灯火や松明の明かりしかない時代に、闇夜を照らす月は、現代人には想像できないほど身近であった。古典文学では、月は人の心を投影するものとして大きな役割を果たす。月には桂の木(→ P.55)が生えているとの中国の伝説が信じられ、毎夜満ち欠けをし姿を変える月は、不思議な存在であった。
大沢池観月会(京都)
月は約29.5日で地球の周りを一回転する。地球と月、太陽との位置関係が変わっていくため、月の満ち欠けが起こる。月の出は毎日50数分遅くなる。「月がたつ日」から、月初めを「ついたち」、「月がこもる(隠れる)日」から月末を「つごもり」という。
月の明るい夜、牛車で川を渡ると、牛の歩みにつれて月の光に水晶が割れたように水が飛び散る。
(『枕草子』)