言語げんご文化ぶんか #12

古文こぶん

日々ひび思いおもい随筆ずいひつ

徒然草つれづれぐさ 兼好けんかう法師ほふし亀山殿かめやまどの御池みいけに」

講師こうし 山本やまもと 章博あきひろ

学習がくしゅうのねらい

今回こんかいから『徒然草つれづれぐさ』を読んでよんでいきます。『徒然草つれづれぐさ』は、いつだれが書いたかいたものなのでしょうか。まずは、作品さくひん基礎きそ知識ちしき学びますまなびます次につぎに、「亀山殿かめやまどの御池みいけに」というだん読みますよみます水車みずぐるまをめぐる簡単なかんたんな話しはなしですが、それを理解りかいして、どのような教訓きょうくん読み取るよみとることができるのか、考えてかんがえてみましょう。

文法・表現

〜から〜ていきます(開始+継続)
「今回から『徒然草』を読んでいきます」=「從本回起開始持續讀」。動作の進行を未来に向ける
〜のでしょうか(推量の疑問)
「いつだれが書いたのでしょうか」=「是何時何人寫的呢」。
まずは〜、次に〜(順序の副詞)
まずは基礎知識を学びます。次に段を読みます」=「首先學基礎,接下來讀段落」。
〜をめぐる〜(関連の連体修飾)
「水車をめぐるお話し」=「圍繞水車的故事」。
〜について考えさせられる〜(使役受身による思考誘導)
「『適材適所』について考えさせられる内容」=「引人思考『適才適所』的內容」。使役受身
〜ながら、〜(並行)
「読みながら、教訓を考えてみましょう」=「邊讀邊思考教訓」。

中文翻譯

本回開始閱讀《徒然草》。《徒然草》是何時、由何人所寫的呢?首先學習作品的基礎知識。接著閱讀「亀山殿の御池に」這一段。雖然是圍繞水車的小故事,但其中蘊含著讓人思考「適材適所」的內容。讓我們一邊閱讀,一邊思考其教訓吧。

学習がくしゅうのポイント●

いち〉『徒然草つれづれぐさ』について知るしる
二つふたつ水車みずぐるま違いちがい理解するりかいする
さん〉このだん教訓きょうくん考えるかんがえる

文法・表現

〜について知る(漢語+格助詞)
「『徒然草』について知る」=「了解《徒然草》」。「~について」=關於。
〜の違いを理解する(漢語名詞句)
「水車の違いを理解する」=「理解差別」。
〜の教訓を考える(漢語+動詞)
「この段の教訓を考える」=「思考教訓」。

中文翻譯

〈一〉了解關於《徒然草》 〈二〉理解兩個水車的差別 〈三〉思考此段的教訓

■『徒然草つれづれぐさ』について知るしる

徒然草つれづれぐさ』の基礎きそ知識ちしき
鎌倉時代末期かまくらじだいまっき成立せいりつ
作者さくしゃは、兼好けんこう法師ほうし俗名ぞくみょう出家前しゅっけまえ名前なまえ)は、卜部うらべ兼好かねよし
随筆ずいひつ全二百四十三段ぜんにひゃくよんじゅうさんだんから成るなる

文法・表現

〜の成立(漢語名詞)
「鎌倉時代末期の成立」=「成立於鎌倉時代末期」。
〜は〜である(断定)
「作者兼好法師である」=「作者是兼好法師」。
〜から成る(構成)
「全二百四十三段から成る」=「全二百四十三段構成」。

中文翻譯

《徒然草》的基礎知識: ●成立於鎌倉時代末期。 ●作者為兼好法師。俗名(出家前的名字)為卜部兼好。 ●隨筆。全書共二百四十三段。

序段じょだん

「つれづれなるままに、日暮らしひぐらしすずりにむかひて、こころにうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくればかきつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。」

文法・表現

つれづれなるままに(形容動詞ナリ活用+ままに)
つれづれなるままに」=「在無聊閒散的狀態下」。「つれづれなり」=ナリ活用形容動詞「無聊・寂寥」;「ままに」=「順其自然」。
日暮らし(副詞)
日暮らし」=「整日」。
〜にむかひて、〜(連用+順接)
「硯にむかひて」=「對著硯臺」。
そこはかとなく(副詞)
そこはかとなく」=「沒個來由地、漫無頭緒地」。
〜書きつくれば、〜こそ〜けれ(已然形+係結)
「書きつくれ、あやしうこそものぐるほしけれ」=「寫了之後竟莫名地像著了魔似的」。已然形+ば=確定条件、こそ〜けれ=強調係結(已然形結句)
ものぐるほし(形容詞)
ものぐるほし」=「像著了魔、心神不寧」。

中文翻譯

(《徒然草》序段)「つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。」

現代語訳げんだいごやく

退屈なたいくつなまま、一日中いちにちじゅうすずり向かってむかってこころ浮かんではうかんでは消えていくきえていくたわいもないことを、なんとなく書いているとかいていると不思議ふしぎ変にへんになりそうだ。

文法・表現

〜なまま、〜(状態の継続)
「退屈なまま」=「就那樣閒著」。
〜では消えていく〜(複合動詞+反復)
「浮かんでは消えていく」=「浮起又消失」。
たわいもないこと(口語的形容)
たわいもないこと」=「無謂的事」。
なんとなく(副詞)
なんとなく」=「不知為何」。
〜と、〜そうだ(条件+様態)
「書いていると、変になりそうだ」=「寫著寫著感覺要變得奇怪」。

中文翻譯

(《徒然草》序段現代語譯)「就這麼閒著無聊,整日對著硯臺,把心中浮起又消失的無謂之事,沒個條理地寫下來,竟莫名地像要變得心神不寧似的。」

二つふたつ水車みずぐるま違いちがい理解するりかいする

後嵯峨ごさが上皇じょうこうは、亀山殿かめやまどの呼ばれたよばれた御所ごしょいけ大井川おおいがわみず引き入れようひきいれようとして、水車みずぐるま造らせるつくらせることになりました。大井おおい住民じゅうみん造らせたつくらせたところ、おかね時間じかんをかけたのにもかかわらず、出来上がったできあがった水車みずぐるまはまったく回りませんでしたまわりませんでした。あれこれ修理しゅうりしても直らずなおらず、そのまま放置ほうちされることになりました。そこで、宇治うじ里人さとびと造らせたつくらせたところ、いとも簡単にかんたんに造ってつくって水車みずぐるま見事にみごとに回りましたまわりました大井おおいひと水車造りみずぐるまつくり失敗しっぱいし、宇治うじひと成功せいこうしました。これがこのだん内容ないようです。

文法・表現

〜は、〜ようとして、〜を造らせることになりました(意志+使役+帰結)
大井川の水を引き入れようとして水車を造らせることになりました」=「因為打算引入大井川的水結果命人造水車」。「~ようとする」=試圖;「~させる」=使役;「~ことになる」=客觀帰結。
〜と呼ばれた〜(受身連体修飾)
「亀山殿と呼ばれた御所」=「被稱為『亀山殿』御所」。
〜にもかかわらず、〜(譲歩)
「お金と時間をかけたにもかかわらず、〜回りませんでした」=「儘管花了錢和時間,卻不轉」。
〜とのことです(伝聞)
とのことです」=「據說」。
どのようなメッセージを伝えようとしているのか(疑問内包)
どのようなメッセージを伝えようとしているのか」=「想傳達什麼樣的訊息呢」。

中文翻譯

後嵯峨上皇為了將大井川的水引入被稱為「亀山殿」的御所之池中,命人造水車。命大井川的住民造,雖然花了金錢與時間造出,但完全不轉。其後,召集了水車有名的宇治的里人來造,據說輕鬆就造出了「能好好轉動的水車」。讀完此話後,請思考以下問題:「為什麼宇治的里人能如此輕易地造出水車呢?兼好法師想透過此話傳達怎樣的訊息呢?」

重要語句じゅうようごく

いたづらなり形容動詞けいようどうし) …… 役に立たないやくにたたない無駄であるむだである
めでたし形容詞けいようし) …………… 見事だみごとだ素晴らしいすばらしい

文法・表現

〜なり(古典形容動詞ナリ活用終止形)
いたづらなり」=「沒用」。ナリ活用形容動詞,現代「いたずらな」=「無謂的・徒然」。
〜し(古典形容詞シク活用終止形)
めでたし」=「很棒」。古今異義語:古文「めでたし」=「值得讚美的」,與現代「めでたい(喜慶)」意義略有不同。

中文翻譯

●いたづらなり(形容動詞)……沒用、徒勞無功 ●めでたし(形容詞)………出色、了不起

■このだん教訓きょうくん考えるかんがえる

なぜ宇治うじ里人さとびとは、いとも簡単にかんたんに水車みずぐるま造るつくることができたのでしょうか。宇治うじには宇治川うじがわ流れていてながれていて水車みずぐるま多いおおいところとして有名ゆうめいでした。つまり、宇治うじ人々ひとびとは、水車みずぐるま造るつくることに熟達じゅくたつしていたのです。
兼好けんこう法師ほうしは、このだん最後にさいごに、「何ごとなにごとにつけても、その専門せんもん熟達じゅくたつしている者はものは、たいしたものである。」と言っていますいっています。どんな分野ぶんやであっても、専門的なせんもんてきな熟達したじゅくたつした知識ちしき技術ぎじゅつは、素晴らしいすばらしいものであり、広くひろくひと役に立ちますやくにたちます専門的なせんもんてきな熟達したじゅくたつした技術ぎじゅつ身に付けるみにつけることの素晴らしさすばらしさ教えてくれるおしえてくれるだんです。

文法・表現

いとも簡単に(強調副詞+形容動詞連用)
いとも簡単に」=「輕而易舉地」。
〜が流れていて、〜として有名でした(並列+評価)
「宇治川が流れていて、〜として有名でした」=「有宇治川流經以…而聞名」。
つまり、〜のです(強調・要約)
つまり、〜熟達していたのです」=「也就是說熟練於…」。
〜のではなく〜、〜(対比的否定+肯定)
「大井のではなく、宇治のです」=「不是大井,而是宇治」。
〜ということを伝えています(伝達)
ということを伝えています」=「傳達了…的道理」。
「適材適所」(成語)
適材適所」=「用人於其所長」。

中文翻譯

為什麼宇治的里人能如此輕易地造出水車呢?宇治有宇治川流過,作為「水車眾多」之地而聞名。也就是說,宇治的人們熟練於造水車。兼好法師透過此段,傳達了「能造水車的不是大井的人,而是宇治的人」——也就是「並非任何人都可以,能勝任這份工作的是擅長此事的人」。換言之,本段傳達了所謂「適材適所」之事。

重要語句じゅうようごく

やんごとなし形容詞けいようし) ……… 捨ててすてておくことができない。たいしたものだ。貴重だきちょうだ

文法・表現

やんごとなし(古典形容詞)
やんごとなし」=「不能擱置/高貴・了不起」。由「やむ事なし(沒法停止)」轉成「值得敬重」之意。
捨てておくことができない(複合動詞+不可能)
捨てておく」=「放著不管」;「ことができない」=「不能」。

中文翻譯

●やんごとなし(形容詞)………無法輕忽、了不起、貴重


第五十一段だいごじゅういちだん本文ほんぶん

亀山殿かめやまどの御池みいけに、大井川おほゐがはみづをまかせられんとて、大井おほゐ土民どみん仰せおほせて、水車みづぐるま造らせつくらせられけり。多くおほくあし賜ひたまひて、数日すじつ営みいとなみ出だしいだして、掛けかけたりけるに、おほかた廻らめぐらざりければ、とかく直しなほしけれども、つひに回らめぐらで、いたづらに立てりたてりけり。
さて、宇治うぢ里人さとびと召しめして、こしらへさせられければ、やすらかに結ひゆひ参らせまゐらせたりけるが、思ふやうにおもふやうに廻りめぐりて、みづ汲み入るるくみいるること、めでたかりけり。
よろづに、そのみち知れるしれる者はものは、やんごとなきものなり。

文法・表現

〜まかせられんとて(最高敬語+意志+目的)
まかせられんとて」=「欲使(水)流入」。「られ」=尊敬助動詞;「」=意志;「とて」=目的。整體為意志+目的
〜に仰せて、〜造らせられけり(敬語の使役)
「土民に仰せて造らせられけり」=「命令土民水車」。「仰す」=尊敬語的「命令」;「させらる」=雙重敬語+使役。
〜賜ひて(謙譲の補助動詞)
「銭を賜ひて」=「賜下金銭」。「賜ふ」=尊敬の補助動詞(這裡指上皇對土民施恩,所以是尊敬)。
〜たりけるに(完了+過去+逆接の時間)
「掛けたりけるに」=「掛上了…」。「たり」=完了;「ける」=過去連體;「」=逆接の時間。
おほかた〜ざりければ(副詞+打消+確定條件)
おほかた廻らざりければ」=「幾乎不轉,所以」。「ざり」=打消連用;「ければ」=確定條件。
とかく〜けれども(並列副詞+逆接)
とかく直しけれども」=「怎麼修理…」。「けれども」=逆接接續助詞。
つひに〜で(最終的+打消連用)
つひに回ら」=「最終仍不轉」。「」=「ずして」的縮約,打消連用。
いたづらに〜(無駄の状態)
いたづらに立てりけり」=「白白地立著」。
〜召して、〜させられければ(敬語使役+確定條件)
「里人を召して、こしらへさせられければ」=「召集里人、命他們造,於是…」。召す=尊敬召集;させらる=雙重敬語+使役。
やすらかに(副詞)
やすらかに」=「輕易地・容易地」。
まゐらせたりける(謙譲の補助動詞)
「結ひてまゐらせたりける」=「造好獻上」。まゐらす=謙譲補助動詞,對上皇敬意。
〜思ふやうに〜(順調)
思ふやうに廻りて」=「如願地運轉」。
〜は、やんごとなきものなり(評語)
「その道を知れる者は、やんごとなきものなり」=「精通其道之人是了不起的人」。話末評語的定型。

中文翻譯

(古文原文)亀山殿の御池に、大井川の水をまかせられんとて、大井の土民に仰せて、水車を造らせられけり。多くの銭を賜ひて、数日に営み出だして、掛けたりけるに、おほかた廻らざりければ、とかく直しけれども、つひに回らで、いたづらに立てりけり。さて、宇治の里人を召して、こしらへさせられければ、やすらかに結ひてまゐらせたりけるが、思ふやうに廻りて、水を汲み入るること、めでたかりけり。万に、その道を知れる者は、やんごとなきものなり。

現代語訳げんだいごやく

後嵯峨ごさが上皇じょうこうは)亀山かめやま御所ごしょのおいけに、大井川おおいがわみず引き入れひきいれなさろうとして、大井川おおいがわ沿いぞい住民じゅうみんにお命じめいじになって、水車みずぐるまをお造らせつくらせになった。多くのおおくの金銭きんせんをお与えあたえになって、数日間すうじつかんをかけて造り上げつくりあげて、取り付けたとりつけたところ、まったく回らなまわらなかったので、あれこれ修理しゅうりしてみたけれども、結局けっきょく回らないまわらないで、(水車みずぐるまは)何のなんの役にも立たずにやくにたたずに立っていたたっていた
そこで、宇治うじさと人々ひとびとをお呼びよびになって、お造らせつくらせになったところ、やすやすと組み立ててくみたてて上皇じょうこうに)差し上げたさしあげたが、思いのままにおもいのままに回ってまわって水を汲み入れるみずをくみいれることが、見事であったみごとであった
何ごとなにごとにつけても、その専門せんもん熟達じゅくたつしている者はものは、たいしたものである。

文法・表現

〜引き入れなさろうとして(敬語+意志)
引き入れなさろうとして」=「想要引入」。「なさる」=尊敬語「する」+意志助動詞「」。
〜にお命じになって(最高敬語)
「土民にお命じになって」=「土民下令」。「お~になる」=尊敬語の構造。
〜お与えになって、〜お造らせになった(敬語の連鎖)
お与えになってお造らせになった」=「賜予命令造」。
〜にもかかわらず、〜なかった(譲歩+打消)
「金銭をお与えになったのにもかかわらず、回らなかった」=「儘管賜了錢,仍不轉」。
〜やすらかに〜献上したところ、〜(連用+帰結)
やすらかに結って献上したところ、〜運転して」=「輕鬆地造好獻上後運轉了」。

中文翻譯

(後嵯峨上皇)打算將大井川的水引入亀山御所的池中,因而命大井川的住民造水車。賜下大量金錢,花費數日造出,掛上之後,大致上卻不轉,怎樣修理也終究不轉,徒然地立在那裡。 於是,召集宇治的里人,命他們造,他們輕易地造好獻上,水車如所願地運轉,將水汲入——真是了不起。 凡事,精通其道之人,是了不起的人啊。

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文法・表現

〜の〜及び〜を〜禁じます(漢語・並列)
無断転載及び商用利用固く禁じます」——「及び」=並列接続詞;「固く」=強調副詞。

中文翻譯

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