中国の文学は遣隋使・遣唐使の派遣を通じて日本に伝来し、日本古典文学の発展に大きな影響を与えた。漢詩文の素養が、平安以後の物語や日記、近世の俳句・連歌に色濃く反映されている。
白居易(白楽天 772-846)の詩文集。平安時代の貴族の必読書となり、紫式部の『源氏物語』には『長恨歌』『琵琶行』など白居易の詩が多数引用されている。清少納言の『枕草子』にも白居易の詩への言及がある。
松尾芭蕉の『奥の細道』には、李白・杜甫など唐詩の影響が色濃く見られる。芭蕉自身、唐詩を深く学んでいたと言われ、漢文学への敬愛を示す表現が随所に見られる。
正岡子規(1867-1902)は、近代俳句の創始者で、写生主義を主張した。漢詩の素養を持ちつつ、和歌・俳句の革新を行った。「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」の句で有名。
床前看月光、疑是地上霜。挙頭望山月、低頭思故郷。
床前(しょうぜん) 月光(げっこう)を看(み)る、疑(うたが)うらくは是(これ) 地上(ちじょう)の霜(しも)かと。頭(かしら)を挙(あ)げて山月(さんげつ)を望(のぞ)み、頭(かしら)を低(た)れて故郷(こきょう)を思(おも)う。
— 李白「静夜思」
国破山河在、城春草木深。
国(くに) 破(やぶ)れて 山河(さんが)在(あ)り、城(しろ) 春(はる)にして 草木(そうもく)深(ふか)し。
— 杜甫「春望」