信中」。
- 〜のような人の言うことは聞けない(反語的拒絕)
- 「ような人の言うことは聞けない」=「這種人說的話聽不下去」。
- 〜返々(重ね重ね)
- 「返々口惜しい」=「實在實在令人遺憾」。
- 今は亡き人だから、〜(理由)
- 「今は亡き人だから」=「因為現在已不在了」。
中文翻譯
(現代語譯)某個雪下得有意趣的早晨,我有事要對某人說,便寄了封信去——信中對雪一字未提。對方的回信中說:「對於今早這場雪『你怎麼看』連一筆都不肯寫的、那麼彆扭之人所說之話,怎麼聽得進去呢。實在實在令人遺憾的心啊。」——他寄來這樣的話,真是別有意趣。如今他已是故人,連這樣的小事都難以忘懷。
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文法・表現
- 〜の〜及び〜を〜禁じます(漢語並列)
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