「襲ね」は、衣を重ねて着るときの配色や、衣の表と裏との配色をいい、「重ね」とも書く。「色目」は、「襲ね」の色合いのことである。古くから衣を何枚も重ねて着る風習があったが、平安時代にはその重ね着の色の配合が服装美として注目されるようになり、「襲ね色目」が発達した。また、直衣・狩衣・袿・表着などの衣の表と裏の色の配合も工夫された。これも「襲ね色目」の一種である。これらの色の配合は、四季折々の自然美との調和が重んじられた。したがって、「襲ね色目」には季節ごとの区別があった。
男性が着用した狩衣の色は、規定がなかったため自由であった。狩衣の表と裏、狩衣と下に着る衣、狩衣(直衣)と裾から少し出す衣などの配色が工夫され、季節によって定められていった。女性の装束や部屋の調度の色も同様であった。当時の絹織物は厚みがなかったので、表と裏の色が混ざり合って深みのある中間色を生み、表の布よりも裏の布を大きくし裏の色を見せることもあった。裏の布の色が透けて見えることも多かった。光の具合によって微妙に変化した。
桜の襲ね 表:白、裏:紅
| 色名 | 表 | 裏 |
|---|---|---|
| 柳 | 白 | 薄青 |
| 紅梅 | 紅梅 | 蘇芳 |
| 躑躅 | 蘇芳 | 青 |
| 花山吹 | 淡朽葉 | 黄 |
| 藤 | 薄色 | 萌黄 |
| 菫 | 紫 | 淡紫 |
(柴紅社『日本の色辞典』より)
移ろいゆく四季の自然を写しとることに貴族は心を注いでいた。
今様色とは、もともと流行色を指していた。