言語げんご文化ぶんか #13・14

古文こぶん

日々ひび思いおもい随筆ずいひつ

徒然草つれづれぐさ 兼好けんかう法師ほふし奥山おくやまに、ねこまたといふものありて」 【ぜんかい

講師こうし 山本やまもと 章博あきひろ

いち奥山おくやまに、ねこまたといふものありて

学習がくしゅうのねらい

徒然草つれづれぐさ第八十九段だいはちじゅうきゅうだん奥山おくやまに、ねこまたといふものありて」の前半ぜんはん読みますよみます。「ねこまた」をめぐるうわさ信じるしんじる法師ほうし登場とうじょうします。「ねこまた」についてどのようなうわさ広まってひろまっていたのか、それを聞いたきいた法師ほうしはどのように行動こうどうしたのか。その法師ほうし心情しんじょう想像そうぞうしながら読んでよんでいきましょう。

文法・表現

〜の前半を読みます(敬体・現在)
の前半を読みます」=「讀…的前半」。
〜をめぐる〜(連体修飾)
「『猫また』をめぐる噂」=「圍繞『貓又』傳聞」。
〜が登場します(自動詞・現在)
「法師が登場します」=「登場了法師」。
〜についてどのように〜のか、〜(疑問内包の連鎖)
についてどのような噂が広まっていたのかどのように行動したのか」=「關於有什麼樣的傳聞流傳、如何行動」。多重内包疑問

中文翻譯

本回閱讀《徒然草》第八十九段「奥山に、猫またといふものありて」的前半。登場人物是相信「貓又」傳聞的法師。理解關於「貓又」的傳聞是如何流傳的,以及聽到傳聞的法師是如何行動的吧。

学習がくしゅうのポイント●

いちねこまたのうわさ内容ないよう理解するりかいする
前半ぜんはん法師ほうし行動こうどう理解するりかいする
さん法師ほうし心情しんじょう理解するりかいする

文法・表現

〜の〜を理解する(漢語名詞句)
噂の内容を理解する」「行動を理解する」=「理解傳聞內容/行動」。並列定型

中文翻譯

〈一〉理解「貓又」傳聞的內容 〈二〉理解前半法師的行動 〈三〉理解法師的心情

ねこまたのうわさ内容ないよう理解するりかいする

やまおくに「ねこまた」というものがいて、ひと食べてたべてしまうといううわさがありました。さらには、ひと住むすむ近くちかくにも出没しゅつぼつし、それはねことし取ってとって姿すがた変えたかえたものだとはなすひともいました。鎌倉時代かまくらじだい初めはじめ藤原ふじわら定家さだいえ日記にっき中でなかで、「ねこまた」が一夜いちやにしてななはちひと食べてたべてしまい、そのねこのようでからだいぬのようであったというはなし記してしるしています。鎌倉時代かまくらじだいには、「ねこまた」のうわさはかなり広まってひろまっていたようです。

文法・表現

〜という噂がありました(伝聞の存在)
食べてしまうという噂がありました」=「有著吃人的傳聞」。
さらには、〜(追加・強調)
さらには、近くにも出没し」=「更甚者,也出沒於附近」。
〜だとはなす人もいました(伝聞+並列)
「猫が年を取って姿を変えたものだとはなす人もいました」=「也有人說是年老變化的貓」。
〜から、〜と分かります(根拠+帰結)
残していますから、影響力があったと分かります」=「因為留下記載,可知有影響力」。

中文翻譯

在深山中有名為「貓又」之物,會吃人——這樣的傳聞流傳著。也有人說,那也會出沒於人居處附近,是貓上了年紀變化成的。鎌倉時代初期,藤原定家在日記中也記下了「貓又」的傳聞,可知當時這個傳說具有相當廣泛的影響力。

前半ぜんはん法師ほうし行動こうどう理解するりかいする

ひと食うくうという「ねこまた」のうわさ聞いたきいた何阿弥陀仏なにあみだぶつという法師ほうしは、よくよくをつけなければならないと思っておもっていました。ある法師ほうし夜遅くまでよおそくまで連歌れんが夢中むちゅうになってしまい、暗いくらいなか一人ひとりいえ帰るかえることになりました。そしてかわのほとりで、突然とつぜんふと足もとにあしもとに寄ってよって来たきたものがあり、すぐに飛びつかれてとびつかれてくびのあたりを食われそうにくわれそうになりました。

文法・表現

〜という〜の噂を聞いた〜(連体修飾の連鎖)
「人を食うという『猫また』の噂を聞いた法師」=「聽到『吃人』的『貓又』傳聞的法師」。
よくよく気をつけなければならないと思っていました(強調+義務+継続)
よくよく気をつけなければならないと思っていました」=「一直認為必須非常小心」。
〜に夢中になってしまい、〜帰ることになりました(受身+帰結)
夢中になってしまい帰ることになりました」=「沉迷結果不得不回去」。
〜の途中、〜が襲ってきます(場面+動作)
途中、『猫また』が襲ってきます」=「途中,貓又襲擊過來」。

中文翻譯

聽到「會吃人的貓又」這個傳聞,名為「何阿弥陀仏」的法師心想必須非常小心。某日,法師沉迷於連歌直到深夜,獨自一人在黑暗的夜路上回家。途中經過「小川」之處時,傳聞中的「貓又」突然撲了上來——


奥山おくやまに、ねこまたといふものありて

学習がくしゅうのねらい

徒然草つれづれぐさ第八十九段だいはちじゅうきゅうだん奥山おくやまに、ねこまたといふものありて」の後半こうはん読みますよみます。「ねこまた」に襲われたおそわれた思ったおもった法師ほうしはその後どうなったのか。こと真相しんそう理解してりかいしていきます。そして、このはなしから得られるえられる教訓きょうくん考えますかんがえます。また、助動詞じょどうし基本的なきほんてきな働きはたらき学習しますがくしゅうします

文法・表現

〜と思った〜(連体修飾の引用)
「『猫また』に襲われたと思った法師」=「以為被『貓又』襲擊的法師」。
〜どうなったのか(疑問内包)
その後どうなったのか」=「後來怎麼了」。
〜から得られる教訓を考えます(受身+勧誘)
得られる教訓を考えます」=「思考可以從中得到的教訓」。

中文翻譯

本回閱讀《徒然草》第八十九段「奥山に、猫またといふものありて」的後半。被「貓又」襲擊的法師後來怎樣了呢?理解事情的真相吧。然後從這個故事思考其教訓吧。同時也學習助動詞的作用。

学習がくしゅうのポイント●

いち後半こうはん法師ほうし行動こうどう理解するりかいする
こと真相しんそう理解しりかいし、このだん教訓きょうくん考えるかんがえる
さん助動詞じょどうしのはたらきを理解するりかいする

文法・表現

〜の〜を理解する〈、〜を考える〉(並列)
真相を理解し教訓を考える」=「理解真相思考教訓」。
〜のはたらきを理解する(漢語熟語)
はたらき」=「作用、機能」。

中文翻譯

〈一〉理解後半法師的行動 〈二〉理解事情真相,思考此段教訓 〈三〉理解助動詞的作用

重要語句じゅうようごく

法師ほうし心情しんじょう理解するりかいする

何阿弥陀仏なにあみだぶつという法師ほうしは、「ねこまた」のうわさ聞いてきいて疑ううたがうことはなかったようです。夜中よなか一人ひとりいえ帰るかえることになってしまった時はときは怖くてこわくてしかたなかったのでしょう。何かになにかに襲われたおそわれた時にはときには暗くてくらくてその姿すがた見ていないみていないにもかかわらず、「ねこまた」に襲われたおそわれた信じてしんじて疑わなかったうたがわなかったのです。法師ほうし立場たちばになって、このとき風景ふうけい気持ちきもちをいろいろ想像してそうぞうして楽しんでたのしんでみましょう。

文法・表現

〜を疑うことはなかったようです(否定の経験+推量)
疑うことはなかったようです」=「似乎沒有懷疑」。「~ことはない」=未経験/否定。
〜することになってしまった時(受身的帰結)
帰ることになってしまった時」=「結果不得不回去的時候」。
〜でしかたなかったのでしょう(推量)
「怖くてしかたなかったのでしょう」=「大概是怕得受不了吧」。
〜にちがいないと思い込み、〜(強い断定+誤認)
『猫また』にちがいないと思い込み」=「認定一定是貓又」。「思い込む」=主觀斷定,含誤判語意。

中文翻譯

名為「何阿弥陀仏」的法師,似乎完全沒有懷疑「貓又」的傳聞。在不得不深夜獨自回家的狀況下,一定怕得不得了吧。被什麼襲擊時,因為昏暗看不清對方的樣子,便認定「這就是『貓又』」——這就是法師當下的狀況。

後半こうはん法師ほうし行動こうどう理解するりかいする

ねこまた」に襲われたおそわれた思ったおもった法師ほうしは、正気しょうき失ってうしなってかわ転げ落ちころげおち助けたすけ求めますもとめます。そのこえ聞いたきいた近所のきんじょの人がひとが出てきてでてきて助け出したすけだし法師ほうしははいつくばりながら、やっとのことでいえ帰り着きますかえりつきます

文法・表現

〜と思った〜(連体修飾の引用)
襲われたと思った法師」=「以為被襲擊的法師」。
正気を失って〜(連用)
正気を失って、川に転げ落ち」=「失神跌落川中」。
助けを求めます(敬体・受身)
助けを求めます」=「求救」。
はいつくばりながら、やっとのことで〜(並行+苦難)
はいつくばりながらやっとのことで家に帰り着きます」=「一邊爬著好不容易回到家」。

中文翻譯

以為被「貓又」襲擊的法師失了神,跌落川中呼救。附近的人聽到聲音出來救助,法師爬著爬著、好不容易才回到家。

こと真相しんそう理解しりかいし、このだん教訓きょうくん考えるかんがえる

実はじつは、「ねこまた」ではなく、法師ほうし飼っていたかっていたいぬが、主人しゅじん帰りかえり喜びよろこび飛びついたとびついたのでした。これがこと真相しんそうでした。法師ほうしは「ねこまた」のうわさ疑ううたがうことなく固くかたく信じたしんじたので、このような大変なたいへんな目に遭ってめにあってしまいました。噂話うわさばなしは、このように人を惑わすひとをまどわすものです。私たちわたしたち日常のにちじょうの中でなかで噂話うわさばなしにどのように向き合ってむきあっているでしょうか。振り返ってふりかえってみましょう。

文法・表現

実は、〜ではなく、〜のでした(事実+対比)
実は、『猫また』ではなく、犬が〜のでした」=「其實不是『貓又』,而是狗…」。
〜飛びついたのでした(過去・既知)
飛びついたのでした」=「原來是撲了上來」。真相判明の語感
〜を疑うことなく固く信じたので、〜目に遭ってしまいました(理由+帰結)
疑うことなく固く信じたので大変な目に遭ってしまいました」=「因為毫不懷疑、深信不疑結果落到狼狽下場」。
〜に対しては〜なければならないということを伝えている(義務+伝達)
に対しては慎重でなければならないということを伝えている」=「傳達了對…必須慎重」。

中文翻譯

其實襲擊他的並不是「貓又」,而是法師自己飼養的狗,因為主人回家高興而撲了上來。這就是事情的真相。法師對「貓又」的傳聞毫不懷疑、深信不疑,因此落到如此狼狽之境。我們在面對傳聞時必須謹慎——可以說此段在傳達這樣的教訓。

助動詞じょどうしのはたらきを理解するりかいする

助動詞じょどうしは、主におもに動詞どうし下にしたに付きつき、さまざまな意味いみ付け加えますつけくわえます

文法・表現

〜は、〜に付き、〜を付け加えます(並列の動作)
「助動詞、〜に付き、〜を付け加えます」=「於…、加上…」。
主に〜(限定副詞)
主に動詞の下に付く」=「主要附在動詞之下」。
さまざまな〜(連体修飾)
さまざまな意味」=「各種意義」。

中文翻譯

◎助動詞主要附在動詞之下,加上各種意義。

れい】 「遊びに行くあそびにいく

過去のかこの出来事できごととして表現するひょうげんする
現代文げんだいぶん: 「遊びに行ったあそびにいった
古文こぶん: 「遊びに行きけりあそびにいきけり」 → 過去のかこの助動詞じょどうし「けり」

文法・表現

〜として表現する(漢語格助詞)
「過去の出来事として表現する」=「作為過去事件來表達」。
古文「けり」(過去・伝聞)
けり」=表過去・伝聞。「~た」的古文版。

中文翻譯

●表達「過去事件」: 現代文:「遊びに行った(去玩了)」 古文:「遊びに行きけり」→過去助動詞「けり」

否定ひてい打ち消しうちけし)のぶんにする
現代文げんだいぶん: 「遊びに行かないあそびにいかない
古文こぶん: 「遊びに行かずあそびにいかず」 → 打ち消しのうちけしの助動詞じょどうし「ず」

文法・表現

否定(打ち消し)の文にする(漢語+動詞)
否定の文にする」=「變成否定句」。
古文「ず」(打消の助動詞)
」=打消助動詞,現代「~ない」。

中文翻譯

●做否定句: 現代文:「遊びに行かない(不去玩)」 古文:「遊びに行かず」→打消助動詞「ず」

助動詞じょどうしは、動詞どうし形容詞けいようし同じようにおなじように活用しますかつようします
れい過去のかこの助動詞じょどうし「けり」が活用してかつようして「ける」となったれい

文法・表現

〜と同じように〜(比較)
「動詞や形容詞と同じように活用します」=「和動詞、形容詞一樣活用」。
〜が活用して〜となった例(連用+帰結)
「『けり』が活用して『ける』となった例」=「『けり』活用變為『ける』的例」。

中文翻譯

◎助動詞和動詞、形容詞一樣會活用。【例】過去助動詞「けり」活用為「ける」之例:


第八十九段だいはちじゅうきゅうだん本文ほんぶん

奥山おくやまに、ねこまたといふものありて、ひと食らふくらふなる。」と人のひとの言ひいひけるに、「やまならねども、これらにも、ねこがりて、ねこまたになりて、人とるひととることはあなるものを。」と言ふいふものありけるを、何阿弥陀仏なにあみだぶつとかや、連歌れんがしける法師ほうしの、行願寺ぎやうぐわんじへんにありけるが聞きてききて、ひとりありかん身はみはこころすべきことにこそと思ひおもひけるころしも、あるところにて更くるふくるまで連歌れんがして、ただひとり帰りかへりけるに、小川こがははたにて、音に聞きおとにききねこまた、あやまたず足もとあしもとへふと寄り来よりきて、やがてかきつくままに、くびのほどを食はんとすくはんとす
肝心きもこころ失せてうせて防がんふせがんとするにちからもなく、あし立たずたたず小川こがは転び入りころびいりて、「助けよやたすけよやねこまたよや、ねこまたよや。」と叫べばさけべば家々いへいへより、まつどもともして走り寄りはしりより見ればみれば、このわたりに見知れるみしれるそうなり。「こはいかに。」とて、川のかはの中よりなかより抱き起こしいだきおこしたれば、連歌のれんがのもの取りてとりてあふぎ小箱こばこなど、懐にふところに持ちたりもちたりけるも、水にみずに入りぬいりぬ稀有けうにして助かりたすかりたるさまにて、這ふ這ふはふはふいへ入りにけりいりにけり
飼ひかひける犬のいぬの暗けれどくらけれど主をぬしを知りてしりて飛びつきとびつきたりけるとぞ。

文法・表現

〜なる(伝聞の助動詞)
「人を食らふなる」=「據說會吃人」。終止形接続的伝聞
〜と人の言ひける(伝言)
と人の言ひける」=「有人說」。「ける」=過去連體形(後續省略「に」)。
〜ならねども、〜(譲歩)
「山ならねども」=「就算不是山」。「ねども」=「ず」已然形+「ども」。
〜こそと思ひける(係結+過去)
「心すべきことにこそ思ひける」=「正想必須注意」。こそ+已然形係結(這裡連結到後續被省略)。
〜けるころしも、〜(時間+強調)
けるころしも」=「正當…的時候」。しも=強調的副助詞。
〜まで〜して、ただひとり〜(程度+孤獨)
「夜更くるまで連歌してただひとり帰りける」=「到夜深連歌、獨自歸去」。
あやまたず〜寄り来て(連用+方向)
あやまたず足下へふと寄り来て」=「不偏不倚突然靠近腳下」。
〜ままに、〜とす(連体+意志)
「かきつくままに、頸のほどを食はんとす」=「抱住的同時咬其頸」。「む(ん)とす」=即將、意圖。
肝心も失せて、〜防がんとするに(連用+逆接)
肝心も失せて、防がんとするに」=「連神智都失了欲防而…」。
〜よや、〜よやよや(呼びかけ)
助けよや、猫また、よやよや」=「救命啊、貓又、救命啊救命啊」。「よや」=感嘆/呼びかけ
〜こはいかに(驚きの慣用)
こはいかに」=「這是怎麼回事」。「こ」=「これは」的縮約。
〜たれば、〜(已然形+ば確定條件)
「抱き起こしたれば」=「抱起後」。
水に入りぬ(完了)
水に入りぬ」=「掉進水裡了」。「」=完了助動詞。
希有にして〜さまにて、はふはふ〜(漢語+擬態語)
希有にして助かりたるさまにてはふはふ家に入りにけり」=「難得保住性命,爬著進了家」。
〜とぞ(伝聞の係結省略)
「飛び付きたりけるとぞ」=「據說是撲上來的」。「とぞ」=引用+強調,省略下接「言ふ」。

中文翻譯

「奥山に、猫またといふものありて、人を食らふなる。」と人の言ひけるに、「山ならねども、これらにも、猫の経上がりて、猫またになりて、人とることはあなるものを。」と言ふ者ありけるを、何阿弥陀仏とかや、連歌しける法師の、行願寺の辺にありけるが、聞きて、ひとり歩かん身は心すべきことにこそと思ひけるころしも、ある所にて夜更くるまで連歌して、ただひとり帰りけるに、小川のはたにて、音に聞きし猫また、あやまたず足下へふと寄り来て、やがてかきつくままに、頸のほどを食はんとす。肝心も失せて、防がんとするに、力もなく、足も立たず、小川へ転び入りて、「助けよや、猫また、よやよや。」と叫べば、家々より、松どもともして走り寄りて見れば、このわたりに見知れる僧なり。「こはいかに。」とて、川の中より抱き起こしたれば、連歌の賭物取りて、扇・小箱など懐に持ちたりけるも、水に入りぬ。希有にして助かりたるさまにて、はふはふ家に入りにけり。飼ひける犬の、暗けれど、主を知りて、飛び付きたりけるとぞ。

現代語訳げんだいごやく

山のやまの奥におくにねこまたというものがいて、人を食うひとをくうそうだ。」と(ある)人がひとが言ったいったところ、(別のべつの人がひとが)「山でやまでなくても、このあたりでも、猫がねこが年をとしを取ってとって姿をすがたを変えてかえてねこまたになって、人を捕らえるひとをとらえることはあるそうだよ。」と言ういう者がものがいたのを、何阿弥陀仏なにあみだぶつとかいう、連歌をれんがをたしなんでいた法師でほうしで行願寺のぎょうがんじのあたりに住んでいたすんでいた法師がほうしが(それを)聞いてきいて、「一人でひとりで歩き回るあるきまわるような者はものは気をつけなければならないきをつけなければならないことだ」と思っていたおもっていた折しもおりしも、ある場所でばしょで夜がよが更けるまでふけるまで連歌をれんがをして、たった一人でひとりで帰ったかえったが、小川のこがわのほとりで、噂に聞いたうわさにきいたねこまたが、間違いなくまちがいなく足元へあしもとへふと寄ってきてよってきて、すぐに飛びついたままとびついたまま首のくびのあたりを食おうとするくおうとする
正気をしょうきを失ってうしなって防ごうとふせごうとするにも力もちからもなく、足もあしも立たずたたず小川にこがわに転げ落ちてころげおちて、「助けてくれたすけてくれねこまただよ、ねこまただよ」と(法師がほうしが叫ぶのでさけぶので家々からいへいへから、(人々がひとびとが松明をたいまつをともして走り寄ってはしりよって見るとみると、このあたりで顔をかおを見知っているみしっている僧であるそうである。「これはどうしたことか」と言っていって川のかわの中よりなかより抱き起こしたところいだきおこしたところ連歌のれんがの賞品をしょうひんを獲得してかくとくしておうぎ小箱こばこなど、懐にふところに持っていたもっていたものも、水にみずに浸かってしまったつかってしまった。やっとのことで奇跡的にきせきてきに助かったたすかったという格好でかっこうで、はいつくばりながら家にいえに入ったはいった
法師のほうしの飼っていたかっていた犬がいぬが暗いけれどもくらいけれども主人だとしゅじんだと分かってわかって飛びついたのだったとびついたのだったということだ。

文法・表現

〜そうだ(伝聞)
「食うそうだ」=「據說吃」。古文「なる」→現代「そうだ」
〜なくても〜あるそうだよ(譲歩+伝聞)
山でなくても、〜あるそうだよ」=「就算不是山也有」。
〜と(ある)人が言ったところ、〜(時間順)
と人が言ったところ」=「某人說了之後」。
〜ようとした(意図・寸前)
「咬もうとした」=「正要咬」。古文「~む(ん)とす」=現代「~ようとする」。
〜たけれど、〜(逆接の連用)
「防ごうとしたけれど、力がなく」=「想防卻無力」。
〜とぞ(伝聞の現代語化)
~だったということだ」=現代語的伝聞結束。

中文翻譯

「山的深處有種叫做『貓又』之物,據說會吃人。」當有人這樣說時,(另一人)說:「就算不是山,這一帶也有貓上了年紀變化成『貓又』、會抓走人的事呢。」這話被一位名叫「何阿弥陀仏」、住在行願寺附近、作連歌的法師聽到了。他想:「獨自走路之身,必須小心啊。」恰好那時候,在某處連歌到深夜,他只一個人往家走。在小川旁邊,傳聞中的「貓又」絲毫不差地撲到他腳邊,立刻抱住他,似要咬他頸部一帶。 他連神智都失了,欲防禦卻無力,腳也站不住,跌進小川中喊:「救命啊,貓又啊,啊啊!」附近各家便舉著松明跑來看,原來是這一帶相熟的僧人。「這是怎麼了?」說著從川中把他抱起來。他在連歌中贏得的賭物——扇、小箱等,本來掖在懷裡,全都掉進水裡了。是好不容易撿回一條命的樣子,連爬帶滾地進了家門。據說,原來是他自己飼養的狗,雖然黑暗中也認出主人,便撲了上來。

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文法・表現

〜の〜及び〜を〜禁じます(漢語並列)
無断転載及び商用利用固く禁じます」——「及び」=書面並列;「固く」=強調副詞。

中文翻譯

嚴禁未經授權轉載及商用本頁文件、圖像。