p.90 『古事記』
先生たちの神話の世界(奈良時代以前)
古事記とは
和銅5年(712)成立。日本最古の歴史書。天武天皇の発意により、稗田阿礼が誦習した「帝紀」と「旧辞」を、太安万侶が筆録・編纂したと序に記される。神代から推古天皇までの3巻からなる。
編者・成立
太安万侶(おおのやすまろ)が、稗田阿礼の誦習を筆録した。元明天皇への上奏文(序)は太安万侶の漢文。本文は変則漢文体(漢字の音と訓を併用し、日本語的に読める工夫)。3巻で「神代→中世天皇→中世末期天皇」を扱う。
構成・内容
- 上巻 ── 天地の創造、神々の誕生、伊弉諾・伊弉冉の国生み・神生み、天照大神の天石屋戸隠れ、須佐之男の八岐大蛇退治、大国主神の国譲り、天孫降臨、海幸山幸の神話など。
- 中巻 ── 初代神武天皇から第15代応神天皇まで。天皇の系譜と業績、英雄譚(倭建命、神功皇后)。
- 下巻 ── 第16代仁徳天皇から第33代推古天皇まで。古代史の続き。
文体上の特色
正史『日本書紀』が純粋な漢文体なのに対し、『古事記』は日本語の発音や歌謡をも忠実に伝えようとした変則漢文体・万葉仮名併用。「日本古来のことば」を文字に写すという意識的な試み。歌謡は完全な万葉仮名で記される。
名文・名句
倭建命にふりかかる悲劇
倭建命は東国征伐の途中、伊吹山の神に呪われて病に倒れ、能煩野(のぼの)で息絶える。死後、白鳥となって飛び去ったという。神武天皇の二代前から続く悲劇の英雄譚。