巻頭特集 ⑦ — 「である」ことと「する」こと(丸山真男)
PDF p.12(巻頭8)— 全体ビュー
筆者の意見を読み取る
事実をもとに、現象の背景を分析的に説明し、提言を行っている。繰り返し使われる言葉に着目して読み取る。
「権利の上に眠る者」
債権者(お金の貸し手)
- する:請求する行為によって時効を中断する…債権者といえる。
- である:請求しないので債権者といえない。── 債権者であるという位置に安住
「権利の上に長く眠っている者は民法の保護に値しない」
「権利の上に眠るもの」と権利 ── 日本の憲法の解釈
主権者であることに安住し[てしまうこと]。
アメリカの社会学者
「自由を市民が日々行使することは更に困難。」自由は置き物のようにそこにあるのではなく、日々自由になろうとすることによって、自由であり得る。
近代社会における制度の考え方
近代社会の制度やモラル、物事の判断は、先天的に通用していた権威に対して、現実的な機能と効用を「問う」。
「である」論理・「である」価値 から、 「する」論理・「する」価値 に移動
「近代」以降の社会の実際
「である(こと)」に基づく組織や価値判断の仕方はなくなることがない。「する(こと)」の原則ばかりになってもよいことではない。二つの図式を想定することで、「民主化」の進展の程度や制度と思考習慣のギャップを測定する一つの基準を得る。
→ 日本:ある面では非近代的でありながら、他の面で過近代的でも[ある]。
「である」社会の時代の日本
徳川時代を例にとると
- 社会の秩序維持のための要求:各人がそれぞれ指定された「分」に安んずること。
- 「すること」に基づく関係でも、「である」関係に近づこうとする。
- 「何をするか」ということよりも「何であるか」が重要。
道徳
赤の他人の間のモラルというものは、発達する必要もない。儒教的な道徳が人間関係の要と考えられている典型的な「である」社会。
権利への意識
選挙の時に投票を行わない人は、権利を行使しない上に、将来の判断を他人に委ねているともいえる。現在、人々が当たり前のように保有する権利は、自己の不利益を克服したいと、長い歴史の中で勝ち取ってきたことを自覚するべきである。
- ▲ 選挙権の行使(投票所の写真)
- 「○○反対」のプラカードを掲げる人々の小さなイラスト
- ▼ 孔子像(東京都) ── 儒学の祖。江戸時代に建てられた像。儒学を重んじ[た]
- ▼ シェイクスピア ── 『ハムレット』で父の復讐をはたそうと悩み苦しむ青年を描く。
- ▼ ヒトラー ── 民主主義のシステムの中で独裁を打ち立て、第二次世界大戦を引き起こ[した]
※人名読みについて: 丸山真男(1914–1996)は政治思想史家。「『である』ことと『する』こと」は有名な評論教材。