p.222 近代詩の流れ 新体詩/浪漫詩/象徴詩/口語自由詩
新体詩
明治15年(1882)、外山正一・矢田部良吉・井上哲次郎の3人が『新体詩抄』を刊行し、西洋詩の形式を取り入れた近代詩の出発点となった。漢詩・和歌・俳句に代わる、伝統的詩歌の枠を超えた新しい詩の形式を提唱。森鷗外『於母影』(1889)の翻訳詩も、その後の浪漫詩・象徴詩の出発点となった。
浪漫詩
明治30年代、新詩社『明星』を中心に、与謝野鉄幹・与謝野晶子・北原白秋ら浪漫詩人が登場した。北村透谷『楚囚之詩』『蓬莱曲』(1891)、島崎藤村『若菜集』(1897)『一葉舟』『夏草』『落梅集』、土井晩翠『天地有情』(1899)など、自由・恋愛・自然を讃える浪漫詩が花開いた。
象徴詩
明治末期、フランス象徴詩派(ボードレール・ヴェルレーヌ・マラルメ等)の影響を受け、象徴的・暗示的な表現を追求する象徴詩が登場。上田敏『海潮音』(1905)の名訳が起爆剤となり、薄田泣菫・蒲原有明・三木露風・北原白秋らが続いた。日本の象徴詩は、内面の幽妙な世界を音楽的・色彩的なイメージで表現する。
口語自由詩
明治末期から大正初期にかけて、文語の枠を破り、口語のリズムで自由に詠む口語自由詩運動が起こった。川路柳虹『塵塚』(1910頃の口語詩)、相馬御風、福士幸次郎、人見東明、若山牧水らが先駆。萩原朔太郎『月に吠える』(1917)、室生犀星『愛の詩集』『抒情小曲集』(1918)、高村光太郎『道程』(1914)、千家元麿『自分は見た』など。口語自由詩は近代詩の主流となった。
近代詩の特色
近代詩は、伝統的な詩歌(漢詩・和歌・俳句)の制約を超えて、自我の表現、社会の批評、自然の感受、宗教的探究など、近代的精神を多様な形で表現する。萩原朔太郎の幻想的詩語、高村光太郎の人道主義、北原白秋の感覚的言語、三好達治・宮沢賢治・中原中也らの個性的世界は、近代詩の到達点を示す。